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第304話:王家の巡礼、そして聖域の心臓へ
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スタンフィールド公爵領に生まれた「小さな聖域」。その東屋で、国王が、アキオの聖域への「巡礼」を決断した、その翌朝。公爵の都、アインクラッドの城門前には、歴史上、誰も見たことのない、壮大な隊列が、その出発の時を待っていた。
アキオの聖域が生み出した、四台の魔導車。それぞれが、異なる役割と、そして、異なる想いを乗せて、今、一つの目的地を目指す。
先頭を走るのは、オリハルコンの合金が、朝陽を浴びて淡い虹色に輝く、最新鋭の旗艦『流星』。その操縦席に座るのは、アキオではない。彼の第五夫人にして、筆頭秘書官である、凛だった。彼女は、その理知的な瞳で、前方の道と、手元の計器を冷静に見据え、その手は、複雑な操縦桿を、寸分の狂いもなく、完璧に握りしめている。
その後部座席。そこは、この旅の、最も重要で、そして、最も緊張感のある空間となっていた。
向かい合わせに設えられた、豪奢な主客室(メインキャビン)。片方には、この国の頂点に立つ、国王と、その正妻である王妃ソフィア。そして、もう片方には、聖域の主、アキオが、一人、ゆったりと腰を下ろしている。
国王は、操縦席に座る凛の、その淀みない完璧な操作技術と、そして、目の前で、自らと対等に、いや、むしろ、どこか余裕さえ感じさせる態度で語り合う、アキオという男に、改めて、この聖域の、底知れない力を感じ取っていた。
「…驚いたな、アキオ殿。君の妻は、これほどの乗り物を、女性一人で、やすやすと操るのか」
「ははは。凛は、優秀な秘書官でしてな。この『流星』の設計も、彼女の頭脳がなければ、生まれなかったでしょう。俺は、ただ、職人として、その設計図を形にしただけです」
アキオは、国王との対話に、完全に集中していた。彼のその、どこまでも自然体で、そして、妻への絶対的な信頼を隠さない姿に、国王は、初めて、自らが知る「王」や「皇帝」とは、全く違う種類の、「指導者」の形を、目の当たりにしているのかもしれない、と感じ始めていた。
そして、その傍らで、盲目の王女イザベラは、ただ、静かに、その会話に耳を澄ませていた。彼女の、類稀なる鋭敏な聴覚は、アキオの声の響きから、その誠実さと、嘘のない、温かい魂の在り方を、誰よりも正確に、感じ取っていた。
そして、『流星』の、主客室とは仕切られた、広々とした副客室(セカンドキャビン)。そこは、まさに「女神たちの談話室」と呼ぶにふさわしい、華やかで、そして、賑やかな空間となっていた。
「まあ、レオノーラさん。貴女のお腹も、少し、ふっくらとしてきましたわね」アヤネが、優しく声をかける。
「うむ。セレスティーナ様も、私も、この子らが、アキオ殿によく似た、元気な子であることを、祈っている」
「へへっ、だんなに似たら、あたしみてえに、食いしん坊になるかもな!」キナが、快活に笑う。
シルヴィア、アウロラ、セレスティーナ、レオノーラ、アヤネ、キナ、そしてクラウディア。七人の妻たちが、これから始まる、王女との共同生活について、期待と、そして、ほんの少しの、女としてのライバル心を、楽しそうに語り合っている。
その輪の中心で、リリアーナとシャルロッテは、その、あまりにも規格外な「家族」の形に、改めて、驚きと、そして、どこか羨望の念を抱かずにはいられなかった。
二番車として、その『流星』の後ろを続くのは、ヴァルト新侯爵が自ら操縦する、真新しい『天馬』。その客室は、さながら「貴族たちのサロン」と化していた。
「がっはっは! 大公殿下! ご覧くだされ、この安定した走り! 揺れ一つ感じぬでしょう! これぞ、アキオ殿の技術の粋ですな!」
スタンフィールド公爵が、アルバート大公に、まるで自分の手柄のように、魔導車の素晴らしさを、熱っぽく語っている。
「…確かに、見事なものだ。兄上が、これに執心するのも、無理はない」
アルバート大公は、冷静に、しかし、その瞳の奥に、強い興味の光を宿しながら、窓の外の景色と、目の前で、子供のようにはしゃぐ二人の領主を、静かに観察していた。彼は、軍人として、この魔導車が持つ、計り知れないほどの「戦略的価値」を、誰よりも正確に、理解していたのだ。
そして、三番車の『力王』と、四番車の『試作一号機』は、後方支援部隊として、その隊列を固めていた。そこには、ヴァルト侯爵の護衛兵たちと、万一に備えるための、大量の食料や、野営道具が、満載されていた。
四台の魔導車からなる、壮大な「王家の巡礼」の隊列。
旅は、穏やかに、そして、驚くほど、順調に進んだ。
アキオは、国王と、国の未来について、そして、家族について、多くのことを語り合った。王妃ソフィアは、凛の聡明さと、アキオの深い愛情に触れ、娘の未来を、この男に託す価値があるかもしれない、と、感じ始めていた。
そして、数日の旅の後。
一行の目の前に、巨大な生命樹が、天に向かってその枝を広げる、懐かしい、そして、神々しい光景が、広がった。
「…陛下。あれが、わたくしの町、全ての奇跡が始まり、そして、お嬢様の、最後の希望が眠る場所です」
アキオのその言葉に、国王夫妻、そして、王女イザベラは、息をのんで、その聖域の心臓を、見つめるのだった。
アキオの聖域が生み出した、四台の魔導車。それぞれが、異なる役割と、そして、異なる想いを乗せて、今、一つの目的地を目指す。
先頭を走るのは、オリハルコンの合金が、朝陽を浴びて淡い虹色に輝く、最新鋭の旗艦『流星』。その操縦席に座るのは、アキオではない。彼の第五夫人にして、筆頭秘書官である、凛だった。彼女は、その理知的な瞳で、前方の道と、手元の計器を冷静に見据え、その手は、複雑な操縦桿を、寸分の狂いもなく、完璧に握りしめている。
その後部座席。そこは、この旅の、最も重要で、そして、最も緊張感のある空間となっていた。
向かい合わせに設えられた、豪奢な主客室(メインキャビン)。片方には、この国の頂点に立つ、国王と、その正妻である王妃ソフィア。そして、もう片方には、聖域の主、アキオが、一人、ゆったりと腰を下ろしている。
国王は、操縦席に座る凛の、その淀みない完璧な操作技術と、そして、目の前で、自らと対等に、いや、むしろ、どこか余裕さえ感じさせる態度で語り合う、アキオという男に、改めて、この聖域の、底知れない力を感じ取っていた。
「…驚いたな、アキオ殿。君の妻は、これほどの乗り物を、女性一人で、やすやすと操るのか」
「ははは。凛は、優秀な秘書官でしてな。この『流星』の設計も、彼女の頭脳がなければ、生まれなかったでしょう。俺は、ただ、職人として、その設計図を形にしただけです」
アキオは、国王との対話に、完全に集中していた。彼のその、どこまでも自然体で、そして、妻への絶対的な信頼を隠さない姿に、国王は、初めて、自らが知る「王」や「皇帝」とは、全く違う種類の、「指導者」の形を、目の当たりにしているのかもしれない、と感じ始めていた。
そして、その傍らで、盲目の王女イザベラは、ただ、静かに、その会話に耳を澄ませていた。彼女の、類稀なる鋭敏な聴覚は、アキオの声の響きから、その誠実さと、嘘のない、温かい魂の在り方を、誰よりも正確に、感じ取っていた。
そして、『流星』の、主客室とは仕切られた、広々とした副客室(セカンドキャビン)。そこは、まさに「女神たちの談話室」と呼ぶにふさわしい、華やかで、そして、賑やかな空間となっていた。
「まあ、レオノーラさん。貴女のお腹も、少し、ふっくらとしてきましたわね」アヤネが、優しく声をかける。
「うむ。セレスティーナ様も、私も、この子らが、アキオ殿によく似た、元気な子であることを、祈っている」
「へへっ、だんなに似たら、あたしみてえに、食いしん坊になるかもな!」キナが、快活に笑う。
シルヴィア、アウロラ、セレスティーナ、レオノーラ、アヤネ、キナ、そしてクラウディア。七人の妻たちが、これから始まる、王女との共同生活について、期待と、そして、ほんの少しの、女としてのライバル心を、楽しそうに語り合っている。
その輪の中心で、リリアーナとシャルロッテは、その、あまりにも規格外な「家族」の形に、改めて、驚きと、そして、どこか羨望の念を抱かずにはいられなかった。
二番車として、その『流星』の後ろを続くのは、ヴァルト新侯爵が自ら操縦する、真新しい『天馬』。その客室は、さながら「貴族たちのサロン」と化していた。
「がっはっは! 大公殿下! ご覧くだされ、この安定した走り! 揺れ一つ感じぬでしょう! これぞ、アキオ殿の技術の粋ですな!」
スタンフィールド公爵が、アルバート大公に、まるで自分の手柄のように、魔導車の素晴らしさを、熱っぽく語っている。
「…確かに、見事なものだ。兄上が、これに執心するのも、無理はない」
アルバート大公は、冷静に、しかし、その瞳の奥に、強い興味の光を宿しながら、窓の外の景色と、目の前で、子供のようにはしゃぐ二人の領主を、静かに観察していた。彼は、軍人として、この魔導車が持つ、計り知れないほどの「戦略的価値」を、誰よりも正確に、理解していたのだ。
そして、三番車の『力王』と、四番車の『試作一号機』は、後方支援部隊として、その隊列を固めていた。そこには、ヴァルト侯爵の護衛兵たちと、万一に備えるための、大量の食料や、野営道具が、満載されていた。
四台の魔導車からなる、壮大な「王家の巡礼」の隊列。
旅は、穏やかに、そして、驚くほど、順調に進んだ。
アキオは、国王と、国の未来について、そして、家族について、多くのことを語り合った。王妃ソフィアは、凛の聡明さと、アキオの深い愛情に触れ、娘の未来を、この男に託す価値があるかもしれない、と、感じ始めていた。
そして、数日の旅の後。
一行の目の前に、巨大な生命樹が、天に向かってその枝を広げる、懐かしい、そして、神々しい光景が、広がった。
「…陛下。あれが、わたくしの町、全ての奇跡が始まり、そして、お嬢様の、最後の希望が眠る場所です」
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