【完結】初夜に寝取られたので、しっかりお仕置きしようと思います

桃月とと

文字の大きさ
5 / 12

5 嘘

しおりを挟む
 まずは不倫女から相手をしてもらおう。状況がわかっているのかわかっていないのかわからないが。

「リーシャ様、私が誰だかおわかりですか?」
「はぁ!? 権力を使ってレオンと無理矢理結婚した女でしょ!」

(ん? 初っ端からなんかおかしな話が出てきたぞ)

 単純に権力の差を見せつけて、ビビらせてからごめんなさしてもらおうと思っていたのだが、私の方が権力が上にあることは理解しているようだ。

「その話、詳しくお伺いしても?」
「白々しい! あんたは大きな国の姫様で、レオンと結婚できなきゃこの国を攻めるって脅したんでしょ! このクソ女! 私と結婚するはずだったレオンを奪いやがって!」

 そうして一呼吸置いて、さらに声を大にして主張した。

「本当の王太子妃は私よ! 未来の王妃は私なのよ!!!」

 おお~! そこまで宣言するとはある意味清々しい。多分レオンがそんな感じの言葉を枕元で言ってたんだろうな。
 今度は王だけではなく王妃も何か言いたそうだぞ。だがグッと堪えている。ユリウスが目を光らせているからだ。

「では今のお話ついて殿下、ご訂正くださいませ」
「はっ! 訂正することなどない!」
 
 などと強気に発言しているが目は泳いでいる。

「では私が」

 まあこの場で事実を知らないのはリーシャだけだろうが。

「結婚の申し込みは3年前、そちらの国から……陛下自らお手紙までいただきました。それもかなり切望されていたと記憶しています」

 多くの国が私の祖国と縁を持ちたが為にそれはもうたくさんの縁談の話があった。そもそも恋愛優位の国で私の両親も恋愛結婚だ。母は隣国の大商人の娘だった。その為、各国の有力者が私や他の兄弟に見染められようと遊学に来ていた。

「ですから、私から結婚を申し込んだと言うのは間違いです。そもそも3日前の式で初めてお会いしましたし」

 レオンの顔は送られてきた肖像画で知っていたが、だいたいどの肖像画も本人の8割り増しくらいイケメンに描かれることが多いので、あくまで雰囲気の確認だけ、いつの世も重加工は大事なのだ。

「たくさん舞い込んだ縁談の中から両親がこの国を選んだのは、私の幸せを願ってのことです」

 実際は私も一緒に選んだのだが、ちょっぴりしおらしく、初夜に不倫をされた可哀想なお姫様を気取ってみる。いや、実際そうなんだけどね。

「小さいですが活気にあふれ、国民は勤勉で王は誠実に国を治めているこの国なら、私が心穏やかに過ごせるだろうと思ったのです」

(あと、この国のお隣の国と最近取引きが増えてるからこの国通る時の関税安くしてほしいからです)

 まあ実際、リーシャの言うことはあながち間違いではない。この国が私の国の意にそぐわない事をすれば、祖国はこの国を攻めて滅ぼすことはできる。

(面倒だしそんなことしないだろうけど)

 物理的に攻めたりはしないが、外交や経済的なダメージを与えてこの国を痛めつけるのはより簡単だ。だから王や王妃、家臣も含め焦っているのだ。国を守る為にプライドを捨て私のような小娘に何度も頭を下げたりもする。

「この結婚自体も3年前に決まっておりましたが、お二人の出会いはいつですの?」

 まあこれも事前の調べで1年半程前とは聞いているが。そもそも王子婚約のニュースくらい国内に流れているだろうに。
 リーシャの顔色が悪くなる。いったいレオンからなんと言われていたのやら。

「嘘よ!」
「何がですか?」
「全部よ! 全部!!!」

 リーシャは髪を振り乱しながら一生懸命否定する。否定だけする。話にならないパターンか。

「信じる信じないは貴方様のご自由に」

 こいつから謝罪を引き出すのは難しそうだ。すでに一発顔に入れたし、どうやらレオンの言葉をそのまま信じていただけのようだ。信じていた人に裏切られる気分は私にもわかる。贅沢な暮らしも今日には終わるだろうし、この辺でいいかな。むしろこれからの暮らしに彼女が耐えられるのか。

「レオン! ねぇ! 嘘よね!?」
「嘘ではない!!!」

 あら! 今度は王妃様だわ。さっきからプルプル怒りで震えていたもんな。
 ユリウスが確認するようにこちらを見たが、首を横に振る。吐き出すだけ吐き出してもらおう。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました

ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」 政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。 妻カレンの反応は—— 「それ、契約不履行ですよね?」 「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」 泣き落としは通じない。 そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。 逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。 これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。

どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。 無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。 彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。 ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。 居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。 こんな旦那様、いりません! 誰か、私の旦那様を貰って下さい……。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

従姉の子を義母から守るために婚約しました。

しゃーりん
恋愛
ジェットには6歳年上の従姉チェルシーがいた。 しかし、彼女は事故で亡くなってしまった。まだ小さい娘を残して。 再婚した従姉の夫ウォルトは娘シャルロッテの立場が不安になり、娘をジェットの家に預けてきた。婚約者として。 シャルロッテが15歳になるまでは、婚約者でいる必要があるらしい。 ところが、シャルロッテが13歳の時、公爵家に帰ることになった。 当然、婚約は白紙に戻ると思っていたジェットだが、シャルロッテの気持ち次第となって… 歳の差13歳のジェットとシャルロッテのお話です。

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

エメラインの結婚紋

サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢エメラインと侯爵ブッチャーの婚儀にて結婚紋が光った。この国では結婚をすると重婚などを防ぐために結婚紋が刻まれるのだ。それが婚儀で光るということは重婚の証だと人々は騒ぐ。ブッチャーに夫は誰だと問われたエメラインは「夫は三十分後に来る」と言う。さら問い詰められて結婚の経緯を語るエメラインだったが、手を上げられそうになる。その時、駆けつけたのは一団を率いたこの国の第一王子ライオネスだった――

居場所を失った令嬢と結婚することになった男の葛藤

しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢ロレーヌは悪女扱いされて婚約破棄された。 父親は怒り、修道院に入れようとする。 そんな彼女を助けてほしいと妻を亡くした28歳の子爵ドリューに声がかかった。 学園も退学させられた、まだ16歳の令嬢との結婚。 ロレーヌとの初夜を少し先に見送ったせいで彼女に触れたくなるドリューのお話です。

結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。

しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。 友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。 『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。 取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。 彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。

処理中です...