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世界征服編
日本の悪魔が現れたっ!君はどうする?
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正直、この歳になって言うものではないのは重々分かってはいるのだが、我々のような立場の人間でも無力な時は無力なのだと思い知らされる。
「諸星さん、日本側はどれくらい待たされています?」
「もう一時間だな」
腕時計を確認している。
というより。
「諸星さん本当に還暦超えですか?」
「何を言う!
もう小僧よりも若々しいのではないか!
なぁ!」
一人豪快に笑っては近くの側近に向かって腰を叩く始末だ。
ただ。私の目は本当にそうとしか思えない。
前までは腰が曲がり、顔も皺だらけ。
ギラギラしていたあの爺さんも歳には勝てないなどと思っていた矢先だった。
突然若くなった。
それも、共通の人物と出会ったおかげで。
「⋯⋯ふん、知りたいといった顔だな?」
「素直に聞けば教えていただけるんですか?」
「教えるわけがないだろう!
私と大切な約束があるのでな!ガッハハハハ!」
チクショウ。
伊崎くん、私にはもうないのか?
ウナチップスだけでも嬉しいのだが。
いや、求めるのは酷か。
あれでどれだけ株価が上昇が見込めたか。
「やはり向こうは遅いですね」
「小僧は逃げ足も早いことだ。
⋯⋯が、確かに舐められているな」
そう。
今年からいよいよ世界に向けて展開していく予定の製品である第一世代バッテリーPhoenix。
スマートフォンのバッテリー開発と半導体の確保は既に終えている。
名前をもう少し日本名に寄せてもいいのでは?と思ったが、伊崎くんがやたらと不死鳥に拘ったのでこうなった。
日本は天へ羽ばたくのだ。そう言ってな。
早速年明け。
私達は大々的に発表した。
2015年において、リサーチの結果。
技術的には既存の物と比べて倍以上のスコアを出した。
EVの方は1.78倍だが、それでもだろう。
これはどの国も舌を巻いた事だろうな!
発表の際の上の面々の苦虫を潰した顔は忘れられん!
そうすると、自由の国から話が掛かった。
伊崎くんの言う通りな。
だが。
「長いな」
やはり差別なのか。
海の向こうはやはり自由なのか何なのか。
もう一時間半だぞ。
「今到着した模様です!」
慌てて扉から入っては一礼するうちの社員。
「案内は?」
「もうすぐそこまで来ています」
「⋯⋯やっとか」
「ですね」
「どうする?小僧。
外交はしてきたが、相手が相手だ」
下手を打つと国際問題になりかねない。
しかもこちら側は敗戦国だ。
──面倒だ。
だが、しっかりと技術的なものでは俯く必要はないはずだ。
「こういう時はギラつかないのですか、諸星さん」
「何を言う──」
こちらを見る眼光を見て、私は思わず思い出し耽る。
伝説の成り上がり。
諸星を。
「我々に退路など要らん」
入ってくるなり、Heyと脳天気に入ってくる自由の国側。
「舐めてるんですかね」
「言うな」
英語でべらべらと何かを喋っている。
通訳が聞き終えるとこちらに向かって話してくる。
「こっちでは既に話が進んでいると仰っています。
スペックなどの性能は把握しており、今日はいくらで技術を独占させてもらえるかという話し合いをしに来たとトムが言っておりますが」
こちらの意見を聞く気はない⋯⋯か。
「では通訳、こちら側の話は特に必要ないということか?」
諸星さんがそう訊ねるとまた取り込み。
「はい。日本の人たちは生産性がないのに中身のない会議が多いので必要ないと言ってます」
見下しているにも程がある。
我々日本サイド全員の頭の上には怒りが迸っていた。
しかし。決まらない事には話が進まない。
「⋯⋯どうしました?」
机の下で私の脇腹を小突く諸星さん。
「肝心の伊崎くんはなんで来ないんだ?」
今回の総指揮は彼であり、我々としては彼の意見を尊重したいというのが今回日本サイドの総意だ。
正月の発表による利益はそもそも我々アマテラスプロジェクトに参戦した企業のメリットは計り知れない。
ここで話にならなくても、そもそも利益はたんまり分配され、今後もこの発表によっての依頼は来るだろう。
その橋渡しを少なくとも彼がしてくれたのだからここにいる10人以上いる会長と代表が義理を果たすのも当然。
私も完全に同意だ。
あの少年には心を熱くさせられた。
多分おそらく、ここにいる大人たち全員が思っただろう。
あの半導体の失墜から跳ね上がった我々が、まだまだ輝けることを知った時の喜びは計り知れないのだから。
「またクラブで二日酔いとかありますよ下手をすると」
「⋯⋯あの少年ならありえる」
これまで何十回も遅刻してくるのだが、その理由はナンパしていたとか、クラブでVVIPで好みの女の子とイチャイチャしてたとかそんな子供な理由で当たり前のように遅刻してくる男だ。
数億、数十という金が動くと言ってもだ。
まぁ、彼は我々としても神とまではいかないが、個人的にもかなり良くしてもらっているし、立場的にも頭が上がらない。
別にそこについてどうこう思っているわけではないのは勿論なのだが、あの胆力をこのような場で出されても困るという話がしたいのだ。
外交や国際問題でイチャモンを付けられることはよくある事だ。
最悪様々な経路から何かされたらたまったものではないからだ。
「なんとか交渉できないかと聞いてくれ」
もうかなり経ったが向こうも気だるそうにしている。
頭を抱えているな。
あぁ、さすがの諸星さんでも押されてるな。
いくら何でも制約がきつい。
英語もネイティブレベルではないから、専門用語が使え──
「くそっ、どうしたら⋯⋯」
諦めかけていた、その時だった。
"コツン、コツン"
溜息をつく私達の耳には、聞き慣れた硬い音を鳴らす足音。
「伊崎さん、なんでナンパしてたんですか!?」
「だってあんな巨乳のおなごなんていないだろ!
何言ってんだ!」
"やっぱりこんな時に女に現を抜かしてやがったアイツ"
「ん?」
私の目は不思議と全員と目が合う。
どうやら思っていることは合っているようだな。
扉が開く。
「ん?おぉ! 遅れ──」
「さぁさぁ伊崎くん!
早速主役が来たのだから、交渉してくれ!」
諸星さ──。
正気ですか!
何しでかすか分からん爆弾に⋯⋯!
確かにこの少年は幾度となく救ってきた英雄ですが!
「なに諸星さん、なんかあったの?」
「いやなぁ?」
伊崎くんが話を聞き出す。
通訳の話と諸星さんの話を交互に聞いている伊崎くんの顔は段々と酷い顔になっていく。
ただ。私は気付いている。
「とりあえずさ──」
多分だが、伊崎くんは今日。
ドカン!と机の上に加減もない足を乗せだす。
「お前らは何様なんだ?バカタレが」
⋯⋯やっぱり。
すこぶる機嫌が悪い。
「い、伊崎くん?
こ、言葉に気をつけないと」
「そうですよ、彼らも立場というものが」
ま、まずいぞ通訳!
今の伊崎くんにそんな余計な一言言ったら⋯⋯!
「白波会長は良いにしても、お前はなんだよそこの通訳」
「へ?」
あー、やってしまったな。
「お前らそんなに偉いのか?
俺より偉いのか?
そもそも通訳がなかったらお前はここにいる資格ないんだぞカスが」
ま、まずい。
多分めちゃくちゃ機嫌が最悪かもしれん。
「そもそもお前らが話を持ちかけたんじゃないか。
おい通訳、俺のニュアンスをそのまま伝えろ──良いな?」
人差し指と親指を滑らせながら私達顔負けの覇気を醸し出し、通訳を呼びつけている。
こういう時の伊崎くんは誰も止められない。
少なくとも私と諸星さんは知っている。
⋯⋯特に女絡みの時は。
「ありゃ振られたな」
「多分」
私と諸星さんは彼と接する時間が長いからか、機微をよく知っている。
「お前らは技術を享受しに来たんだろうが。
英語なんて話してないで日本語を勉強してから交渉に来い。
先に勉強してからこい。
遅刻できる立場じゃねーんだよ。
さっさと帰れ。
はい、伝えろ」
あー外交問題だ。
終わったな、こりゃ。
でも、どっか吹っ切れるのはリーダーが頼れるからなのか、謎の安心感があるのか。
⋯⋯私には皆目検討もつかん。
背に持たれるしかない私は、恥ずかしい。
「諸星さん、日本側はどれくらい待たされています?」
「もう一時間だな」
腕時計を確認している。
というより。
「諸星さん本当に還暦超えですか?」
「何を言う!
もう小僧よりも若々しいのではないか!
なぁ!」
一人豪快に笑っては近くの側近に向かって腰を叩く始末だ。
ただ。私の目は本当にそうとしか思えない。
前までは腰が曲がり、顔も皺だらけ。
ギラギラしていたあの爺さんも歳には勝てないなどと思っていた矢先だった。
突然若くなった。
それも、共通の人物と出会ったおかげで。
「⋯⋯ふん、知りたいといった顔だな?」
「素直に聞けば教えていただけるんですか?」
「教えるわけがないだろう!
私と大切な約束があるのでな!ガッハハハハ!」
チクショウ。
伊崎くん、私にはもうないのか?
ウナチップスだけでも嬉しいのだが。
いや、求めるのは酷か。
あれでどれだけ株価が上昇が見込めたか。
「やはり向こうは遅いですね」
「小僧は逃げ足も早いことだ。
⋯⋯が、確かに舐められているな」
そう。
今年からいよいよ世界に向けて展開していく予定の製品である第一世代バッテリーPhoenix。
スマートフォンのバッテリー開発と半導体の確保は既に終えている。
名前をもう少し日本名に寄せてもいいのでは?と思ったが、伊崎くんがやたらと不死鳥に拘ったのでこうなった。
日本は天へ羽ばたくのだ。そう言ってな。
早速年明け。
私達は大々的に発表した。
2015年において、リサーチの結果。
技術的には既存の物と比べて倍以上のスコアを出した。
EVの方は1.78倍だが、それでもだろう。
これはどの国も舌を巻いた事だろうな!
発表の際の上の面々の苦虫を潰した顔は忘れられん!
そうすると、自由の国から話が掛かった。
伊崎くんの言う通りな。
だが。
「長いな」
やはり差別なのか。
海の向こうはやはり自由なのか何なのか。
もう一時間半だぞ。
「今到着した模様です!」
慌てて扉から入っては一礼するうちの社員。
「案内は?」
「もうすぐそこまで来ています」
「⋯⋯やっとか」
「ですね」
「どうする?小僧。
外交はしてきたが、相手が相手だ」
下手を打つと国際問題になりかねない。
しかもこちら側は敗戦国だ。
──面倒だ。
だが、しっかりと技術的なものでは俯く必要はないはずだ。
「こういう時はギラつかないのですか、諸星さん」
「何を言う──」
こちらを見る眼光を見て、私は思わず思い出し耽る。
伝説の成り上がり。
諸星を。
「我々に退路など要らん」
入ってくるなり、Heyと脳天気に入ってくる自由の国側。
「舐めてるんですかね」
「言うな」
英語でべらべらと何かを喋っている。
通訳が聞き終えるとこちらに向かって話してくる。
「こっちでは既に話が進んでいると仰っています。
スペックなどの性能は把握しており、今日はいくらで技術を独占させてもらえるかという話し合いをしに来たとトムが言っておりますが」
こちらの意見を聞く気はない⋯⋯か。
「では通訳、こちら側の話は特に必要ないということか?」
諸星さんがそう訊ねるとまた取り込み。
「はい。日本の人たちは生産性がないのに中身のない会議が多いので必要ないと言ってます」
見下しているにも程がある。
我々日本サイド全員の頭の上には怒りが迸っていた。
しかし。決まらない事には話が進まない。
「⋯⋯どうしました?」
机の下で私の脇腹を小突く諸星さん。
「肝心の伊崎くんはなんで来ないんだ?」
今回の総指揮は彼であり、我々としては彼の意見を尊重したいというのが今回日本サイドの総意だ。
正月の発表による利益はそもそも我々アマテラスプロジェクトに参戦した企業のメリットは計り知れない。
ここで話にならなくても、そもそも利益はたんまり分配され、今後もこの発表によっての依頼は来るだろう。
その橋渡しを少なくとも彼がしてくれたのだからここにいる10人以上いる会長と代表が義理を果たすのも当然。
私も完全に同意だ。
あの少年には心を熱くさせられた。
多分おそらく、ここにいる大人たち全員が思っただろう。
あの半導体の失墜から跳ね上がった我々が、まだまだ輝けることを知った時の喜びは計り知れないのだから。
「またクラブで二日酔いとかありますよ下手をすると」
「⋯⋯あの少年ならありえる」
これまで何十回も遅刻してくるのだが、その理由はナンパしていたとか、クラブでVVIPで好みの女の子とイチャイチャしてたとかそんな子供な理由で当たり前のように遅刻してくる男だ。
数億、数十という金が動くと言ってもだ。
まぁ、彼は我々としても神とまではいかないが、個人的にもかなり良くしてもらっているし、立場的にも頭が上がらない。
別にそこについてどうこう思っているわけではないのは勿論なのだが、あの胆力をこのような場で出されても困るという話がしたいのだ。
外交や国際問題でイチャモンを付けられることはよくある事だ。
最悪様々な経路から何かされたらたまったものではないからだ。
「なんとか交渉できないかと聞いてくれ」
もうかなり経ったが向こうも気だるそうにしている。
頭を抱えているな。
あぁ、さすがの諸星さんでも押されてるな。
いくら何でも制約がきつい。
英語もネイティブレベルではないから、専門用語が使え──
「くそっ、どうしたら⋯⋯」
諦めかけていた、その時だった。
"コツン、コツン"
溜息をつく私達の耳には、聞き慣れた硬い音を鳴らす足音。
「伊崎さん、なんでナンパしてたんですか!?」
「だってあんな巨乳のおなごなんていないだろ!
何言ってんだ!」
"やっぱりこんな時に女に現を抜かしてやがったアイツ"
「ん?」
私の目は不思議と全員と目が合う。
どうやら思っていることは合っているようだな。
扉が開く。
「ん?おぉ! 遅れ──」
「さぁさぁ伊崎くん!
早速主役が来たのだから、交渉してくれ!」
諸星さ──。
正気ですか!
何しでかすか分からん爆弾に⋯⋯!
確かにこの少年は幾度となく救ってきた英雄ですが!
「なに諸星さん、なんかあったの?」
「いやなぁ?」
伊崎くんが話を聞き出す。
通訳の話と諸星さんの話を交互に聞いている伊崎くんの顔は段々と酷い顔になっていく。
ただ。私は気付いている。
「とりあえずさ──」
多分だが、伊崎くんは今日。
ドカン!と机の上に加減もない足を乗せだす。
「お前らは何様なんだ?バカタレが」
⋯⋯やっぱり。
すこぶる機嫌が悪い。
「い、伊崎くん?
こ、言葉に気をつけないと」
「そうですよ、彼らも立場というものが」
ま、まずいぞ通訳!
今の伊崎くんにそんな余計な一言言ったら⋯⋯!
「白波会長は良いにしても、お前はなんだよそこの通訳」
「へ?」
あー、やってしまったな。
「お前らそんなに偉いのか?
俺より偉いのか?
そもそも通訳がなかったらお前はここにいる資格ないんだぞカスが」
ま、まずい。
多分めちゃくちゃ機嫌が最悪かもしれん。
「そもそもお前らが話を持ちかけたんじゃないか。
おい通訳、俺のニュアンスをそのまま伝えろ──良いな?」
人差し指と親指を滑らせながら私達顔負けの覇気を醸し出し、通訳を呼びつけている。
こういう時の伊崎くんは誰も止められない。
少なくとも私と諸星さんは知っている。
⋯⋯特に女絡みの時は。
「ありゃ振られたな」
「多分」
私と諸星さんは彼と接する時間が長いからか、機微をよく知っている。
「お前らは技術を享受しに来たんだろうが。
英語なんて話してないで日本語を勉強してから交渉に来い。
先に勉強してからこい。
遅刻できる立場じゃねーんだよ。
さっさと帰れ。
はい、伝えろ」
あー外交問題だ。
終わったな、こりゃ。
でも、どっか吹っ切れるのはリーダーが頼れるからなのか、謎の安心感があるのか。
⋯⋯私には皆目検討もつかん。
背に持たれるしかない私は、恥ずかしい。
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