300 / 400
第300話:八人の女神、そして目覚める胎動
しおりを挟む
王家の名代が到着する、その前日。アキオは、この新しい聖域の力を、万全の状態にするため、妻たち全員と共に、生命樹の若木の麓へと向かった。その神聖な儀式を前に、アキオは、まず、スタンフィールド公爵とヴァルト侯爵を、少し離れた場所に呼び出した。
「閣下、殿下。お二人にお願いがある」
アキオの、その真剣な眼差しに、二人の領主は、何事かと居住まいを正した。
「これから、この聖域の力を安定させるための、極めて重要な儀式を執り行う。だが、これは、この聖域の『女たち』の、聖なる力が必要となる、非常にデリケートなものだ。すまないが、儀式が終わるまで、席を外していただけないだろうか」
その言葉に、公爵は「うむ?」と眉をひそめかけたが、アキオは、すかさず、二人にとって、抗いがたい魅力を持つ、もう一つの「仕事」を依頼した。
「ついでに、と言っては何だが、お二人には、この新しく湧き出た温泉の、さらなる拡張計画について、話し合っていただきたい。例えば、湯治場としての施設や、周辺の警備体制、そして、いずれは、この湯を、王都まで運ぶ方法などだ。君たちの、領主としての知恵を貸してほしい」
アキオは、こうして、二人の領主の興味を、儀式そのものから、その後の「実利」へと、巧みに逸らさせた。その深謀遠慮に、公爵と侯爵は、すぐに気づいた。
「がっはっは! そうきたか、アキオ殿! よかろう! 女たちの神聖な儀式を、我らのような無骨な男が、無粋に眺めているわけにもいくまい!」
「ええ、承知いたしました。温泉の活用法については、私も、いくつか腹案がございます。この機会に、公爵閣下と、じっくりと詰めさせていただきましょう」
二人の領主は、アキオの意図を完璧に理解し、そして、その配慮に感謝すると、喜んで、温泉の拡張計画の協議のため、その場を離れていった。
こうして、儀式の場には、アキオと、彼の妻たち、そして、その奇跡の目撃者となる、リリアーナとシャルロッテだけが残された。
アキオが、生命樹の若木の中心に立つ。そして、その前に、光妃アウロラが、静かに跪いた。
儀式は、アウロラが、その「聖乳」に象徴される、生命の源泉をアキオに与えることから始まった。アキオは、その聖なる力を敬虔に飲み干し、自らの「生命の祝福」と完全に融合させていく。
次に、その聖なる力を取り込んだアキオが、自らの【生命の精髄】の全てを、光妃であるアウロラへと、その胎内に直接放った。
そして、儀式の最後の仕上げ。
シルヴィアが、その二つの力が混じり合った、究極の【生命の雫】を、アウロラの身体から零れ落ちる前に、自らの口で敬虔に受け止めた。
さらに、アキオは、ハイエルフの女王であるシルヴィアの聖なる胎内にも、アウロラの力と融合した、究極の生命の精髄を、深く、そして敬虔に注ぎ込んだ。
だが、儀式は、まだ終わらない。アキオは、その極限まで高められた聖なる力を、残る六人の妻たち——アヤネ、キナ、セレスティーナ、レオノーラ、凛、クラウディア——にも、一人一人、その身に直接注ぎ込み、分かち合っていく。八人の妻全員が、夫から注ぎ込まれる、聖なる「生命の精髄」を、その胎内に受け止め、自らの力と融合させていった。
そして、八人の女神となった妻たちは、その身に宿した、究極の生命エネルギーを、若木へと注ぎ込む。若木は、その力を受けて、神々しい光を放ち、その土地に、完全に、そして力強く、根を張った。
儀式を終えたシルヴィアが、残った、貴重な【生命の雫】が満たされた水晶の小瓶を手に、固唾をのんで見守っていた、リリアーナとシャルロッテの元へと、静かに歩み寄った。
「リリアーナ様、シャルロッテ様。これは、この聖域の、そしてアキオの、生命そのものです。貴女方が、この聖域を信じ、共に未来を歩む覚悟があるのなら、この祝福を、お受け取りください」
リリアーナとシャルロッテは、戸惑い、そして逡巡したが、目の前で起きた奇跡を前に、覚悟を決めた。二人は、シルヴィアの手から、その「生命の雫」を、一滴ずつ、敬虔に、その口に含んだ。
その一滴が、彼女たちの舌に触れた瞬間、身体の奥底から、魂を揺さぶるような、熱い奔流が駆け巡った。そして、それが、先日来、彼女たちを戸惑わせていた、あの「生命の源泉たる場所の、甘い疼き」の正体であると、二人は、魂で理解するのでした。
儀式を終えた後、アキオは、約束通り、キナたちのために「低臭の湯」を、公爵の力も借りて、その日のうちに完成させ、仲間たちの労をねぎらった。
そして、全ての準備が整い、心身ともに最高の状態となった一行は、いよいよ明日、王家の名代が到着するという、運命の朝を待つ。
リリアーナとシャルロッテは、自らの身体に起きた変化の意味を、まだ、完全には理解できずにいた。だが、彼女たちの心の中にもまた、この聖域と、アキオという男に対する、新しい感情の「胎動」が、確かに始まっているのでした。
「閣下、殿下。お二人にお願いがある」
アキオの、その真剣な眼差しに、二人の領主は、何事かと居住まいを正した。
「これから、この聖域の力を安定させるための、極めて重要な儀式を執り行う。だが、これは、この聖域の『女たち』の、聖なる力が必要となる、非常にデリケートなものだ。すまないが、儀式が終わるまで、席を外していただけないだろうか」
その言葉に、公爵は「うむ?」と眉をひそめかけたが、アキオは、すかさず、二人にとって、抗いがたい魅力を持つ、もう一つの「仕事」を依頼した。
「ついでに、と言っては何だが、お二人には、この新しく湧き出た温泉の、さらなる拡張計画について、話し合っていただきたい。例えば、湯治場としての施設や、周辺の警備体制、そして、いずれは、この湯を、王都まで運ぶ方法などだ。君たちの、領主としての知恵を貸してほしい」
アキオは、こうして、二人の領主の興味を、儀式そのものから、その後の「実利」へと、巧みに逸らさせた。その深謀遠慮に、公爵と侯爵は、すぐに気づいた。
「がっはっは! そうきたか、アキオ殿! よかろう! 女たちの神聖な儀式を、我らのような無骨な男が、無粋に眺めているわけにもいくまい!」
「ええ、承知いたしました。温泉の活用法については、私も、いくつか腹案がございます。この機会に、公爵閣下と、じっくりと詰めさせていただきましょう」
二人の領主は、アキオの意図を完璧に理解し、そして、その配慮に感謝すると、喜んで、温泉の拡張計画の協議のため、その場を離れていった。
こうして、儀式の場には、アキオと、彼の妻たち、そして、その奇跡の目撃者となる、リリアーナとシャルロッテだけが残された。
アキオが、生命樹の若木の中心に立つ。そして、その前に、光妃アウロラが、静かに跪いた。
儀式は、アウロラが、その「聖乳」に象徴される、生命の源泉をアキオに与えることから始まった。アキオは、その聖なる力を敬虔に飲み干し、自らの「生命の祝福」と完全に融合させていく。
次に、その聖なる力を取り込んだアキオが、自らの【生命の精髄】の全てを、光妃であるアウロラへと、その胎内に直接放った。
そして、儀式の最後の仕上げ。
シルヴィアが、その二つの力が混じり合った、究極の【生命の雫】を、アウロラの身体から零れ落ちる前に、自らの口で敬虔に受け止めた。
さらに、アキオは、ハイエルフの女王であるシルヴィアの聖なる胎内にも、アウロラの力と融合した、究極の生命の精髄を、深く、そして敬虔に注ぎ込んだ。
だが、儀式は、まだ終わらない。アキオは、その極限まで高められた聖なる力を、残る六人の妻たち——アヤネ、キナ、セレスティーナ、レオノーラ、凛、クラウディア——にも、一人一人、その身に直接注ぎ込み、分かち合っていく。八人の妻全員が、夫から注ぎ込まれる、聖なる「生命の精髄」を、その胎内に受け止め、自らの力と融合させていった。
そして、八人の女神となった妻たちは、その身に宿した、究極の生命エネルギーを、若木へと注ぎ込む。若木は、その力を受けて、神々しい光を放ち、その土地に、完全に、そして力強く、根を張った。
儀式を終えたシルヴィアが、残った、貴重な【生命の雫】が満たされた水晶の小瓶を手に、固唾をのんで見守っていた、リリアーナとシャルロッテの元へと、静かに歩み寄った。
「リリアーナ様、シャルロッテ様。これは、この聖域の、そしてアキオの、生命そのものです。貴女方が、この聖域を信じ、共に未来を歩む覚悟があるのなら、この祝福を、お受け取りください」
リリアーナとシャルロッテは、戸惑い、そして逡巡したが、目の前で起きた奇跡を前に、覚悟を決めた。二人は、シルヴィアの手から、その「生命の雫」を、一滴ずつ、敬虔に、その口に含んだ。
その一滴が、彼女たちの舌に触れた瞬間、身体の奥底から、魂を揺さぶるような、熱い奔流が駆け巡った。そして、それが、先日来、彼女たちを戸惑わせていた、あの「生命の源泉たる場所の、甘い疼き」の正体であると、二人は、魂で理解するのでした。
儀式を終えた後、アキオは、約束通り、キナたちのために「低臭の湯」を、公爵の力も借りて、その日のうちに完成させ、仲間たちの労をねぎらった。
そして、全ての準備が整い、心身ともに最高の状態となった一行は、いよいよ明日、王家の名代が到着するという、運命の朝を待つ。
リリアーナとシャルロッテは、自らの身体に起きた変化の意味を、まだ、完全には理解できずにいた。だが、彼女たちの心の中にもまた、この聖域と、アキオという男に対する、新しい感情の「胎動」が、確かに始まっているのでした。
43
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
家ごと異世界ライフ
もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる