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国内無双編
最も醜い聖女①
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俺は、伊崎湊翔という地球で生きた人生。
そして。
ケルビン・アスファル・ディア・アウグスベルファウス。
2つの人生を歩んだ。
伊崎湊翔として、俺が愛した女は白波紗季という同い年の女。
⋯⋯結果は地獄だったが。
片やケルビンとして四桁を生きた人生。
その中で愛した⋯⋯とはまた違うのか?
きっと男なら分かってくれると思うが、身体と心は違う。
ヤリたいはあっても、そいつの事が好きかというものはまた別だ。
ケルビンという人生で歩んだ道の中で、たった一人。
俺は愛した女がいた。
*
「"""イグジオ"""様」
「黙れ」
背を預けては肘掛けにだらんと垂れ、大股開きで目の前の有象無象の肉片を眺める。
煙管を創り出し、適当に一服する。
「ふぅ⋯⋯はぁ」
どいつもこいつも──つまらん。
王座に座る自分。
頼んでもいないのに何故か人は絶えずやってくる。
「ん?自分が今何歳なのかもわからん」
毎日やっていた研究も、もう意味を成していない。
ある程度考えなくても答えが出る。
計算された構造で。
「魔力も無限だし、かと言って目立ちたくもねぇし」
あんな馬鹿みたいな主張をしてくる大馬鹿者を相手しないといけないこちらの身にもなれよクソがよ。
「ご主人様、本日の御夕食ですが」
「イシヤ、そこ肉片をお前の同僚にかたしてもらっておけ」
「はい」
ヒト型の魔導人形。
俺がプログラムして創り出した最も俺に近い思考回路を持たせたイシヤ。
「暇だなぁ」
久しぶりに宝物庫にでも行こう。
歩くと黄金の世界。
1本の道の両端には、全部違う顔の肖像画。
"ケルビン・アスファル・ディア・アウグスベルファウス"
"エレオット・ロード・ベイン"
"エリシュラキ"
"ザイン・シュベルトゲヘナ"
一人一人悪魔と契約したかのように美しい系統の違う顔。
「イシヤが直したのか」
肖像画の下には、名札。
そこにはその顔とどれくらいの時間居たのかと言うことが書かれている。
「ケルビン"以降"は大体100年ちょいか」
その肖像画が20枚以上は並んでいる。
俺はそんな通りを抜け、自分の宝物庫を歩きながら振り返る事にした。
「あぁ、こんな所にあったのか」
エリザの手記。
原本はここにあったが、複製したものは一人の少女に渡した。
俺の人生を書き記した唯一の哲学が纏めてある手記。
どうせその少女も長生きはしない"運命だと知ってる"。
「魔導具も、すっかり使わなくなったな」
今なら魔力で何でもできるから、魔導具なんて使わなくても何でも出来るしな。
「⋯⋯⋯⋯」
宝物庫をどれだけ歩いて、見渡しても、何も変わらない。
ただ、自分の"積み上げてきた"城を眺める行為。
「イシヤ」
そう呼ぶと、どこからともなく跪いて現れる。
「今何年だ?」
「それはどのような意図がございますか?」
「"外"に出たい」
「只今法暦"860"年です」
「そうか」
「通貨なども変わっています。
成分は既に把握していますので、お伝え──」
「いや大丈夫だ」
「そうですか?かしこまりました」
860年。"暦"がまた変わっている。
*
イシヤと話してすぐ、ゲートから降り立つ。
念の為育てていた魔物を手に持ちながら行列に並ぶ。
信用手形が無いので金銭が必要だが、俺にはこの時代の通貨を知らない。
その為の魔物だ。
「あ、あの⋯⋯ははは」
「手形を手に入れるには金になるよう清潔にしたつもりだが」
俺の空間魔法の研究によって生まれた、修羅の国に生きるゴブリンの下っ端の一体だ。
これで少なくても一ヶ月程の時間は稼げると思ったのだが。
「こ、こちらに同行いただけますか?」
何やら問題が起こったようだ。
俺が何をしたのだ。
そうして案内された場所へと向かうと。
「治安組長のアルードです」
「自分は"ゼイン"です」
最近は自分の名前すら忘れかける。
ケルビンと名乗っていたのがもうどれくらい前だったのかも覚えてない。
「つかぬ事をお聞きしますが、このゴブリンは一体どこで?」
腰掛けるとそんなことを聞いてくる。
「というと?
これはその辺でたむろしていたゴブリンだが」
「いや⋯⋯その保有している魔力量──ホブゴブリン、いや、オークにも届き得る個体です。
そしてそれを倒し、ましてや魔法を使って洗浄したということ。
他所ではそんな事を言ってはいけませんよ」
「心配してくれるのか」
「もちろんです。
現在、隣国との戦争が今にも始まりそうですし」
"また"戦争か。
「その様子ですと、何も知らなかったようですが、どこかの国の宮廷魔導師の方ですか?
でしたらこちらも相応の札を渡さないといけないのですが」
「いや、普通の市民で問題ない。
それと、このゴブリンは組長にとっては脅威だと?」
「ええ。対峙したら命を賭けなければならないかと」
これは考えを改める必要があるな。
これは俺の知ってる限りで"一番弱い個体"を連れてきたのだが。
「ではこちらを」
数分待ち、俺はゴブリンを使った取引に成功しこの地方都市ダイアンに入った。
景色はどこかで見たようなものと変わりはない。
天気のおかげか、人々の空気が臭う。
だが、どの人間も元気がない。
戦争があると言っていたな?そのせいか。
「あら、近くで見ると物凄い美男子やねぇ!
どこかの劇場でやっているのかい?」
「いえ。ただの一般市民です」
「あら?そうなのかい?
勿体無い! そんなお兄さんにはオマケだよ」
オバサンの手には、手作りであろうブレスレットだった。
「これは私が作ったお手製のお守りさ!
よかったら貰っておくれよ」
シワのある手。
俺は受け取ってその場で手首に付ける。
「あら!似合ってるわねぇ!」
⋯⋯⋯⋯ふっ。
俺はオバサンの額に人差し指で軽く突いた。
「ちょっとどうしたんだい?」
「心臓」
「え?なんで私の心臓が悪いことを知ってるんだぃ!?」
少し歩いたところで振り返って俺は言う。
「もう治した」
人の居る街に来たのは随分と久しぶりだなぁ。
少し、滞在してみるか。
ーーーーー
あとがき!
一応初期からなんとなく皆さんに濁してきた意味です(笑)
そして。
ケルビン・アスファル・ディア・アウグスベルファウス。
2つの人生を歩んだ。
伊崎湊翔として、俺が愛した女は白波紗季という同い年の女。
⋯⋯結果は地獄だったが。
片やケルビンとして四桁を生きた人生。
その中で愛した⋯⋯とはまた違うのか?
きっと男なら分かってくれると思うが、身体と心は違う。
ヤリたいはあっても、そいつの事が好きかというものはまた別だ。
ケルビンという人生で歩んだ道の中で、たった一人。
俺は愛した女がいた。
*
「"""イグジオ"""様」
「黙れ」
背を預けては肘掛けにだらんと垂れ、大股開きで目の前の有象無象の肉片を眺める。
煙管を創り出し、適当に一服する。
「ふぅ⋯⋯はぁ」
どいつもこいつも──つまらん。
王座に座る自分。
頼んでもいないのに何故か人は絶えずやってくる。
「ん?自分が今何歳なのかもわからん」
毎日やっていた研究も、もう意味を成していない。
ある程度考えなくても答えが出る。
計算された構造で。
「魔力も無限だし、かと言って目立ちたくもねぇし」
あんな馬鹿みたいな主張をしてくる大馬鹿者を相手しないといけないこちらの身にもなれよクソがよ。
「ご主人様、本日の御夕食ですが」
「イシヤ、そこ肉片をお前の同僚にかたしてもらっておけ」
「はい」
ヒト型の魔導人形。
俺がプログラムして創り出した最も俺に近い思考回路を持たせたイシヤ。
「暇だなぁ」
久しぶりに宝物庫にでも行こう。
歩くと黄金の世界。
1本の道の両端には、全部違う顔の肖像画。
"ケルビン・アスファル・ディア・アウグスベルファウス"
"エレオット・ロード・ベイン"
"エリシュラキ"
"ザイン・シュベルトゲヘナ"
一人一人悪魔と契約したかのように美しい系統の違う顔。
「イシヤが直したのか」
肖像画の下には、名札。
そこにはその顔とどれくらいの時間居たのかと言うことが書かれている。
「ケルビン"以降"は大体100年ちょいか」
その肖像画が20枚以上は並んでいる。
俺はそんな通りを抜け、自分の宝物庫を歩きながら振り返る事にした。
「あぁ、こんな所にあったのか」
エリザの手記。
原本はここにあったが、複製したものは一人の少女に渡した。
俺の人生を書き記した唯一の哲学が纏めてある手記。
どうせその少女も長生きはしない"運命だと知ってる"。
「魔導具も、すっかり使わなくなったな」
今なら魔力で何でもできるから、魔導具なんて使わなくても何でも出来るしな。
「⋯⋯⋯⋯」
宝物庫をどれだけ歩いて、見渡しても、何も変わらない。
ただ、自分の"積み上げてきた"城を眺める行為。
「イシヤ」
そう呼ぶと、どこからともなく跪いて現れる。
「今何年だ?」
「それはどのような意図がございますか?」
「"外"に出たい」
「只今法暦"860"年です」
「そうか」
「通貨なども変わっています。
成分は既に把握していますので、お伝え──」
「いや大丈夫だ」
「そうですか?かしこまりました」
860年。"暦"がまた変わっている。
*
イシヤと話してすぐ、ゲートから降り立つ。
念の為育てていた魔物を手に持ちながら行列に並ぶ。
信用手形が無いので金銭が必要だが、俺にはこの時代の通貨を知らない。
その為の魔物だ。
「あ、あの⋯⋯ははは」
「手形を手に入れるには金になるよう清潔にしたつもりだが」
俺の空間魔法の研究によって生まれた、修羅の国に生きるゴブリンの下っ端の一体だ。
これで少なくても一ヶ月程の時間は稼げると思ったのだが。
「こ、こちらに同行いただけますか?」
何やら問題が起こったようだ。
俺が何をしたのだ。
そうして案内された場所へと向かうと。
「治安組長のアルードです」
「自分は"ゼイン"です」
最近は自分の名前すら忘れかける。
ケルビンと名乗っていたのがもうどれくらい前だったのかも覚えてない。
「つかぬ事をお聞きしますが、このゴブリンは一体どこで?」
腰掛けるとそんなことを聞いてくる。
「というと?
これはその辺でたむろしていたゴブリンだが」
「いや⋯⋯その保有している魔力量──ホブゴブリン、いや、オークにも届き得る個体です。
そしてそれを倒し、ましてや魔法を使って洗浄したということ。
他所ではそんな事を言ってはいけませんよ」
「心配してくれるのか」
「もちろんです。
現在、隣国との戦争が今にも始まりそうですし」
"また"戦争か。
「その様子ですと、何も知らなかったようですが、どこかの国の宮廷魔導師の方ですか?
でしたらこちらも相応の札を渡さないといけないのですが」
「いや、普通の市民で問題ない。
それと、このゴブリンは組長にとっては脅威だと?」
「ええ。対峙したら命を賭けなければならないかと」
これは考えを改める必要があるな。
これは俺の知ってる限りで"一番弱い個体"を連れてきたのだが。
「ではこちらを」
数分待ち、俺はゴブリンを使った取引に成功しこの地方都市ダイアンに入った。
景色はどこかで見たようなものと変わりはない。
天気のおかげか、人々の空気が臭う。
だが、どの人間も元気がない。
戦争があると言っていたな?そのせいか。
「あら、近くで見ると物凄い美男子やねぇ!
どこかの劇場でやっているのかい?」
「いえ。ただの一般市民です」
「あら?そうなのかい?
勿体無い! そんなお兄さんにはオマケだよ」
オバサンの手には、手作りであろうブレスレットだった。
「これは私が作ったお手製のお守りさ!
よかったら貰っておくれよ」
シワのある手。
俺は受け取ってその場で手首に付ける。
「あら!似合ってるわねぇ!」
⋯⋯⋯⋯ふっ。
俺はオバサンの額に人差し指で軽く突いた。
「ちょっとどうしたんだい?」
「心臓」
「え?なんで私の心臓が悪いことを知ってるんだぃ!?」
少し歩いたところで振り返って俺は言う。
「もう治した」
人の居る街に来たのは随分と久しぶりだなぁ。
少し、滞在してみるか。
ーーーーー
あとがき!
一応初期からなんとなく皆さんに濁してきた意味です(笑)
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