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世界征服編
閑話:無能ジャーナリスト
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「つ、掴んだ!」
テキサス州に住むボロボロのアパートの一室。
そこに書類の山に埋もれる一人の青年がいた。
彼の名前はジョンソン。
業界では彼の事を虫頭と揶揄される程の今年26歳の個人で活動しているジャーナリストだ。
彼の活動を応援する層はいるにはいるのだが、やはり都市伝説や陰謀論などの類を信じている人間と同じような層が読者だ。
ジョンソンの手には大量の書類。
1枚1枚、薬物でもキメた眼光で全てのピースが揃ったとでも言いたげに高速で読み進める。
「これだ!絶対にこれだ!!」
彼の背景はなかなか面白いが、ここでは有名資産家の息子で、ドラ息子とだけ覚えていればいいだろう。
彼は急いで荷物をまとめて出版社へと向かう。
「なんだって?」
「リック!聞いてくれ!
これで俺達も伝説になるぞ!」
「はぁ。何を言ってるんだ?
もうお昼じゃないか。
大体、こんな遅刻しておいて何を今更──」
言葉を遮って、ジョンソンは大量の書類を叩きつける。
「俺達、大金持ちになるぞ!」
「なっ、なんだよ」
あまりに威圧的な態度に少々怖気づきながらその資料を渋々読み進める。
「はぁ。やめろ。アジアは金にならん」
「ふざけんなリック!
俺が無能に見えるか!?」
「あぁ。
何年給料泥棒になってると思ってるんだ。
人の言うことも聞かず、ただ自分の興味だけで食っていけるわけがないだろう。
そこらのネズミと一緒だ」
「なら、この話はなかったことにしよう。
何れ後悔することになるさ。女神に誓えるね」
リックは疑いの目はあるが、ジョンソンが嘘をついたことはなかったのを長年の経験から知っている。
「はぁ、書類はいいから端的に興味が出ることを述べろ」
ポリポリと頭を掻きながら興味なさ気に訊ねる。
「俺が日本の活動をしているのは知ってるな!」
「あぁ。
全く金にならない情報しかないだろう」
「背景が分かってきた。
今回の不死鳥はただ事ではないぞ」
リックの言う通り、彼が興味を示して調査やインタビューを繰り返していたのは、極東の島国である日本。
世界は広い。
そんな一つの島国如きになんの価値があるのだとリックは思ったのだが、しかしやはり。
「バッテリーの話から一気にNYメモリーズもジャパン一色だな」
金融では、1年前から話題に出す敏腕投資家がチラホラ。
ただ、介入の余地がないほど緻密に操作されているかのように買われ、未公開株も増えていくせいで他国が介入できなくなっていた。
系列会社も瞬く間に知らぬ団体に買われ、かなりそっち方面の人間からは怪訝な目線があった時期もある。
リックの顔が、少しずつ変わる。
「Phoenixバッテリー。
アレは神話だ。
既存のバッテリーの二倍のスコアを叩き出しただと?
大概だ。
やはり安心と安全、品質においては世界でも屈指だ。
ただ、色々内部で問題があり、権力が集まっている傾向があったから、誰も突っ込めずにいた。
ジョンソンの情報が本物なら、ストリートの連中が幾らで買うか⋯⋯」
「違う!
今回の話はそんなところで済む話ではない!」
ジョンソンは断言する。
「何が?そんな所とは?」
「もし、もしだぞ?
その道筋の先に──たった一人の少年に行き着いたとしたら?」
カチ、カチと刻む針の音。
「おいおい、まさか?冗談も程々にしろよ?
この現象全てが一人で起こしたってのか?」
「結論から言うとそうなる。
俺の調査資料ではそう結論付けている。
事実数兆規模の金が突然変な動きを示し、タックスヘイブン、他にも事実上無法地帯になっているところでとんでもない量の金が頻繁に動いている」
「ん、んん?」
いつもとは顔色も、熱意も、そして無能なプレゼンしかできないジョンソンが饒舌だ。
リックも真剣にならざるを得なかった。
「それで?続けろ。
俺が靴を舐めてでも繋げる」
「あぁ!」
資料をまとめ、ジョンソンは説明していく。
「きっかけは2012年終わり頃。
俺が潜入して二年くらいだ。
白波という伝統ある企業が突然株価の上下が激しくなった。
最初はすぐに収まるのかと思えば、ドンドン上昇していく。
ありえないくらい不自然に。
それからだ、リックも知っているだろう?
ミラクルジャパンだよ」
「サバの事だな?
アレは一時期話題になった。
確かにあの辺から王室からもアプローチしているという話は耳にしているが」
「あぁ。
そこから建築である諸星という会社が突然こっちも株価がおかしくなった。
俺はなんとなく嗅覚で気づいたが、明らかにおかしな動きが多すぎる。
その年に様々な発表をしては結果を出す速度が人間ではない」
「あぁ。それも知っている。
諸星が世界に進出したアイデアだな。
あんな素材、どこで見つけたのだか。
敏腕研究者がいるのだな」
「それだよ、リック」
「ん?」
「サバ、建築、俺は閃いた!
何かがおかしくなってきているって!
俺の勘がそう言ったんだ!」
「確かにお前、あの辺から帰ってこなくなったもんな」
「あぁ!何回も取材して、ヒントを得るためにカップ麺という至高なる食べ物を見つけたのだがな!」
「あぁそれで?」
「結論から言うと、この白波、諸星、他にも名だたる企業のトップは、ある一人の人間と接触していることが分かる」
「それは?」
「リュウジイシダ。
今では"Alchemia Mythos"という芸能事務所を立ち上げている」
「あぁそのリュウジとやらがどうしたんだ?」
「まだ立ち上げる前を調べると、面白いことが分かったんだ」
「ほう」
「とても立ち上げるには難しい家庭環境だ。
金持ちに見えない。
しかも、就職歴もなければ学歴も小卒だ」
「はぁ?そんなことも調べたのか」
ジョンソンはニヤリとして続ける。
「そんな奴が、金をたんまり懐に入れる伝手なんぞどれくらいの確率だ?」
「っ、それはそうだな」
「そこで俺は、リュウジイシダを調べた。
膨大な時間をかけてな!」
「それで見つかったのが?」
口の端を釣り上げ、嗤うジョンソン。
「一人の少年って訳さ。なーに。
リュウジが住んでいたとされる場所で色々聞いたり、それと末端ではあるが、ヤクザからも大金はたいて情報を抜いた。
こっちとは違って、ジャパンのヤクザは品があって驚いたさっ!」
リックはもたれ、大声で笑う。
「お前は大成しないと思っていたが、まさかこんなところでお宝を拾うなんてな!
まだ誰もそれを知らないんじゃないのか!?」
「あぁ。
だが、少年について調べようとすると、全ての情報が改竄されている」
「それは困った話だな」
「だから逆に断言できる。
今日本を影から操っているのは、たった一人の少年。
操るというより、筆頭というべきか?
証拠ならまだまだ出てくる。
年単位で探偵気取りで情報を抜いて、調べまくった。
時々潜入紛いなこともしたりな!
だがその中でも大きなモノ。
それは保守派たちの資金が明らかに寄ってる。
ある年から急激に偏っているし、俺からすれば、次の選挙でどうなるかが見ものさ」
「さーて。どこに売るかな」
「リック、売るなら早い方がいい。
もしかしたら、少年がタブーの場合、命の危険がある。
お前の家族もな」
「⋯⋯だな」
この二人はすぐに取引先のある団体へと写しを渡す事になるのだが。
その後──数日もしない内に死体となって発見されることになる。
海外ではバッテリーの件で大いに盛り上がっていたせいで、この殺人はニュースにも取り上げられなかったのである。
もしかしたら、本人と話せたかもしれないのに。
その情報を持ち帰らずに本人に会うための努力をしていればもしやなどというのは──中々酷な話かもしれない。
ーーー
あとがき!
応募したのはいいんですけど、描写のアレで対象から外れるかもしれないと聞いてアタイ、何かが終わったと咽び泣く。
本人はあれを普通の描写だと思っていた初期が懐かしい、、、、
テキサス州に住むボロボロのアパートの一室。
そこに書類の山に埋もれる一人の青年がいた。
彼の名前はジョンソン。
業界では彼の事を虫頭と揶揄される程の今年26歳の個人で活動しているジャーナリストだ。
彼の活動を応援する層はいるにはいるのだが、やはり都市伝説や陰謀論などの類を信じている人間と同じような層が読者だ。
ジョンソンの手には大量の書類。
1枚1枚、薬物でもキメた眼光で全てのピースが揃ったとでも言いたげに高速で読み進める。
「これだ!絶対にこれだ!!」
彼の背景はなかなか面白いが、ここでは有名資産家の息子で、ドラ息子とだけ覚えていればいいだろう。
彼は急いで荷物をまとめて出版社へと向かう。
「なんだって?」
「リック!聞いてくれ!
これで俺達も伝説になるぞ!」
「はぁ。何を言ってるんだ?
もうお昼じゃないか。
大体、こんな遅刻しておいて何を今更──」
言葉を遮って、ジョンソンは大量の書類を叩きつける。
「俺達、大金持ちになるぞ!」
「なっ、なんだよ」
あまりに威圧的な態度に少々怖気づきながらその資料を渋々読み進める。
「はぁ。やめろ。アジアは金にならん」
「ふざけんなリック!
俺が無能に見えるか!?」
「あぁ。
何年給料泥棒になってると思ってるんだ。
人の言うことも聞かず、ただ自分の興味だけで食っていけるわけがないだろう。
そこらのネズミと一緒だ」
「なら、この話はなかったことにしよう。
何れ後悔することになるさ。女神に誓えるね」
リックは疑いの目はあるが、ジョンソンが嘘をついたことはなかったのを長年の経験から知っている。
「はぁ、書類はいいから端的に興味が出ることを述べろ」
ポリポリと頭を掻きながら興味なさ気に訊ねる。
「俺が日本の活動をしているのは知ってるな!」
「あぁ。
全く金にならない情報しかないだろう」
「背景が分かってきた。
今回の不死鳥はただ事ではないぞ」
リックの言う通り、彼が興味を示して調査やインタビューを繰り返していたのは、極東の島国である日本。
世界は広い。
そんな一つの島国如きになんの価値があるのだとリックは思ったのだが、しかしやはり。
「バッテリーの話から一気にNYメモリーズもジャパン一色だな」
金融では、1年前から話題に出す敏腕投資家がチラホラ。
ただ、介入の余地がないほど緻密に操作されているかのように買われ、未公開株も増えていくせいで他国が介入できなくなっていた。
系列会社も瞬く間に知らぬ団体に買われ、かなりそっち方面の人間からは怪訝な目線があった時期もある。
リックの顔が、少しずつ変わる。
「Phoenixバッテリー。
アレは神話だ。
既存のバッテリーの二倍のスコアを叩き出しただと?
大概だ。
やはり安心と安全、品質においては世界でも屈指だ。
ただ、色々内部で問題があり、権力が集まっている傾向があったから、誰も突っ込めずにいた。
ジョンソンの情報が本物なら、ストリートの連中が幾らで買うか⋯⋯」
「違う!
今回の話はそんなところで済む話ではない!」
ジョンソンは断言する。
「何が?そんな所とは?」
「もし、もしだぞ?
その道筋の先に──たった一人の少年に行き着いたとしたら?」
カチ、カチと刻む針の音。
「おいおい、まさか?冗談も程々にしろよ?
この現象全てが一人で起こしたってのか?」
「結論から言うとそうなる。
俺の調査資料ではそう結論付けている。
事実数兆規模の金が突然変な動きを示し、タックスヘイブン、他にも事実上無法地帯になっているところでとんでもない量の金が頻繁に動いている」
「ん、んん?」
いつもとは顔色も、熱意も、そして無能なプレゼンしかできないジョンソンが饒舌だ。
リックも真剣にならざるを得なかった。
「それで?続けろ。
俺が靴を舐めてでも繋げる」
「あぁ!」
資料をまとめ、ジョンソンは説明していく。
「きっかけは2012年終わり頃。
俺が潜入して二年くらいだ。
白波という伝統ある企業が突然株価の上下が激しくなった。
最初はすぐに収まるのかと思えば、ドンドン上昇していく。
ありえないくらい不自然に。
それからだ、リックも知っているだろう?
ミラクルジャパンだよ」
「サバの事だな?
アレは一時期話題になった。
確かにあの辺から王室からもアプローチしているという話は耳にしているが」
「あぁ。
そこから建築である諸星という会社が突然こっちも株価がおかしくなった。
俺はなんとなく嗅覚で気づいたが、明らかにおかしな動きが多すぎる。
その年に様々な発表をしては結果を出す速度が人間ではない」
「あぁ。それも知っている。
諸星が世界に進出したアイデアだな。
あんな素材、どこで見つけたのだか。
敏腕研究者がいるのだな」
「それだよ、リック」
「ん?」
「サバ、建築、俺は閃いた!
何かがおかしくなってきているって!
俺の勘がそう言ったんだ!」
「確かにお前、あの辺から帰ってこなくなったもんな」
「あぁ!何回も取材して、ヒントを得るためにカップ麺という至高なる食べ物を見つけたのだがな!」
「あぁそれで?」
「結論から言うと、この白波、諸星、他にも名だたる企業のトップは、ある一人の人間と接触していることが分かる」
「それは?」
「リュウジイシダ。
今では"Alchemia Mythos"という芸能事務所を立ち上げている」
「あぁそのリュウジとやらがどうしたんだ?」
「まだ立ち上げる前を調べると、面白いことが分かったんだ」
「ほう」
「とても立ち上げるには難しい家庭環境だ。
金持ちに見えない。
しかも、就職歴もなければ学歴も小卒だ」
「はぁ?そんなことも調べたのか」
ジョンソンはニヤリとして続ける。
「そんな奴が、金をたんまり懐に入れる伝手なんぞどれくらいの確率だ?」
「っ、それはそうだな」
「そこで俺は、リュウジイシダを調べた。
膨大な時間をかけてな!」
「それで見つかったのが?」
口の端を釣り上げ、嗤うジョンソン。
「一人の少年って訳さ。なーに。
リュウジが住んでいたとされる場所で色々聞いたり、それと末端ではあるが、ヤクザからも大金はたいて情報を抜いた。
こっちとは違って、ジャパンのヤクザは品があって驚いたさっ!」
リックはもたれ、大声で笑う。
「お前は大成しないと思っていたが、まさかこんなところでお宝を拾うなんてな!
まだ誰もそれを知らないんじゃないのか!?」
「あぁ。
だが、少年について調べようとすると、全ての情報が改竄されている」
「それは困った話だな」
「だから逆に断言できる。
今日本を影から操っているのは、たった一人の少年。
操るというより、筆頭というべきか?
証拠ならまだまだ出てくる。
年単位で探偵気取りで情報を抜いて、調べまくった。
時々潜入紛いなこともしたりな!
だがその中でも大きなモノ。
それは保守派たちの資金が明らかに寄ってる。
ある年から急激に偏っているし、俺からすれば、次の選挙でどうなるかが見ものさ」
「さーて。どこに売るかな」
「リック、売るなら早い方がいい。
もしかしたら、少年がタブーの場合、命の危険がある。
お前の家族もな」
「⋯⋯だな」
この二人はすぐに取引先のある団体へと写しを渡す事になるのだが。
その後──数日もしない内に死体となって発見されることになる。
海外ではバッテリーの件で大いに盛り上がっていたせいで、この殺人はニュースにも取り上げられなかったのである。
もしかしたら、本人と話せたかもしれないのに。
その情報を持ち帰らずに本人に会うための努力をしていればもしやなどというのは──中々酷な話かもしれない。
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