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第三章:作戦会議

京_3-5

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「本件の動機が怨恨である可能性であるならその結果は無視できないでしょう」

 それは有栖の率直な感想だった。大きな出来事を前にナーバスになる、というのは人間ならば誰にでもあり得ることだ。それが観客などを満足させたり、団体として記念日だったりすれば第三者でも本質までとはいかなくても推察することぐらいはできる。

「もちろん、その四人以外にも可能性はある。誰でも良い、会社に恨みがある……とかね。でも、誰でもいいならもっと簡単に、かつ、目立つ機会じゃなくていい。会社に、となると確かに大きな興行で死亡者が出ればダメージはあるかもしれないけど、自身もしくは他人を巻き込むことになる。自身であるならば告発をした自殺が確実。他人を巻き込むならやはりそこまでに至るには理由があるだろうし、こんな不確実な方法を取るよりも手っ取り早い方法が考えつく」

 考えを述べる京に対し、反保も考えて意見を述べる。

「選手が選手を殺害した、となれば大きなニュースになります。今回のように事故死にみせるやり方を選んだ、ということは、自身は無事でありたい、という思いがあるのでしょうか?」
「一理はあると思う。だとしても、やはり不確実な方法に思える。成功すれば良し、と考えているぐらいなのか……どちらにしろ、裏の人間が絡み、そのシナリオに乗った人がいる……」

 京が考え込み、他の者も同じように考える。しかし、明確な答えが出ないと判断すると京は指針を示した。

「どちらにしろ未然に防ぐ為に、毒を持った選手を見つけるのは当日の一発勝負になる。棚神選手、ハルカ選手、藤内選手、ミサゴ選手の四人は有栖さんと反保くん、他は私の方で対処できるように控室や監視方法を検討するわ」
「わかりました」
「わかりました」

 彼女の方針に異論はなく、二人は同意した。
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