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世界征服編
【最終話】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
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ーー■■■■!
寝返りを打つ。
「んー⋯⋯」
ーーねぇ、■■■■!
「んー⋯⋯」
「ねぇーえ」
柔らかくて良い匂い。
「ん?」
朧気に見上げると。
「そーくん!
起きてえー!!」
珍しいなぁー。
いつもはもっと可愛く起こしてくれるのに。
「どうしたの?"紗季"」
おー良い感触。
「そこおっぱい!!」
朧気な視界には恥ずかしそうな紗季の顔。
「あぁ、ごめんごめん」
でもさ、眠いんだよね。
「もー⋯⋯!」
抱きついてしばらく。
目が合うとスイッチが入ったように唇が重なる。
⋯⋯結局朝から首に手を回してねっとりキスして二度寝するまでが、"今の俺"の一日だ。
「ほら、行くよ!」
起こされると両手を引かれ、覚束ない足取りで俺は介護される。
「なんで私が介護してるの!
しかも、朝は口が汚いんだよ!?」
コップを渡され、洗面台でうがいする。
「そんな事言ってなんだんだキスしてくれるの可愛い」
「⋯⋯もう!!」
一緒にうがいして、一緒に顔を洗う。
終わったら紗季からパックを貰って一緒に貼ってそのままリビングに行く。
『本日、日本の若き帝王である
渡瀬美智氏(25)が新たな道へと踏み出すということを発表しました』
テレビニュースで流れる一本の記事。
「美智くんだっけ?
そーくんの親友って凄い──」
「名前で呼ばないで」
「そんな口で塞ぐなんて少女漫画みたいなことしないでよ、もーうっ!」
ふんっ。
さすがだな。
『渡瀬氏は渡瀬ホールディングス・代表取締役CEO、また、最大手であるアルケミア・ミソスの財務最高責任者、国際経済フォーラム理事も務め、更に政治では内閣府特別経済顧問を務めるなど、25歳とは思えないその手腕に世界の名だたる人物たちから注目を集めています』
「この間渡瀬くんが来てうちの人事たちが恐れ慄いてたよ」
キッチンからニュースを見て引き笑いする紗季。
「よし、日本に帰国したらうちに来いって言ったのに」
「そーくん、もう学生じゃないんだよ?
渡瀬くんは一分一秒が惜しいんだから」
『渡瀬CEO、重大な発表とは一体?』
『はい。
我々は次代の進化の基盤として、そして、これからの未来の為に、エリックCEOと手を組み、現在進めているAI開発、加えて宇宙開発に着手していこうと考えています』
シャッター音が鳴り止まない。
『では質疑応答を』
一人の記者が当てられる。
『渡瀬CEO、私はわくわく新聞の朝日と申します』
『初めまして』
『この五年で、様々なことを成し遂げてきたと⋯⋯世界経済の重鎮たちを含め、国内外問わず同じ反応かと思います。
インフラ整備、M&A、様々な業界へ進出すればどの分野でも一流と肩を並べ、その規模は海の向こうを超え、挙句ボランティアから何まで、とても25歳では到達出来ないレベルの偉業を成し遂げていますよね』
『べた褒めですね。
ありがとうございます』
『いえ、公然の事実だと思います。
同じ日本人として嬉しく思います。
それこそ長者番付に最速で載ったアジア人としても記録として載っていますし、何より⋯⋯悪い噂をほとんど聞きません。
長くなりましたが、以前雑誌で拝見した時に「まだやる事がある」。
そう仰っていましたが、今や"日本の金庫"や"世界の渡瀬"。
この地球でこれほどまでに活躍している若き帝王が、何を成すのかが非常に気になります』
少し考え、アイツはマイクを近付けた。
『私は、星になりたい』
『星?』
『我々には魂があります。
誰しも持っていて、誰しもが輝き、誰しもが燃やすことの出来る⋯⋯素晴らしいモノです。
しかし、星は雲がかかってしまったら輝けませんよね?
私は、星は魂だと考えているんです。
魂を燃やす時、自身の星は輝く。
その星を綺麗だと言う人もいれば、もっと輝けるだろうと言う人もいる。
私は、世界中の魂が燃え上がるような⋯⋯全員が星となって輝けるような⋯⋯そんな世界を創りたい。
しかし、現代ではどうでしょう?
圧力があって、やりたい事もできない。
やろうとしても周囲は馬鹿にして痛いやつだと指を差します。
就活では失敗を許さないですし、入ってからも出世するには多大な時間と失敗を許さないストレス。
私からすれば意味が分からない。
人生に失敗は付き物です。
なんですか、失敗は許さないって。
だからこそ──全員が輝ける世界を。
全員が己の魂に沿ったやりたいこと。
それを実現するには金がいります。
夢がいります。
願いがいります。
輝く為には時間が必要で、燃料が必要です。
世の中は燃料を作る時間がない。
だから、燃料を作り、皆さんのエンジンをフル稼働させられる世界を創る為──私はインフラを整え、世界を整え、燃え上がるような若い世代を作り、それを応援してもらえるような人生を進む為、まだまだ世界を変えます。
⋯⋯それが、燃やす事が──我が人生であり、私の存在意義です』
「良いこと言うじゃんか。
アイツ」
「同い年とは思えないよ」
コトンと、目の前に並ぶ目玉焼きとトースト。
「「いただきます」」
「んー、美味しい」
やっぱ紗季の飯はうめぇ。
「でしょ?
本場からとってきたやつだからさ」
「てかあの一年半、マジで寂しかったわ」
卒業後、紗季は白波グループに入社。
実際に現場へ行き、挙げ句海外支社に行ったりと、俺を放置して頑張ってた。
「⋯⋯その間どっかの誰かは別の女とベッドにいたくせに」
「約束なんだから仕方ないだろ?」
「そうかな?
電話した時なんて腰が軽くなったからとか言ってたよね?」
──ぎく。
「負けました」
「よろしい」
あの後、ジジイとの約束を強制執行させられ⋯⋯いや、約束を果たす事になった。
松前、諸星、その他諸々の日本で有名企業の令嬢たちと。
諸星のジジイが言う、血縁という約束が欲しいからとな。
「本当。
そーくんが普通の男の子だったら殺されてるよ?」
確かに。
お前らと結婚はしねぇけどやる事はヤるぜ?だもんな。
「まぁそれが貴族ってやつだ」
紗季を見ながら口を開けて待つ。
「何、またぁ?」
「俺、紗季の手からじゃないと飯が食べられない」
「今一口目普通に食べてたよね?」
「やーだ!
紗季の手からじゃないと食べられない病に罹ったの!
もう病に犯されて五年が経ったの!
あー誰か助けてくれないかな?」
「あー!分かった分かった!!」
「んー!!美味しい!
病が軽くなった⋯⋯!」
「⋯⋯演技に磨きがかかってる」
ピンポーン。
「あ、紗季は飯食ってて」
「え?そこは私じゃないんだ」
「なんかあったら困るやん」
「何よ、もう」
玄関へ行き、扉を開ける。
「あ、"白波"湊翔さんでお間違いないでしょうか?」
「はい、いつもお疲れ様です」
「あっ、ありがとうございます。
では、こちらに」
サインをして扉を閉める。
「あれ?配達?」
「あれ、今日集まるじゃん?
飾り付けの道具を頼んでたの」
「遅くない?」
「まぁ、""皆""隣じゃん」
「確かに」
「あ、それより俺ご飯食べたい」
「自分で食べてー!!」
「ハハハハハッ!」
*
うちのリビングには、一本秘密ルートがある。
「なんか、面白いよね」
「まぁな」
その通路は、ある場所へと繋がっている。
「あっ!」
その先は、百人以上入るデカイリビングとキッチン。
──そしてそこには。
「そーく⋯⋯伊崎くん!」
「理⋯⋯永っ」
「理沙ちゃんでいいよそーくん!」
「イッテエェェ!!」
回し蹴りをモロに貰う俺。
「ふんっ!
自分は散々遊んどいて、私には名前すら呼ばせないとか、メンヘラ男め!」
「うるせぇ⋯⋯女は目を離すとすぐに目移りするクソッタレな生き──」
ヤバイ、そこ死ぬ⋯⋯!
「イデデデデ!!」
「私だってそーくん一筋生活全部合わせたら10年目なのに!!!!」
「あら、相変わらずね」
タイルと口づけしている中、もう一人。
「衣里、一日ぶり」
「久しぶり、"伊崎"くん」
「えりりんさすが」
「直すのに5年掛かったから」
二人が喋っている中、俺は紗季にプロレス技をかけられながら叫ぶ。
「痛い痛い痛い!!」
「おっぱい揉むな!!」
「紗季おっぱいじゃないと」
「恥ずかしい事を言うなー!!」
「今、週7じゃん!?」
「人様の前で性事情を語るなー!」
「あらあら。
五年目の夫婦にしてはお熱い」
「本当だよー。
でも、うちの家もあんまり変わらないかも」
二人共!?
そんな所で優雅にコーヒー飲んでないで、俺を助けて!?
「えりりんのところはお盛ん?」
「不器用だけどね。
上手いとかはないけれど、愛情は感じる」
「私のところも同じかな?
まぁ、愛情が重いけど」
「理沙ちゃーん!!」
この声は。
「りゅー、おはようのチューは?」
「んーっ!!」
「おい石田、朝から何見せつけてんだ」
「おやおや伊崎さん?
居たんですか?」
見上げる俺と、見下ろす石田。
「ていうか白波さん、今日はお仕事では?」
「休みを取らせてもらいましたよ。
さすがに」
「よく休めましたね?
確か執行役員でしたよね?」
「このエロエロマンに休まなかったら海外行くとか言われたので」
「あぁ。
エロエロマンはそれくらいの扱いで十分ですよ」
「石田⋯⋯てめぇ、後で覚えとけよ」
「後で覚えとくのはそーくんの方でしょ!」
「いってぇぇ!!」
「ハハハハハッ!
あの天下の男が尻に敷かれているなんて⋯⋯誰が予想出来たことか!」
てめぇあとで減給だ。
絶対に減給してやる。
「と、そろそろ離してあげては?」
「あ、そうでした」
「はぁ⋯⋯マジで窒息死する所だった」
起き上がると衣里がアルコールティッシュと飲み物を待機してくれている。
「サンキュ」
「⋯⋯いえ」
「「ふっ」」
思わず懐かしくて笑ってしまう。
「銀は?」
「いるぞ」
「おっ!2日ぶり!」
背後にいる銀に向かって突き出して拳を合わせる。
「大将も変わらずだな。
⋯⋯と、白波さんも」
「あっ、おはようございます」
お前ら面接かよ。
他人行儀過ぎる。
「さっ、鈴と大地はまだか?」
「さすがにまだだな。
お昼くらいには来るみたいだ」
「そうか。
なら、その間にミーティングだけ済ませとくか」
「「⋯⋯あ、忘れてた」」
ハモる二人。
「忘れんなよ」
とりあえず、さっさと面倒な事は終わらせないとな。
*
「おー、良い匂いだな」
「伊崎さん、肉足ります?」
「何言ってんだ石田。
お前らの食事も俺持ちだろ」
「⋯⋯確かに」
「備蓄庫に死ぬほどあるわ」
まぁ気付いた人もいるだろうが、秘密基地を改造して家を建てている。
ここは秘密基地の中央エリアの何でもコーナーであり、最初に俺がこの二人とあった場所でもあるこの場所で──今はBBQをするという、な。
「ていうか、俺からしたらそこの二人が意外だったんだよな」
「確かに!」
近くでした準備していた理沙もブンブン頷いている。
「私とりゅーくんは分かるけど、真壁さんと衣里は意外というか」
そこ二人は俺たちが結婚してから石田が猛アプローチ。
その末、すぐに婚約まで至ったって訳だ。
同棲は要らん。
既に知っている人間だからな。
「あなた?聞いてるわよ」
「え?あ、あぁ⋯⋯その、一緒に仕事をしている内に居ないと困るようになったというか⋯⋯だな⋯⋯」
「⋯⋯男ってなんでこういう時にふわふわしてるのかしら」
「す、すまない!
そういう訳ではないんだ!」
衣里たちは俺達が結婚した直後に、まさかの出来ちゃった婚。
どうやら既に結婚前提の付き合いでたまたまだったらしい。
というか、衣里が意図的にそう仕向けたらしい。
「まぁ⋯⋯意外と塩梅いいのかね」
「そうじゃない?」
理沙と笑いながら下準備をしていると。
「ねぇ、私はー!?」
「可愛い俺の嫁よ、バックハグなんてしたら子供が出来ちゃうよ」
「じゃあ作る?」
「ワーオ」
理沙が口笛を吹く。
「⋯⋯まだ早いな?」
「やっぱり伊崎さんの奥さんは奥さんだ」
「石田さーん?」
包丁を振り上げる紗季に必死な弁明をする石田。
「ああっ、いえ!何でもありません!!
いやー!色々ありますよね!人生って!」
「「「「はははははっ」」」」
まさか、五年も経ってるのに、同じ場所で、まさか全員が結婚してるなんてな。
「衣里、子供は?」
「あっ、見てもらってる」
「連れてきなよ」
「──湊翔兄ぃ!!」
「湊翔お兄ちゃん!」
聞き覚えのある声の方を向くと。
「⋯⋯鈴、大地も」
そこには、ストレートヘアーの高飛車な感じに仕上がった大学生の鈴と、鈴よりでかい大地が衣里の子供を抱えて登場。
「久しぶりだな。
1年ぶりか?」
「うん!」
「結局大学は何処になったんだ?」
金持ちになりたいという鈴の思想は変わらずだったはずだが。
「今はスタンフォードで色々勉強中!
金持ちには色々知識がいるからね!」
「⋯⋯誰のせいであんな風になったんだ?大将」
見ての通り全身高級ブランドである。
「俺が誕生日とかに買ったものです」
「お兄ちゃん!
湊翔兄ぃは悪くないでしょ!?」
「はぁ。鈴?
向こうの男たちはそんな甘くない。
いつ牙を向くか分からんのだ」
「大丈夫だって!」
と、まぁ。
「とりあえず肉焼くぞー」
遅れて聞こえてくる返事。
まぁ、何も変わらんな。
*
「大地は本格的に訓練か?」
「うん!
いよいよ目前!
来年から試験!」
「そうか。
ネットニュースで話題になるのを見なきゃな」
「見ててよ!
絶対に載ってみせるから!」
と、ご覧の筋肉で語られると、さすがの俺も肯定せざるを得ない。
「そうだ、南ちゃんは呼んでないの?」
三人で話していると背後から紗季が訊ねてくる。
「あー⋯⋯アイツ今日も合コンだって」
「それはそーくんのせいでしょ?」
「え?
俺が何言っても合コンしか言わねぇんだもん」
「「「そりゃそうだよ!」」」
⋯⋯え?
俺、遂に三人からも言われるようになっちゃった。
「南は可愛いんだ。
絶対に良い男がいるって。
急ぐな!って言ったんだけどなぁ⋯⋯」
「だってお兄ちゃんのスペックがねぇ?」
「はぁ?」
「だって容姿が良くて、お金持ってて、育児とか家事とかも解決してくれる。
それで察しが良くて、会う度に鞄を買ってくれる兄がこの世にどれくらい居ると?」
「何言ってんだ。
いっぱいいるに決まってるだろ」
何を愚問な。
妹の為なら国を滅ぼすくらいには愛してますとも。
「「「そんな兄はどこにも居ません」」」
「⋯⋯え?」
「湊翔兄ぃ。
少なくともそんな兄は見たことないよ」
「俺も知らないよ?
なんなら下をいじめてる兄が多いくらいだよ?」
「──そもそもそれは死すべきだろ」
「やっぱりそーくんって自己評価低いよね?」
「なんだ紗季。
褒めても何も出ないぞ」
「じゃあキスし──」
「「わぁ」」
「これでいい?」
長い余韻に浸って真っ直ぐ見つめると、恥ずかしそうに目をそらして肉を頬張る紗季。
「ごほん!!」
「イチャイチャしてるー!
湊翔兄ぃが落ち着いてる!鈴感動したよ!」
「あれだけ遊んでたのに!」
「昔の話だ」
「そうだ、湊翔兄ぃの弟は?」
「受験だと」
「みんな通る道だぁ、頑張ってと言いたい」
「ていうか南がなぁ⋯⋯」
アイツ、マジで理想が高くなってる問題を解決しねぇと。
「それはそーくんが悪い。
明らかに身の回りに芸能人がいたらバグるのと一緒」
「でも南は常識があるし」
「そういう問題じゃないんだけどなぁ⋯⋯」
クソッ。南!
頼むからまともな男とくっついてくれよぉ!?
*
「⋯⋯⋯⋯」
テトラポットの上で一人、一服しながら夜空を見上げる。
それから夜。
みんなで呑みまくって、昔の事を語った。
あの時はどうだっただの、この時はああだっただの。
鈴がああだったこうだった。
大地は女の子に振られたとかな。
正直、二人以外は語れるほど離れてない。
ほぼ毎日一緒にいる。
理由は簡単だ。
あのリビングの空間は、昔から変わってないから。
何も変わってない。
俺の魔法で劣化はしないし、最低限の清掃で済むからだ。
それぞれ家はあるのだが、全員の癖だ。
朝の着替えが終わると、結局あそこに集まってそこに居るメンバーで他愛もない話をして、時には仕事の話をする。
そこにはある種の村のような感覚さえある。
夫婦としては違くても、全員が家族で、全員が全員の事を考えて生活している。
過干渉かもしれないが、誰も苦になっていない。
ニートになって5年。
毎日退屈のようで退屈ではない。
些細なイベントが起こって、それを大人たちで解決していく。
誰かが問題を持ってきて、みんなで解決する。
そんな毎日。
俺にとっては、かけがえのない日々。
待ち焦がれたモノ。
毎日が不変で、けれど全くの不変でもない。
そこには親がいたり、兄弟がいたり、親戚がいたり、友がいたり、全てが人生の一部で、慈しむべきモノたち。
「あれっ?
そーくん、こんな所にいた」
「⋯⋯紗季」
「夜中にどうしたの?」
「いや、あれから5年だろ?」
「──うん」
隣で一緒にしゃがんで夜空を見上げる紗季。
思わず優しく肩を抱き寄せる。
「幸せだなぁ⋯⋯って」
「色々あったもんねぇ」
「そうだな」
両親への挨拶で両家爆泣きイベントがあったり。
結婚式でよしが泣いてたり、同級生たちも半泣きだったり。
「私ね、今すっごく幸せなの」
俺の手を握って、紗季は夜空に向かって呟く。
「それは俺もだよ」
「今度どこ行こっか?」
「沖縄とかいいんじゃないか?」
「あー!良いかも!行こーよ!」
「仕事は?」
「⋯⋯パパを脅して」
近いのに耳打ちしてくる。
「まぁこういう時に使わないとな」
「後は北海道も行きたいし、韓国とかハワイも行きたい」
「⋯⋯大量だな」
「まだまだいっぱいだよ!
そーくんと見たい所⋯⋯いっぱいあるもん」
寄り添う俺達は互いに頭を預けていた。
「なぁ、紗季」
「んー?」
「結婚してくれてありがとう」
「⋯⋯何?急に」
ーー■■■■!
「昔、地獄に居たんだ」
「⋯⋯うん」
ーーなんで生きてんだろ、俺。
「どうしようもなくてさ」
「⋯⋯⋯⋯うん」
「なんで生きてんだろって思う事があって⋯⋯それでも生きていけたのは⋯⋯紗季が居たから」
ーー俺って何かしたか!?なぁ!!
「⋯⋯うん」
「もし何かあったら言ってくれ。
俺がなんとかする」
「ふふ。
──無いよ」
首筋に手の感触。
横目で見つめると、紗季が両手を上げている。
「ん」
鼻で笑って俺は抱き締める。
「──好き」
「俺も」
満月の下、俺と紗季は自分でも言うのも恥ずかしいほど重ねて、心を交わす。
互いの魂でも吸い取るように。
「ふふ」
「ふっ」
どれくらい経ったのかも忘れるくらい。
離れて、また──互いの鼻先が触れる。
「髪、良い匂い」
「そーくんが好きって言ってたから」
「可愛いじゃん」
「そっちだって、なんだかんだ合わせてくれる」
「カッコイイのは旦那の矜持だ。
自分の妻にモテない旦那は男じゃない。
週7求められるくらいじゃねぇとな?」
「それはほとんどの男の人は無理じゃない?」
「⋯⋯それはそうかも」
「「ふっふふ」」
「ねぇ」
「んー?」
綺麗な満月だな。
「⋯⋯俺、産まれてきて良かったよ」
「⋯⋯⋯⋯ふふ、私も」
それは願いなのか。
自分の感想なのか。
運命なのか。
⋯⋯正直分からん。
だが、日々は俺達とは関係なしに過ぎ去っていく。
「ねぇ、そーくん!」
「んー?」
「荷物持った!?」
「おう」
玄関で革靴を履いた俺の視線には、立て掛けられた写真立て。
"俺らズッ友"
"魂は繋がってる"
"ざっきー、またボランティア行こうぜ"
毎年恒例、BBQの時の写真。
海外で撮った真壁妹弟との入学式と卒業式の写真。
南の卒業式と入学式、そして成人式で俺がピースしながら泣いてる写真。
拳哉の入学式と卒業式の写真。
成人式の後に一緒に酒を飲んでる写真。
よしと現地の人間と撮ったボランティアの写真。
そして。
"第一子──総司"
紗季の大きくなったお腹に頬ずりして撮った写真。
"第二子──桜"
"第三子──律"
"第四子、双子──空・蒼真"
そしてそれは、七子まで。
「パパ!」
ドタドタ玄関まで走ってきては、俺を見上げる。
「どうした?総司」
「ボク、パパみたいになれるかな?」
靴を履かせていると、そんなことを言ってくる。
「どうしたんだー?」
「昨日ね?
パパがすごいんだって⋯⋯美智おじさんが言ってたから!」
アイツ変な事吹き込みやがって。
「あぁ。
パパはそこら辺の男よりもすごいが、一番すごいのは⋯⋯ママだ」
どれだけ運命が変わったとしても、紗季は明るくて、ずっと暗い場所へ居ようとする俺を照らしてくれる。
「ママ!」
そこへ、大慌ての紗季がやってくる。
「ごめんね!」
流れでそのまま鞄を受け取り、しゃがんで紗季の前にヒールを置く。
「全然。
身体──平気か?」
「⋯⋯うん!
全然ばっち!」
「もう毎年だからさ、さすがに心配になってきたよ」
「何を今更⋯⋯もうあれから毎年産んでるんだから」
「だからでしょ」
なんて笑って履かせていると。
「そーくんの子供だから毎年産んでるんだよ?」
「⋯⋯今日も頑張るか」
「──馬鹿っ」
*
「はーい総司くんー!」
「石田おじちゃん」
「お前おじちゃんって言われてるぞ」
「あーそっちも良い歳ですぅー!」
全員が並ぶ。
それぞれの子供と、俺ら"親"が並ぶ。
「はーい、撮りますよー!」
秘密基地の真ん中で、俺達は正装で決める。
「3,2,1でいきますからね!」
人が生きる目的はなんだろうか?
それはきっと生涯悩み続ける事だろう。
「3」
色んな事があった。
数え切れない程。
「2」
いや。
考えなくても良いのか。
「1」
俺の人生は、紗季と、コイツらを護る事だけ。
"それ以外に、自分の人生はどうでもいい"
──カシャ!
「おー!
伊崎さん、めっちゃ笑ってる」
見ると幸せそうに銀と石田と肩を組む俺の顔。
下にはいつものみんなと⋯⋯それぞれの子供達。
「あー!
パパたちみんなおタバコ吸いだしてる!」
「ヤニカスには痛い言葉だぜ」
「だな」
「うるさいぞ、莉菜!
パパはタバコが命なの!」
「パパなんか嫌い!」
そう言って石田の子供は走り出して消えていく。
「ハハッ」
そう。俺の望んだ世界。
まぁコイツが不憫なのはいつものことだ。
「石田、銀」
「はい?」
「どうした?」
「ありがとよ」
きっとこの出会いも⋯⋯全てが必然で、全てが運命だとしても。
「なんすか?
また変な仕事振るつもりですか?」
「大将、あのゴミ掃除はやめてくれ」
「いや?心からの言葉だ」
立ち昇る細煙。
眺めながら、俺は言う。
「みんなに会えて良かっ──」
「「おおおおおお!!!!」」
「急に抱きついて⋯⋯なんだっ!?」
「俺達もー!!!」
「良かったぞー!!!」
「「ういっういっういっういっういっ!」」
「なーんだお前ら!
歳取ってキャラなんてどうでも良くなったか!?」
自分の城をどう築き上げるか。
かつての自分はそう言った。
しかし、人生とはどうなるか分からないものだ。
「伊崎さん、年取ってからゲートボールの思案を今から」
「いや、ジムの経営が優先──」
土地を奪われても、たまたま近くの人がくれた土地の方が良いこともあれば、築く城を建ててくれる業者が極上な事もあるし、逆もある。
出来上がっても、材質が良かったり悪かったり。
色々な細部がある。
頑丈にしたって、一人で過ごすのは寂しいし。
けどゆるゆるでも利用されるだけだし。
そんな無限にある項目が。
地球70億人⋯⋯それぞれが、この無限にある項目のパラメーターが違うだけなのだろうと思う。
「本当男って⋯⋯」
昔ならただ築き上げることに集中していたかもしれないが、今はこう思う。
どうやって土地を手に入れて、どうやって築き上げて⋯⋯そして築いた後、どんな風に託すか。
「俺達三人──死ぬまで家族っすね!
伊崎さん!」
「大将、最期まで付いていく」
「⋯⋯あぁ」
今のように三人で馬鹿みたいに騒ぎながら、今日も俺は。
⋯⋯爛れて生きていく。
──END。
登った煙はある場所の男へと繋がる。
「ふぅ⋯⋯」
和室の縁側で、ジョロジョロと音を立てる竹を見つめるのは白髪の男。
パタン、と本を閉じ、黒い煙草を深く吸う。
「中々良かったじゃないか」
片膝を立て、男は陽だまりの景色を見る。
コンコン。
その和室にノックがある。
「⋯⋯創一様」
部屋に入ってくる一人の老婆。
「こちらを」
木目の上に置かれる、立ち上る熱々の緑茶。
「千代、何処のだ?」
「心象世界のものです。
非常に優れております」
手に取り、創一はジッと椀を凝視する。
「頂こう」
一口飲む。
「⋯⋯美味しい」
「それは良かったです。
創一様」
「どうした?」
「お客様が」
「通せ」
すると、すれ違いで入って来たのは、一人の老婆。
「神門創一様、これで二度目ですか」
「ん?あぁ⋯⋯」
チラ見すると、創一は煙草に火をつけて体勢を変える。
「どうだった?あの世界は」
「大変良かったです」
「これで安心して逝けそうか?」
その問いに、歳行く老婆は小刻みに頷きながら、手帳を取り出す。
「⋯⋯それは?」
「昔、私が10歳の頃でした。
旅の大賢者とお話をすることがありました。
その時にコレを預けてくださったのです」
「なるほど。
それでわざわざあの時に使っていたのか」
「はい。
色々な願いをこの手帳が解決してくださいました。
私は死ぬ前に何度も願ったのです。
この偉大な大賢者様がどんな人なのか。
どんな哲学を持って、
どんな生き様で、
どんな選択をするのか」
「それにしては中々助けるような介入だったがな」
「はは。
あれではあのまま死んでいましたから」
老婆は安堵したように笑う。
「占い師を選んだのは正解だったな。
能力者で近付いたら間違いなく警戒されただろう」
「⋯⋯はい」
「ケルビン・アスファル・ディア・アウグスベルファウス。
その男の人生はどうだった?」
「誰よりも人間臭く、そして、誰よりも自愛に溢れ、誰よりも孤独なお方でした」
その答えを聞くと、創一は時間差で鼻で笑う。
「その手帳、最初になんて書いてあるんだ?」
「それはですね。
──人の生とは美しい、です」
「⋯⋯奴らしい」
「はい?」
「いや?
もう良いのか?
俺の権能で送ってやったが」
「これ以上の存在は創一様にとっても不都合では?」
「──残り少ない寿命だ。
それくらい居ても問題はないが?」
だが、老婆は首を横に振って答える。
「いいえ。
大賢者様は、もう私を必要とはしていませんから」
「⋯⋯そうか」
「この手帳に私が救われたように、あなたから貰ったスキルで大賢者様のお手伝いができた事が、これ以上なく嬉しいのです」
「あの男は運がいいな」
「ふふ。
惚れても駄目ですよ?」
「⋯⋯ふっ。
俺には勿体ないな」
二人はしばらく見合い、老婆は一礼する。
「──感謝いたします」
「来世はどうしたい?」
「私に選択肢はありません。
塔で産まれるのも、別の世界で産まれるのも、貴方様に選んでもらえるだけで⋯⋯至上の喜びです」
「分かった。
"気をつけてな"」
「創一様」
「ん?」
すると老婆は、創一の前へと行き、屈んで手帳を手渡す。
「無くなってしまう前に、コレを」
「⋯⋯確かに受け取った」
ボロボロの手帳。
創一はそれをしまい、老婆の頭を撫でる。
「■■■■■。」
「ありがとうございます」
深い、深い一礼をし、老婆はこの和室から消えていく。
「──ふっ」
すると創一の真横に、ウインドウが現れる。
「⋯⋯行くか」
*
そこは円卓。
一番乗りでやってくるが。
「千代、他の奴らは?」
「とうにお時間は過ぎておられますね」
はぁ、と溜息をこぼす創一。
「まぁいい。しばらく──」
背後から電子音が響く。
空間が開き、そこからは。
「久しぶりだな、神門創一」
その男を見て、創一は笑って返す。
「そっちこそ、神功覇玄」
隣に座る覇玄。
「それで?
人様の世界に介入した感想は」
【ハンドルネーム:VVIP★★★万物の御手さんが入室しました】
「なんだ?
お前が眼の力でやったんじゃないか」
「だからってな」
「見たかったんじゃないのか?
かつて"捨てた世界"を」
「⋯⋯⋯⋯」
黙り込み、覇玄は火をつけて煙草を吸う。
「あぁ。
俺様には出来なかったことだからな」
「同郷だ。
それくらいはいいだろう?
権能で遊んだって」
「⋯⋯感謝してる」
「なら良い」
と、創一は覇玄に何かを手渡す。
「お前の古い人間からだ」
ボロボロの手帳。
覇玄は受け取ってジッと俯く。
「⋯⋯馬鹿が」
「永眠を選んだ。
これを失くすのは惜しいからって、俺に預けてきたよ」
「すまねぇな。
先輩であり、この塔の頂点である空の玉座様に対してこんな事までやらせるなんて」
「⋯⋯いいさ。
同郷だからな」
すると金属を抉るような音が広がる。
黄金に輝く空間が現れ、中から全身黄金ずくめの礼服を着た神々しく煌めく長髪の男が現れ、スッと座る。
【ハンドルネーム:VVIP★★★黄金の主が入室しました】
「創一、久しぶりだな」
「お前とは3万年ぶりか?ジュリウス」
背に持たれながら創一は呟く。
「外なる神々の反乱以来だ」
「んじゃもっとじゃないか?」
「あれは30万年前だろ?」
覇玄の指摘にそうかと頷く創一。
「感覚が狂うな」
「そういえば"アイツ"は?」
ジュリウスの言葉に、二人は""""残り一つの空いた席""""を見つめる。
「時間が掛かってるんだろう?」
「まぁ、色々あるだろう?
そもそも俺もそうだがジュリウス⋯⋯お前も遅れてんだぞ?」
「ハハ。否定はせん」
「さっ、気長に待とう。
コインも、時間も⋯⋯いくらでもあるんだから」
「はぁ。
四大軍勢会議は一体いつ始まるんだかな」
三人は笑いながら、一人が来るのを待ち続ける。
【黄金の軍勢】
黄金の王── ジュリウス・ノヴァ・シルヴァノ・ザイオン・レオード陛下。
【万物の軍勢】
万物の王── ケルビン・アスファル・ディア・アウグスベルファウス。
日本名──神功覇玄。
【玉座の軍勢】
空の玉座──真羅。
日本名──神城仁。
"本名"──神門創一。
「あとは地獄の軍勢か」
「アイツらは個性しかない奴らだからなぁ」
それがどれくらい掛かるのかも考えず、ただ、ただ待つのだ。
どれほど待とうとも、必ず来ると信じて。
"END"
ーーー
あとがき!
作者です。こんばんは。
本当は19日の21時に更新する予定でした。
しかし珍しく修正しようにも緊張して⋯⋯中々進まず、結局日を跨いでしまいました(笑)
あ、最終回だからかと。
明日は作者による、なんがいあとがきを投稿する予定でございます。
そこではFAQ?
この作品における疑問を出来る限り全てお答えするつもりです。
何かしら今後もサブや閑話など、投稿はするかもしれませんが、本編はこれ以上進む事はありません。
詳しい挨拶は明日するとして、もしかしたら本編読んだらもういいやって方もいるかと思いますので、ここで軽く言わせてください。
自分が他人の近況ノートを見ない人なので、なんとなく分かります。
初めて投稿した5月頃ですか。
あれから大体もう少しで一年近くが経とうとしています。
あれから毎日皆さんにお届け出来て、そして、何よりも完結させる事ができました。
至らない点しかなかったと思いますが、少しでも読んでくださった皆様の"感情"が動いたのであれば、作者の自分から言う事は何もありません。
短くまとめたつもりですが、長ったらしいなと思ったらすみません。
ですので、明日お答えするに当たって、気になることなど様々な疑問はコメント欄に置いて頂けると助かりますので、よろしくお願い致します。
最後に。
この作品を一度でも触れてくださった皆様、読んでくださった皆様、並びに、エピソード毎にコメントやハートを押してくださった皆様、レビューや星をくれた皆様、そしてギフトを投げてくださった皆様、本当にありがとうございました。
それではまた何処かで。
作者/ちょす氏
寝返りを打つ。
「んー⋯⋯」
ーーねぇ、■■■■!
「んー⋯⋯」
「ねぇーえ」
柔らかくて良い匂い。
「ん?」
朧気に見上げると。
「そーくん!
起きてえー!!」
珍しいなぁー。
いつもはもっと可愛く起こしてくれるのに。
「どうしたの?"紗季"」
おー良い感触。
「そこおっぱい!!」
朧気な視界には恥ずかしそうな紗季の顔。
「あぁ、ごめんごめん」
でもさ、眠いんだよね。
「もー⋯⋯!」
抱きついてしばらく。
目が合うとスイッチが入ったように唇が重なる。
⋯⋯結局朝から首に手を回してねっとりキスして二度寝するまでが、"今の俺"の一日だ。
「ほら、行くよ!」
起こされると両手を引かれ、覚束ない足取りで俺は介護される。
「なんで私が介護してるの!
しかも、朝は口が汚いんだよ!?」
コップを渡され、洗面台でうがいする。
「そんな事言ってなんだんだキスしてくれるの可愛い」
「⋯⋯もう!!」
一緒にうがいして、一緒に顔を洗う。
終わったら紗季からパックを貰って一緒に貼ってそのままリビングに行く。
『本日、日本の若き帝王である
渡瀬美智氏(25)が新たな道へと踏み出すということを発表しました』
テレビニュースで流れる一本の記事。
「美智くんだっけ?
そーくんの親友って凄い──」
「名前で呼ばないで」
「そんな口で塞ぐなんて少女漫画みたいなことしないでよ、もーうっ!」
ふんっ。
さすがだな。
『渡瀬氏は渡瀬ホールディングス・代表取締役CEO、また、最大手であるアルケミア・ミソスの財務最高責任者、国際経済フォーラム理事も務め、更に政治では内閣府特別経済顧問を務めるなど、25歳とは思えないその手腕に世界の名だたる人物たちから注目を集めています』
「この間渡瀬くんが来てうちの人事たちが恐れ慄いてたよ」
キッチンからニュースを見て引き笑いする紗季。
「よし、日本に帰国したらうちに来いって言ったのに」
「そーくん、もう学生じゃないんだよ?
渡瀬くんは一分一秒が惜しいんだから」
『渡瀬CEO、重大な発表とは一体?』
『はい。
我々は次代の進化の基盤として、そして、これからの未来の為に、エリックCEOと手を組み、現在進めているAI開発、加えて宇宙開発に着手していこうと考えています』
シャッター音が鳴り止まない。
『では質疑応答を』
一人の記者が当てられる。
『渡瀬CEO、私はわくわく新聞の朝日と申します』
『初めまして』
『この五年で、様々なことを成し遂げてきたと⋯⋯世界経済の重鎮たちを含め、国内外問わず同じ反応かと思います。
インフラ整備、M&A、様々な業界へ進出すればどの分野でも一流と肩を並べ、その規模は海の向こうを超え、挙句ボランティアから何まで、とても25歳では到達出来ないレベルの偉業を成し遂げていますよね』
『べた褒めですね。
ありがとうございます』
『いえ、公然の事実だと思います。
同じ日本人として嬉しく思います。
それこそ長者番付に最速で載ったアジア人としても記録として載っていますし、何より⋯⋯悪い噂をほとんど聞きません。
長くなりましたが、以前雑誌で拝見した時に「まだやる事がある」。
そう仰っていましたが、今や"日本の金庫"や"世界の渡瀬"。
この地球でこれほどまでに活躍している若き帝王が、何を成すのかが非常に気になります』
少し考え、アイツはマイクを近付けた。
『私は、星になりたい』
『星?』
『我々には魂があります。
誰しも持っていて、誰しもが輝き、誰しもが燃やすことの出来る⋯⋯素晴らしいモノです。
しかし、星は雲がかかってしまったら輝けませんよね?
私は、星は魂だと考えているんです。
魂を燃やす時、自身の星は輝く。
その星を綺麗だと言う人もいれば、もっと輝けるだろうと言う人もいる。
私は、世界中の魂が燃え上がるような⋯⋯全員が星となって輝けるような⋯⋯そんな世界を創りたい。
しかし、現代ではどうでしょう?
圧力があって、やりたい事もできない。
やろうとしても周囲は馬鹿にして痛いやつだと指を差します。
就活では失敗を許さないですし、入ってからも出世するには多大な時間と失敗を許さないストレス。
私からすれば意味が分からない。
人生に失敗は付き物です。
なんですか、失敗は許さないって。
だからこそ──全員が輝ける世界を。
全員が己の魂に沿ったやりたいこと。
それを実現するには金がいります。
夢がいります。
願いがいります。
輝く為には時間が必要で、燃料が必要です。
世の中は燃料を作る時間がない。
だから、燃料を作り、皆さんのエンジンをフル稼働させられる世界を創る為──私はインフラを整え、世界を整え、燃え上がるような若い世代を作り、それを応援してもらえるような人生を進む為、まだまだ世界を変えます。
⋯⋯それが、燃やす事が──我が人生であり、私の存在意義です』
「良いこと言うじゃんか。
アイツ」
「同い年とは思えないよ」
コトンと、目の前に並ぶ目玉焼きとトースト。
「「いただきます」」
「んー、美味しい」
やっぱ紗季の飯はうめぇ。
「でしょ?
本場からとってきたやつだからさ」
「てかあの一年半、マジで寂しかったわ」
卒業後、紗季は白波グループに入社。
実際に現場へ行き、挙げ句海外支社に行ったりと、俺を放置して頑張ってた。
「⋯⋯その間どっかの誰かは別の女とベッドにいたくせに」
「約束なんだから仕方ないだろ?」
「そうかな?
電話した時なんて腰が軽くなったからとか言ってたよね?」
──ぎく。
「負けました」
「よろしい」
あの後、ジジイとの約束を強制執行させられ⋯⋯いや、約束を果たす事になった。
松前、諸星、その他諸々の日本で有名企業の令嬢たちと。
諸星のジジイが言う、血縁という約束が欲しいからとな。
「本当。
そーくんが普通の男の子だったら殺されてるよ?」
確かに。
お前らと結婚はしねぇけどやる事はヤるぜ?だもんな。
「まぁそれが貴族ってやつだ」
紗季を見ながら口を開けて待つ。
「何、またぁ?」
「俺、紗季の手からじゃないと飯が食べられない」
「今一口目普通に食べてたよね?」
「やーだ!
紗季の手からじゃないと食べられない病に罹ったの!
もう病に犯されて五年が経ったの!
あー誰か助けてくれないかな?」
「あー!分かった分かった!!」
「んー!!美味しい!
病が軽くなった⋯⋯!」
「⋯⋯演技に磨きがかかってる」
ピンポーン。
「あ、紗季は飯食ってて」
「え?そこは私じゃないんだ」
「なんかあったら困るやん」
「何よ、もう」
玄関へ行き、扉を開ける。
「あ、"白波"湊翔さんでお間違いないでしょうか?」
「はい、いつもお疲れ様です」
「あっ、ありがとうございます。
では、こちらに」
サインをして扉を閉める。
「あれ?配達?」
「あれ、今日集まるじゃん?
飾り付けの道具を頼んでたの」
「遅くない?」
「まぁ、""皆""隣じゃん」
「確かに」
「あ、それより俺ご飯食べたい」
「自分で食べてー!!」
「ハハハハハッ!」
*
うちのリビングには、一本秘密ルートがある。
「なんか、面白いよね」
「まぁな」
その通路は、ある場所へと繋がっている。
「あっ!」
その先は、百人以上入るデカイリビングとキッチン。
──そしてそこには。
「そーく⋯⋯伊崎くん!」
「理⋯⋯永っ」
「理沙ちゃんでいいよそーくん!」
「イッテエェェ!!」
回し蹴りをモロに貰う俺。
「ふんっ!
自分は散々遊んどいて、私には名前すら呼ばせないとか、メンヘラ男め!」
「うるせぇ⋯⋯女は目を離すとすぐに目移りするクソッタレな生き──」
ヤバイ、そこ死ぬ⋯⋯!
「イデデデデ!!」
「私だってそーくん一筋生活全部合わせたら10年目なのに!!!!」
「あら、相変わらずね」
タイルと口づけしている中、もう一人。
「衣里、一日ぶり」
「久しぶり、"伊崎"くん」
「えりりんさすが」
「直すのに5年掛かったから」
二人が喋っている中、俺は紗季にプロレス技をかけられながら叫ぶ。
「痛い痛い痛い!!」
「おっぱい揉むな!!」
「紗季おっぱいじゃないと」
「恥ずかしい事を言うなー!!」
「今、週7じゃん!?」
「人様の前で性事情を語るなー!」
「あらあら。
五年目の夫婦にしてはお熱い」
「本当だよー。
でも、うちの家もあんまり変わらないかも」
二人共!?
そんな所で優雅にコーヒー飲んでないで、俺を助けて!?
「えりりんのところはお盛ん?」
「不器用だけどね。
上手いとかはないけれど、愛情は感じる」
「私のところも同じかな?
まぁ、愛情が重いけど」
「理沙ちゃーん!!」
この声は。
「りゅー、おはようのチューは?」
「んーっ!!」
「おい石田、朝から何見せつけてんだ」
「おやおや伊崎さん?
居たんですか?」
見上げる俺と、見下ろす石田。
「ていうか白波さん、今日はお仕事では?」
「休みを取らせてもらいましたよ。
さすがに」
「よく休めましたね?
確か執行役員でしたよね?」
「このエロエロマンに休まなかったら海外行くとか言われたので」
「あぁ。
エロエロマンはそれくらいの扱いで十分ですよ」
「石田⋯⋯てめぇ、後で覚えとけよ」
「後で覚えとくのはそーくんの方でしょ!」
「いってぇぇ!!」
「ハハハハハッ!
あの天下の男が尻に敷かれているなんて⋯⋯誰が予想出来たことか!」
てめぇあとで減給だ。
絶対に減給してやる。
「と、そろそろ離してあげては?」
「あ、そうでした」
「はぁ⋯⋯マジで窒息死する所だった」
起き上がると衣里がアルコールティッシュと飲み物を待機してくれている。
「サンキュ」
「⋯⋯いえ」
「「ふっ」」
思わず懐かしくて笑ってしまう。
「銀は?」
「いるぞ」
「おっ!2日ぶり!」
背後にいる銀に向かって突き出して拳を合わせる。
「大将も変わらずだな。
⋯⋯と、白波さんも」
「あっ、おはようございます」
お前ら面接かよ。
他人行儀過ぎる。
「さっ、鈴と大地はまだか?」
「さすがにまだだな。
お昼くらいには来るみたいだ」
「そうか。
なら、その間にミーティングだけ済ませとくか」
「「⋯⋯あ、忘れてた」」
ハモる二人。
「忘れんなよ」
とりあえず、さっさと面倒な事は終わらせないとな。
*
「おー、良い匂いだな」
「伊崎さん、肉足ります?」
「何言ってんだ石田。
お前らの食事も俺持ちだろ」
「⋯⋯確かに」
「備蓄庫に死ぬほどあるわ」
まぁ気付いた人もいるだろうが、秘密基地を改造して家を建てている。
ここは秘密基地の中央エリアの何でもコーナーであり、最初に俺がこの二人とあった場所でもあるこの場所で──今はBBQをするという、な。
「ていうか、俺からしたらそこの二人が意外だったんだよな」
「確かに!」
近くでした準備していた理沙もブンブン頷いている。
「私とりゅーくんは分かるけど、真壁さんと衣里は意外というか」
そこ二人は俺たちが結婚してから石田が猛アプローチ。
その末、すぐに婚約まで至ったって訳だ。
同棲は要らん。
既に知っている人間だからな。
「あなた?聞いてるわよ」
「え?あ、あぁ⋯⋯その、一緒に仕事をしている内に居ないと困るようになったというか⋯⋯だな⋯⋯」
「⋯⋯男ってなんでこういう時にふわふわしてるのかしら」
「す、すまない!
そういう訳ではないんだ!」
衣里たちは俺達が結婚した直後に、まさかの出来ちゃった婚。
どうやら既に結婚前提の付き合いでたまたまだったらしい。
というか、衣里が意図的にそう仕向けたらしい。
「まぁ⋯⋯意外と塩梅いいのかね」
「そうじゃない?」
理沙と笑いながら下準備をしていると。
「ねぇ、私はー!?」
「可愛い俺の嫁よ、バックハグなんてしたら子供が出来ちゃうよ」
「じゃあ作る?」
「ワーオ」
理沙が口笛を吹く。
「⋯⋯まだ早いな?」
「やっぱり伊崎さんの奥さんは奥さんだ」
「石田さーん?」
包丁を振り上げる紗季に必死な弁明をする石田。
「ああっ、いえ!何でもありません!!
いやー!色々ありますよね!人生って!」
「「「「はははははっ」」」」
まさか、五年も経ってるのに、同じ場所で、まさか全員が結婚してるなんてな。
「衣里、子供は?」
「あっ、見てもらってる」
「連れてきなよ」
「──湊翔兄ぃ!!」
「湊翔お兄ちゃん!」
聞き覚えのある声の方を向くと。
「⋯⋯鈴、大地も」
そこには、ストレートヘアーの高飛車な感じに仕上がった大学生の鈴と、鈴よりでかい大地が衣里の子供を抱えて登場。
「久しぶりだな。
1年ぶりか?」
「うん!」
「結局大学は何処になったんだ?」
金持ちになりたいという鈴の思想は変わらずだったはずだが。
「今はスタンフォードで色々勉強中!
金持ちには色々知識がいるからね!」
「⋯⋯誰のせいであんな風になったんだ?大将」
見ての通り全身高級ブランドである。
「俺が誕生日とかに買ったものです」
「お兄ちゃん!
湊翔兄ぃは悪くないでしょ!?」
「はぁ。鈴?
向こうの男たちはそんな甘くない。
いつ牙を向くか分からんのだ」
「大丈夫だって!」
と、まぁ。
「とりあえず肉焼くぞー」
遅れて聞こえてくる返事。
まぁ、何も変わらんな。
*
「大地は本格的に訓練か?」
「うん!
いよいよ目前!
来年から試験!」
「そうか。
ネットニュースで話題になるのを見なきゃな」
「見ててよ!
絶対に載ってみせるから!」
と、ご覧の筋肉で語られると、さすがの俺も肯定せざるを得ない。
「そうだ、南ちゃんは呼んでないの?」
三人で話していると背後から紗季が訊ねてくる。
「あー⋯⋯アイツ今日も合コンだって」
「それはそーくんのせいでしょ?」
「え?
俺が何言っても合コンしか言わねぇんだもん」
「「「そりゃそうだよ!」」」
⋯⋯え?
俺、遂に三人からも言われるようになっちゃった。
「南は可愛いんだ。
絶対に良い男がいるって。
急ぐな!って言ったんだけどなぁ⋯⋯」
「だってお兄ちゃんのスペックがねぇ?」
「はぁ?」
「だって容姿が良くて、お金持ってて、育児とか家事とかも解決してくれる。
それで察しが良くて、会う度に鞄を買ってくれる兄がこの世にどれくらい居ると?」
「何言ってんだ。
いっぱいいるに決まってるだろ」
何を愚問な。
妹の為なら国を滅ぼすくらいには愛してますとも。
「「「そんな兄はどこにも居ません」」」
「⋯⋯え?」
「湊翔兄ぃ。
少なくともそんな兄は見たことないよ」
「俺も知らないよ?
なんなら下をいじめてる兄が多いくらいだよ?」
「──そもそもそれは死すべきだろ」
「やっぱりそーくんって自己評価低いよね?」
「なんだ紗季。
褒めても何も出ないぞ」
「じゃあキスし──」
「「わぁ」」
「これでいい?」
長い余韻に浸って真っ直ぐ見つめると、恥ずかしそうに目をそらして肉を頬張る紗季。
「ごほん!!」
「イチャイチャしてるー!
湊翔兄ぃが落ち着いてる!鈴感動したよ!」
「あれだけ遊んでたのに!」
「昔の話だ」
「そうだ、湊翔兄ぃの弟は?」
「受験だと」
「みんな通る道だぁ、頑張ってと言いたい」
「ていうか南がなぁ⋯⋯」
アイツ、マジで理想が高くなってる問題を解決しねぇと。
「それはそーくんが悪い。
明らかに身の回りに芸能人がいたらバグるのと一緒」
「でも南は常識があるし」
「そういう問題じゃないんだけどなぁ⋯⋯」
クソッ。南!
頼むからまともな男とくっついてくれよぉ!?
*
「⋯⋯⋯⋯」
テトラポットの上で一人、一服しながら夜空を見上げる。
それから夜。
みんなで呑みまくって、昔の事を語った。
あの時はどうだっただの、この時はああだっただの。
鈴がああだったこうだった。
大地は女の子に振られたとかな。
正直、二人以外は語れるほど離れてない。
ほぼ毎日一緒にいる。
理由は簡単だ。
あのリビングの空間は、昔から変わってないから。
何も変わってない。
俺の魔法で劣化はしないし、最低限の清掃で済むからだ。
それぞれ家はあるのだが、全員の癖だ。
朝の着替えが終わると、結局あそこに集まってそこに居るメンバーで他愛もない話をして、時には仕事の話をする。
そこにはある種の村のような感覚さえある。
夫婦としては違くても、全員が家族で、全員が全員の事を考えて生活している。
過干渉かもしれないが、誰も苦になっていない。
ニートになって5年。
毎日退屈のようで退屈ではない。
些細なイベントが起こって、それを大人たちで解決していく。
誰かが問題を持ってきて、みんなで解決する。
そんな毎日。
俺にとっては、かけがえのない日々。
待ち焦がれたモノ。
毎日が不変で、けれど全くの不変でもない。
そこには親がいたり、兄弟がいたり、親戚がいたり、友がいたり、全てが人生の一部で、慈しむべきモノたち。
「あれっ?
そーくん、こんな所にいた」
「⋯⋯紗季」
「夜中にどうしたの?」
「いや、あれから5年だろ?」
「──うん」
隣で一緒にしゃがんで夜空を見上げる紗季。
思わず優しく肩を抱き寄せる。
「幸せだなぁ⋯⋯って」
「色々あったもんねぇ」
「そうだな」
両親への挨拶で両家爆泣きイベントがあったり。
結婚式でよしが泣いてたり、同級生たちも半泣きだったり。
「私ね、今すっごく幸せなの」
俺の手を握って、紗季は夜空に向かって呟く。
「それは俺もだよ」
「今度どこ行こっか?」
「沖縄とかいいんじゃないか?」
「あー!良いかも!行こーよ!」
「仕事は?」
「⋯⋯パパを脅して」
近いのに耳打ちしてくる。
「まぁこういう時に使わないとな」
「後は北海道も行きたいし、韓国とかハワイも行きたい」
「⋯⋯大量だな」
「まだまだいっぱいだよ!
そーくんと見たい所⋯⋯いっぱいあるもん」
寄り添う俺達は互いに頭を預けていた。
「なぁ、紗季」
「んー?」
「結婚してくれてありがとう」
「⋯⋯何?急に」
ーー■■■■!
「昔、地獄に居たんだ」
「⋯⋯うん」
ーーなんで生きてんだろ、俺。
「どうしようもなくてさ」
「⋯⋯⋯⋯うん」
「なんで生きてんだろって思う事があって⋯⋯それでも生きていけたのは⋯⋯紗季が居たから」
ーー俺って何かしたか!?なぁ!!
「⋯⋯うん」
「もし何かあったら言ってくれ。
俺がなんとかする」
「ふふ。
──無いよ」
首筋に手の感触。
横目で見つめると、紗季が両手を上げている。
「ん」
鼻で笑って俺は抱き締める。
「──好き」
「俺も」
満月の下、俺と紗季は自分でも言うのも恥ずかしいほど重ねて、心を交わす。
互いの魂でも吸い取るように。
「ふふ」
「ふっ」
どれくらい経ったのかも忘れるくらい。
離れて、また──互いの鼻先が触れる。
「髪、良い匂い」
「そーくんが好きって言ってたから」
「可愛いじゃん」
「そっちだって、なんだかんだ合わせてくれる」
「カッコイイのは旦那の矜持だ。
自分の妻にモテない旦那は男じゃない。
週7求められるくらいじゃねぇとな?」
「それはほとんどの男の人は無理じゃない?」
「⋯⋯それはそうかも」
「「ふっふふ」」
「ねぇ」
「んー?」
綺麗な満月だな。
「⋯⋯俺、産まれてきて良かったよ」
「⋯⋯⋯⋯ふふ、私も」
それは願いなのか。
自分の感想なのか。
運命なのか。
⋯⋯正直分からん。
だが、日々は俺達とは関係なしに過ぎ去っていく。
「ねぇ、そーくん!」
「んー?」
「荷物持った!?」
「おう」
玄関で革靴を履いた俺の視線には、立て掛けられた写真立て。
"俺らズッ友"
"魂は繋がってる"
"ざっきー、またボランティア行こうぜ"
毎年恒例、BBQの時の写真。
海外で撮った真壁妹弟との入学式と卒業式の写真。
南の卒業式と入学式、そして成人式で俺がピースしながら泣いてる写真。
拳哉の入学式と卒業式の写真。
成人式の後に一緒に酒を飲んでる写真。
よしと現地の人間と撮ったボランティアの写真。
そして。
"第一子──総司"
紗季の大きくなったお腹に頬ずりして撮った写真。
"第二子──桜"
"第三子──律"
"第四子、双子──空・蒼真"
そしてそれは、七子まで。
「パパ!」
ドタドタ玄関まで走ってきては、俺を見上げる。
「どうした?総司」
「ボク、パパみたいになれるかな?」
靴を履かせていると、そんなことを言ってくる。
「どうしたんだー?」
「昨日ね?
パパがすごいんだって⋯⋯美智おじさんが言ってたから!」
アイツ変な事吹き込みやがって。
「あぁ。
パパはそこら辺の男よりもすごいが、一番すごいのは⋯⋯ママだ」
どれだけ運命が変わったとしても、紗季は明るくて、ずっと暗い場所へ居ようとする俺を照らしてくれる。
「ママ!」
そこへ、大慌ての紗季がやってくる。
「ごめんね!」
流れでそのまま鞄を受け取り、しゃがんで紗季の前にヒールを置く。
「全然。
身体──平気か?」
「⋯⋯うん!
全然ばっち!」
「もう毎年だからさ、さすがに心配になってきたよ」
「何を今更⋯⋯もうあれから毎年産んでるんだから」
「だからでしょ」
なんて笑って履かせていると。
「そーくんの子供だから毎年産んでるんだよ?」
「⋯⋯今日も頑張るか」
「──馬鹿っ」
*
「はーい総司くんー!」
「石田おじちゃん」
「お前おじちゃんって言われてるぞ」
「あーそっちも良い歳ですぅー!」
全員が並ぶ。
それぞれの子供と、俺ら"親"が並ぶ。
「はーい、撮りますよー!」
秘密基地の真ん中で、俺達は正装で決める。
「3,2,1でいきますからね!」
人が生きる目的はなんだろうか?
それはきっと生涯悩み続ける事だろう。
「3」
色んな事があった。
数え切れない程。
「2」
いや。
考えなくても良いのか。
「1」
俺の人生は、紗季と、コイツらを護る事だけ。
"それ以外に、自分の人生はどうでもいい"
──カシャ!
「おー!
伊崎さん、めっちゃ笑ってる」
見ると幸せそうに銀と石田と肩を組む俺の顔。
下にはいつものみんなと⋯⋯それぞれの子供達。
「あー!
パパたちみんなおタバコ吸いだしてる!」
「ヤニカスには痛い言葉だぜ」
「だな」
「うるさいぞ、莉菜!
パパはタバコが命なの!」
「パパなんか嫌い!」
そう言って石田の子供は走り出して消えていく。
「ハハッ」
そう。俺の望んだ世界。
まぁコイツが不憫なのはいつものことだ。
「石田、銀」
「はい?」
「どうした?」
「ありがとよ」
きっとこの出会いも⋯⋯全てが必然で、全てが運命だとしても。
「なんすか?
また変な仕事振るつもりですか?」
「大将、あのゴミ掃除はやめてくれ」
「いや?心からの言葉だ」
立ち昇る細煙。
眺めながら、俺は言う。
「みんなに会えて良かっ──」
「「おおおおおお!!!!」」
「急に抱きついて⋯⋯なんだっ!?」
「俺達もー!!!」
「良かったぞー!!!」
「「ういっういっういっういっういっ!」」
「なーんだお前ら!
歳取ってキャラなんてどうでも良くなったか!?」
自分の城をどう築き上げるか。
かつての自分はそう言った。
しかし、人生とはどうなるか分からないものだ。
「伊崎さん、年取ってからゲートボールの思案を今から」
「いや、ジムの経営が優先──」
土地を奪われても、たまたま近くの人がくれた土地の方が良いこともあれば、築く城を建ててくれる業者が極上な事もあるし、逆もある。
出来上がっても、材質が良かったり悪かったり。
色々な細部がある。
頑丈にしたって、一人で過ごすのは寂しいし。
けどゆるゆるでも利用されるだけだし。
そんな無限にある項目が。
地球70億人⋯⋯それぞれが、この無限にある項目のパラメーターが違うだけなのだろうと思う。
「本当男って⋯⋯」
昔ならただ築き上げることに集中していたかもしれないが、今はこう思う。
どうやって土地を手に入れて、どうやって築き上げて⋯⋯そして築いた後、どんな風に託すか。
「俺達三人──死ぬまで家族っすね!
伊崎さん!」
「大将、最期まで付いていく」
「⋯⋯あぁ」
今のように三人で馬鹿みたいに騒ぎながら、今日も俺は。
⋯⋯爛れて生きていく。
──END。
登った煙はある場所の男へと繋がる。
「ふぅ⋯⋯」
和室の縁側で、ジョロジョロと音を立てる竹を見つめるのは白髪の男。
パタン、と本を閉じ、黒い煙草を深く吸う。
「中々良かったじゃないか」
片膝を立て、男は陽だまりの景色を見る。
コンコン。
その和室にノックがある。
「⋯⋯創一様」
部屋に入ってくる一人の老婆。
「こちらを」
木目の上に置かれる、立ち上る熱々の緑茶。
「千代、何処のだ?」
「心象世界のものです。
非常に優れております」
手に取り、創一はジッと椀を凝視する。
「頂こう」
一口飲む。
「⋯⋯美味しい」
「それは良かったです。
創一様」
「どうした?」
「お客様が」
「通せ」
すると、すれ違いで入って来たのは、一人の老婆。
「神門創一様、これで二度目ですか」
「ん?あぁ⋯⋯」
チラ見すると、創一は煙草に火をつけて体勢を変える。
「どうだった?あの世界は」
「大変良かったです」
「これで安心して逝けそうか?」
その問いに、歳行く老婆は小刻みに頷きながら、手帳を取り出す。
「⋯⋯それは?」
「昔、私が10歳の頃でした。
旅の大賢者とお話をすることがありました。
その時にコレを預けてくださったのです」
「なるほど。
それでわざわざあの時に使っていたのか」
「はい。
色々な願いをこの手帳が解決してくださいました。
私は死ぬ前に何度も願ったのです。
この偉大な大賢者様がどんな人なのか。
どんな哲学を持って、
どんな生き様で、
どんな選択をするのか」
「それにしては中々助けるような介入だったがな」
「はは。
あれではあのまま死んでいましたから」
老婆は安堵したように笑う。
「占い師を選んだのは正解だったな。
能力者で近付いたら間違いなく警戒されただろう」
「⋯⋯はい」
「ケルビン・アスファル・ディア・アウグスベルファウス。
その男の人生はどうだった?」
「誰よりも人間臭く、そして、誰よりも自愛に溢れ、誰よりも孤独なお方でした」
その答えを聞くと、創一は時間差で鼻で笑う。
「その手帳、最初になんて書いてあるんだ?」
「それはですね。
──人の生とは美しい、です」
「⋯⋯奴らしい」
「はい?」
「いや?
もう良いのか?
俺の権能で送ってやったが」
「これ以上の存在は創一様にとっても不都合では?」
「──残り少ない寿命だ。
それくらい居ても問題はないが?」
だが、老婆は首を横に振って答える。
「いいえ。
大賢者様は、もう私を必要とはしていませんから」
「⋯⋯そうか」
「この手帳に私が救われたように、あなたから貰ったスキルで大賢者様のお手伝いができた事が、これ以上なく嬉しいのです」
「あの男は運がいいな」
「ふふ。
惚れても駄目ですよ?」
「⋯⋯ふっ。
俺には勿体ないな」
二人はしばらく見合い、老婆は一礼する。
「──感謝いたします」
「来世はどうしたい?」
「私に選択肢はありません。
塔で産まれるのも、別の世界で産まれるのも、貴方様に選んでもらえるだけで⋯⋯至上の喜びです」
「分かった。
"気をつけてな"」
「創一様」
「ん?」
すると老婆は、創一の前へと行き、屈んで手帳を手渡す。
「無くなってしまう前に、コレを」
「⋯⋯確かに受け取った」
ボロボロの手帳。
創一はそれをしまい、老婆の頭を撫でる。
「■■■■■。」
「ありがとうございます」
深い、深い一礼をし、老婆はこの和室から消えていく。
「──ふっ」
すると創一の真横に、ウインドウが現れる。
「⋯⋯行くか」
*
そこは円卓。
一番乗りでやってくるが。
「千代、他の奴らは?」
「とうにお時間は過ぎておられますね」
はぁ、と溜息をこぼす創一。
「まぁいい。しばらく──」
背後から電子音が響く。
空間が開き、そこからは。
「久しぶりだな、神門創一」
その男を見て、創一は笑って返す。
「そっちこそ、神功覇玄」
隣に座る覇玄。
「それで?
人様の世界に介入した感想は」
【ハンドルネーム:VVIP★★★万物の御手さんが入室しました】
「なんだ?
お前が眼の力でやったんじゃないか」
「だからってな」
「見たかったんじゃないのか?
かつて"捨てた世界"を」
「⋯⋯⋯⋯」
黙り込み、覇玄は火をつけて煙草を吸う。
「あぁ。
俺様には出来なかったことだからな」
「同郷だ。
それくらいはいいだろう?
権能で遊んだって」
「⋯⋯感謝してる」
「なら良い」
と、創一は覇玄に何かを手渡す。
「お前の古い人間からだ」
ボロボロの手帳。
覇玄は受け取ってジッと俯く。
「⋯⋯馬鹿が」
「永眠を選んだ。
これを失くすのは惜しいからって、俺に預けてきたよ」
「すまねぇな。
先輩であり、この塔の頂点である空の玉座様に対してこんな事までやらせるなんて」
「⋯⋯いいさ。
同郷だからな」
すると金属を抉るような音が広がる。
黄金に輝く空間が現れ、中から全身黄金ずくめの礼服を着た神々しく煌めく長髪の男が現れ、スッと座る。
【ハンドルネーム:VVIP★★★黄金の主が入室しました】
「創一、久しぶりだな」
「お前とは3万年ぶりか?ジュリウス」
背に持たれながら創一は呟く。
「外なる神々の反乱以来だ」
「んじゃもっとじゃないか?」
「あれは30万年前だろ?」
覇玄の指摘にそうかと頷く創一。
「感覚が狂うな」
「そういえば"アイツ"は?」
ジュリウスの言葉に、二人は""""残り一つの空いた席""""を見つめる。
「時間が掛かってるんだろう?」
「まぁ、色々あるだろう?
そもそも俺もそうだがジュリウス⋯⋯お前も遅れてんだぞ?」
「ハハ。否定はせん」
「さっ、気長に待とう。
コインも、時間も⋯⋯いくらでもあるんだから」
「はぁ。
四大軍勢会議は一体いつ始まるんだかな」
三人は笑いながら、一人が来るのを待ち続ける。
【黄金の軍勢】
黄金の王── ジュリウス・ノヴァ・シルヴァノ・ザイオン・レオード陛下。
【万物の軍勢】
万物の王── ケルビン・アスファル・ディア・アウグスベルファウス。
日本名──神功覇玄。
【玉座の軍勢】
空の玉座──真羅。
日本名──神城仁。
"本名"──神門創一。
「あとは地獄の軍勢か」
「アイツらは個性しかない奴らだからなぁ」
それがどれくらい掛かるのかも考えず、ただ、ただ待つのだ。
どれほど待とうとも、必ず来ると信じて。
"END"
ーーー
あとがき!
作者です。こんばんは。
本当は19日の21時に更新する予定でした。
しかし珍しく修正しようにも緊張して⋯⋯中々進まず、結局日を跨いでしまいました(笑)
あ、最終回だからかと。
明日は作者による、なんがいあとがきを投稿する予定でございます。
そこではFAQ?
この作品における疑問を出来る限り全てお答えするつもりです。
何かしら今後もサブや閑話など、投稿はするかもしれませんが、本編はこれ以上進む事はありません。
詳しい挨拶は明日するとして、もしかしたら本編読んだらもういいやって方もいるかと思いますので、ここで軽く言わせてください。
自分が他人の近況ノートを見ない人なので、なんとなく分かります。
初めて投稿した5月頃ですか。
あれから大体もう少しで一年近くが経とうとしています。
あれから毎日皆さんにお届け出来て、そして、何よりも完結させる事ができました。
至らない点しかなかったと思いますが、少しでも読んでくださった皆様の"感情"が動いたのであれば、作者の自分から言う事は何もありません。
短くまとめたつもりですが、長ったらしいなと思ったらすみません。
ですので、明日お答えするに当たって、気になることなど様々な疑問はコメント欄に置いて頂けると助かりますので、よろしくお願い致します。
最後に。
この作品を一度でも触れてくださった皆様、読んでくださった皆様、並びに、エピソード毎にコメントやハートを押してくださった皆様、レビューや星をくれた皆様、そしてギフトを投げてくださった皆様、本当にありがとうございました。
それではまた何処かで。
作者/ちょす氏
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