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世界征服編
百鬼夜行
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そう。化物。
いや、自分たちの辞書にそんな安い言葉では説明できない歪んだ存在。
メラメラドロドロ。
石田を除いた三人は、その圧倒的な存在を背後に感じる。
息すらままならず、鳥肌が全くと言っていいほど引く様子すらない。
オイオイ嘘だろ?
懐遠は身震いしながらも努めて冷静に考えようととにかく振り返らなければと必死だ。
感知しようと思っても。
黒いと、懐遠は戦慄する。
ドロドロにまみれた得体のしれない異物。
説明できない恐怖。
もはや⋯⋯。
ゴキブリを大多数の人間が不快になるというのは、大昔にかつて人間のように発展した文明があって、その名残。
──なんて都市伝説があるが。
笑えねぇな。
なんだ?
なんなんだ?
不吉。
懐遠の全身を刺し続ける根源的な恐怖。
その場から動こうと思ってもピクリとすら動かない。
これが。
ーーアレは災厄だ。
伊崎の言葉を思い出す。
これだ。
災厄は。
倅が恐れていたのは、コレの事か。
必死にギョロつかせながら背後を見ようと必死の懐遠。
それは草薙も同様。
だが。
"二人とも何も出来ない"。
銀譲も言葉通り。
意識を保つのですら限界。
「不完全ではあるが、褒めて遣わす」
黒の騎士はその紅い両眼を天に向ける。
「ふむ。
微かだが、お前たちからは私の最も忌む力を感じる」
やべぇ、コイツ俺達に関心を持ちやがった!!
草薙と懐遠はそこに居る確かな化物が自分たちに気付いた事を察知し、神経にこれでもかというほど力を入れようと必死。
「まさかな。
忌むべき男はどこの"世界"にもいなかった。
だが、私は確信している。
この世界が⋯⋯いや」
黒騎士は真っ黒いオーラを立ち昇らせ、悲しげに発する。
「地球分岐はこれで最後になる。
この世界にあの残滓がいるに決まっている。
私は信じている。
あの存在がタダで消えるはずがないと」
黒騎士は周囲を眺める。
「さて、まずはアジア人を片付ける必要がある。
この日本は私の一番の障害で在り続けたからな」
わざと聞かせるかのように。
黒騎士は四人に言い放つ。
「神功星羅。
あの忌々しい一族から始まり、神功覇旬という武人。
何人もの陰陽師だの、能力者だの。
特にアジア人の豊かさたるや。
プロヴァンハイドは召喚の儀式であると同時に、この国独特の結界を、霊脈を塞ぐためにある。
だが、その霊脈を潰すことはできないが、封印することは可能。
プロヴァンハイドは上手く行っている」
それに。
この国には龍神も存在している。
中々厄介だな。
「さっ、そこのお前たち」
黒いオーラは一段と激しく、燃え盛る。
「ゴボっ⋯⋯!!」
そのオーラに当てられた瞬間、懐遠は口から嘔吐。
あまりに強力で。
あまりにも負荷が強すぎる。
人間じゃねぇ⋯⋯!!!!
あの眼つき⋯⋯!
死ぬ!
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!
その黒い炎にも似た存在が一歩踏み出す。
「さて、まずはお前たちだ」
三人は抗いようない存在に為す術は無い。
「私の部下たちが散々な目に遭ったようだ。
死にゆくのは珍しいことではないが、これも摂理」
二歩目。
ただ歩いているだけだ。
しかし、目の前の存在が近づくたびにその心臓の鼓動は加速する。
三人の顔はもはや耐えるのに必死だ。
「お前たちの体を見るに、中々面白い人間のようだ。
さぞ良い環境の人間だったのだろう」
⋯⋯ん?
黒騎士が見上げると、雷が蛇行しながら到達する。
甲高い音をあげ、煙が舞うが。
「⋯⋯⋯⋯」
晴れて見えるのは、戦闘体制に入った黒騎士の睨みのみ。
やめろ!お前ら!!
見ていた懐遠は叫ぼうと必死だが、声も出ず、動きも出来ない。
目の前には、秦派の道士たちと日本勢力の陰陽師たちがこれでもかというほど加勢に来ていた。
「貴様が災厄か」
「ふむ。私が災厄?」
傾げ見上げる黒騎士。
「自覚がないとは⋯⋯恥を知れ!」
道士たちが一斉に両手を翳し、術を構築する。
「雷剛炎蹄!!!」
波打つように黒騎士へと蛇行する雷撃。
連発だ。
1分程全力での雷撃が飛び交う。
その光景はまさに、現代の上空で起こるミサイル戦争に匹敵するかと思うほどだ。
轟音がやまない。
しかし懐遠の気は全く休まることはなく。
そんなんでどうにかなるかわけない。
さっきまでの奴らとは一線どころか5回りくらい上だぞ!?
それだけではない。
式神や伊崎からの援助で強化された一撃の数々だった。
「なんだこの礫は」
だが一言、悪態をついて霧散した煙の中から一蹴する。
「なっ!?」
「お前たちは私の前に立つ資格がない」
次の瞬間、訳もなく突然一人の道士の体が綺麗に縦二つに断たれる。
黒騎士は何もしていない。
だが突然、そこから現れたように身体は別れたのだ。
「な、何よ」
その声は詩蔓!?
「⋯⋯げ⋯⋯!!!」
「お前たち黒い髪の民はアレイスターの教義に則り即時処刑と書かれている」
道士たちが一瞬で泣き別れる。
「⋯⋯へ?」
あまりにも簡単。
あまりにも格が違いすぎる。
手を上げることもなく、
一人一人の顔を見るわけでもなく、
黒騎士はただ、地面の小石を見ながら呟いただけ。
噴き上がる血飛沫の音がただ、ただこの場を支配する。
道士たちから離れていた詩蔓は間一髪。
──だが。
「か、格が違いすぎる!!!」
ズボンにじわっと広がるシミ。
顔が横にブルブル震えている詩蔓。
「⋯⋯し⋯⋯ま⋯⋯」
他にも、懐遠の鼓膜を震わせるのは、聞き慣れた声が何もしていない黒騎士の手によってただの噴き出す血飛沫のみ。
懐遠は黙ってみるしかなかった。
その屈辱たるや。
くそ!!くそ!!!
死ねよ!!
こんな時の為の"力"だろうが!!
今にも舌を噛みちぎりそうな勢いの懐遠だが、時間は止まらない。
「ふむ。
お前たちは何故反抗する?
大人しく死ねばいいものを」
「黙れぇ!!」
攻撃をしようと数百人の人間が手を上げた瞬間、身体から血が噴き出す。
「弱い。あまりにも弱い。
なぜ我が部下は死んだのだ?
私は全く理解できない」
黒騎士は近くの四人を見つめる。
「邪魔が入ったな」
詩蔓たち一部の幹部はもはや棒立ちのまま戦闘不能。
「あとは貴様らだけだ。
呪われし民よ」
やべぇ⋯⋯!
懐遠は対抗手段を考えるが、全くと言っていいほど浮かばない。
念じれば死ぬようなレベル。
草薙も、銀譲も。
どうすることもできない中。
── "その剣は、一人の夢から始まった"
「⋯⋯ん?」
突然、黒騎士の前方の方だ。
突風がやってくる。
「⋯⋯⋯⋯」
黒騎士の髪がその突風によって浮く。
"夢を追った。
その男は生涯、剣を握り続けた"
"隻腕の剣士。
レイヴン・トーラス。
天生無玄"
黒騎士の目には突然、一人の人間と前のめりで突っ込んでくる剣が映る。
「⋯⋯っ!?」
僅か一瞬。
黒騎士の律法がその一撃を防ぐ。
"獅子の神盾"。
「何者⋯⋯っ!?」
──"滅殺せよ"
"拳で頂を目指した雷のような武人よ"
"虎人。
ラウル・エンクリード。
雷號真羅"
目の前は無数の雷が黒騎士を揺らませ、殴りつける巨人が落ちる。
「っ!?」
衝撃波だけで背後のビル群はメチャクチャ。
"史上最強の魔導師"
"シャイヤ・ラムート。
炎代の焔矢"
空間を走り、その一本の矢は障壁に突き刺さる。
「貴様ら何者──」
──"後世に語り継がれた剣"
「⋯⋯っ?この感覚」
鼓膜に響く紅電の音。
"その剣は凡人の剣。
故に──民からは王者と呼ばれた"
黒騎士は目を見開く。
まさか⋯⋯!?
夜の空が不自然な程赤く染まる。
満月は紅く。
流れる風は無風と成り──世界は止まる。
"その姿は獣のようと謳われたが、この剣の使い手はその時代において負けることはなかった"
「⋯⋯何故、」
満月に放出し赤天に輝く四つん這いの人間。
まるで巨大な化物がこの世に降臨したような圧迫感。
無数の紅い稲妻を轟かせ、うねらせ、舞う。
"王者の剣──奥義。
──無形・無間"
「何故貴様がこの世界に存在しているのだ!!!
天剣・カイアス・オルデ・アルセイム!!!!」
紅い雷撃混じりの衝撃波。
鉄壁の障壁に寸分の狂いもない矢の継ぎ目に刺さり、少しヒビが入る。
「久しぶりでありますね、聖騎士殿」
「くっ!忌々しい!」
──"その剣は海を割った"
「なんだ!?」
気付けば、黒騎士の真上には柄に手をかけた一人の麗しい靡かす女の長い髪。
"基剣⋯⋯カーラ・アルファル・ディア・アウグスベルファウス。
起剣"
ヒビが深く刻まれる。
まずい。
なぜ、私の障壁が今にも破れそうなのだ!?
──"星の覇道"
「⋯⋯!?」
夜空に空色の光が照らす。
星々は男を照らし、男は星に向かう。
"その覇道は世界を轟かせた物語の主人公"
"やがてその覇道は人々を崇拝させ、国が出来た"
"星の剣。
ライツサーライト・ラギア・ライハルト。
──彗星。
「くっ⋯⋯!!」
空色の衝撃波が周囲を巻き込む。
「フンッ!
現代の老人が、さっさと退け。
恥ずべき事だぞ」
「黙れ!!」
──"その拳は時代を創った"
「⋯⋯っ!?」
黒騎士は見上げる。
空から落ちる人間を。
その拳は空間を超え、次元に届きうる全てを破壊する。
"拳で全てを変えた男。
時代を変え、英雄に成った男"
"英雄。
ローマン・オルデ・アルセイム"
──一撃滅殺、神無沙羅。
もうヒビは割れる寸前。
「危ないとこr」
そして。
「っ!」
黒騎士の全身が震える。
そう。
そう。
そう。
待ち侘びた。
忌むべき存在。
"18万年生きた男"
天が星に燃える。
夜空に煌煌と煌めく巨大な星の魔力。
黒騎士はその魔力を感じた瞬間、全身から黒いオーラを全開にし、嗤っている。
「ア゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハァ」
雷鳴を響かせ、男の中には宇宙が眠っている。
称号は多数。
「待ち侘びた⋯⋯」
雷鳴が弾け。
「長い間待ち侘びた!!!!」
"その人生は永劫語り継がれるであろう。
文明の崩壊と創生を見届け、人類を眺め続けた男"
"万物の王。
⋯⋯伊崎湊翔。
星の一撃"
「ケルビン・アルファル・ディア・アウグスベルファウス!!!!!!」
星が落ちる。
パリン、と。
黒騎士の障壁は完全に割れ、彼方へ飛んでいく。
着弾した黒騎士の場所はまさに、きのこ雲に包まれる。
全身から星のオーラを立ち昇らせ、四人の前に立つ。
「待たせたか?」
懐遠と草薙はプツンと静止が解かれ半笑いで見つめる。
「「なげぇよ」」
そこには、まさに、万物の王であるこの男が立っていた。
そして、ケルビンは前へ向き直すと同時に、その後ろには名も無き100人近い英雄たちが並ぶ。
「さぁ」
ケルビンは嗤う。
「最終決戦だ。
──────小僧」
いや、自分たちの辞書にそんな安い言葉では説明できない歪んだ存在。
メラメラドロドロ。
石田を除いた三人は、その圧倒的な存在を背後に感じる。
息すらままならず、鳥肌が全くと言っていいほど引く様子すらない。
オイオイ嘘だろ?
懐遠は身震いしながらも努めて冷静に考えようととにかく振り返らなければと必死だ。
感知しようと思っても。
黒いと、懐遠は戦慄する。
ドロドロにまみれた得体のしれない異物。
説明できない恐怖。
もはや⋯⋯。
ゴキブリを大多数の人間が不快になるというのは、大昔にかつて人間のように発展した文明があって、その名残。
──なんて都市伝説があるが。
笑えねぇな。
なんだ?
なんなんだ?
不吉。
懐遠の全身を刺し続ける根源的な恐怖。
その場から動こうと思ってもピクリとすら動かない。
これが。
ーーアレは災厄だ。
伊崎の言葉を思い出す。
これだ。
災厄は。
倅が恐れていたのは、コレの事か。
必死にギョロつかせながら背後を見ようと必死の懐遠。
それは草薙も同様。
だが。
"二人とも何も出来ない"。
銀譲も言葉通り。
意識を保つのですら限界。
「不完全ではあるが、褒めて遣わす」
黒の騎士はその紅い両眼を天に向ける。
「ふむ。
微かだが、お前たちからは私の最も忌む力を感じる」
やべぇ、コイツ俺達に関心を持ちやがった!!
草薙と懐遠はそこに居る確かな化物が自分たちに気付いた事を察知し、神経にこれでもかというほど力を入れようと必死。
「まさかな。
忌むべき男はどこの"世界"にもいなかった。
だが、私は確信している。
この世界が⋯⋯いや」
黒騎士は真っ黒いオーラを立ち昇らせ、悲しげに発する。
「地球分岐はこれで最後になる。
この世界にあの残滓がいるに決まっている。
私は信じている。
あの存在がタダで消えるはずがないと」
黒騎士は周囲を眺める。
「さて、まずはアジア人を片付ける必要がある。
この日本は私の一番の障害で在り続けたからな」
わざと聞かせるかのように。
黒騎士は四人に言い放つ。
「神功星羅。
あの忌々しい一族から始まり、神功覇旬という武人。
何人もの陰陽師だの、能力者だの。
特にアジア人の豊かさたるや。
プロヴァンハイドは召喚の儀式であると同時に、この国独特の結界を、霊脈を塞ぐためにある。
だが、その霊脈を潰すことはできないが、封印することは可能。
プロヴァンハイドは上手く行っている」
それに。
この国には龍神も存在している。
中々厄介だな。
「さっ、そこのお前たち」
黒いオーラは一段と激しく、燃え盛る。
「ゴボっ⋯⋯!!」
そのオーラに当てられた瞬間、懐遠は口から嘔吐。
あまりに強力で。
あまりにも負荷が強すぎる。
人間じゃねぇ⋯⋯!!!!
あの眼つき⋯⋯!
死ぬ!
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!
その黒い炎にも似た存在が一歩踏み出す。
「さて、まずはお前たちだ」
三人は抗いようない存在に為す術は無い。
「私の部下たちが散々な目に遭ったようだ。
死にゆくのは珍しいことではないが、これも摂理」
二歩目。
ただ歩いているだけだ。
しかし、目の前の存在が近づくたびにその心臓の鼓動は加速する。
三人の顔はもはや耐えるのに必死だ。
「お前たちの体を見るに、中々面白い人間のようだ。
さぞ良い環境の人間だったのだろう」
⋯⋯ん?
黒騎士が見上げると、雷が蛇行しながら到達する。
甲高い音をあげ、煙が舞うが。
「⋯⋯⋯⋯」
晴れて見えるのは、戦闘体制に入った黒騎士の睨みのみ。
やめろ!お前ら!!
見ていた懐遠は叫ぼうと必死だが、声も出ず、動きも出来ない。
目の前には、秦派の道士たちと日本勢力の陰陽師たちがこれでもかというほど加勢に来ていた。
「貴様が災厄か」
「ふむ。私が災厄?」
傾げ見上げる黒騎士。
「自覚がないとは⋯⋯恥を知れ!」
道士たちが一斉に両手を翳し、術を構築する。
「雷剛炎蹄!!!」
波打つように黒騎士へと蛇行する雷撃。
連発だ。
1分程全力での雷撃が飛び交う。
その光景はまさに、現代の上空で起こるミサイル戦争に匹敵するかと思うほどだ。
轟音がやまない。
しかし懐遠の気は全く休まることはなく。
そんなんでどうにかなるかわけない。
さっきまでの奴らとは一線どころか5回りくらい上だぞ!?
それだけではない。
式神や伊崎からの援助で強化された一撃の数々だった。
「なんだこの礫は」
だが一言、悪態をついて霧散した煙の中から一蹴する。
「なっ!?」
「お前たちは私の前に立つ資格がない」
次の瞬間、訳もなく突然一人の道士の体が綺麗に縦二つに断たれる。
黒騎士は何もしていない。
だが突然、そこから現れたように身体は別れたのだ。
「な、何よ」
その声は詩蔓!?
「⋯⋯げ⋯⋯!!!」
「お前たち黒い髪の民はアレイスターの教義に則り即時処刑と書かれている」
道士たちが一瞬で泣き別れる。
「⋯⋯へ?」
あまりにも簡単。
あまりにも格が違いすぎる。
手を上げることもなく、
一人一人の顔を見るわけでもなく、
黒騎士はただ、地面の小石を見ながら呟いただけ。
噴き上がる血飛沫の音がただ、ただこの場を支配する。
道士たちから離れていた詩蔓は間一髪。
──だが。
「か、格が違いすぎる!!!」
ズボンにじわっと広がるシミ。
顔が横にブルブル震えている詩蔓。
「⋯⋯し⋯⋯ま⋯⋯」
他にも、懐遠の鼓膜を震わせるのは、聞き慣れた声が何もしていない黒騎士の手によってただの噴き出す血飛沫のみ。
懐遠は黙ってみるしかなかった。
その屈辱たるや。
くそ!!くそ!!!
死ねよ!!
こんな時の為の"力"だろうが!!
今にも舌を噛みちぎりそうな勢いの懐遠だが、時間は止まらない。
「ふむ。
お前たちは何故反抗する?
大人しく死ねばいいものを」
「黙れぇ!!」
攻撃をしようと数百人の人間が手を上げた瞬間、身体から血が噴き出す。
「弱い。あまりにも弱い。
なぜ我が部下は死んだのだ?
私は全く理解できない」
黒騎士は近くの四人を見つめる。
「邪魔が入ったな」
詩蔓たち一部の幹部はもはや棒立ちのまま戦闘不能。
「あとは貴様らだけだ。
呪われし民よ」
やべぇ⋯⋯!
懐遠は対抗手段を考えるが、全くと言っていいほど浮かばない。
念じれば死ぬようなレベル。
草薙も、銀譲も。
どうすることもできない中。
── "その剣は、一人の夢から始まった"
「⋯⋯ん?」
突然、黒騎士の前方の方だ。
突風がやってくる。
「⋯⋯⋯⋯」
黒騎士の髪がその突風によって浮く。
"夢を追った。
その男は生涯、剣を握り続けた"
"隻腕の剣士。
レイヴン・トーラス。
天生無玄"
黒騎士の目には突然、一人の人間と前のめりで突っ込んでくる剣が映る。
「⋯⋯っ!?」
僅か一瞬。
黒騎士の律法がその一撃を防ぐ。
"獅子の神盾"。
「何者⋯⋯っ!?」
──"滅殺せよ"
"拳で頂を目指した雷のような武人よ"
"虎人。
ラウル・エンクリード。
雷號真羅"
目の前は無数の雷が黒騎士を揺らませ、殴りつける巨人が落ちる。
「っ!?」
衝撃波だけで背後のビル群はメチャクチャ。
"史上最強の魔導師"
"シャイヤ・ラムート。
炎代の焔矢"
空間を走り、その一本の矢は障壁に突き刺さる。
「貴様ら何者──」
──"後世に語り継がれた剣"
「⋯⋯っ?この感覚」
鼓膜に響く紅電の音。
"その剣は凡人の剣。
故に──民からは王者と呼ばれた"
黒騎士は目を見開く。
まさか⋯⋯!?
夜の空が不自然な程赤く染まる。
満月は紅く。
流れる風は無風と成り──世界は止まる。
"その姿は獣のようと謳われたが、この剣の使い手はその時代において負けることはなかった"
「⋯⋯何故、」
満月に放出し赤天に輝く四つん這いの人間。
まるで巨大な化物がこの世に降臨したような圧迫感。
無数の紅い稲妻を轟かせ、うねらせ、舞う。
"王者の剣──奥義。
──無形・無間"
「何故貴様がこの世界に存在しているのだ!!!
天剣・カイアス・オルデ・アルセイム!!!!」
紅い雷撃混じりの衝撃波。
鉄壁の障壁に寸分の狂いもない矢の継ぎ目に刺さり、少しヒビが入る。
「久しぶりでありますね、聖騎士殿」
「くっ!忌々しい!」
──"その剣は海を割った"
「なんだ!?」
気付けば、黒騎士の真上には柄に手をかけた一人の麗しい靡かす女の長い髪。
"基剣⋯⋯カーラ・アルファル・ディア・アウグスベルファウス。
起剣"
ヒビが深く刻まれる。
まずい。
なぜ、私の障壁が今にも破れそうなのだ!?
──"星の覇道"
「⋯⋯!?」
夜空に空色の光が照らす。
星々は男を照らし、男は星に向かう。
"その覇道は世界を轟かせた物語の主人公"
"やがてその覇道は人々を崇拝させ、国が出来た"
"星の剣。
ライツサーライト・ラギア・ライハルト。
──彗星。
「くっ⋯⋯!!」
空色の衝撃波が周囲を巻き込む。
「フンッ!
現代の老人が、さっさと退け。
恥ずべき事だぞ」
「黙れ!!」
──"その拳は時代を創った"
「⋯⋯っ!?」
黒騎士は見上げる。
空から落ちる人間を。
その拳は空間を超え、次元に届きうる全てを破壊する。
"拳で全てを変えた男。
時代を変え、英雄に成った男"
"英雄。
ローマン・オルデ・アルセイム"
──一撃滅殺、神無沙羅。
もうヒビは割れる寸前。
「危ないとこr」
そして。
「っ!」
黒騎士の全身が震える。
そう。
そう。
そう。
待ち侘びた。
忌むべき存在。
"18万年生きた男"
天が星に燃える。
夜空に煌煌と煌めく巨大な星の魔力。
黒騎士はその魔力を感じた瞬間、全身から黒いオーラを全開にし、嗤っている。
「ア゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハァ」
雷鳴を響かせ、男の中には宇宙が眠っている。
称号は多数。
「待ち侘びた⋯⋯」
雷鳴が弾け。
「長い間待ち侘びた!!!!」
"その人生は永劫語り継がれるであろう。
文明の崩壊と創生を見届け、人類を眺め続けた男"
"万物の王。
⋯⋯伊崎湊翔。
星の一撃"
「ケルビン・アルファル・ディア・アウグスベルファウス!!!!!!」
星が落ちる。
パリン、と。
黒騎士の障壁は完全に割れ、彼方へ飛んでいく。
着弾した黒騎士の場所はまさに、きのこ雲に包まれる。
全身から星のオーラを立ち昇らせ、四人の前に立つ。
「待たせたか?」
懐遠と草薙はプツンと静止が解かれ半笑いで見つめる。
「「なげぇよ」」
そこには、まさに、万物の王であるこの男が立っていた。
そして、ケルビンは前へ向き直すと同時に、その後ろには名も無き100人近い英雄たちが並ぶ。
「さぁ」
ケルビンは嗤う。
「最終決戦だ。
──────小僧」
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孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
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美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
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不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
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