ならば今、勇敢な恋のうたを歌おう

神室さち

文字の大きさ
9 / 34
1 恋の始まりなど、いつだって気づかぬもので。

うやむやのままにやりすごしたい(希望

しおりを挟む
 
 
 
 
「やり方わからない? 貸して」

 携帯電話を持ったまま固まった私に、佐藤君がそう言ってくれたので、素直に渡す。


 すみませんすみませんすみません。私、割と機械には強いつもりなんですけど、日々日常アドレスを交換するような場面に突き当たることがないから使い方わかりません……

 佐藤君の方は、慣れた手つきで私のスマホをいじって自分のスマホと突き合わせている。


「じゃあ、同じ干支同士親睦を深めましょうってことで、金曜は来てね」

「は!?」

 なんでそうなるんですか? もしや佐藤君の中ではすでに私の参加は決定事項?

「え、あの、内藤さんにも呼ばれてないのに、私が突然参加するのはいろいろちょっと……」


 怖いんですけど。佐藤君に誘われたと分かったら尚の事!!


「あー じゃあそこら辺は何とかするから任せといて。ハイ。俺のこれでオッケー。詳しいことはあとでね」

 あっと言う間に登録は終わって、スマホが返ってくる。差し出されたスマホを受け取る為に出した手に、佐藤君の指が触れた時、びくってなったのばれてませんように!!



 降りてお礼を言うと何ともさわやかな笑顔を振りまいた佐藤君が乗った車が走り去っていく。



 なんだか脱力してしまいながら、第二営業所の所長に書類を手渡し、元気ないねぇ 大丈夫? とか言ってくれるオジサンたちからいつも以上にお菓子とねぎらいの言葉をもらって、行きで捕まらなかったのがウソみたいにスムーズに目の前に止まったタクシーに乗り込んで、本社に帰る。



 タクシー代のレシートが片道しかないのを正直に知り合いがたまたま送ってくれたと経理に白状して、総務に戻り、課長に無事書類を渡してきたことを報告して自分の席についても、隣に座っている内藤さんからは何のアクションもなかった。


 さっきのハンコ事件に対するお怒りが収まったのならやり過ごすのが一番。


 とりあえず佐藤君の車に乗ったのは見られてなかったようで、胸を撫で下ろした。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛

ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎 潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。 大学卒業後、海外に留学した。 過去の恋愛にトラウマを抱えていた。 そんな時、気になる女性社員と巡り会う。 八神あやか 村藤コーポレーション社員の四十歳。 過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。 恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。 そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に...... 八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。

雨降る夜道……

Masa&G
恋愛
雨の夜、同じバス停で白いレインコートの女性が毎晩、誰かを待っている。 帰ってこないと分かっていても、 それでも待つ理由がある―― 想いが叶うとき―― 奇跡が起きる――

妖狐の嫁入り

山田あとり
恋愛
「――おまえを祓うなどできない。あきらめて、俺と生きてくれ」 稲荷神社の娘・遥香(はるか)は、妖狐の血をひくために狐憑きとさげすまれ、ひっそり生きてきた。 ある日、村八分となっている遥香を探して来たのは怨霊や魔物を祓う軍人・彰良(あきら)。 彼は陰陽師の名門・芳川家の男だった。 帝国陸軍で共に任務にあたることになった二人だったが、実は彰良にもある秘密が――。 自己評価は低いが芯に強さを秘める女が、理解者を得て才能を開花させる!   & 苦しみを抱え屈折した男が、真っ直ぐな優しさに触れ愛を知る! 明治中期風の横浜と帝都を駆ける、あやかし異能ロマンス譚です。 可愛い妖怪・豆腐小僧も戦うよ! ※この作品は、カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

2月31日 ~少しずれている世界~

希花 紀歩
恋愛
プロポーズ予定日に彼氏と親友に裏切られた・・・はずだった 4年に一度やってくる2月29日の誕生日。 日付が変わる瞬間大好きな王子様系彼氏にプロポーズされるはずだった私。 でも彼に告げられたのは結婚の申し込みではなく、別れの言葉だった。 私の親友と結婚するという彼を泊まっていた高級ホテルに置いて自宅に帰り、お酒を浴びるように飲んだ最悪の誕生日。 翌朝。仕事に行こうと目を覚ました私の隣に寝ていたのは別れたはずの彼氏だった。

花も実も

白井はやて
恋愛
町で道場を営む武家の三男朝陽には最近、会うと心が暖かくなり癒される女性がいる。 跡取り問題で自宅に滞在したくない彼は癒しの彼女に会いたくて、彼女が家族と営む団子屋へ彼は足しげく熱心に通っているのだが、男と接客している様子を見ると謎の苛立ちを抱えていた。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

運命の番より真実の愛が欲しい

サトウミ
恋愛
田舎娘のゾーイは龍族の王子・シャウロンの『運命の番』だった。 ロマンチックな恋を夢見るゾーイは『運命の番』であるシャウロンと会えるのを楽しみにしていた。 しかし、シャウロンはゾーイに対して素っ気ない。 運命の番だからといって、必ずしも愛し合う関係だとは限らないらしい。 それを悟ったゾーイは、シャウロンのもとから去ることを決意した。

処理中です...