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国内無双編
最も醜い聖女②
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「ご主人様、おはようございます」
「あぁ⋯⋯」
乾いた声しか出ない。
ミシミシ言うベッドに、他人の騒いでる声が貫通する壁の薄さ、そしてとんでもない臭さだ。
クソが。この都市滅ぼしてやろうか?
「ご主人様、お考えになられていることはわかりますが、そうしてしまうと星が消えます」
いかんいかん。
昔一度癇癪を起こして本当に大陸の半分程の人間を殺した事があったのを忘れてしまっていた。
「分かってる」
「この部屋だけでも変えましょうか?
やはり日に日に機嫌が悪くなるご主人様を見ているのはこちらも緊張します」
コイツめ。
いつかの人格をぶち込んだおかげで、妙に文化人っぽいんだよな。
「お前は出来るだけ姿をくらませよ?
魔法を使えるようにしてるんだから」
「御意に」
起き上がって浄化の魔法をかけイシヤの横を通ると、魔法で完全に姿が消える。
「あっ!ゼインさん」
「ロジンだったか?」
「もう!二月も経ってるのに⋯⋯!
名前くらい覚えてくださいよ!」
「そう言うな。
魔物を度々提供しているだろう?」
「ゲッ!そうでし⋯⋯痛っァァァ!」
「ゼインさんおはよう!」
「おはよう、女将」
拳骨痛そうだな。
「娘が朝からすまないねぇ」
申し訳なさそうに言う女将。
「ゼインさんも気になってるのかい?」
ガラガラの食事場所を見ていた俺にツッコんでくる女将。
「えぇ。そういえば戦争がどうだとか」
「今はまだ本格的にはなってはいないみたいさね」
「ご存知で?」
「旦那が"騎士"でね」
「騎士ですか。
自分の知識上、騎士はただの騎士なのですが、女将の言う騎士とは違う気がするように感じるんだけど」
「ん?ゼインさんは本当に田舎から来たんだねぇ。
騎士は特別な爵位の事さ。
騎士は数万人に一人しか生まれない特異な人間と言っても過言じゃないさ」
聞いておいて良かった。
俺の知っている騎士ではない。
「魔法使いとは違うのですか?」
「魔法使いはもっと希少さ。
ただ、旦那は分からないけど、王室の騎士は特別だって聞いてるよ」
それは試しがいがありそうだな。
「と、暗い話ばかりしてたって仕方ないさ!」
「まぁ売上酷そうですけど」
ガラガラの宿を見るに経営はヤバイだろう。
「そっ、そこは色々あるさね!」
「宣伝などはしていないんですか?」
「宿は⋯⋯するものかい?」
駄目だこりゃ。
「まぁ治安が悪いのでなんとも言えませんが、普通はすると思いますけど」
「ロジン!宣伝だ!」
「えー⋯⋯」
「看板娘が働かなくてどうするんだい!」
「ゼインさんがやってよー」
「アンタ!
ゼインさんは引く手数多に決まってるでしょ!!
見なさい!あの顔を!」
「だからじゃーん」
そう言われながら、女将に頭を引っ張られて外へ連れ出されているのを眺めた俺は、ちゃっかり机の上に俺の食事が並べられているのに今気付いた。
食べよう。
椅子に掛けて朝食を口にする。
「慣れん」
不味くはないのだが、城の中で食べる料理以外を口にすると違和感でしかない。
食べ終わる。
そのまま席を立って、今日も日課の都市散策をする。
「今なら知り合いの商人から水魔法で貯水あるよー!
樽一つ一万リルよー!」
一万リル?えーっと確か。
懐の通貨を確認する。
ん?
つまり、水一つだけでこの都市で働く人の3週間分くらいの価格じゃ?
「いやー!良かった!」
販売しているそこへ、一人の若者が購入している。
「あいよ、確認したよ」
ルンルンで樽を担ぎ、走り去っていく。
まぁ、変に勘ぐられても嫌だし。
「私にも一つ貰えるか?」
「あいよ」
「すこし訊ねても?」
「どうしたんだい?」
「水がこれだけ掛かるのは何故なのだ?」
「他所から来たんだねぇ。
この都市はちょうどドリアンから攻め入られる都市の隣だからねぇ。
中央からの支援が途絶えやすくて、けど移動するにもねぇ」
お金を指で作っている。
「なるほど。しかし価格に対してみんなの給料は大丈夫なのだろうか?」
「大声では言えないけど、明るい地獄よ」
オバサンの顔をしっかり見た。
ガリガリに痩せ細り、いつ死んでもおかしくなく。
「みんな水が無いと死んでしまうから、私もなんとかねぇ」
俺は少し間をおいてゆっくりと小刻みに頷いた。
「貴重な情報をありがとう」
さて、あの宿の2人はどうやら恵まれているようだ。
「あれっ!?ちょっとアンタ!!
これ金塊じゃないか!!
100万リルだよ!!っ⋯⋯歩け⋯⋯ちょっと!!」
やはり久しぶりの外は飽きないな。
*
この都市は明るい地獄だとあのオバサンは言った。
確かに。
あまり気にしていなかったが、歩く人々は笑っていることは当たり前だが、しかしそれに対しての身なりや身体の状態は悪かった。
散策は良い。
大体どういう都市なのかが明確になっていく。
どうやら飯は都市の中でもかなり上位に入るらしい。
あとは職人が非常に多い。
身だしなみにあまり力を入れていない人間が多い。
あとは──大人と老人が多いが、子供はあまり見ない。
そして。
「いいぞー!もっとやれ!」
『っぐ!!!』
『っ!でりゃァァァァ!!』
大人が多いとは言ったが、大人のほとんどは良識が無く、治安が最悪。
そこら中で闘技場かのように喧嘩自慢を始め、金の取り合いをしている。
当然、そこで戦わされているのも大人。
明らかに痩せ細り、何かに追われているような目をしている⋯⋯男達。
逆に女は良識があり、人が良い。
戦争前とは言ったが、あまりにも地獄だと俺も思った。
臭いは酷いし、所構わず女を好き勝手している人間もいる。
喧嘩をしている奴らが大半で、ゴミが散らばっていて、兵士達も権力行使を厭わない。
オバサンが明るい地獄だと言ったのは、なるほど的を得ている⋯⋯そう思った。
二月。
そう結論付けるとしてはあまりに浅い、俺の感想だ。
そして。最近、俺は妙な光景を目にする事になった。
「うわ、見ろよアイツ」
「またやってるよアイツ」
全員がアイツと呼称する女がいた。
正座で。
両手をただ広げ、空に向かって祈りを捧げている女。
本来なら、女とあればその辺でおっぱじめる人間が手を出しそうなものだが、彼女の容姿はこの世で俺自身も最も醜いと感じる容姿だった。
見える範囲だが、全身焼けていて、両目も見えていない。
恐らく焼かれたのだろう。
髪も集合しているのがキモいと思う人間ならゾッとするような焼け方をしていて。
生きているのだが、死んでいるのか。
全く分からないような状態だったのだ。
しかも。
排泄や水を飲む様子がない。
ただ、そこで天へ両手を伸ばし、静止したようにただそこに居る女がいた。
妙だ。俺は、なぜだかここ一週間気になって遠くから彼女をただ見つめる時間が多くなっていた。
これが、俺と彼女の──最初の出会いだった。
「あぁ⋯⋯」
乾いた声しか出ない。
ミシミシ言うベッドに、他人の騒いでる声が貫通する壁の薄さ、そしてとんでもない臭さだ。
クソが。この都市滅ぼしてやろうか?
「ご主人様、お考えになられていることはわかりますが、そうしてしまうと星が消えます」
いかんいかん。
昔一度癇癪を起こして本当に大陸の半分程の人間を殺した事があったのを忘れてしまっていた。
「分かってる」
「この部屋だけでも変えましょうか?
やはり日に日に機嫌が悪くなるご主人様を見ているのはこちらも緊張します」
コイツめ。
いつかの人格をぶち込んだおかげで、妙に文化人っぽいんだよな。
「お前は出来るだけ姿をくらませよ?
魔法を使えるようにしてるんだから」
「御意に」
起き上がって浄化の魔法をかけイシヤの横を通ると、魔法で完全に姿が消える。
「あっ!ゼインさん」
「ロジンだったか?」
「もう!二月も経ってるのに⋯⋯!
名前くらい覚えてくださいよ!」
「そう言うな。
魔物を度々提供しているだろう?」
「ゲッ!そうでし⋯⋯痛っァァァ!」
「ゼインさんおはよう!」
「おはよう、女将」
拳骨痛そうだな。
「娘が朝からすまないねぇ」
申し訳なさそうに言う女将。
「ゼインさんも気になってるのかい?」
ガラガラの食事場所を見ていた俺にツッコんでくる女将。
「えぇ。そういえば戦争がどうだとか」
「今はまだ本格的にはなってはいないみたいさね」
「ご存知で?」
「旦那が"騎士"でね」
「騎士ですか。
自分の知識上、騎士はただの騎士なのですが、女将の言う騎士とは違う気がするように感じるんだけど」
「ん?ゼインさんは本当に田舎から来たんだねぇ。
騎士は特別な爵位の事さ。
騎士は数万人に一人しか生まれない特異な人間と言っても過言じゃないさ」
聞いておいて良かった。
俺の知っている騎士ではない。
「魔法使いとは違うのですか?」
「魔法使いはもっと希少さ。
ただ、旦那は分からないけど、王室の騎士は特別だって聞いてるよ」
それは試しがいがありそうだな。
「と、暗い話ばかりしてたって仕方ないさ!」
「まぁ売上酷そうですけど」
ガラガラの宿を見るに経営はヤバイだろう。
「そっ、そこは色々あるさね!」
「宣伝などはしていないんですか?」
「宿は⋯⋯するものかい?」
駄目だこりゃ。
「まぁ治安が悪いのでなんとも言えませんが、普通はすると思いますけど」
「ロジン!宣伝だ!」
「えー⋯⋯」
「看板娘が働かなくてどうするんだい!」
「ゼインさんがやってよー」
「アンタ!
ゼインさんは引く手数多に決まってるでしょ!!
見なさい!あの顔を!」
「だからじゃーん」
そう言われながら、女将に頭を引っ張られて外へ連れ出されているのを眺めた俺は、ちゃっかり机の上に俺の食事が並べられているのに今気付いた。
食べよう。
椅子に掛けて朝食を口にする。
「慣れん」
不味くはないのだが、城の中で食べる料理以外を口にすると違和感でしかない。
食べ終わる。
そのまま席を立って、今日も日課の都市散策をする。
「今なら知り合いの商人から水魔法で貯水あるよー!
樽一つ一万リルよー!」
一万リル?えーっと確か。
懐の通貨を確認する。
ん?
つまり、水一つだけでこの都市で働く人の3週間分くらいの価格じゃ?
「いやー!良かった!」
販売しているそこへ、一人の若者が購入している。
「あいよ、確認したよ」
ルンルンで樽を担ぎ、走り去っていく。
まぁ、変に勘ぐられても嫌だし。
「私にも一つ貰えるか?」
「あいよ」
「すこし訊ねても?」
「どうしたんだい?」
「水がこれだけ掛かるのは何故なのだ?」
「他所から来たんだねぇ。
この都市はちょうどドリアンから攻め入られる都市の隣だからねぇ。
中央からの支援が途絶えやすくて、けど移動するにもねぇ」
お金を指で作っている。
「なるほど。しかし価格に対してみんなの給料は大丈夫なのだろうか?」
「大声では言えないけど、明るい地獄よ」
オバサンの顔をしっかり見た。
ガリガリに痩せ細り、いつ死んでもおかしくなく。
「みんな水が無いと死んでしまうから、私もなんとかねぇ」
俺は少し間をおいてゆっくりと小刻みに頷いた。
「貴重な情報をありがとう」
さて、あの宿の2人はどうやら恵まれているようだ。
「あれっ!?ちょっとアンタ!!
これ金塊じゃないか!!
100万リルだよ!!っ⋯⋯歩け⋯⋯ちょっと!!」
やはり久しぶりの外は飽きないな。
*
この都市は明るい地獄だとあのオバサンは言った。
確かに。
あまり気にしていなかったが、歩く人々は笑っていることは当たり前だが、しかしそれに対しての身なりや身体の状態は悪かった。
散策は良い。
大体どういう都市なのかが明確になっていく。
どうやら飯は都市の中でもかなり上位に入るらしい。
あとは職人が非常に多い。
身だしなみにあまり力を入れていない人間が多い。
あとは──大人と老人が多いが、子供はあまり見ない。
そして。
「いいぞー!もっとやれ!」
『っぐ!!!』
『っ!でりゃァァァァ!!』
大人が多いとは言ったが、大人のほとんどは良識が無く、治安が最悪。
そこら中で闘技場かのように喧嘩自慢を始め、金の取り合いをしている。
当然、そこで戦わされているのも大人。
明らかに痩せ細り、何かに追われているような目をしている⋯⋯男達。
逆に女は良識があり、人が良い。
戦争前とは言ったが、あまりにも地獄だと俺も思った。
臭いは酷いし、所構わず女を好き勝手している人間もいる。
喧嘩をしている奴らが大半で、ゴミが散らばっていて、兵士達も権力行使を厭わない。
オバサンが明るい地獄だと言ったのは、なるほど的を得ている⋯⋯そう思った。
二月。
そう結論付けるとしてはあまりに浅い、俺の感想だ。
そして。最近、俺は妙な光景を目にする事になった。
「うわ、見ろよアイツ」
「またやってるよアイツ」
全員がアイツと呼称する女がいた。
正座で。
両手をただ広げ、空に向かって祈りを捧げている女。
本来なら、女とあればその辺でおっぱじめる人間が手を出しそうなものだが、彼女の容姿はこの世で俺自身も最も醜いと感じる容姿だった。
見える範囲だが、全身焼けていて、両目も見えていない。
恐らく焼かれたのだろう。
髪も集合しているのがキモいと思う人間ならゾッとするような焼け方をしていて。
生きているのだが、死んでいるのか。
全く分からないような状態だったのだ。
しかも。
排泄や水を飲む様子がない。
ただ、そこで天へ両手を伸ばし、静止したようにただそこに居る女がいた。
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