壊れるぐらい愛して

ふしきの

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壊れるぐらい愛して 番外編

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「休日どこかに行こうか」
 と、言いだしたのは、啓吾の方。
 登は嬉しいような、照れくさいようなはにかんだ顔をした。

 モールの中にある観覧車。
 平日の人は少ない。
 屋上庭園の遊技場フェンスから海が見える。
 観覧車特別ペアチケットを買って、搭乗する。

 啓吾の悪戯心が出てしまう。
 数台に一台の恐怖のスケルトン席へエスコートする。
 恐怖心を言い訳のように、同じシートに座る。

 日の当たる登の髪は黄金色に輝いて見える。
 長いまつげが何度も瞬きしている。
 日差しの角度が顔に陰影をつけるのをじっくりと見つめる。「かわいいな」と思う。
 そうして頂点でキスをする。
「馬鹿、やめろって」
 誰が見てるか分からないところでと、登は真っ赤になる。
 だけど、2度目のキスは静かに目を閉じた。
 柔らかな唇を味わっている。
 贅沢なシチュエーションだ。
 お互いの握りあった手は暖かく、ゴンドラはガタンと揺れて下って行く。

「また乗る?」
 と聞くと、
「嫌」と言って登は歩き出した。
 啓吾は笑った。
「じゃあ、ホテルでも行こうか?海の見えるラブラブなラブであふれたホテル」
「ばっ、馬鹿!」
「濡れたろ」
「馬鹿…そういうところ…ほんと馬鹿。もー」
「短パンでよかった。立ったまま歩くの嫌だからなぁ。な、見えないだろキツキツ」
「知るか!勝手に膨らんでいろ」
「そうさせたの登じゃん」
 足早に逃げていく登の手を握ったままこちらも足早になる。たぶん恥ずかしすぎたのだろう。
「どこ行くんですか?」
「啓吾が美味しいアイス食いたいって言ってじゃないか!ほら、この先美味しい店あるんだって」
「おお、すげぇなぁ。登って優しいなぁ。覚えててくれたんだ」
「うっさい!」 

 何処へでも行こう。
 登が行きたい所へ何処へでも連れて行ってやりたい。時間が許されるなら。笑った顔をいつまでも見ていたい。
 何でもしてあげたい。
 人前だって抱きあいたい。キスの雨を降らしてやりたい、自分の衝動を抑えるのは下半身よりも切実だ。そうすればたぶん登は嬉しさと恥ずかしさとで泣いちゃうだろうけど……でもきっとこの手を握ったままだろう。

 愛おしいと思う時間の共有と思い出がまた一つ増える。 
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