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よっしぃ

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酒と紫色のスライム

第164話 生かさず殺さず

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  スラム街の住民の多くは、自分達が搾取されているとは気づいていない、若しくは気付いても対応できない。


 領地の多くは貧困層が開拓を行った。
 そしてそのまま自分の農地と信じてやまない人々は、そこで農作業を始める。
 しかし知識がなく、経験もないとうまく作物は育たない上に、収穫した農作物の殆どを税として納めなくてはならない。

 負の連鎖。

 一部の良識ある領主はそんなひどい事をしないが、大多数の領地では、領地を管理する、領主の下で仕えている役人たちがピンハネをしていたりする。

 そうした現状に、こうして徒党を組んで立ち上がる若者たちの存在がある。
 ただ、どう行動をすればいいのかわからず、結局何者かの誘導で知らず犯罪を犯す。
 結局こうした若者は脅威になるので、上手く誘導して排除する。

 粉期の事件はたまたま未遂に終わった例だが、各地では多々ある。

 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

 戻った若者達は、自分達のテリトリーに戻って直ぐに、受け渡された荷物を確認し、驚愕する事になる。

 急ぎスラム街を取り仕切っているボスを呼びに行くと、ボスと言われる壮年が急ぎやってきた。

「お前ら、あれほどやるなと言っていただろうに、よく無事に戻ってこられたな。どうやって生き延びた?」
 まさか街道で盗賊行為を行おうとしている若者が、生きて戻ってくるとは思っていなかったボスは驚いていた。
 そしてこうした若者が後を絶えないので、密かに誰が陰で誘導しているのか調べてはいたが、結局突き止める事が出来ず、苦々しい思いをしていたのだ。
 それが今、大量の食糧を持ち帰って何やら色々喋っている。
「まて、ロキュスというのはあれか?今王国中で騒がれているスライムキングの事か?」

 スラム街ではスライムキングという名で知られているらしい。
「はい!どうやらマジモンみたいで、こ、コーショーをしたいらしいっす。コーショーってなんすか?」

「交渉だと?何を今更国王の腰ぎんちゃくがよく言うぜ!」
 しかしここで異変に気が付く。

「突然の事で申し訳ありません。僕はロキュスって言います。この辺りを纏めて下さっている代表の方を探していたのですが、今までどうしても見つからず、こうした方法を取ってしまい、申し訳ないと思っています。その、お話を続けてもいいですか?」

 地面から声がするも何処にいるのかわからない。
「ど、何処にいる?」
「えっと、足元です。出てきてもいいですか?」
「あ、ああ・・・・」
 この状況下、何を言っても無駄だろうとボスは許可を出す。
 すると地面から子供が現れたので驚いた。

「こんな形で申し訳ありません。僕と一緒に働いてもらえませんか?」
 ボスは茫然自失となった。
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