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第332話:初めての、王都
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一方、アキオたち一行は、ヴァルト侯爵領、そして、スタンフィールド公爵領への、訪問を、無事に、終え、いよいよ、この旅の、最終目的地である、メイプルウッド王国の、王都へと、駒を、進めていた。
街道の、景色は、日に日に、その、様相を、変え、行き交う、馬車や、商人の、数も、明らかに、増えていく。
旗艦『流星』の中でアキオは窓の外の景色を眺めながら、どこか落ち着かない気分だった。
「アキオ様、少しお顔が硬うございますわよ」
隣に座っていたクラウディアがくすくすと微笑みながら声をかけた。
「…そうか? だが、どうもいかんな。人の数が多すぎる。これでは落ち着かん」
「ふふ、分かりますわ。ですがこれでもまだ郊外ですのよ。王都の中心部はこの十倍は賑やかですわ」
その言葉に、隣で報告書に目を通していた凛が眼鏡の奥から静かに忠告した。
「アキオ様。王都の貴族たちは我々が思う以上に保守的で、そして嫉妬深い者たちです。貴方様のその規格外の力と富を快く思わない者も大勢いるでしょう。どうか下手に挑発には乗らないでくださいまし」
「ああ、分かっている。ここでは俺はただの聖域伯だからな」
アキオのその答えに凛とクラウディアは少しだけ顔を見合わせ、そして頷いた。この素直さこそがアキオの最大の強みなのだと。
やがて地平線の向こうに巨大な城壁がその姿を現した。
メイプルウッド王国の王都。大陸でも五指に入る大都市である。
城門を通過し市街地へと入った瞬間、一行はその圧倒的な喧騒に包まれた。石畳の道、ひしめき合うように建ち並ぶ高い石造りの建物、そして道を行き交う人、人、人。
アキオたちの壮大な魔導車のキャラバンは王都の住民たちの注目の的だった。
「おい、見ろよ! あの馬のいない馬車はなんだ!?」
「あれが噂の聖域伯様ご一行か…!」
「先頭の黒い乗り物…まるで黒曜石でできているようだ…」
好奇、驚嘆、そして僅かな畏怖。様々な視線が突き刺さる中、キャラバンは王都の大通りを抜け、その中心にそびえ立つ王城へと向かっていく。
王城の巨大な門の前に到着すると、そこには公爵領とは比較にならないほど公式で儀礼的な出迎えが待っていた。
宰相を筆頭とする文官たちがずらりと並び、その後ろには白銀の鎧に身を包んだ近衛騎士団の騎士たちが一糸乱れぬ列を作っている。
「聖域伯アキオ様ご一行。長旅ご苦労様でございます。わたくし、宰相のアルバートと申します。陛下は玉座の間にてお待ちです。こちらへ」
宰相のその丁寧で、しかしどこか値踏みするような視線。アキオはその堅苦しい雰囲気に少し居心地の悪さを感じたが、その時、凛とクラウディアがすっと前に出た。
「宰相閣下。お出迎え恐れ入ります。わたくしは聖域伯様の妻の凛と申します。こちらは同じくクラウディアと」
「おお、貴女がたが噂に名高い…。ヴァルト侯爵領ご出身の才媛ですな」
凛とクラウディアは完璧な貴族の作法でカーテシーを行い、そしてにこやかに、しかし堂々と応対した。
「わたくしどもが王都で学んだ知識がアキオ様のお役に立てることを光栄に思いますわ」
クラウディアのその社交辞令に宰相の硬い表情がわずかに和らぐ。
宰相に案内され一行は磨き上げられた大理石の長い長い廊下を進んでいく。
やがて一行は一つの巨大な黄金の扉の前にたどり着いた。
近衛騎士が左右からその重い扉をゆっくりと押し開ける。
「聖域伯、アキオ様、ご入来ー!」
朗々とした声が響き渡る。
扉の向こう側には高い天井と数多の柱が並ぶ広大な空間。そしてその一番奥には一段高くなった玉座が設えられ、そこにメイプルウッド王国の王が威厳に満ちた姿で座っていた。
アキオたちの本当の挑戦は今、この玉座の間から始まろうとしていた。
街道の、景色は、日に日に、その、様相を、変え、行き交う、馬車や、商人の、数も、明らかに、増えていく。
旗艦『流星』の中でアキオは窓の外の景色を眺めながら、どこか落ち着かない気分だった。
「アキオ様、少しお顔が硬うございますわよ」
隣に座っていたクラウディアがくすくすと微笑みながら声をかけた。
「…そうか? だが、どうもいかんな。人の数が多すぎる。これでは落ち着かん」
「ふふ、分かりますわ。ですがこれでもまだ郊外ですのよ。王都の中心部はこの十倍は賑やかですわ」
その言葉に、隣で報告書に目を通していた凛が眼鏡の奥から静かに忠告した。
「アキオ様。王都の貴族たちは我々が思う以上に保守的で、そして嫉妬深い者たちです。貴方様のその規格外の力と富を快く思わない者も大勢いるでしょう。どうか下手に挑発には乗らないでくださいまし」
「ああ、分かっている。ここでは俺はただの聖域伯だからな」
アキオのその答えに凛とクラウディアは少しだけ顔を見合わせ、そして頷いた。この素直さこそがアキオの最大の強みなのだと。
やがて地平線の向こうに巨大な城壁がその姿を現した。
メイプルウッド王国の王都。大陸でも五指に入る大都市である。
城門を通過し市街地へと入った瞬間、一行はその圧倒的な喧騒に包まれた。石畳の道、ひしめき合うように建ち並ぶ高い石造りの建物、そして道を行き交う人、人、人。
アキオたちの壮大な魔導車のキャラバンは王都の住民たちの注目の的だった。
「おい、見ろよ! あの馬のいない馬車はなんだ!?」
「あれが噂の聖域伯様ご一行か…!」
「先頭の黒い乗り物…まるで黒曜石でできているようだ…」
好奇、驚嘆、そして僅かな畏怖。様々な視線が突き刺さる中、キャラバンは王都の大通りを抜け、その中心にそびえ立つ王城へと向かっていく。
王城の巨大な門の前に到着すると、そこには公爵領とは比較にならないほど公式で儀礼的な出迎えが待っていた。
宰相を筆頭とする文官たちがずらりと並び、その後ろには白銀の鎧に身を包んだ近衛騎士団の騎士たちが一糸乱れぬ列を作っている。
「聖域伯アキオ様ご一行。長旅ご苦労様でございます。わたくし、宰相のアルバートと申します。陛下は玉座の間にてお待ちです。こちらへ」
宰相のその丁寧で、しかしどこか値踏みするような視線。アキオはその堅苦しい雰囲気に少し居心地の悪さを感じたが、その時、凛とクラウディアがすっと前に出た。
「宰相閣下。お出迎え恐れ入ります。わたくしは聖域伯様の妻の凛と申します。こちらは同じくクラウディアと」
「おお、貴女がたが噂に名高い…。ヴァルト侯爵領ご出身の才媛ですな」
凛とクラウディアは完璧な貴族の作法でカーテシーを行い、そしてにこやかに、しかし堂々と応対した。
「わたくしどもが王都で学んだ知識がアキオ様のお役に立てることを光栄に思いますわ」
クラウディアのその社交辞令に宰相の硬い表情がわずかに和らぐ。
宰相に案内され一行は磨き上げられた大理石の長い長い廊下を進んでいく。
やがて一行は一つの巨大な黄金の扉の前にたどり着いた。
近衛騎士が左右からその重い扉をゆっくりと押し開ける。
「聖域伯、アキオ様、ご入来ー!」
朗々とした声が響き渡る。
扉の向こう側には高い天井と数多の柱が並ぶ広大な空間。そしてその一番奥には一段高くなった玉座が設えられ、そこにメイプルウッド王国の王が威厳に満ちた姿で座っていた。
アキオたちの本当の挑戦は今、この玉座の間から始まろうとしていた。
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