1 / 14
1 私は復讐に燃えないヒロインである
「あっぶねぇー!」
アルベール伯爵家の庭で、アリソンが大声を上げて起き上がった。
「お嬢様! 大丈夫ですか!!?」
屋敷の使用人達が慌てている。先ほどアリソンは庭で走り回るという令嬢にあるまじき行動をとった上、小石に躓き、裾を踏んですってんころりんと花壇のレンガに頭をぶつけてしまっていたのだ。
彼女は穏やかで優しく慈愛に満ち、柔らかなブロンドヘアと神秘的な紫色の瞳を持った美しい少女だった。この日までは。
「すぐにお部屋にお運びするんだ!」
誰もが顔面蒼白だ。涙を堪える者さえいる。
(大袈裟だな~……私を誰だと思ってんの)
ぼんやり顔のままアリソンは先ほどの衝撃で思い出した記憶を咀嚼していた。
あの花壇のレンガに頭をぶつけた瞬間。これまで、アリソンの体で体験したことのない記憶が、湧きだすかのよう思い出されたのだ。
(まさか私が『復讐姫アリソン』のヒロインだなんて……)
『復讐姫アリソン』はアリソンが前世で読んだ小説だ。
預言により未来の聖女と指名された伯爵令嬢アリソン・アルベールは、『姫』と呼ばれるほど周囲からチヤホヤともてはやされてきた。しかし決して驕らず、高飛車にならず、優しく朗らかで、もちろん努力も怠らない。まさにヒロインに相応しい人となりだった。
だがこの物語りはもちろん悪役が存在する。男爵令嬢デボラ・クローズだ。デボラこそ真なる聖女であり、アリソンはアルベール家が成り上がる為に偽の預言により未来の聖女を名乗っている! と王や神殿に告発したのだった。
結局穏やかな気質のアルベール家は狡猾なクローズ家によってアリソン共々その地位を追われ、婚約者であるノベラス王国の王太子アーロンもデボラに奪われ、最後は王や神殿、そして王国民をも騙した大罪人として、家族もろとも国外追放となってしまう。
失意の中、家族は異国のあばら屋の中、流行り病でアッサリと亡くなり、ズタボロにされた彼女は全ての裏切り者へ復讐を誓った……。
(きっちり復讐は完遂させるんだけど、アリソンの最期がなぁ……)
唯一最後までアリソンを裏切らなかった幼馴染の護衛兵ギルバートと共に、王都の業火の中に身を投じるのだった。決してハッピーエンドとは言えない。そんな物語だ。
(復讐とかめんどくさ~~~)
アリソンは前世の人格が今世の人格に馴染み始めているのをベッドの上で感じていた。
(そもそも聖女ってなに! 別に聖女になりたくないんだけど!?)
この国では王と神殿で権力が二分されている。ここ100年程、関係は悪化しつつあった。未来の聖女であるアリソンと、未来の王であるアーロンの婚約によって、お互い歩み寄り、関係修繕をはかろうしている。
聖女は神殿側のトップの1人だ。この国では治癒魔法を使える人間が時々誕生する。生命の傷や病をたちまち治してしまう魔法だ。ほとんどの場合17歳までにその能力が確認された。その為、力が発現した者は身分を問わず、18歳になると王都の大神殿に集められ1年間教育を受け、その後は国内各地に派遣され、医師のような仕事を任されることになる。
聖女はその中から、現聖女の指名を受けて選ばれるのだ。
(けど結局はある程度若くて、その中でも身分が一番高い人を選ぶって小説に書いてたわね~)
現聖女は侯爵家出身だった。結局は無難な所、文句が出辛い人物を選ぶというのが通例になっている。
「アリソン! 大丈夫かい!?」
「お姉様……!」
部屋のノックもそうそうに、両親と弟がアリソンの部屋へと駆け込んできた。全員顔面に『心配』という文字が書かれているんじゃないかと思うくらいわかりやすい。
「大丈夫です。ご心配おかけしました」
「よかった……しばらくぼんやりしていたと聞いたものだから」
「頭をぶつけた衝撃がすごくって」
(前世まで思い出すくらいだし)
すでに自分自身に治癒魔法をかけ、傷跡も綺麗になっていた。この能力の特徴として、自分自身への治癒魔法はひどく体力を消耗するのだ。それで彼女はまだベッドの中にいる。
「……大神殿に行きたくないのなら……聖女になりたくないのならそれでもいいんだよ?」
父クリフがアリソンを安心させようと微笑みかけた。最近、アリソンは自分が聖女としての務めを果たせるか不安に思っていたことを知っているのだ。その気持ちを払拭しようといつもは決してしない、令嬢にあるまじき行為をおこなったせいで怪我をしてしまったこともわかっていた。
「預言のことなんて気にしなくっていいのですよ」
母クロエも同じようだ。
「そうです! お姉様に文句を言う人がいたら僕が退治してやります!」
えいえい! と、弟ジルは剣を振るう真似をした。
(ああ。この人たちは守らなきゃ)
アリソンはこの家族のことが好きだった。お人好しで穏やかな両親と、天真爛漫で楽しいことが大好きな弟。
(そりゃ~この人達が不幸な目にあえば復讐もしたくなるってもんよね~)
そう小説の中に書かれていた自分を想ったのだった。
「失礼します」
今度はノックの後で入って来た。肩で息をしている。急いでやって来たのだろう。彼は黒髪に青い瞳の、背がすらりと高い青年。名前をギルバートという。見た目も凛々しいが、腕っぷしが強く、アリソンが外出する際は必ず護衛を務めている。出会ったときからずっとアリソンのことを大切に思っている。そういう設定のキャラクターだ。
そんな原作の内容を思い出し、アリソンは少々照れるような気持ちになってしまう。
「お休みのところ申し訳ございません。屋敷の者を代表してご様子をうかがいに」
「心配させてごめんなさいね」
アリソンは使用人からも愛されていた。というより、この一家は使用人を大切にするので、当たり前のように使用人達からも大切に思われているのだ。
原作で一家が国外追放になった時も、彼らが出来る限り無事に、安全に国外へ出れるよう。そして元主人達が苦労しないよう金品をかき集めて手渡していた。それも全てデボラの手の者に奪われてしまうのだが。
「もう大丈夫って皆に伝えてくださいね」
ギルバートはアリソンの顔を見て安心したような顔をした後、深く頭を下げて部屋の外へと出てった。
(あの人も守らなきゃ)
一途な彼はアリソンの剣となり、あらゆる暴力を持って復讐を手伝った。小説のアリソンは彼の恋心を利用したのだ。最期の心中は復讐を手伝ってくれた彼へのお礼なのかもしれない。
(って、死んでたまるか!)
前世の記憶を得た今、もちろんアリソンはそんな未来を歩む気はない。
(どうにかしなきゃ……)
本当に危なかった。ギリギリでこの記憶を引き出せたのは大きい。
(これ、もし小説のこと思い出せないままだったら小説通りの人生送ってたのかな?)
そう考えるとゾッと鳥肌が立つ。
物語はアリソンが18歳の誕生日を迎えて少ししてから始まる。
(あと1か月ってとこね)
その間に今後どうするか決めて動き出さなければ。
「よっしゃ! やるぞ!!!」
復讐のない未来の為にアリソンは1人気合を入れたのだった。
アルベール伯爵家の庭で、アリソンが大声を上げて起き上がった。
「お嬢様! 大丈夫ですか!!?」
屋敷の使用人達が慌てている。先ほどアリソンは庭で走り回るという令嬢にあるまじき行動をとった上、小石に躓き、裾を踏んですってんころりんと花壇のレンガに頭をぶつけてしまっていたのだ。
彼女は穏やかで優しく慈愛に満ち、柔らかなブロンドヘアと神秘的な紫色の瞳を持った美しい少女だった。この日までは。
「すぐにお部屋にお運びするんだ!」
誰もが顔面蒼白だ。涙を堪える者さえいる。
(大袈裟だな~……私を誰だと思ってんの)
ぼんやり顔のままアリソンは先ほどの衝撃で思い出した記憶を咀嚼していた。
あの花壇のレンガに頭をぶつけた瞬間。これまで、アリソンの体で体験したことのない記憶が、湧きだすかのよう思い出されたのだ。
(まさか私が『復讐姫アリソン』のヒロインだなんて……)
『復讐姫アリソン』はアリソンが前世で読んだ小説だ。
預言により未来の聖女と指名された伯爵令嬢アリソン・アルベールは、『姫』と呼ばれるほど周囲からチヤホヤともてはやされてきた。しかし決して驕らず、高飛車にならず、優しく朗らかで、もちろん努力も怠らない。まさにヒロインに相応しい人となりだった。
だがこの物語りはもちろん悪役が存在する。男爵令嬢デボラ・クローズだ。デボラこそ真なる聖女であり、アリソンはアルベール家が成り上がる為に偽の預言により未来の聖女を名乗っている! と王や神殿に告発したのだった。
結局穏やかな気質のアルベール家は狡猾なクローズ家によってアリソン共々その地位を追われ、婚約者であるノベラス王国の王太子アーロンもデボラに奪われ、最後は王や神殿、そして王国民をも騙した大罪人として、家族もろとも国外追放となってしまう。
失意の中、家族は異国のあばら屋の中、流行り病でアッサリと亡くなり、ズタボロにされた彼女は全ての裏切り者へ復讐を誓った……。
(きっちり復讐は完遂させるんだけど、アリソンの最期がなぁ……)
唯一最後までアリソンを裏切らなかった幼馴染の護衛兵ギルバートと共に、王都の業火の中に身を投じるのだった。決してハッピーエンドとは言えない。そんな物語だ。
(復讐とかめんどくさ~~~)
アリソンは前世の人格が今世の人格に馴染み始めているのをベッドの上で感じていた。
(そもそも聖女ってなに! 別に聖女になりたくないんだけど!?)
この国では王と神殿で権力が二分されている。ここ100年程、関係は悪化しつつあった。未来の聖女であるアリソンと、未来の王であるアーロンの婚約によって、お互い歩み寄り、関係修繕をはかろうしている。
聖女は神殿側のトップの1人だ。この国では治癒魔法を使える人間が時々誕生する。生命の傷や病をたちまち治してしまう魔法だ。ほとんどの場合17歳までにその能力が確認された。その為、力が発現した者は身分を問わず、18歳になると王都の大神殿に集められ1年間教育を受け、その後は国内各地に派遣され、医師のような仕事を任されることになる。
聖女はその中から、現聖女の指名を受けて選ばれるのだ。
(けど結局はある程度若くて、その中でも身分が一番高い人を選ぶって小説に書いてたわね~)
現聖女は侯爵家出身だった。結局は無難な所、文句が出辛い人物を選ぶというのが通例になっている。
「アリソン! 大丈夫かい!?」
「お姉様……!」
部屋のノックもそうそうに、両親と弟がアリソンの部屋へと駆け込んできた。全員顔面に『心配』という文字が書かれているんじゃないかと思うくらいわかりやすい。
「大丈夫です。ご心配おかけしました」
「よかった……しばらくぼんやりしていたと聞いたものだから」
「頭をぶつけた衝撃がすごくって」
(前世まで思い出すくらいだし)
すでに自分自身に治癒魔法をかけ、傷跡も綺麗になっていた。この能力の特徴として、自分自身への治癒魔法はひどく体力を消耗するのだ。それで彼女はまだベッドの中にいる。
「……大神殿に行きたくないのなら……聖女になりたくないのならそれでもいいんだよ?」
父クリフがアリソンを安心させようと微笑みかけた。最近、アリソンは自分が聖女としての務めを果たせるか不安に思っていたことを知っているのだ。その気持ちを払拭しようといつもは決してしない、令嬢にあるまじき行為をおこなったせいで怪我をしてしまったこともわかっていた。
「預言のことなんて気にしなくっていいのですよ」
母クロエも同じようだ。
「そうです! お姉様に文句を言う人がいたら僕が退治してやります!」
えいえい! と、弟ジルは剣を振るう真似をした。
(ああ。この人たちは守らなきゃ)
アリソンはこの家族のことが好きだった。お人好しで穏やかな両親と、天真爛漫で楽しいことが大好きな弟。
(そりゃ~この人達が不幸な目にあえば復讐もしたくなるってもんよね~)
そう小説の中に書かれていた自分を想ったのだった。
「失礼します」
今度はノックの後で入って来た。肩で息をしている。急いでやって来たのだろう。彼は黒髪に青い瞳の、背がすらりと高い青年。名前をギルバートという。見た目も凛々しいが、腕っぷしが強く、アリソンが外出する際は必ず護衛を務めている。出会ったときからずっとアリソンのことを大切に思っている。そういう設定のキャラクターだ。
そんな原作の内容を思い出し、アリソンは少々照れるような気持ちになってしまう。
「お休みのところ申し訳ございません。屋敷の者を代表してご様子をうかがいに」
「心配させてごめんなさいね」
アリソンは使用人からも愛されていた。というより、この一家は使用人を大切にするので、当たり前のように使用人達からも大切に思われているのだ。
原作で一家が国外追放になった時も、彼らが出来る限り無事に、安全に国外へ出れるよう。そして元主人達が苦労しないよう金品をかき集めて手渡していた。それも全てデボラの手の者に奪われてしまうのだが。
「もう大丈夫って皆に伝えてくださいね」
ギルバートはアリソンの顔を見て安心したような顔をした後、深く頭を下げて部屋の外へと出てった。
(あの人も守らなきゃ)
一途な彼はアリソンの剣となり、あらゆる暴力を持って復讐を手伝った。小説のアリソンは彼の恋心を利用したのだ。最期の心中は復讐を手伝ってくれた彼へのお礼なのかもしれない。
(って、死んでたまるか!)
前世の記憶を得た今、もちろんアリソンはそんな未来を歩む気はない。
(どうにかしなきゃ……)
本当に危なかった。ギリギリでこの記憶を引き出せたのは大きい。
(これ、もし小説のこと思い出せないままだったら小説通りの人生送ってたのかな?)
そう考えるとゾッと鳥肌が立つ。
物語はアリソンが18歳の誕生日を迎えて少ししてから始まる。
(あと1か月ってとこね)
その間に今後どうするか決めて動き出さなければ。
「よっしゃ! やるぞ!!!」
復讐のない未来の為にアリソンは1人気合を入れたのだった。
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
過去の青き聖女、未来の白き令嬢
手嶋ゆき
恋愛
私は聖女で、その結婚相手は王子様だと前から決まっていた。聖女を国につなぎ止めるだけの結婚。そして、聖女の力はいずれ王国にとって不要になる。
一方、外見も内面も私が勝てないような公爵家の「白き令嬢」が王子に近づいていた。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。
下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。
アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。
小説家になろう様でも投稿しています。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
聖女の代わりがいくらでもいるなら、私がやめても構いませんよね?
木山楽斗
恋愛
聖女であるアルメアは、無能な上司である第三王子に困っていた。
彼は、自分の評判を上げるために、部下に苛烈な業務を強いていたのである。
それを抗議しても、王子は「嫌ならやめてもらっていい。お前の代わりなどいくらでもいる」と言って、取り合ってくれない。
それなら、やめてしまおう。そう思ったアルメアは、王城を後にして、故郷に帰ることにした。
故郷に帰って来たアルメアに届いたのは、聖女の業務が崩壊したという知らせだった。
どうやら、後任の聖女は王子の要求に耐え切れず、そこから様々な業務に支障をきたしているらしい。
王子は、理解していなかったのだ。その無理な業務は、アルメアがいたからこなせていたということに。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?