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ナースセンターで、
「東谷さんでしたっけ?」
主治医の近藤に挨拶をされ啓吾は頭を下げる。
ちょっとどうですか?みたいな感じで、夜遅く啓吾は近藤の行きつけの店に飲みに行った。カクテルのシェーカーの音がジャズの音色とともに響く、落ち着いた店だった。
近藤は啓吾のほうへ足を傾けながら酒を飲んでいる。
「登とはどこで知り合ったの?」
「えっ?」
「あいつさぁ、なんかすごい変わった感じがしてね。単純に俺が興味あるだけ…って言っても学生の時ちょっとだけ付き合ってたりしてたんだけどね。元恋人認識としてはそこら辺が気になるっての?」
啓吾はあたりを見渡して店の雰囲気がなんとなしに違った風に見えたのは、2杯目を注文した頃からだった。近藤は興味津津の顔を啓吾に向けている。啓吾は嫌な感じで酒を口に含んだ。カラカラと丸い氷がグラスに鳴った。
「ま、たわいもない、酒飲みの話でも一つして、君の気をひこうかなぁ、って気分なのよ。…沢渡辰之助議員って知ってる。チョイ前テレビとか気軽に出てくるぐらい有名人…息子の方は地方議員で辰夫っていう典型的な議員一族。辰夫は地味に足場を固めるってんで次期県議選にでも出るんじゃないかなって噂…。登はその大先生の庶子。本人は隠しているけど、俺達がいた学校に学業助成金って名目でポンと二階建ての体育館ができるほどだったからあながち間違いでもないって噂が立ってさ、女も男もみんなして面白いから声かけてみた訳、俺もその一人。あいつてさぁ、なんか目に入るだろ、どこ行ってもその手の種類の人間て不思議と目に映るんだよね」
暗示をかけるような人出し指と中指が目の前を通りすぎる。
思ったより酒が進まず、啓吾はこの一杯を飲み終わったら早々に立ち去ろうと思った。
近藤は面白そうに笑いながら啓吾を見つめている。
「面白いからちょっと触ってみた…最初はそんな感じの軽いのり程度だったんだけど、はまったのはこっちの方。そして気が付いたら、逆に追い詰められてそれを知ったときには茅の外……俺の場合は、美味しい時期にちょうどいい留学先を資金援助してくれる団体にすっぽり収まっちゃって。当然俺の実力なんて息巻いてたら、実際は、あれやこれやでまんまとこっちが騙されたって、参ったねぇエリート社会の鮮烈洗礼受けちゃったよ。ま、今となっては百戦錬磨の強者になって帰って箔がついたわで万々歳だけどね。男運が良いのだか悪いのだか」
そう言われた時、何か釈然としなくて、単にアルコールが回ったせいなのか、右腕の縫合痕がじんわりうずいたようで自然に左手でかばうような姿勢になってしまった。
この目の前の憎々しい男が、知ってか知らずかの三面記事に載った新聞の話を啓吾はつぶやく。
ああ、アレかぁアレって感じで、
「形ではね…実際は、俺の聞いた筋では、おとり捜査に登が進んで出たらしいってことになっている。ま、あんたがあの時英雄バリにしゃしゃり出なくても、公安が幕を張っていたんだよ。小わっぱジャンキーストーカーがたんまり持ってる余罪の網のおかげで廻り回って議員の株が上がったという寸法」
「知らなかった…」
「な、知らないことばかりだろ。登には、人を惹きつける力があるんだよ。最近、沢渡の爺さんが弱りだしてから、辰夫よりも登の方をきちんとした形で沢渡家に迎えるって話が出たくらいだ…で、今回のこの事件」近藤はニヤついて啓吾を見つめた。「実際どうなんだろうね。犯人は…案外身近にいたりしてね、愛情の逆恨みって奴??」
「愛情の逆恨み……」
「あいつの義理の兄貴、辰夫の最初の初恋は登なんだよ…昔見せてもらったことがある。登は小学生に入るまで女の子姿で写真を撮ってたんだ…母親が月に一度沢渡に手紙と一緒に出していたんだよ」
啓吾は呆然としてしまった。
近藤は啓吾にだけ聞こえるようにだんだんと体を寄せてくる。
「医学部研修でいろんなことしなくちゃいけない時に、くそ真面目に実習に付き合ってくれたんだよね。登のテイモウとかいろんな所剃ったりしたんだ。あいつ何しても嫌がらないし…その時たまたま首の後ろに痣があるのを見つけちゃったんだ。何だろうかって思ったら覚えてないって言うから、ついでにってぇの、ほんのちょっぴり薬混ぜちゃったんだね。俺、本質的にSだから。そしたら免疫ないんで催眠術でもかかったように喋る訳よ。辰夫の兄様が裏切ったとかわめき散らして、意味分からず追いかけ回され、日本刀で振り回された挙げ句。最後は止めに入った庭師のじいさんに刃物が突き刺さって大泣きしたとかって」
啓吾はコップをダンと置いて立ち上がろうとした。これ以上なにも聞きたくないと思った。聞くのなら登の口から聞きたいと思った。こんな男からではなく。登自身から。それを近藤の強い力で抑えつけられた。
「煙草一本くらいいいだろう…俺夜勤明けで、疲労困憊意識虚脱のモーロー気味なんだよね」
近藤は煙草をゆるりとくゆらせると言った。
「なあ、あんたさぁ、登のこと守ってやってくれないかな。思い出したらいままであいつのことを泣かせてばっかりだったからさ」
「言われなくてもそうするつもりだ、それに登はもう大人だ」むっとして、そう言った。
一口だけ吸った煙草を灰皿で揉み消すと、
「あいつってさぁ、見えない壁があんだよね。何かトラブルがあるとすぐに分かった様な顔して諦めちゃったり、馬鹿やってても、妙に一線引いてて、冷めちゃった顔したりするところあるんだよね」
「俺の知ってる登は、寂しがり屋でわがままで頑固者だけど?」
「へぇ。そりゃまた興味出たねぇ。でも、今は、俺、こっちのほうが興味あるんだけど」
近藤は軽く啓吾の唇を奪った。舌を出しながら笑って言った。
「この世界じゃ出会いが少ない分、情報は簡単に手に入る…今度うちに遊びにおいでよ。啓吾君。俺、自分で自慢できるぐらい執刀と縫合は上手いよ…こんな風に痕が残らない縫合から男らしく傷跡残す程度の縫合まで」そう言いながら右腕を触ってきた。「開発もさらに上手いよ」
「ふざけんな!」
「相談だったら何時でも乗ったげるからさ。タチに目覚めたのは登からだから、両方いけるんだけど、君がネコになるのってすごく興味がある」
「お互い酒が入りすぎたようだ、先に失礼する」スーツの襟を直しながらぶっきらぼうに啓吾は「お前、学生時代友達いなかった口だろう……でも、今日は、…色々感謝する。ありがとう」
そう言って外に出た。
真っすぐすぎる背中をあきれながら見つめて呟く。
「うわぁ。男前すぎるぅ。惚れるわぁ」
繁華街に出てタクシーを拾うまで啓吾の興奮は収まらなかった。
何度も深呼吸を繰り返す。
何、何んだあの男は!腹が立つ。腹が立ちすぎて頭が回らない。登の言葉といい、何を考えているんだ。俺は、どうしたいんだ、どうすればいい。という気持ちでいっぱいだった。
ムカつく男が「あいつを縛り付けている見えない壁をぶっ壊してくれ」そう聞こえたような気がする。
世の中にはどんなに頑張っても自分の上のさらに上を行く奴は沢山いる。
それがどうにもならないことに腹が立ってしょうがなかった。
柴田ゼミの秋元と鈴本がゼミ室代表して登の所に見舞いに来てくれた。
秋元の渡航日程が正式に決まったこと、今の研究の進行状況、ゼミ生の起こした変な出来事やら柴田教授の助言やらが登の心にじんと来た。
「早いところ柴田教授に挨拶に行かないとね」
登は精いっぱいの笑顔で言うと、
「会社も学校も辞めて高木さんこれからどうするの?」
と、鈴本が言った時に、登は呆然とした。
声が出なくなった。
それを秋元と鈴木はフォローするように、
「ま、通り魔が怖くて電車が乗れないってのも分からないことはないけどね…」
「アホか秋元!それくらいで怖気づいたら家から一歩も出られないわ!だが戦士には休息というのも必要なのだよ、悪い悪いから、チョークはやめて!」
登は力なく二人の漫才を見ていた。
「柴田教授は、また遊びにいらっしゃいって。学校辞めても研究を続ける限り自分の生徒だからって、遠慮なく来なさいってさ」
「……そう」
登はただうつむいた。
二人が出て行った後の部屋はとても寒かった。
ベッドから見える空は灰色だった。
光線が酷くなればその分色が変わる特殊ガラスでできているので、いつも暗く感じた。まるで光を嫌うように登は布団をかぶって泣いた。
その頃、東谷の働く絨陶商事でも、大がかりな辞令は張り出された。前々から打診されていた東谷は、人事異動で海外研修が海外部支店への配属転換という形に変わり渡された。
「急で悪いのだが他に候補者がいなくて」
「期間はどのくらいですか」
人事担当者は頭を抱えて「向こうさんの出方次第だから、分からない」とだけしか答えてもらえなかった。
登どう言えばいいのだろう、病院に行く足も重くなってしまった。
なんでこの時期にこのタイミングで!
「あー、いかん。無駄に頭を悩ませるときじゃない。こんな顔見せるわけにはいかん!」
頭を掻きむしった後、元気に病室のドアを開けた。
そこには、登はいなかった。
すべてが引き払われた後だった。
慌てて家に戻った。
そこでも登の形跡をすべて消すように何もかもなくなっていた。
ベットの引き出しにある読みかけの本に一枚小さな手紙が残っていた。
数字羅列、ただの記号が書いてあるだけ。
「あの馬鹿!」
「東谷さんでしたっけ?」
主治医の近藤に挨拶をされ啓吾は頭を下げる。
ちょっとどうですか?みたいな感じで、夜遅く啓吾は近藤の行きつけの店に飲みに行った。カクテルのシェーカーの音がジャズの音色とともに響く、落ち着いた店だった。
近藤は啓吾のほうへ足を傾けながら酒を飲んでいる。
「登とはどこで知り合ったの?」
「えっ?」
「あいつさぁ、なんかすごい変わった感じがしてね。単純に俺が興味あるだけ…って言っても学生の時ちょっとだけ付き合ってたりしてたんだけどね。元恋人認識としてはそこら辺が気になるっての?」
啓吾はあたりを見渡して店の雰囲気がなんとなしに違った風に見えたのは、2杯目を注文した頃からだった。近藤は興味津津の顔を啓吾に向けている。啓吾は嫌な感じで酒を口に含んだ。カラカラと丸い氷がグラスに鳴った。
「ま、たわいもない、酒飲みの話でも一つして、君の気をひこうかなぁ、って気分なのよ。…沢渡辰之助議員って知ってる。チョイ前テレビとか気軽に出てくるぐらい有名人…息子の方は地方議員で辰夫っていう典型的な議員一族。辰夫は地味に足場を固めるってんで次期県議選にでも出るんじゃないかなって噂…。登はその大先生の庶子。本人は隠しているけど、俺達がいた学校に学業助成金って名目でポンと二階建ての体育館ができるほどだったからあながち間違いでもないって噂が立ってさ、女も男もみんなして面白いから声かけてみた訳、俺もその一人。あいつてさぁ、なんか目に入るだろ、どこ行ってもその手の種類の人間て不思議と目に映るんだよね」
暗示をかけるような人出し指と中指が目の前を通りすぎる。
思ったより酒が進まず、啓吾はこの一杯を飲み終わったら早々に立ち去ろうと思った。
近藤は面白そうに笑いながら啓吾を見つめている。
「面白いからちょっと触ってみた…最初はそんな感じの軽いのり程度だったんだけど、はまったのはこっちの方。そして気が付いたら、逆に追い詰められてそれを知ったときには茅の外……俺の場合は、美味しい時期にちょうどいい留学先を資金援助してくれる団体にすっぽり収まっちゃって。当然俺の実力なんて息巻いてたら、実際は、あれやこれやでまんまとこっちが騙されたって、参ったねぇエリート社会の鮮烈洗礼受けちゃったよ。ま、今となっては百戦錬磨の強者になって帰って箔がついたわで万々歳だけどね。男運が良いのだか悪いのだか」
そう言われた時、何か釈然としなくて、単にアルコールが回ったせいなのか、右腕の縫合痕がじんわりうずいたようで自然に左手でかばうような姿勢になってしまった。
この目の前の憎々しい男が、知ってか知らずかの三面記事に載った新聞の話を啓吾はつぶやく。
ああ、アレかぁアレって感じで、
「形ではね…実際は、俺の聞いた筋では、おとり捜査に登が進んで出たらしいってことになっている。ま、あんたがあの時英雄バリにしゃしゃり出なくても、公安が幕を張っていたんだよ。小わっぱジャンキーストーカーがたんまり持ってる余罪の網のおかげで廻り回って議員の株が上がったという寸法」
「知らなかった…」
「な、知らないことばかりだろ。登には、人を惹きつける力があるんだよ。最近、沢渡の爺さんが弱りだしてから、辰夫よりも登の方をきちんとした形で沢渡家に迎えるって話が出たくらいだ…で、今回のこの事件」近藤はニヤついて啓吾を見つめた。「実際どうなんだろうね。犯人は…案外身近にいたりしてね、愛情の逆恨みって奴??」
「愛情の逆恨み……」
「あいつの義理の兄貴、辰夫の最初の初恋は登なんだよ…昔見せてもらったことがある。登は小学生に入るまで女の子姿で写真を撮ってたんだ…母親が月に一度沢渡に手紙と一緒に出していたんだよ」
啓吾は呆然としてしまった。
近藤は啓吾にだけ聞こえるようにだんだんと体を寄せてくる。
「医学部研修でいろんなことしなくちゃいけない時に、くそ真面目に実習に付き合ってくれたんだよね。登のテイモウとかいろんな所剃ったりしたんだ。あいつ何しても嫌がらないし…その時たまたま首の後ろに痣があるのを見つけちゃったんだ。何だろうかって思ったら覚えてないって言うから、ついでにってぇの、ほんのちょっぴり薬混ぜちゃったんだね。俺、本質的にSだから。そしたら免疫ないんで催眠術でもかかったように喋る訳よ。辰夫の兄様が裏切ったとかわめき散らして、意味分からず追いかけ回され、日本刀で振り回された挙げ句。最後は止めに入った庭師のじいさんに刃物が突き刺さって大泣きしたとかって」
啓吾はコップをダンと置いて立ち上がろうとした。これ以上なにも聞きたくないと思った。聞くのなら登の口から聞きたいと思った。こんな男からではなく。登自身から。それを近藤の強い力で抑えつけられた。
「煙草一本くらいいいだろう…俺夜勤明けで、疲労困憊意識虚脱のモーロー気味なんだよね」
近藤は煙草をゆるりとくゆらせると言った。
「なあ、あんたさぁ、登のこと守ってやってくれないかな。思い出したらいままであいつのことを泣かせてばっかりだったからさ」
「言われなくてもそうするつもりだ、それに登はもう大人だ」むっとして、そう言った。
一口だけ吸った煙草を灰皿で揉み消すと、
「あいつってさぁ、見えない壁があんだよね。何かトラブルがあるとすぐに分かった様な顔して諦めちゃったり、馬鹿やってても、妙に一線引いてて、冷めちゃった顔したりするところあるんだよね」
「俺の知ってる登は、寂しがり屋でわがままで頑固者だけど?」
「へぇ。そりゃまた興味出たねぇ。でも、今は、俺、こっちのほうが興味あるんだけど」
近藤は軽く啓吾の唇を奪った。舌を出しながら笑って言った。
「この世界じゃ出会いが少ない分、情報は簡単に手に入る…今度うちに遊びにおいでよ。啓吾君。俺、自分で自慢できるぐらい執刀と縫合は上手いよ…こんな風に痕が残らない縫合から男らしく傷跡残す程度の縫合まで」そう言いながら右腕を触ってきた。「開発もさらに上手いよ」
「ふざけんな!」
「相談だったら何時でも乗ったげるからさ。タチに目覚めたのは登からだから、両方いけるんだけど、君がネコになるのってすごく興味がある」
「お互い酒が入りすぎたようだ、先に失礼する」スーツの襟を直しながらぶっきらぼうに啓吾は「お前、学生時代友達いなかった口だろう……でも、今日は、…色々感謝する。ありがとう」
そう言って外に出た。
真っすぐすぎる背中をあきれながら見つめて呟く。
「うわぁ。男前すぎるぅ。惚れるわぁ」
繁華街に出てタクシーを拾うまで啓吾の興奮は収まらなかった。
何度も深呼吸を繰り返す。
何、何んだあの男は!腹が立つ。腹が立ちすぎて頭が回らない。登の言葉といい、何を考えているんだ。俺は、どうしたいんだ、どうすればいい。という気持ちでいっぱいだった。
ムカつく男が「あいつを縛り付けている見えない壁をぶっ壊してくれ」そう聞こえたような気がする。
世の中にはどんなに頑張っても自分の上のさらに上を行く奴は沢山いる。
それがどうにもならないことに腹が立ってしょうがなかった。
柴田ゼミの秋元と鈴本がゼミ室代表して登の所に見舞いに来てくれた。
秋元の渡航日程が正式に決まったこと、今の研究の進行状況、ゼミ生の起こした変な出来事やら柴田教授の助言やらが登の心にじんと来た。
「早いところ柴田教授に挨拶に行かないとね」
登は精いっぱいの笑顔で言うと、
「会社も学校も辞めて高木さんこれからどうするの?」
と、鈴本が言った時に、登は呆然とした。
声が出なくなった。
それを秋元と鈴木はフォローするように、
「ま、通り魔が怖くて電車が乗れないってのも分からないことはないけどね…」
「アホか秋元!それくらいで怖気づいたら家から一歩も出られないわ!だが戦士には休息というのも必要なのだよ、悪い悪いから、チョークはやめて!」
登は力なく二人の漫才を見ていた。
「柴田教授は、また遊びにいらっしゃいって。学校辞めても研究を続ける限り自分の生徒だからって、遠慮なく来なさいってさ」
「……そう」
登はただうつむいた。
二人が出て行った後の部屋はとても寒かった。
ベッドから見える空は灰色だった。
光線が酷くなればその分色が変わる特殊ガラスでできているので、いつも暗く感じた。まるで光を嫌うように登は布団をかぶって泣いた。
その頃、東谷の働く絨陶商事でも、大がかりな辞令は張り出された。前々から打診されていた東谷は、人事異動で海外研修が海外部支店への配属転換という形に変わり渡された。
「急で悪いのだが他に候補者がいなくて」
「期間はどのくらいですか」
人事担当者は頭を抱えて「向こうさんの出方次第だから、分からない」とだけしか答えてもらえなかった。
登どう言えばいいのだろう、病院に行く足も重くなってしまった。
なんでこの時期にこのタイミングで!
「あー、いかん。無駄に頭を悩ませるときじゃない。こんな顔見せるわけにはいかん!」
頭を掻きむしった後、元気に病室のドアを開けた。
そこには、登はいなかった。
すべてが引き払われた後だった。
慌てて家に戻った。
そこでも登の形跡をすべて消すように何もかもなくなっていた。
ベットの引き出しにある読みかけの本に一枚小さな手紙が残っていた。
数字羅列、ただの記号が書いてあるだけ。
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