【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

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世界征服編

成応、異例の春高出場!

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 成応学園。
 そこは一般的には高水準の権力や金持ちが集まる所である。
 
 しかし別に才がある者も多く在籍している。

 部活動では数々の優勝を手にしている部活がほとんどであり、多くのアスリートの経歴にも成応と書かれている人間が大多数を占めている。

 だがその中で、唯一落ちこぼれ部があったのだ。
 
 それが"成応排球部"である。

 最初に断言しておくが、決して弱いわけではない。

 ただ、春高出場ギリギリをいつも反復横飛びするくらいの実力と言えばいいだろうか。

 結論、出場はほとんどないらしい。
 しかし今年のバレーは部は一味違う。

 なんと春高出場が決定したのだ。
 



 「行くわよ!」

 「お嬢様、張り切り過ぎです。
 今日は予言の男の子である伊崎湊翔という人間を間近で見る為に来たのではないのですか?」

 た、確かにそうかもしれない。

 「わ、、わかってるわよ!」

 「その手にある準備万端の応援グッズは一体⋯⋯」
 
 「あー!いいの!!
 ちょっと外に出ないからテンション上がってるだけだから!!」
 
 千葉も変なことを言うようになったわね。
 しかも、千葉だってポップコーンとジュース買ってるじゃない!

 会場に入ると、選手たちの熱気が肌までじわっとやってくる。

 「わぁぁ」

 「凄いですね」

 『ライト⋯⋯!!』

 ズドン!とボールが地面に刺さった。
 既に試合は始まってて⋯⋯あれ?

 「千葉、確か今日は決勝じゃなかったかしら?」

 「あっ!」

 まぁ護衛だから仕方ないけど⋯⋯!
 センターコートの大きい会場だったはずだから。

 「なんか違うところに来たみたいだわ!
 急ぐわよ!!」

 





 『さぁ春高決勝!
 来ちゃいましたよ!大俣さん!』

 『ですね。
 それに今年は異例中の異例。

 まさか成応が予選を無双状態でしたから。
 驚きましたよ』

 『本当にそうです!

 まぁこう言うのも変かもしれませんが、今までの成応はパッとしない選手が多かったように感じます。

 オールラウンダーで全員が色々なポジションが出来るとは思うんですが、明確なエースがいなかったですし』

 『しかし今年は面白い選手がいますね⋯⋯そう、このオポジット伊崎選手です』

 『いやー今までどこに隠れていたんですかねぇ?

 ハッキリ言って凄いですよ、才能の塊です』

 『確かにこの選手は今までバレー経験がなかったそうで』

 『え?本当ですか?
 私達の事馬鹿にしてます?』

 『笑うのやめてくださいよ。
 本人のインタビューで、セッターの渡瀬くんから百回程誘われて渋々出たと言ってましたから』

 『こんな才能⋯⋯私だったら自慢したくなっちゃいますけどねぇ。

 しかも左利きなんですかね?』

 『確かこれも説明していましたよ?
 どっちの方がいいの?って訊ねたみたいで。
 
 左の方が普通より対処がし辛いからそっちの方がと言ったらすぐに変えたらしいです』

 『震えます。天才ですか?』

 『えぇ。伊崎湊翔選手です。
 177cm、左打ち。将来有望な選手になりますよ!』

 『本人はそのつもりはなさそうですけど』

 『天才は何を考えているかわかりませんからねぇ⋯⋯っと、選手が入場しました!』
 
 『相手は常連──西武学園!
 対するは、異例の大穴──成応学園』

 『どちらが優勝を手にするか⋯⋯笛がなりました!

 初手のサーブ、成応伊崎──戦いの狼煙が上がります』

 





 「つ、着いた!!」

 「お嬢様、こっちです!」

 こういう時、権力はいいのよね!
 よいしょと。

 「あ、いた!」

 「伊崎さんですね」

 『西武!西武!』

 相手の応援凄いなー。
 しかも、やっぱり常連と言ってるだけあって、応援の質とか高い。
 
 それに比べて私達は⋯⋯。

 「伊崎先輩ー!頑張ってー!」
 「ナイスサーブー!」

 全員ボンボン過ぎて、服とか態度で分かりやすい。

 あ、笛がなった。

 ボールを上にあげた。
 
 「あ、あれよくテレビで見るサーブだ」

 「ジャンプサーブですね。
 とても強──」

 ドォォォォン。

 私は聞いたこともない爆音に思わずびっくりして少し跳ねる。

 会場は少しの静けさの後、一斉に騒ぎ出した。

 『はぁぁぉぁぁ!?なんやあれ!!』
 『おい見ろよ!
 129キロ!?馬鹿言うなよ!』

 「ち、千葉、129キロって凄いの?」

 「確か日本記録だと124とか6じゃなかったでしたっけ?」

 あの化物⋯⋯!
 何当たり前のように日本記録出してるのよ!

 「解説の人も目がまんまるね」

 「でしょうね。
 高校生、しかも解説の方が言うには伊崎さんは本当に未経験ですからね。
 
 ⋯⋯まぁ文句も言いたくなるでしょうね」

 天才はこれだから困るのよ!
 
 「これってサーブって連続でやれるんだっけね?」

 「はい。得点している限りは」

 「まさかじゃないけど千葉──」

 「はい。
 なんとなくわかっているとは思いますが。

 あれが続けば、サーブは一生続き──」

 ドォォォォン!

 耳に聞こえるのはとんでもないジャンプサーブ。

 んー。
 これって存在が悪なのではないわよね?

 得点はあっという間に23-16。

 途中から本人が飽きたように普通のサーブを打って、ラリー続けるんだけど、やっぱり。

 「というか最前列だから、迫力がやっぱり違うわね」

 「そうでs──」

 そう。
 私の目の前を、まるで雷が人になったみたいに走ってきて光った。

 それくらいの輝きを見た気がした。

 「う⋯⋯」

 そして今度は、落雷でも落ちたような轟音が響くとクズの飛び上がる姿が見えた。

 凄い。

 猫みたいにしなやかにググって反って。
 身長を感じさせないくらい、とんでもないくらいジャンプした。
 
 それは、なんと説明したら良いのかわからない。

 私はバレーボールをしたことがないからわからないけど、相手選手の目を見ればすぐに分かる。

 ──恐怖。恐怖だ。

 『オポジット伊崎ーっっ!!!!

 あの無理なセットアップから春高常連の鉄壁と謳われている西武三枚の上から叩いたー!!!』
  
 『最高到達点イカれてますよ!!』

 なんだろう。
 女たちが群がるのが分かる気がする。

 説明が凄く難しい。
 狂気?それもそうだ。

 さっきの攻撃。
 狂気と美が混ぜ合わさったような。

 飛ぶ前にあのクズの周りからゾッとするような真っ黒なオーラを感じた。

 人を魅了する選手ってこういうものなのかしら?

 少しスポーツに興味が出てしまった一発だったように思える。

 「ナイスざっきー!まじで神!!」

 「よし、やろうぜこれ」

 「せーのっ!」

 「「よーうし!!」」

 「おい、なんだよこれ」

 「弔いだよ」

 「⋯⋯弔い?」

 「いや、昔な、よしに似たやつが居てさ。
 ソイツに何も返せず終わっちまったから、今度は何か返したいってさ」

 「なーに言ってんだよ!!
 まだ試合は終わってねーぞ!
 俺達はズッ友だからな!!!」

 「⋯⋯⋯⋯あぁ」

 何友情育んでるのよあのクズ!

 「男の友情って良いですよね」

 「ち、千葉までそんなこと言うの!?」

 「えぇ。
 私には友達みたいな存在がいませんから。

 ああいう、誰かと一緒に何かを乗り越える⋯⋯みたいなのをやったことがないですし、同性だと足を引っ張り合うことばかりでしたから、ああいう対等な関係性に感動を覚えます」

 チッ!
 千葉までこうだと私が少数派のようね。

 「よし!ライト!!!」

 「ブロックフォロー!!」

 ズドンと。
 また助走から飛び上がる両腕が不死鳥のように燃え上がるのが見える幻覚まで映る。

 こんなクズなのに。
 なんでこの国を救う重要人物なのよ。

 普通にしていれば、何もないのに。

 『圧倒的ーっっっ!

 オポジット伊崎、ラストアタックで、大番狂わせだぁーっ!!!』

 試合が終わった。
 相手チームは本気で泣いてる。

 こっちも、あのクズと喋ってた男の子は号泣している。

 「ざっきー!優勝だよ!優勝!!!」

 「あ、あぁ⋯⋯良かったな!」

 「伊崎先輩適当過ぎません?」

 「んだよ、別にいいだろ。
 てかみんなすげーな。あの練習毎日やってんだろ?」

 後輩と喋っているクズを見ていると、今日のヒーローインタビューが始まる。

 『伊崎選手!』

 「はい」

 『未経験からというのは本当なのでしょうか?』

 「えぇ。
 普通にルールとスパイクの打ち方を教えてもらって」

 『そ、それで出来るものなのですか!?』

 「どうでしょう?出来てしまったものですから」

 『あはは⋯⋯』

 引いてるじゃない。

 「あんまり目立ちたくなかったんですけど、唯一の友がどうしてもってね」

 『そ、そうですか!
 さ、最後に一言お願いします!』

 「人生、長いですから、ここでの経験は生涯あなたの支えとなるでしょう。

 決して諦めない努力、時間、姿勢。
 あなたの人生に幸あります様に」

 「おいざっきーがイキってる!!」
 「あんなこと言える人だったんすね、あの先輩」

 「うるせぇな!!お前ら!!!」

 



ーーー
今日のあとがき!

カクヨムサーバーを漁っていたら最近自分がオカシイと知ったことをいくつか知れたのですが、とりあえず今日は一つ。

"ストックという概念があった事"

──以上です。

それでは皆さん、また会いましょう!
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