五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ

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第113話:王女の秘めたる焔、豊穣の祝福

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 アキオの妻たちが次々と覚醒し、町全体が新たな生命力に満ち溢れてから、早くもひと月が過ぎようとしていた。初冬の寒さは本格的になってきたが、アキオの町は活気に満ち、人々の顔には希望と充実感が浮かんでいる。

 町の発展は、目に見える形で進んでいた。特に、最近開園した保育施設「生命樹の若葉園」は、いつも子供たちの元気な声と、母親たちの安心した笑顔で溢れていた。アキオ家のベビーラッシュに続き、村でも新たな命の誕生が相次いでいたが、特筆すべきは、その全ての赤ん坊が驚くほど健康であることだった。
 産婆のマーサは、長年の経験をもってしても信じられないような光景に、毎日目を丸くしていた。
「村長様のところのお子さん方もそうじゃが、この町で生まれる赤ん坊は、みーんな驚くほど丈夫で、乳の飲みも良い。母親たちの乳の出も、まるで泉のように尽きることがないんじゃよ」
 マーサは、アヤネやシルヴィアにそう語りながら、生命樹の方角を敬虔な眼差しで見上げた。
「生命樹様のおかげか、あるいは村長様や奥様方の特別な何かか…どちらにしても、この町の母親と子供たちの未来は、本当に明るいものになるじゃろうて」
 彼女はまだ知らない。アキオの妻たちが食した生命樹の実の力が、母乳を通じてその子供たちにも影響を与え、それぞれの母が持つ種族の特性や覚醒した能力の萌芽を、乳飲み子たちが受け継ぎ始めている可能性を。そして、アキオ自身の「生命の祝福」の力が、この町全体の生命力を底上げしていることを。だが、その確かな実感は、町の隅々にまで幸福な予感として広がりつつあった。
 畑では、アキオが持ち込んだ大豆が豊かに実り、味噌や醤油、豆腐といった新しい食文化が確実に根付き始めていた。ドルガンの工房からは改良された農具や工具が生み出され、人々の生活をより豊かに、そして楽なものへと変えていた。

 そんな町の発展を見守りつつ、アキオは今宵、第三夫人であるセレスティーナの部屋を訪れることになっていた。彼女もまた、先日の覚醒によって内なる生命力が活性化し、その気品ある美しさと母としての慈愛が、さらに輝きを増している。
 約束の時間に彼女の部屋の扉を叩くと、内側から「はい、アキオ様…どうぞ」という、いつもより少しだけ甘く、そして艶を含んだ声が聞こえてきた。
 アキオが部屋に入ると、そこにいたセレスティーナの姿に、思わず息をのんだ。
 彼女が身にまとっていたのは、簡素な寝間着ではなく、上質なシルクで作られた、まさに「ドレス風の肌着」とでも言うべき優雅な装いだった。柔らかな月光のような色の生地は、彼女の白く滑らかな肌を透かし、豊かではないが完璧な曲線を描く身体のラインを、これ以上なく美しく際立たせている。肩や胸元には繊細なレースがあしらわれ、その佇まいは、かつての王女としての気品と、愛する男性を待つ女性としての妖艶さを見事に融合させていた。
「セレスティーナ…君は…なんて美しいんだ…」
 アキオの声は、興奮と感嘆で掠れていた。
 セレスティーナは、頬を微かに染めながらも、悪戯っぽく微笑んでみせる。その表情は、いつもの淑やかさの中に、確かな自信と、そしてアキオを喜ばせたいという純粋な想いが溢れていた。
「ふふ…アキオ様がお気に召してくださって、嬉しいですわ。実は…このようなお召し物、他にも何着か用意してしまったのです。あなた様に、もっと喜んでいただきたくて…」
 その言葉と、恥じらいながらもアキオの反応を窺うような上目遣いは、彼の理性を吹き飛ばすには十分すぎた。先日の、王女のドレスをまとった彼女が見せた大胆さとはまた違う、もっと個人的で、親密な誘惑。覚醒した彼女は、自身の魅力を自覚し、それをアキオのために使う喜びを見出したのかもしれない。

 アキオは、燃え上がるような情熱を抑えきれず、セレスティーナを強く抱きしめた。
「セレスティーナ…君は、俺をどうしたいんだ…」
「あなた様を、わたくしの全てで感じて、そして、あなた様にも、わたくしの全てを感じていただきたいのです…愛しい、アキオ様」
 その夜のセレスティーナは、いつもの穏やかさの奥に秘められていた、深く、そして熱い情熱を、アキオに余すところなく捧げた。彼女の覚醒した生命力は、その行為の一つ一つに気品ある優雅さと、そして尽きることのない愛情を注ぎ込み、二人の身体と魂は、まるで完璧な調和の中で一つに溶け合っていくかのようだった。
 それは、激しさだけではない、互いを慈しみ、敬い、そして高め合うような、至高の愛の交歓。セレスティーナの「ドレス風の肌着」は、その夜、アキオにとって忘れられない、甘美な記憶の数々を彩ることになった。
 元王女が見せた、秘めたる焔。それは、アキオの心を再び強く捉え、二人の間に生まれるであろう新しい命への期待を、さらに大きく膨らませるのだった。
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