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よっしぃ

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酒と紫色のスライム

第158話 お酒造りに土壌の改良は欠かせない

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《お酒造りに土壌の改良は欠かせない》

 当時誰もこの考えに辿り着いておらず、特に労働層へ酒を提供する酒場は、いかに安く仕入れるかという事を念頭に仕入れており、それを知っている酒蔵もいかに安く酒を提供出来るか、それしか考えておらず、結局質の悪い果実を発酵させ、酒を造る。
 しかしそのままでは安く提供できず、アルコールと同じような成分のエタノールを混ぜたり、何処から手に入れたのか、怪しいものを投入する業者が後を絶たず、しかし安く酒が出来るので今まで誰も対策を講じようとしなかった。

「ランメルト伯爵・・・・じゃなかった、ランメルト侯爵でした、そしてペーテル伯爵領と、デイケンでは大規模なワームによる薬草その他を育てていますす。特に薬草はかなりの高品質で育っているはずです。それを果樹園でも、他の作物でも生かせば、と思うんですけれど。」

 しかし未だそんな考えに疑問を持つ者達は、
「そんな事を言うが、更にロキュス殿が儲けるだけではないか!どこまで守銭奴なんだ!」

 ロキュスは困惑した。もう既にカードに入金ができない程残高があるのだ。これ以上儲かった所で使い道が無い。

「あの、僕はこれ以上おけ名を手にしても、既にカードが一杯で金を得る必要が無いんです。だからその言葉は当てはまりません。」
「だが、あんたが儲かるのは事実ではないか!」
「では、僕の提案より効率の良い、しかもお酒を安くしかも安全に飲んで頂く方法をご教授願いますか?」
 皆押し黙ってしまった。
 確かに上手くいけば良質の酒を安く提供できるだろう。
 結果悪酔いも起こりにくくなり、大量に飲んでしまった場合の健康問題も、今よりはましになるだろう。結局大量に飲んでしまえばどれだけ良質の酒を提供しても意味を成さないのだが、これは別の問題。

 ロキュスは辛抱強く説得をした。
 実際ロキュスがこんな事をする必要は全くないのだが。

「こんな出来るかできないかわからん方法は受け入れられん!いいか!労働層の多くは貧困層だ!そんな彼らに高い酒を提供しろと言うのか!」
「だから何度も言っていますが、ワームによる土壌改良を行い、しかもスライム達の落とす固形物の大多数は肥料となります。あ、一部のスライムが落とすのはそのまま使える物がありますからあしからず。で、その肥料をさらにワームが混ぜた土は非常に作物が元気に、しかも通常より早く収穫できます。勿論品質は今までより目に見えた良くなります。ど一度新たな場所を開墾し、そこを実験的に酒になる作物を育ててみてはどうでしょう。勿論土地があれば開墾はワームがしてくれますし、皆さんはまず畑の管理、そして収穫、そのままスライムが酒にしてもいいですし、従来の方法でお酒にしてもらってもいいです。軌道に乗るまでスライムとワームは無料でレンタルしますよ。」

 これを聞いて酒蔵の人々は一旦話を持ち帰る事にしたのだが、翌日慌てて直ぐに貸してほしいと戻ってくる事になる。
 それは何故か?
 勿論酒蔵の持ち主は家族に愚痴るように話した。だがそれに反応したのは妻であり姉であり妹であり、娘だった。

 とある酒蔵の親方の場合、
「ちょっとあんた!勿論すぐにでも取り掛かるって言ったんだろうね!」
「え?ないいってんだかーちゃん!まさかそんな事をすぐに返事する訳が無かろう!」

 ちなみに奥さん事をかーちゃんという事が多いようである。
「今すぐ!ワームとスライムを!持ち帰るんだよ!今すぐ!早く!」

 別の親方の場合、
「ちょっとお父さん!それ今をtokimeku・・・・・・・・ロキュスさんのワームとスライムじゃないの?」

「あ?何だその変な言葉は・・・・確かロキュスとか言ったなあのガキの名は。」
「ば、バッカじゃないの!今すぐ戻って直ぐに実行しますって言いなさいよ!」
「何言ってんだ娘の分Zぁ位でぶふぁげは!!」
 親方は最後まで言葉を発する事ができなかった。
 娘に、実の娘に思いっきり尻を蹴られたからだ。
「あのスライム達の価値を知っているの?それをしばらくただで貸してくれるって!早くいかないと他の酒蔵に出し抜かれるわよ!」
「いやまて、そんな簡単にだなあ「だまらっしゃい!」ひいいい!」
「いい事、今すぐ戻って実行しないともう二度とお父さんって呼んであげないから!」
「え?まじで?」
「早くいけくそじじい!!!」

 この後話し合いに参加していなかった酒蔵も女性陣にせっつかれ、ワームとスライムを借りに戻り、又は向かったのだった。

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