ならば今、勇敢な恋のうたを歌おう

神室さち

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3 気づいたところで、もうどうしようもないのです。

普通、と言う定義はとてもあいまい。

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「誰にも言わないでください、お願いしますっ! 両親にも姉にも、絶対縁故だってばれないようにしなさいって言われてるんです」


「いや、もうばらすも何もアレなんだけどね。いいよ、黙っとく。また貸し一つね」


 不穏なセリフを付け足しながらも、あっさり了解してくれた佐藤君に、だって短大の就活担当の教授が、一年の秋に行われた就活説明会で、開口一番『コネのあるものはまずそこから当たるように』って言ったから、私のコネと言ったら伯父しかいないので、頼んでもらったとか、言い訳全開の説明をする。


「ああ、就職難だもんなぁ コネのある子がそっちで決めてくれたら、教授の仕事は一つ減るし、他の子に回る仕事は一つ増えるもんね。そう言えば街宮さんは短大卒だし。普通に考えたら、街宮さんに行きつきそうだけど、なまじっか仕事が出来ちゃうから対象から外れたんだな。なんだ、変な心配して損した」


「コネ使って卑怯だとか思わないんですか?」


「いや、同じ学生の立場だったら正直、羨ましいけど、コネがあるなら使わないと損だと思うよ。

 特にワタヌキみたいに扱うものが特殊でそれについては他の追随を許さないノウハウがある安定した会社なら。

 偽物だったけど、内藤さんみたいに他人(ひと)の誤解をいいことにあんまり仕事しなかったり、虎の威を借りる資格もないのにそれを笠にかぶって先輩にあたる人にまで偉そうにしたりしたらダメだけど、街宮さんはきちんと終業時間内に人より多くの仕事をこなしてるんだから、気に病む必要はないと思うよ」


「……ありがとうございます」

「全部街宮さんが積み上げてきたものだよ。もっと堂々としろって言っても、無理だろうけど」


 堂々と、ですか。でも、私は普通の事を普通にしてるだけだと思うのだけれど。


「ああ、でも、今日はゴメン」

 突然佐藤君が謝りだして、何に謝られたのかわからなくて右側を見上げる。


「だからつまりね、今月、二月末で俺もそっちには行かなくなるんだよ。だから、街宮さんの事をばらすこともできないってわけ。原因が分かって、排除できる見通しがついたから。俺はもともと派遣の方じゃなくて、開発の方なんだ」



 はぁ……?


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