【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

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世界征服編

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 ゲラハはいなかったが、リビにはとりあえず気掛かりな事が多かった家族関連の方に釘を刺しておいた。

 だがあの反応。
 恐らく父は何か知っている様子だった。

 おそらく⋯⋯いや、多分。

 異変があったらすぐ行動を起こせという風に。

 それを伝えて、俺は日本での目的を達成したため向こうに帰る。

 日本で今行動などすれば誰の目に留まるか分かったものじゃない。

 あまり時間を空けても良いことがない。
 フライトではなく、別の場所で休んでいると言ってあるしな。

 






 「ソウ!!」

 「⋯⋯ん?」

 早速到着しエリックに帰宅の報告をしようとしたところ。

 「どうした?」

 横目で通訳に訊ねる。

 「エリックが慌てて⋯⋯何か言ってるんですが、早すぎて!」

 などとそう言うので、俺は翻訳のピアスを使う。

 というより、俺が翻訳できてる理由はこれだと言うのを忘れてたな。

 「ソウに伝えろ!
 早速小規模の電力抽出に成功したぞ!!」

 ⋯⋯何?もう?

 「エリック!ソウに付け加えて!

 ソウに言われた通りの回路で組ませたところ、未知のエネルギーが周波数によって集合しているということが事実であることがわかったと!」

 ふむ。やはり俺の予想は当たってたわけか。
 ──なら良かった。

 「伊崎さん、ちょっと翻訳が難しいですが、実験が上手く行ったと」

 「そうか。
 なら、いよいよ本格的に進もう」

 最悪タワーは小規模でも構わない。
 そもそも、重要なのはこのタワーが実際に電力を生めるということほかならない。

 電力が無限=お金と様々なコストが浮くということ。

 多分大富豪なら⋯⋯いや。

 普通の教育を理解していればほとんどの人間がこれは人生を売ってでも欲しいものだろうからな。

 「翻訳して伝えてくれ」

 さて、まずはどこから手を付けるべきだろうかね。

 現状維持でも正直悪くない。

 ──何故とは思うまい?

 だって、俺の目的はこんな外国に来ることが目的でも、豪遊して世界を手にしたいなんていう魔王地味た目的があったのならさっさと大統領一人一人の首元にナイフを突きつけて終わりだ。

 ⋯⋯そんなチンケな事がしたくて帰ってきたわけじゃない。

 ただ、普通に過ごせれば良かったんだから。

 ──だが、このまま行けば違う。
 だから迷っている。

 このまま進めていいんだろうか。
 
 「ソウ!進めるぞ!
 こりゃ歴史の生き証人になるぞ!
 神のお導きだ!」

 まぁ、俺ももう力がある。
 最悪家族と共に離島で優雅に暮らすのも悪くない。

 魔法も使えるし、守るべき者を守れる力もある。

 ⋯⋯だが。
 それによって関わる人間が増えたことも事実だ。

 白波、諸星。

 主力は二つだが、今では国そのものが守る対象⋯⋯などと思っている自分がいる。

 あの国を守ること⋯⋯か。

 あんな平和ボケた国を守りたいなんて⋯⋯俺もどうかしているのかもな。


 ーーケルビンはなんで僕達みたいな子供を助けてくれるの?


 「⋯⋯っ」

 「伊崎さん?」

 思わずビックリして振り返る。

 誰もいない。
 だが、ハッキリと声が聞こえた。


 「いや、なんでもない」

 
 ーーケルビンって凄い人なのに、僕たちのことを見てくれるよね!

 ーーそうそう、カッコイイ!

 ーーやっぱり英雄ってカッコイイよ!

 
 「⋯⋯⋯⋯」

 英雄、か。
 俺はそんな大層な人間じゃない。

 ⋯⋯ただの気まぐれだ。

 「あとは伝えた通りにしろと言っておいてくれ。

 俺は少し行く所がある」

 「え?あ、あぁ了解です?」


 ーーまるで鏡だよ。アイツら







 「さて」

 「「⋯⋯⋯⋯」」

 俺はそのまま、ホワイトファングというギャングである主力メンバーの二人の前に座る。

 「パイプ椅子がキィキィ言って耳障りだが、こんな底辺のところでは仕方ないな」

 まぁ良い。やるべき事はやるだけだ。

 「聞こえるな?」

 「お前、日本語──」

 前屈みで訊ねていた俺は、生意気な口を叩く男の顎を指先で軽く跳ねる。

 「ゴホッ!」

 今の俺の身体能力は草薙とやり合った時より伸びている。

 一撃だけでもかなりキツイだろう。
 横に血を吐き捨てるが、それでも眼差しは変わらない。

 「別に忠誠を誓う必要はないが、お前たちは敗北した。

 そんな相手の言動にも気を遣えないなんて⋯⋯トップギャングとしては失格だな」

 「黙れよクソガキ。
 平和な場所で育って何も積み上げてこなかった野郎に」
 
 ふと、昔を想起させてくる。


 ーーねぇ。

 
 「「⋯⋯ッ」」

 俺は次の瞬間、魔法を使って二人の背後の壁を一撃で飛ばす。

 苛ついたのだろう。
 素直にムカついた。

 「お前が黙れよ」

 満面の笑みだった。
 あまりにも苛つくと、人は笑うらしい。

 「お気持ち頂戴なんて聞いてねぇんだよこっちは」

 「だったら殺せよ」

 「俺が言うことを聞くと思うか?負け犬」

 立ち上がり自分のパイプ椅子を壁に埋まるほど蹴り飛ばし、笑みを張り付けたまま煙草に火をつけてにじり寄る。

 「「っ」」

 「シルヴァだったな?お前の名前は」

 「あぁ」

 「出身は?」

 「何処でもいいだろ?
 もう死ぬu──ゴホッ!」
 
 「こっちが質問してんだよ。
 お前は黙って答えろよ」

 あぁ、折角の靴が台無しじゃねぇかよ。

 「フェレンタ」

 「何処だそこ」

 ハンカチで血を拭きながら返すと、歯を剥いて笑う。

 「⋯⋯地獄だよ」

 「スラム街みたいな所か」
 
 「あぁ、何処にでもいる人間の場所にしちゃあ、惨い所だろ?

 なぁ?さっさと殺せよ。
 俺達みたいな奴らは死んだほうがマシなんだぜ?

 ⋯⋯ええ?」

 話によると、こいつらの部下は最後までこの主力二人を助ける為に抵抗したそうだ。

 その結果──警察によって部下は全員死んだ。

 「さて、お前たちには選択肢がある」

 俺はこういう事をする人間なのかもしれないな。

 選択肢を与えて、その人間がどんな選択をするのか。

 見たいのかもしれない。
 闇を歩き続けて、その光に向かって歩くのか。

 ──それとも。
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