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観光地から離れた山奥に小さな庵が建っている。
ヒノキで作られた屋根は無駄に金をかけた侘しい作りだった。
花木は剪定されているのか荒れた感じではなかったが、まるで狐か狸が出る昔話の話のような広さと佇まいだった。
「花之木邸」と、近所の人はそう言っていた。
年がら年中どこかの花が咲く庭園だと。
庭の池に舞い落ちた花が汚れもなく漂う姿が美しいと思える。
紫色の小さな花が苔むす石にしっとりと寄りそいで咲く優しい雰囲気だった。
玄関の前で啓吾はしばらく立ち尽くしていた。
居るにしろ居ないにしろ、ここまで来たら引き返すなんて選択肢はない。
この何もない田舎で登がいると思うと、胸が熱くなり一歩足がすくんだ。
「こんにちは」と言っていいのか「こんばんわ」と言うべきなのか、そんな時間帯だった。
奥のほうから、
「どなたで…すか……本日は休園日になっておりますが…」
洗いざらしのシャツに生成りのズボンの登が歩いてきた。
西日が当たる登の髪は黄金色に輝いていた。
啓吾は大きく息を吐いて、
「元気そうじゃねーか」
そう言った。
「…そっちこそ……海外組にしては余裕あるな。……」
登も負けずに言った。
西日が直接目に入ってくるのがうっとおしいのか、登のぶっきらぼうな言葉に腹が立つのか。
「馬鹿か、そんな会社とうに辞めたよ」啓吾は吐き捨てるようにそう言った。
「えっ」
登は戸惑った風に、啓吾を見つめた。
啓吾も強い目で見つめている。
「こんなところで立ち話も何だな…あがれは言ってくれないのか。それとも帰れか?あいにくと後者の選択肢を提案することは却下だ」啓吾は間合いを詰めて登に抱きついた。「なんでお前はいつもそうやって、自分で完結さしちゃうんだ。ならどうして、いま、お前は、声も出さずに泣いているんだよ。俺、言うよな、ちゃんと口に出せって!ちゃんとお前のこと聞いてやるからって」きつく登を縛る力が強い。
「啓吾…本当に啓吾?来てくれた……」
「俺が幽霊にでも見えるか?」
「だって……誰も知らないはず……この場所は」
「俺だって知らなかったよ、こんな超度級のド田舎。会社も生活も何もかも投げ出して……だから確かめさせろ。お前が登だってことを俺の目に」
少しばかり伸びた髪が柔らかく、手にからみつく。つかんだ髪の毛を啓吾はきつくひっぱる。背伸びするように伸びあがった登に唇を重ねる。何度も何度も感触を確かめるように。
「登……寂しかった」
「んっ」
「寂しかったんだよ…お前が居ないと、俺、何もできないくらい寂しかったんだよ」
「……啓吾」
「もっと言ってくれ。俺の名前を」
「啓吾、啓吾……ごめんなさい」
登の涙は枯れることのないほど、落ちていった。
「ごめんはなしだ!謝るな!!!」
顔を覗き込み、ニンマリと笑う啓吾。
「愛しているよ」
「知っている」
「お前も俺を愛している」
「うん、自分で知っている」
「なら、もう自分からも逃げるな。お前はおまえの好きに生きていいんだ」
「……どう、いう、意味」
「お前を愛している。俺がいる。俺は、お前の全てをまもる。だからお目は自分を自分自身を縛るな」
お互いを確かめる行為は続いた。
「また痩せたろう…登の体のどこもかも変わってないか調べさせて」
そう言って、啓吾は首筋から鎖骨にかけて舌を這わせた。
「…やっ」
「嫌と言っても離さない…二度と離さない」
「…馬鹿、嫌じゃない。けど、恥ずかしい……から…せめて家に入ろう……家の中に入ってください、啓吾!!!!聞いてんのか!玄関閉めろ!」
半裸の状態からやっと体を引き抜いた。
「あ、悪い。集中しすぎて意識飛んでた」
外は雨が降リはじめた。
はじめて触れあった時も雨の中だった。
涙でぬれた顔、色白の肌、すがるような顔で啓吾を見つめていたのを思い出した。
あの日からだ、啓吾は自分自身が変わった。
啓吾は、登の足先一本一本を念入りに舌を這わせた。
びくっと、震える登の体を何度も抑えつけた。
「ヤダ、もう!」
「ホントに嫌ならしない。どうして欲しい」
「………恥ずかしいこと言わさないで」
「ここは、何でこんなになっているんだ?」
「やっ……スケベ」
啓吾は、にやっと笑った。
「だって俺スケベだもん」
「もう、いいから……お願い…」
「まだ、駄目。全部見せてくれ、全部確かめさせてくれ、登の全部」
「じれったい。お願い、早く...来て」
月が半月だった。
障子は開かれ、雲間の夜空の星がぼんやりと光っていた。
「都会じゃ見られない光景だな」
「そうでもないよ。早朝の朝日がのぼる前の空は漆黒の夜空で、それはそれで綺麗だよ。前に夜空を見ようのキャンペーン消灯で世界中が一斉に光を消したときなんかとても綺麗だったし」
「町中でこうして夜空を見上げるなんてこと、イベント事じゃないとしないよな」
「そうだね…」
布団の上で夜空を見上げるなんて…。
裸で立ち上がった登は光を浴びて美しかった。
障子を閉じる。
寝枕の行燈に火をともした。
「…朝になってここが廃屋だったとしても、俺は満足だ…」
そう言って口づける。
「キツネや狸の昔話だね…でも、本当にいいの?啓吾は?朝になって化かされたって気がついたら廃屋で真っ裸で寝てましたって」
「俺としてはキツネだろうが狸だろうが登だったらなんでも平気だ。ここ来れば登が居るって分かるなら、朝、真っ裸で職務質問された所で笑って答えるよ。ちょっと昨日は盛んになりましてぇ、ってさ」それ以上の下品ネタは登が唇を抑えて止めた。苦しい、と息をつく。「馬鹿。なに怒ってんだ。情緒的っていうか、雰囲気あるってこと言いたいんだよ。この家が」
「怒ってない。恥ずかしいこと言うな!……ここは母の縁者の家なんだ。昔は豪商だったらしいんだけど、今じゃ、離れのここだけが残ったって聞いて…母が死んだときに、俺はもうどこにも帰るところがないと思っていたら、故意にしていた弁護士の人に財産分与があることを教えてもらったんだ…だからたまに独りこうしてくるときがある」
「ふーん」
「誰も知らない所なんだ。啓吾には見つかったけどね」
「見つけてほしかったんだろう…」
登が笑った。
「でも、あんな手紙で分かるわけないよねって思ったんだけどね。スポーツマンで文系上がり君には…だから賭けてたんだ。自分の運と価値に……正直こんなに早く解かれて驚いた」
啓吾は登をポンポンと叩いた。「賭けは勝った。大勝利だ」一生分の脳みそ使ったと啓吾は軽く怒る。「ただの筋肉馬鹿じゃなかったって分ったか!これでも営業トップクラスだったんだぞ」数学アナログラフ解析から、デートで通りかかった観光地で登の樹木に対する並々ならないこだわりとか、小さい気付きを絞るように思い出し、位置座標軸の測定検証の末、ようやく確実にこれじゃないかと思った場所だ。ガソリン代と高速代金を無駄にしても掛ける価値があると。
そう言われて登は笑った。「ありがとう」と、負けを認めた。
誰でもに見つけてほしかったわけじゃない…自分のお気に入りのかくれんぼ場所を啓吾に見つけて欲しいと思った。ああ、見つかったんだと思った。見つかってよかったと。雨の中で取り残されて一人誰も見つけてくれなかった子供のころのかくれんぼと違って…。嬉しいと、心から思った。大きな腕の中で登はうっとりとしていた。
「ここに住む気か?」
「管理してもらっている人が、たまには旅行したいって言うから引き受けただけ…。別にここで庭園を管理してのんびり暮すのもいいかもね。でも、いずれはここも誰かに住んでもらうか、どこかに譲渡する」
「登……二人で暮らそうか。ここじゃないなら、例えば、どこかの南国の島の一つとか…死ぬまで誰にも邪魔されない所で…昼間でも裸で抱きあえるような場所でさ、暮らしたいとか思わねぇか?」
「ぷっ。ほんと啓吾はロマンチストだ」
「悪いか?」
啓吾は口を尖らせたまま唇を当てた。
登はその唇にチュッと音をさせた。
やさしいキスが落ちてくる。
星の数だけおとされても、まだ足りないほど全身で感じてしまう。
「ダメだって…もう」
「だって、お前がそんなに可愛い顔するから」
「可愛いって、言うな!」
「ほかに言葉が見つからなくてよ。登…可愛い」
「お前のほうがほんと可愛いわ。啓吾」
夜明けの一番鳥が鳴くまで睦ごとは終わらなかった。
ヒノキで作られた屋根は無駄に金をかけた侘しい作りだった。
花木は剪定されているのか荒れた感じではなかったが、まるで狐か狸が出る昔話の話のような広さと佇まいだった。
「花之木邸」と、近所の人はそう言っていた。
年がら年中どこかの花が咲く庭園だと。
庭の池に舞い落ちた花が汚れもなく漂う姿が美しいと思える。
紫色の小さな花が苔むす石にしっとりと寄りそいで咲く優しい雰囲気だった。
玄関の前で啓吾はしばらく立ち尽くしていた。
居るにしろ居ないにしろ、ここまで来たら引き返すなんて選択肢はない。
この何もない田舎で登がいると思うと、胸が熱くなり一歩足がすくんだ。
「こんにちは」と言っていいのか「こんばんわ」と言うべきなのか、そんな時間帯だった。
奥のほうから、
「どなたで…すか……本日は休園日になっておりますが…」
洗いざらしのシャツに生成りのズボンの登が歩いてきた。
西日が当たる登の髪は黄金色に輝いていた。
啓吾は大きく息を吐いて、
「元気そうじゃねーか」
そう言った。
「…そっちこそ……海外組にしては余裕あるな。……」
登も負けずに言った。
西日が直接目に入ってくるのがうっとおしいのか、登のぶっきらぼうな言葉に腹が立つのか。
「馬鹿か、そんな会社とうに辞めたよ」啓吾は吐き捨てるようにそう言った。
「えっ」
登は戸惑った風に、啓吾を見つめた。
啓吾も強い目で見つめている。
「こんなところで立ち話も何だな…あがれは言ってくれないのか。それとも帰れか?あいにくと後者の選択肢を提案することは却下だ」啓吾は間合いを詰めて登に抱きついた。「なんでお前はいつもそうやって、自分で完結さしちゃうんだ。ならどうして、いま、お前は、声も出さずに泣いているんだよ。俺、言うよな、ちゃんと口に出せって!ちゃんとお前のこと聞いてやるからって」きつく登を縛る力が強い。
「啓吾…本当に啓吾?来てくれた……」
「俺が幽霊にでも見えるか?」
「だって……誰も知らないはず……この場所は」
「俺だって知らなかったよ、こんな超度級のド田舎。会社も生活も何もかも投げ出して……だから確かめさせろ。お前が登だってことを俺の目に」
少しばかり伸びた髪が柔らかく、手にからみつく。つかんだ髪の毛を啓吾はきつくひっぱる。背伸びするように伸びあがった登に唇を重ねる。何度も何度も感触を確かめるように。
「登……寂しかった」
「んっ」
「寂しかったんだよ…お前が居ないと、俺、何もできないくらい寂しかったんだよ」
「……啓吾」
「もっと言ってくれ。俺の名前を」
「啓吾、啓吾……ごめんなさい」
登の涙は枯れることのないほど、落ちていった。
「ごめんはなしだ!謝るな!!!」
顔を覗き込み、ニンマリと笑う啓吾。
「愛しているよ」
「知っている」
「お前も俺を愛している」
「うん、自分で知っている」
「なら、もう自分からも逃げるな。お前はおまえの好きに生きていいんだ」
「……どう、いう、意味」
「お前を愛している。俺がいる。俺は、お前の全てをまもる。だからお目は自分を自分自身を縛るな」
お互いを確かめる行為は続いた。
「また痩せたろう…登の体のどこもかも変わってないか調べさせて」
そう言って、啓吾は首筋から鎖骨にかけて舌を這わせた。
「…やっ」
「嫌と言っても離さない…二度と離さない」
「…馬鹿、嫌じゃない。けど、恥ずかしい……から…せめて家に入ろう……家の中に入ってください、啓吾!!!!聞いてんのか!玄関閉めろ!」
半裸の状態からやっと体を引き抜いた。
「あ、悪い。集中しすぎて意識飛んでた」
外は雨が降リはじめた。
はじめて触れあった時も雨の中だった。
涙でぬれた顔、色白の肌、すがるような顔で啓吾を見つめていたのを思い出した。
あの日からだ、啓吾は自分自身が変わった。
啓吾は、登の足先一本一本を念入りに舌を這わせた。
びくっと、震える登の体を何度も抑えつけた。
「ヤダ、もう!」
「ホントに嫌ならしない。どうして欲しい」
「………恥ずかしいこと言わさないで」
「ここは、何でこんなになっているんだ?」
「やっ……スケベ」
啓吾は、にやっと笑った。
「だって俺スケベだもん」
「もう、いいから……お願い…」
「まだ、駄目。全部見せてくれ、全部確かめさせてくれ、登の全部」
「じれったい。お願い、早く...来て」
月が半月だった。
障子は開かれ、雲間の夜空の星がぼんやりと光っていた。
「都会じゃ見られない光景だな」
「そうでもないよ。早朝の朝日がのぼる前の空は漆黒の夜空で、それはそれで綺麗だよ。前に夜空を見ようのキャンペーン消灯で世界中が一斉に光を消したときなんかとても綺麗だったし」
「町中でこうして夜空を見上げるなんてこと、イベント事じゃないとしないよな」
「そうだね…」
布団の上で夜空を見上げるなんて…。
裸で立ち上がった登は光を浴びて美しかった。
障子を閉じる。
寝枕の行燈に火をともした。
「…朝になってここが廃屋だったとしても、俺は満足だ…」
そう言って口づける。
「キツネや狸の昔話だね…でも、本当にいいの?啓吾は?朝になって化かされたって気がついたら廃屋で真っ裸で寝てましたって」
「俺としてはキツネだろうが狸だろうが登だったらなんでも平気だ。ここ来れば登が居るって分かるなら、朝、真っ裸で職務質問された所で笑って答えるよ。ちょっと昨日は盛んになりましてぇ、ってさ」それ以上の下品ネタは登が唇を抑えて止めた。苦しい、と息をつく。「馬鹿。なに怒ってんだ。情緒的っていうか、雰囲気あるってこと言いたいんだよ。この家が」
「怒ってない。恥ずかしいこと言うな!……ここは母の縁者の家なんだ。昔は豪商だったらしいんだけど、今じゃ、離れのここだけが残ったって聞いて…母が死んだときに、俺はもうどこにも帰るところがないと思っていたら、故意にしていた弁護士の人に財産分与があることを教えてもらったんだ…だからたまに独りこうしてくるときがある」
「ふーん」
「誰も知らない所なんだ。啓吾には見つかったけどね」
「見つけてほしかったんだろう…」
登が笑った。
「でも、あんな手紙で分かるわけないよねって思ったんだけどね。スポーツマンで文系上がり君には…だから賭けてたんだ。自分の運と価値に……正直こんなに早く解かれて驚いた」
啓吾は登をポンポンと叩いた。「賭けは勝った。大勝利だ」一生分の脳みそ使ったと啓吾は軽く怒る。「ただの筋肉馬鹿じゃなかったって分ったか!これでも営業トップクラスだったんだぞ」数学アナログラフ解析から、デートで通りかかった観光地で登の樹木に対する並々ならないこだわりとか、小さい気付きを絞るように思い出し、位置座標軸の測定検証の末、ようやく確実にこれじゃないかと思った場所だ。ガソリン代と高速代金を無駄にしても掛ける価値があると。
そう言われて登は笑った。「ありがとう」と、負けを認めた。
誰でもに見つけてほしかったわけじゃない…自分のお気に入りのかくれんぼ場所を啓吾に見つけて欲しいと思った。ああ、見つかったんだと思った。見つかってよかったと。雨の中で取り残されて一人誰も見つけてくれなかった子供のころのかくれんぼと違って…。嬉しいと、心から思った。大きな腕の中で登はうっとりとしていた。
「ここに住む気か?」
「管理してもらっている人が、たまには旅行したいって言うから引き受けただけ…。別にここで庭園を管理してのんびり暮すのもいいかもね。でも、いずれはここも誰かに住んでもらうか、どこかに譲渡する」
「登……二人で暮らそうか。ここじゃないなら、例えば、どこかの南国の島の一つとか…死ぬまで誰にも邪魔されない所で…昼間でも裸で抱きあえるような場所でさ、暮らしたいとか思わねぇか?」
「ぷっ。ほんと啓吾はロマンチストだ」
「悪いか?」
啓吾は口を尖らせたまま唇を当てた。
登はその唇にチュッと音をさせた。
やさしいキスが落ちてくる。
星の数だけおとされても、まだ足りないほど全身で感じてしまう。
「ダメだって…もう」
「だって、お前がそんなに可愛い顔するから」
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