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第二部 元悪役令嬢の学園生活
6 女友達
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ルクサーヌの店主が来る前に、すでにある程度どんなドレスにするかは二人で話し合っていた。
「リディアナのドレス地味じゃない? 原作こんなんじゃなかったっしょ?」
私のクローゼットを確認しながらアイリスは遠慮なく感想を述べる。
「リディアナってゴージャス系とかセクシー系のドレスが多かったじゃん?」
悪役令嬢! って感じの。と、強調しながら。
「落ち着かないのよね。前世ではカジュアルな服ばっかり着てたし」
「前世は関係ないっしょ~好きな服着なきゃっ……て私も好みは引きずってるから人のこと言えないか」
カラカラと楽しそうに笑う。
「アイリスはゴージャスとかセクシー系が好み?」
「もち! だけどアイリスにはいまいち似合わないかなぁ」
「まぁ似合うかどうか以前に他の令嬢に目は付けられるでしょうね」
あれはリディアナだから許されたのだ。公爵令嬢で第一王子の婚約者だからこそ、誰も文句は言えなかった。平民でまだ実績のないアイリスがしたとしたら、貴族令嬢達の噂の格好の餌食となるだろう。
結局最終的にアイリスはデコルテやうなじはしっかり出てはいるが、それ以外はシンプルなパールホワイトのドレスに決めた。
「ああは言ったけど好きにしていいのよ?」
世間体に囚われるのは私の前世からの悪い習慣だ。それをアイリスに強要したようで気が引ける。せっかくなら自分の気に入ったドレスを着て欲しい。
「いやいや! お店の人と話してるうちに、自分がちゃんとしたドレスなんて着たことないこと思い出したんだよね。だからまずは無難なの着てみて、次からチャレンジしようと思ってさ!」
いいかな? と出資者に尋ねるあたり、アイリスはやはり私に遠慮してくれたんだろう。シンプルであれば身に着けるアクセサリーや小物で色々アレンジがきくのだ。どうやらすでに先輩の特待生達に色々と節約術について情報収集をしていたらしい。
◇◇◇
この世界、改めて言うが少女漫画が成り立つポテンシャルを持っている。だからこそ、学園はまさに出会いの場だ! 私達が前世で過ごした学舎とだいたい同じ感覚になっている。甘く苦い青春を送る学生達。大きな違いは婚約者がいる人間が多いくらいだろう。
この『婚約者がいる相手を好きになる』 『婚約者がいるのに他の人を好きになる』 と言った恋愛模様が読者からは人気だった。障害のある恋愛の方が読者も本人達も盛り上がる。
「規模のでかい合コンじゃん?」
「お見合いパーティね」
新入生歓迎パーティは全生徒が楽しみにしている行事だ。特に婚約者を持たない貴族の嫡子以外の生徒は気合いの入り方が違う。卒業後の嫁入り先、婿入り先が決まるかもしれないのだから。パーティは日頃の授業で関われない上級生下級生との交流も盛んにおこなわれる。
「ラストでみーんなこの学園内の人と結ばれてなかったっけ?」
「この学園自体が、貴族子弟の婚活の場としてこれ以上ない会場よね」
学園のパーティのいいところは、エスコートが必要ないところだ。もちろん婚約者が学園内にいる場合は一緒に参加することは多いが、特に決まりはないというのが大事で、原作ではそれを理由にレオハルトはアイリスをパーティに誘い始める。
「リディアナはレオと?」
「一応ね~」
今年一番注目の的になるのはもちろん第一王子のレオハルトだろう。原作ではレオハルトはリディアナとパーティに参加するも、アイリスの事が気になって見つめ続けてしまう……どころかダンスにまで誘う始末。それによって他の令嬢やリディアナから怒りを買うのだ。
「レオがアイリスをダンスに誘わなきゃ、アイリスの学園生活ってかなり楽だったと思うんだよね~」
「そうね。あのダンスがあったから目をつけられたようなもんだし」
「そんなリアルに考えたらダメだってわかってるんだけど、当事者になるとどうしても考えちゃってさ~」
漫画の外では思いっきり楽しんでいたのに勝手な話だよねぇ~と、二人で目を合わせて思わず吹き出す。
今回もし同じことになったらどうなるだろう。私はもちろんイジメる気はないが、ライザやその取り巻きからの嫌がらせは避けられない。そもそもレオハルトがアイリスをダンスに誘うかどうか怪しい。十歳のあの対決以来、私を蔑ろにしないよういつも気にかけてくれてくれている。
(今更それがネックになるとは……私も考えが足りなかったわ)
そうして迎えた歓迎パーティの日、アイリスは私の部屋で着付けをしていた。
「アイリス! よく似合うわ~!」
人気衣装店だけあって、シンプルなドレスだからこそわかるデザインセンスの良さ。作り手の技術は一級品だ。それに着ている本人の素材の良さも際立っている。さらにエリザの手が加わり、完璧な品の良いどこかの令嬢の仕上がりとなった。
「えへへ」
本人もまんざらじゃなさそうだ。原作では可愛らしい印象が強かったが、長い髪の毛を綺麗に巻いているのでそれよりも大人っぽく見えた。
「リディアナも流石ね」
「そーでしょ!」
今日のドレスはミッドナイトブルーで腰回りに夜空のようにキラキラと宝石がちりばめられている。初めてレオハルトからのドレスのプレゼントだ。ついにドレスを送られる年齢まできたのだと感慨深くもある。このドレスも原作とは違う。おそらく原作ではリディアナ自身でドレスを用意したのだろう。
「あ、そこは謙虚にいかないんだ」
「そりゃそうよ。リディアナはアイリスのライバル役よ~ビジュアルでは負けないでしょ」
「原作への信頼度高くてウケる~」
げたげたと笑う姿も可愛いのは流石ヒロインといったところか。私も釣られて笑ってしまう。
「そりゃそうよ。聖典みたいなもんだからね!」
二人でこういう内輪話ができるのは楽しい、というより安心する。この国の未来を知るのが自分だけじゃないというだけで孤独感が減った。それにアイリスは未来の出来事にちゃんと対処しようと思ってくれている。当初の計画とは変わってしまったが、こっちの方がずっといいとこの一週間で気が付けた。
「この格好だったら、アリアもギャアギャア言わないかな」
「それはどーかな」
学園内でアイリスは私と騎士団総長の娘のルイーゼ、そしてレオハルトの婚約者候補だったアリア・ルーフェンボルトと一緒に行動することが多かった。
「アリアって中ボス的なポジションだったじゃん? まさか仲良くなれるとは思わなかったんだけど」
「それな。ってやつね……あのお堅いアリアがギャルを受け入れるなんて」
アリアの境遇はレオハルトと似ている。母親が裕福な平民の出身なのだ。そのせいか、本人はマナーや礼儀をかなり厳しく仕込まれており、アリアもその辺に関しては他人に求めるレベルが高い所がある。生真面目で規律に厳しいが、正義感も強く、ルールさえ守っていれば彼女に睨まれることはない。ある意味理想的な貴族だ。だから貴族のマナーもクソもない格好で登校したアイリスと打ち解けるとは思わなった。
「話せばわかるんだよね~。この学園に身なりに関する校則はないし、学園内では……実態は置いといて……皆平等ってことになってるし。そもそも平民の私に貴族のマナーを説いてどうすんの?って、それを指摘したらあのアリアが言葉に詰まっちゃってさ」
「まさか正論攻めで攻略出来るとは思わなかったわ」
「真面目すぎるんだよねきっと。前世のねーちゃんと似ててなんか親近感わいちゃった」
そう言ったアイリスの顔は穏やかだった。『アイリスの瞳』は姉に借りて読んでいたと言っていた。親御さんとの関係はいまいちだったようだが、お姉さんとの仲は悪くなかったようだ。
「だけど卒業後のために貴族のマナーも勉強しとくべきかな~なんて適当に言ったら、あの子スイッチ入っちゃってさ」
「ちょうどいいから教育係になってもらったらいいじゃん」
最近のアリアは生きがいを見つけたかのようにウキウキしている。アイリスもなんだかんだアリアにかまってもらえるのは嬉しそうなのだ。
「……村じゃ私、ヨイショの対象だったから……おばば見たいに私に体当たりで来てくれるのは嬉しい」
「なんせ初代聖女の末裔様だもんねぇ」
こんな会話をしながらパーティの会場へ向かう。
「リディ! アイリス!」
寮の入り口フロアでルイーゼが手を振ってくれている。隣にはアリアが、そんな大声を出して、と言いたげにルイーゼを横目に見ている。今日は女子四人で参加、といきたかったが流石に初っ端のパーティでレオハルトのエスコートなしだと何を言われるかわからないので、私だけ別行動だ。
「じゃあまた会場で!」
さあ、気合を入れるイベントが続くけど頑張るぞ!!! ……胃痛が出たらアイリスに頼もう……。
「リディアナのドレス地味じゃない? 原作こんなんじゃなかったっしょ?」
私のクローゼットを確認しながらアイリスは遠慮なく感想を述べる。
「リディアナってゴージャス系とかセクシー系のドレスが多かったじゃん?」
悪役令嬢! って感じの。と、強調しながら。
「落ち着かないのよね。前世ではカジュアルな服ばっかり着てたし」
「前世は関係ないっしょ~好きな服着なきゃっ……て私も好みは引きずってるから人のこと言えないか」
カラカラと楽しそうに笑う。
「アイリスはゴージャスとかセクシー系が好み?」
「もち! だけどアイリスにはいまいち似合わないかなぁ」
「まぁ似合うかどうか以前に他の令嬢に目は付けられるでしょうね」
あれはリディアナだから許されたのだ。公爵令嬢で第一王子の婚約者だからこそ、誰も文句は言えなかった。平民でまだ実績のないアイリスがしたとしたら、貴族令嬢達の噂の格好の餌食となるだろう。
結局最終的にアイリスはデコルテやうなじはしっかり出てはいるが、それ以外はシンプルなパールホワイトのドレスに決めた。
「ああは言ったけど好きにしていいのよ?」
世間体に囚われるのは私の前世からの悪い習慣だ。それをアイリスに強要したようで気が引ける。せっかくなら自分の気に入ったドレスを着て欲しい。
「いやいや! お店の人と話してるうちに、自分がちゃんとしたドレスなんて着たことないこと思い出したんだよね。だからまずは無難なの着てみて、次からチャレンジしようと思ってさ!」
いいかな? と出資者に尋ねるあたり、アイリスはやはり私に遠慮してくれたんだろう。シンプルであれば身に着けるアクセサリーや小物で色々アレンジがきくのだ。どうやらすでに先輩の特待生達に色々と節約術について情報収集をしていたらしい。
◇◇◇
この世界、改めて言うが少女漫画が成り立つポテンシャルを持っている。だからこそ、学園はまさに出会いの場だ! 私達が前世で過ごした学舎とだいたい同じ感覚になっている。甘く苦い青春を送る学生達。大きな違いは婚約者がいる人間が多いくらいだろう。
この『婚約者がいる相手を好きになる』 『婚約者がいるのに他の人を好きになる』 と言った恋愛模様が読者からは人気だった。障害のある恋愛の方が読者も本人達も盛り上がる。
「規模のでかい合コンじゃん?」
「お見合いパーティね」
新入生歓迎パーティは全生徒が楽しみにしている行事だ。特に婚約者を持たない貴族の嫡子以外の生徒は気合いの入り方が違う。卒業後の嫁入り先、婿入り先が決まるかもしれないのだから。パーティは日頃の授業で関われない上級生下級生との交流も盛んにおこなわれる。
「ラストでみーんなこの学園内の人と結ばれてなかったっけ?」
「この学園自体が、貴族子弟の婚活の場としてこれ以上ない会場よね」
学園のパーティのいいところは、エスコートが必要ないところだ。もちろん婚約者が学園内にいる場合は一緒に参加することは多いが、特に決まりはないというのが大事で、原作ではそれを理由にレオハルトはアイリスをパーティに誘い始める。
「リディアナはレオと?」
「一応ね~」
今年一番注目の的になるのはもちろん第一王子のレオハルトだろう。原作ではレオハルトはリディアナとパーティに参加するも、アイリスの事が気になって見つめ続けてしまう……どころかダンスにまで誘う始末。それによって他の令嬢やリディアナから怒りを買うのだ。
「レオがアイリスをダンスに誘わなきゃ、アイリスの学園生活ってかなり楽だったと思うんだよね~」
「そうね。あのダンスがあったから目をつけられたようなもんだし」
「そんなリアルに考えたらダメだってわかってるんだけど、当事者になるとどうしても考えちゃってさ~」
漫画の外では思いっきり楽しんでいたのに勝手な話だよねぇ~と、二人で目を合わせて思わず吹き出す。
今回もし同じことになったらどうなるだろう。私はもちろんイジメる気はないが、ライザやその取り巻きからの嫌がらせは避けられない。そもそもレオハルトがアイリスをダンスに誘うかどうか怪しい。十歳のあの対決以来、私を蔑ろにしないよういつも気にかけてくれてくれている。
(今更それがネックになるとは……私も考えが足りなかったわ)
そうして迎えた歓迎パーティの日、アイリスは私の部屋で着付けをしていた。
「アイリス! よく似合うわ~!」
人気衣装店だけあって、シンプルなドレスだからこそわかるデザインセンスの良さ。作り手の技術は一級品だ。それに着ている本人の素材の良さも際立っている。さらにエリザの手が加わり、完璧な品の良いどこかの令嬢の仕上がりとなった。
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本人もまんざらじゃなさそうだ。原作では可愛らしい印象が強かったが、長い髪の毛を綺麗に巻いているのでそれよりも大人っぽく見えた。
「リディアナも流石ね」
「そーでしょ!」
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「あ、そこは謙虚にいかないんだ」
「そりゃそうよ。リディアナはアイリスのライバル役よ~ビジュアルでは負けないでしょ」
「原作への信頼度高くてウケる~」
げたげたと笑う姿も可愛いのは流石ヒロインといったところか。私も釣られて笑ってしまう。
「そりゃそうよ。聖典みたいなもんだからね!」
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「この格好だったら、アリアもギャアギャア言わないかな」
「それはどーかな」
学園内でアイリスは私と騎士団総長の娘のルイーゼ、そしてレオハルトの婚約者候補だったアリア・ルーフェンボルトと一緒に行動することが多かった。
「アリアって中ボス的なポジションだったじゃん? まさか仲良くなれるとは思わなかったんだけど」
「それな。ってやつね……あのお堅いアリアがギャルを受け入れるなんて」
アリアの境遇はレオハルトと似ている。母親が裕福な平民の出身なのだ。そのせいか、本人はマナーや礼儀をかなり厳しく仕込まれており、アリアもその辺に関しては他人に求めるレベルが高い所がある。生真面目で規律に厳しいが、正義感も強く、ルールさえ守っていれば彼女に睨まれることはない。ある意味理想的な貴族だ。だから貴族のマナーもクソもない格好で登校したアイリスと打ち解けるとは思わなった。
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「まさか正論攻めで攻略出来るとは思わなかったわ」
「真面目すぎるんだよねきっと。前世のねーちゃんと似ててなんか親近感わいちゃった」
そう言ったアイリスの顔は穏やかだった。『アイリスの瞳』は姉に借りて読んでいたと言っていた。親御さんとの関係はいまいちだったようだが、お姉さんとの仲は悪くなかったようだ。
「だけど卒業後のために貴族のマナーも勉強しとくべきかな~なんて適当に言ったら、あの子スイッチ入っちゃってさ」
「ちょうどいいから教育係になってもらったらいいじゃん」
最近のアリアは生きがいを見つけたかのようにウキウキしている。アイリスもなんだかんだアリアにかまってもらえるのは嬉しそうなのだ。
「……村じゃ私、ヨイショの対象だったから……おばば見たいに私に体当たりで来てくれるのは嬉しい」
「なんせ初代聖女の末裔様だもんねぇ」
こんな会話をしながらパーティの会場へ向かう。
「リディ! アイリス!」
寮の入り口フロアでルイーゼが手を振ってくれている。隣にはアリアが、そんな大声を出して、と言いたげにルイーゼを横目に見ている。今日は女子四人で参加、といきたかったが流石に初っ端のパーティでレオハルトのエスコートなしだと何を言われるかわからないので、私だけ別行動だ。
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