99 / 163
第二部 元悪役令嬢の学園生活
41 まずは1人目(奪還②)
しおりを挟む
リッグス家の使用人達がバタついている。いつもは屋敷内の広間で行われる奴隷契約が、我々がいることによって場所を変えざるを得なかったのだ。別にやましいことがなければどこでやろうとかまわないだろうに。
「伯爵、あの方達はどなたですの?」
「ああ、出稼ぎ用の仕事を斡旋してやっているのです」
(よくもまぁ~いけしゃあしゃあと)
嘘は言ってないつもりだろうが、金を払う気もないのに何が仕事だ。伯爵は今日の我々の動向を気にしていた。気付いたのはエリザ。どうやら朝から見張りを付けられているらしい。今日は昼から馬車で湖畔にある森まで散策に出ると告げると、一瞬ピクリと眉が動いたが、すぐにいつもの不機嫌そうな顔つきに戻り去ってった。さっさとどこかに行けということか。
集められたのはこの領内の人間ではない。奴隷にされた人々の家族が騒ぐとやっかいだからだ。いつまでも帰ってこない家族をどういう気持ちで待っているのだろうか……。本人達も何も知らず、馬車の長旅から解放され、背伸びをしながら建物に入っていく。
契約魔法をかける作業が始まったら、まず最初にキクリから救出する。今回の奴隷契約は屋敷の離れにある、今は使われていない訓練場でおこなわれるため、最中は屋敷内が手薄になる。せっかく連れてきた奴隷候補達が逃げ出さないように多くの傭兵も一緒に移動するのだ。
協力者を通じてラヴィアとキクリには昨夜、今日の脱出計画は伝えてある。
「なにか騒ぎが聞こえても、部屋でおとなしくしているように」
我々の中でこの屋敷をうろついて違和感がないのはレヴィリオだが、残念ながら一番警戒されているのも彼だ。すでに奴隷契約の件で散々両親とは揉めている。エリザの話じゃ昨夜から部屋の前に三人の見張りが張り付いているらしい。
(隠す気があるのかないのか……)
エリザとルカの従者テオは馬車の準備を進めてくれている。当面の食料や衣類なども詰め込んで。実はすでに別の場所にもう一台荷馬車の用意ができている。レヴィリオは思っていたよりずっと人望があるようで、城下に住む彼の友人達がこの一週間でコッソリと準備を進めてくれていたのだ。そちらの荷馬車でリッグス兄妹とキクリの三人は学園長がいるファーガソン領まで逃げる手筈になっている。
私、ルカ、アイリスは宣言通りお出かけの準備をした。リッグス家から見ると、テオが準備を進めている馬車を使って出かけるように見えるだろう。
私達は待っているのだ。奴隷契約に向けて屋敷内の人員が出来るだけ減るのを。
十二時の鐘が鳴る前にラヴィアと思われる少女が母親と傭兵達に囲まれて玄関から出ていくのを確認した。屋敷の中だというのに、大きな帽子を深くかぶっていて顔が見えない。
「あら、あのお方は?」
「……」
近くにいた使用人に尋ねても誰も答えない。それが答えということだ。
「では」
エリザが屋敷の使用人達に声をかけ、我々は外へ出た。馬車の前にはルカの従者テオが客車のドアを開けて待ってくれている。その時、急に馬が暴れ始めた。すぐにテオがなだめにかかるが、イライラしたような大きな鳴き声あげ、足を踏み鳴らしている。ルカが魔法で馬の尻尾を勝手に動かしたのだ。馬たちは不愉快そうに自分の身体の一部のコントロールを取り戻そうと、大きな尻尾をバタバタと左右に振っている。
(ごめんねぇ)
まだ玄関前にいた数人の使用人がそちらに注目したのを確認して、エリザが例の魔道具で鍵をかけた。これでしばらくは表玄関から人の出入りはできない。これからの計画にほんの少しの時間稼ぎが必要なのだ。
私達は馬が落ち着いた後何食わぬ顔をして乗り込み、何食わぬ顔で屋敷を出発する。我々に張り付いていた見張りが、その目で確認しなければと我々が遠のくのを確認していた。
「少数精鋭なんて嘘でしょう。ど素人です」
エリザからの厳しい評価をうけていた。
「まあ戦闘力と見張りの能力は別だから……」
少し馬を走らせ、人目につかない所で馬車を降り、急いで屋敷に戻る。あらかじめレヴィリオから聞いていた屋敷の塀の穴から入り込み、彼の部屋の窓が見える位置へ向かう。
「それじゃあお願いしま~す」
「はいは~い」
周囲を警戒しつつアイリスが大きな木に触れると、幹から太い木の枝が現れ、我々を乗せてどんどん上へと昇っていく。そうして彼の部屋の窓の前で止まった。ガラスの向こうに、倒れているレヴィリオが見える。部屋の扉も空いていて、見張りの傭兵の靴裏も見えている。どうやらちゃんと作戦が進んでいるようだ。
「はいこれ」
ルカから渡されたのはマスクだ。毒に強い魔獣の皮膚から作られているらしく、眠り玉の効果を受け付けないらしい。
今、屋敷内は眠り玉の煙が充満しているだろう。今回のはそれなりに強力だ。少しでもこの煙を吸えば意識を失うように眠ってしまう。ただ、人間に関しては効果時間がバラバラと言われているので不用意に音を立てずに進んだ方がいいだろう。
「はーい。起きてくださーい」
治癒魔法でレヴィリオを起こすと、会社に遅刻したことに気付いた私のように飛び上がって起きた。
「こ、これは強烈だな……」
馬の鳴き声と同時に眠り玉を部屋の外に投げたということだから、すでに屋敷内の効き目は十分だろう。と、思いつつもドキドキしながら急いで地下へと向かう。問題なく皆倒れていたが、キクリがいる部屋のドアに、重そうな傭兵が寄りかかって眠っていた。大いびきをかいている。
「これ……動かしても起きない?」
「……多分」
ルカがそっと風の魔法で男の身体を持ち上げる。扉に当たらない位置にそっと置いた途端、いびきが止まった。
「……」
全員が息を殺して男を見つめる。
「グ……グオ、グオオオ……」
数秒後、無事に彼のいびきが戻った。
そうしてやっと地下室の扉を開けると、これまた大男が冷たそうな石の床に倒れていた。
「彼?」
想像していたイメージと違ったので、念のため小さな声でレヴィリオに確認すると、ゆっくり首を縦に振った。どうやら彼の扱にショックを受けているようだ。地下室にはもちろん窓はなく、小さなロウソク明かりに粗末なベッドのみ置かれてあった。キクリの顔にはラヴィアへの見せしめのように、大きな傷がいくつも付けられている。
先ほどと同じように治療魔法をかけるとすぐに目を覚ました。レヴィリオの顔を見てとても嬉しそうに声を上げる。
「坊ちゃん!」
「しーっ!」
思わず全員でキクリの口を塞ぎにかかる。彼はコクコクと頷いて自分の手で口を塞いた。近くで見るとさらに顔色が悪く見えた。こんな所に閉じ込められたら当たり前か……。
「急ぐわよ」
眩しそうに目を細めるキクリを連れて、ここまできたルートを戻り、テオの待つ馬車についてようやく一息ついた。まだラヴィアが残っているが、少なくともこれで彼女がこれ以上奴隷を作り出すことはない。
「急いで着替えて!」
「傷を治すわ」
「えぇ!?」
キクリは驚きながらも言われた通りに動いた。変装も兼ねて金持ち息子が着るような華やかな服を用意していたので、少々恥ずかしそうにしている。朴訥とした穏やかな人物のようだが、傷跡は体中の至る所にあり、彼自身もかなり抵抗していたのがわかった。なのにレヴィリオに恨み言一つ言わない。彼の両親がやったことだというのに。
「流石坊ちゃんだ! こんな美人ですげぇ女を二人も侍らせてるなんて!」
「オイやめろ! ゾッとするようなこと言うな!」
エリザの鋭い目が二人に向けられる。
「お嬢は?」
「これからだ」
「俺も……!」
「まぁた捕まったらどうするつもりだよ」
キクリは押し黙ってしまった。どうやら前回はラヴィアを助けに行って捕まってしまったようだ。
とりあえず一勝はもぎ取った。お次はラヴィアだ。緊張が続く。
「伯爵、あの方達はどなたですの?」
「ああ、出稼ぎ用の仕事を斡旋してやっているのです」
(よくもまぁ~いけしゃあしゃあと)
嘘は言ってないつもりだろうが、金を払う気もないのに何が仕事だ。伯爵は今日の我々の動向を気にしていた。気付いたのはエリザ。どうやら朝から見張りを付けられているらしい。今日は昼から馬車で湖畔にある森まで散策に出ると告げると、一瞬ピクリと眉が動いたが、すぐにいつもの不機嫌そうな顔つきに戻り去ってった。さっさとどこかに行けということか。
集められたのはこの領内の人間ではない。奴隷にされた人々の家族が騒ぐとやっかいだからだ。いつまでも帰ってこない家族をどういう気持ちで待っているのだろうか……。本人達も何も知らず、馬車の長旅から解放され、背伸びをしながら建物に入っていく。
契約魔法をかける作業が始まったら、まず最初にキクリから救出する。今回の奴隷契約は屋敷の離れにある、今は使われていない訓練場でおこなわれるため、最中は屋敷内が手薄になる。せっかく連れてきた奴隷候補達が逃げ出さないように多くの傭兵も一緒に移動するのだ。
協力者を通じてラヴィアとキクリには昨夜、今日の脱出計画は伝えてある。
「なにか騒ぎが聞こえても、部屋でおとなしくしているように」
我々の中でこの屋敷をうろついて違和感がないのはレヴィリオだが、残念ながら一番警戒されているのも彼だ。すでに奴隷契約の件で散々両親とは揉めている。エリザの話じゃ昨夜から部屋の前に三人の見張りが張り付いているらしい。
(隠す気があるのかないのか……)
エリザとルカの従者テオは馬車の準備を進めてくれている。当面の食料や衣類なども詰め込んで。実はすでに別の場所にもう一台荷馬車の用意ができている。レヴィリオは思っていたよりずっと人望があるようで、城下に住む彼の友人達がこの一週間でコッソリと準備を進めてくれていたのだ。そちらの荷馬車でリッグス兄妹とキクリの三人は学園長がいるファーガソン領まで逃げる手筈になっている。
私、ルカ、アイリスは宣言通りお出かけの準備をした。リッグス家から見ると、テオが準備を進めている馬車を使って出かけるように見えるだろう。
私達は待っているのだ。奴隷契約に向けて屋敷内の人員が出来るだけ減るのを。
十二時の鐘が鳴る前にラヴィアと思われる少女が母親と傭兵達に囲まれて玄関から出ていくのを確認した。屋敷の中だというのに、大きな帽子を深くかぶっていて顔が見えない。
「あら、あのお方は?」
「……」
近くにいた使用人に尋ねても誰も答えない。それが答えということだ。
「では」
エリザが屋敷の使用人達に声をかけ、我々は外へ出た。馬車の前にはルカの従者テオが客車のドアを開けて待ってくれている。その時、急に馬が暴れ始めた。すぐにテオがなだめにかかるが、イライラしたような大きな鳴き声あげ、足を踏み鳴らしている。ルカが魔法で馬の尻尾を勝手に動かしたのだ。馬たちは不愉快そうに自分の身体の一部のコントロールを取り戻そうと、大きな尻尾をバタバタと左右に振っている。
(ごめんねぇ)
まだ玄関前にいた数人の使用人がそちらに注目したのを確認して、エリザが例の魔道具で鍵をかけた。これでしばらくは表玄関から人の出入りはできない。これからの計画にほんの少しの時間稼ぎが必要なのだ。
私達は馬が落ち着いた後何食わぬ顔をして乗り込み、何食わぬ顔で屋敷を出発する。我々に張り付いていた見張りが、その目で確認しなければと我々が遠のくのを確認していた。
「少数精鋭なんて嘘でしょう。ど素人です」
エリザからの厳しい評価をうけていた。
「まあ戦闘力と見張りの能力は別だから……」
少し馬を走らせ、人目につかない所で馬車を降り、急いで屋敷に戻る。あらかじめレヴィリオから聞いていた屋敷の塀の穴から入り込み、彼の部屋の窓が見える位置へ向かう。
「それじゃあお願いしま~す」
「はいは~い」
周囲を警戒しつつアイリスが大きな木に触れると、幹から太い木の枝が現れ、我々を乗せてどんどん上へと昇っていく。そうして彼の部屋の窓の前で止まった。ガラスの向こうに、倒れているレヴィリオが見える。部屋の扉も空いていて、見張りの傭兵の靴裏も見えている。どうやらちゃんと作戦が進んでいるようだ。
「はいこれ」
ルカから渡されたのはマスクだ。毒に強い魔獣の皮膚から作られているらしく、眠り玉の効果を受け付けないらしい。
今、屋敷内は眠り玉の煙が充満しているだろう。今回のはそれなりに強力だ。少しでもこの煙を吸えば意識を失うように眠ってしまう。ただ、人間に関しては効果時間がバラバラと言われているので不用意に音を立てずに進んだ方がいいだろう。
「はーい。起きてくださーい」
治癒魔法でレヴィリオを起こすと、会社に遅刻したことに気付いた私のように飛び上がって起きた。
「こ、これは強烈だな……」
馬の鳴き声と同時に眠り玉を部屋の外に投げたということだから、すでに屋敷内の効き目は十分だろう。と、思いつつもドキドキしながら急いで地下へと向かう。問題なく皆倒れていたが、キクリがいる部屋のドアに、重そうな傭兵が寄りかかって眠っていた。大いびきをかいている。
「これ……動かしても起きない?」
「……多分」
ルカがそっと風の魔法で男の身体を持ち上げる。扉に当たらない位置にそっと置いた途端、いびきが止まった。
「……」
全員が息を殺して男を見つめる。
「グ……グオ、グオオオ……」
数秒後、無事に彼のいびきが戻った。
そうしてやっと地下室の扉を開けると、これまた大男が冷たそうな石の床に倒れていた。
「彼?」
想像していたイメージと違ったので、念のため小さな声でレヴィリオに確認すると、ゆっくり首を縦に振った。どうやら彼の扱にショックを受けているようだ。地下室にはもちろん窓はなく、小さなロウソク明かりに粗末なベッドのみ置かれてあった。キクリの顔にはラヴィアへの見せしめのように、大きな傷がいくつも付けられている。
先ほどと同じように治療魔法をかけるとすぐに目を覚ました。レヴィリオの顔を見てとても嬉しそうに声を上げる。
「坊ちゃん!」
「しーっ!」
思わず全員でキクリの口を塞ぎにかかる。彼はコクコクと頷いて自分の手で口を塞いた。近くで見るとさらに顔色が悪く見えた。こんな所に閉じ込められたら当たり前か……。
「急ぐわよ」
眩しそうに目を細めるキクリを連れて、ここまできたルートを戻り、テオの待つ馬車についてようやく一息ついた。まだラヴィアが残っているが、少なくともこれで彼女がこれ以上奴隷を作り出すことはない。
「急いで着替えて!」
「傷を治すわ」
「えぇ!?」
キクリは驚きながらも言われた通りに動いた。変装も兼ねて金持ち息子が着るような華やかな服を用意していたので、少々恥ずかしそうにしている。朴訥とした穏やかな人物のようだが、傷跡は体中の至る所にあり、彼自身もかなり抵抗していたのがわかった。なのにレヴィリオに恨み言一つ言わない。彼の両親がやったことだというのに。
「流石坊ちゃんだ! こんな美人ですげぇ女を二人も侍らせてるなんて!」
「オイやめろ! ゾッとするようなこと言うな!」
エリザの鋭い目が二人に向けられる。
「お嬢は?」
「これからだ」
「俺も……!」
「まぁた捕まったらどうするつもりだよ」
キクリは押し黙ってしまった。どうやら前回はラヴィアを助けに行って捕まってしまったようだ。
とりあえず一勝はもぎ取った。お次はラヴィアだ。緊張が続く。
264
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
他小説サイトにも投稿しています。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる