ファットマンズアフタースクール

ぴえ

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第二章 あいまいみー

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 1ラウンド目。俺と佐藤は互いにリング中央まで足を進めると左拳同士を軽く合わせて、距離をとった。そして、反時計回りにゆっくりと回りながら、その円を少しずつ小さくしながら近づいていく。
 この時点で俺は既に能力を使用していた。今回のスパーリングは合計で九分。連続で使用しても問題ないが、ラウンドごとの合間には一分間のインターバルもある。インターバルの間は能力を使用しなければ余裕で対応できる。
 キュッ、キュッ、とリングと靴の擦れる音を互いに鳴らしながら、二人の距離は縮まっていく。佐藤が俺に数回フェイントをかけるが、能力によってその攻撃が俺に届かないことは簡単に解るので、無視。

 ――来る。

 その地点から、一秒後に見えた佐藤の姿は確実に俺に向かって拳を伸ばしていた。仮にも、プロを目指している男のジャブだ。もちろん、実際のスピードは一秒より短い。だから、実際に放たれるのはもう少しだけ――

 佐藤が繰り出すジャブや軽めのワンツーを俺は能力で見える彼の姿、そして、その動き繰り出されるタイミングを考えながら、ガードで防ぐ。

「へいへい!! 手出せよ!!」

 防御を中心に行っている俺に誰だか知らない男の激がとぶ。まぁ、一見すれば俺が怖がっているように見えるのだろう。
 だが、その声は一理ある。俺としては1ラウンド目は様子見で済ましたかったが、佐藤は明らかに本気ではない。これでは能力のテストにはならない――つまりは、俺としても時間と体力の浪費になってしまう。
 
 ――仕方ない。

 1ラウンド目の終盤。残り十秒の合図が鳴ったときだ。
 佐藤が先程までより、少しだけ本気のワンツーを出した。俺はまだ本気じゃない、もっと強いパンチも出せる。そんなことをアピールし、俺に対して少々驚かせてやろう、というものだった。

 こんなのを待っていた。

 佐藤の見えている軌道に沿って繰り出される右ストレートを左で流し、俺は右ストレートを佐藤の顔面に放つ。
 クリーンヒット。
 周囲から驚きを表す短い声が聞こえたと同時に佐藤は後方にのけぞり、たたらを踏んだ。そこでゴングが鳴る。俺は涼しい表情を装って、自分のコーナーへと戻った。俺の最後の攻撃をもらった佐藤の表情は解らないが、余裕ぶっていた奴が綺麗に一発もらったことを面白がって、くすくすと周囲は笑っている。いい状況だ。
 さて――
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