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5 パーティ
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夏休みに入った。とは言っても、前世とは違って1週間しかない。学生は皆王都にあるそれぞれの屋敷戻り、城で開催されるパーティに出席するのだ。
アリスは第一王子エドワードと一緒にいる。その時点で1番好感度の高い攻略キャラが面倒をみることになっている。
(第一王子とどれくらい仲良くなってるんだろ)
第一王子は1番攻略が簡単なキャラだ。婚約者もいないし、単純なので簡単に好感度も上げられる。少なくともゲーム内ではそうだ。
「あの方、殿下の腕にあんなに絡みついて! なんてはしたない!」
「殿下も殿下ですわ! あんなことをお許しになるなるて」
婚約者のいない王子様を狙っている令嬢は多い。パーティで第一王子がアリスをエスコートしているのを見てざわついていた。
「エドワード様もよろしいのかしら。あんな方と一緒で」
「なんか押し切られちゃったらしいよ。泣かれてしまってどうしようもなかったって」
第二王子ルークと親友リーシャのカップルから裏話を聞けて納得した。第一王エドワードは涙に弱い。
「メルは誰と来たんだ?」
「……従兄弟よ」
ついさっきやってきたジルに尋ねられる。
私の地道な努力が実ったのか、最近はジルと喧嘩することが減った。まあ相変わらず競い合ってはいるが、だいぶポジティブな関係にはなったと思っている。だがやはりパーティに一緒にいくまでの関係にはなれていない。
(気にするなら誘ってよ!)
と、言いたいがそれはお互い様なので黙るしかない。
「そーか。オレは妹だ」
「見てたから知ってる」
この世界、16歳を過ぎてのパーティで身内がエスコートというのは少々居心地が悪い。貴族間では婚約者や婚約者候補くらいがいて当たり前だと思われている年齢だからだ。
「……婚約の話とか出てねーの?」
「まだよ。おたくと張り合っちゃって。行き遅れたらどうしてくれるつもりかしらね」
我が家もジルの家も、お互いの家よりいい縁談を結ぼうと躍起になっている。嫡子で男のジルはともかく、私は年齢的にもそろそろ話を決めないといけないので両親は焦っている。
(20歳過ぎたら行き遅れってシビア過ぎない?)
別にジル以外との結婚願望はないし、ダメならその時は結婚しなくていいのだが、世間体がそれを許さない。
「踊るぞ!」
「え!?」
急に引っ張られて踊ってる人達の輪に入る。アップテンポのリズムだ。
「ちょっと! 怒られない!?」
「いーだろ別に。今更怖くもねーだろ?」
我々が気にしているのはお互いの家のことだ。最近、学園での仲の良さを誰かにチクられてしまい、帰宅早々お互い両親に詰められたのだ。
「別にいーじゃねーか! ライバルがいた方が燃えるってもんだろ!?」
なぁ? と言われたら、うん。と言うしかない。
(ライバル止まりか~……)
もうちょっと頑張らないとな。しかしどうアピールしたらいいんだろう。もう少し女として意識してもらいたいんだが。
そうこう考えていたら、音楽がスローテンポのものに変わった。周りのカップルが少しはにかんで相手の肩や腰に手を回したりしている。ジルも躊躇いなく私の腰に手を回した。
(心臓の音バレそう)
おそらく顔が真っ赤になっているので、顔を上げてジルを見ることが出来ない。ジルは黙ったままだ。
「……ジル?」
「あ、いや……小さくなったか?」
「ジルが成長したんでしょーが」
私はアリスと違って身長がある。とは言えこの世界では平均より少し高いくらいだ。だからジルの感想の原因はジル側の要因の方が明らかに大きい。
「……こんな身体で剣振ったり魔術で戦ったりしてんのか」
(今更!?)
そこに気がつくの流石にちょっと遅くない!? どれだけ女として意識されてなかったんだろう。
「ちょっと! そんなこと言って、負けた時に手加減したなんて言い訳しないでよね!」
塩梅が難しい。女と意識して欲しいけどそうするとジルと私の時間が減ってしまう。
「し、しねーよ!」
そう言って、私の身体を自分に引き寄せた。
アリスは第一王子エドワードと一緒にいる。その時点で1番好感度の高い攻略キャラが面倒をみることになっている。
(第一王子とどれくらい仲良くなってるんだろ)
第一王子は1番攻略が簡単なキャラだ。婚約者もいないし、単純なので簡単に好感度も上げられる。少なくともゲーム内ではそうだ。
「あの方、殿下の腕にあんなに絡みついて! なんてはしたない!」
「殿下も殿下ですわ! あんなことをお許しになるなるて」
婚約者のいない王子様を狙っている令嬢は多い。パーティで第一王子がアリスをエスコートしているのを見てざわついていた。
「エドワード様もよろしいのかしら。あんな方と一緒で」
「なんか押し切られちゃったらしいよ。泣かれてしまってどうしようもなかったって」
第二王子ルークと親友リーシャのカップルから裏話を聞けて納得した。第一王エドワードは涙に弱い。
「メルは誰と来たんだ?」
「……従兄弟よ」
ついさっきやってきたジルに尋ねられる。
私の地道な努力が実ったのか、最近はジルと喧嘩することが減った。まあ相変わらず競い合ってはいるが、だいぶポジティブな関係にはなったと思っている。だがやはりパーティに一緒にいくまでの関係にはなれていない。
(気にするなら誘ってよ!)
と、言いたいがそれはお互い様なので黙るしかない。
「そーか。オレは妹だ」
「見てたから知ってる」
この世界、16歳を過ぎてのパーティで身内がエスコートというのは少々居心地が悪い。貴族間では婚約者や婚約者候補くらいがいて当たり前だと思われている年齢だからだ。
「……婚約の話とか出てねーの?」
「まだよ。おたくと張り合っちゃって。行き遅れたらどうしてくれるつもりかしらね」
我が家もジルの家も、お互いの家よりいい縁談を結ぼうと躍起になっている。嫡子で男のジルはともかく、私は年齢的にもそろそろ話を決めないといけないので両親は焦っている。
(20歳過ぎたら行き遅れってシビア過ぎない?)
別にジル以外との結婚願望はないし、ダメならその時は結婚しなくていいのだが、世間体がそれを許さない。
「踊るぞ!」
「え!?」
急に引っ張られて踊ってる人達の輪に入る。アップテンポのリズムだ。
「ちょっと! 怒られない!?」
「いーだろ別に。今更怖くもねーだろ?」
我々が気にしているのはお互いの家のことだ。最近、学園での仲の良さを誰かにチクられてしまい、帰宅早々お互い両親に詰められたのだ。
「別にいーじゃねーか! ライバルがいた方が燃えるってもんだろ!?」
なぁ? と言われたら、うん。と言うしかない。
(ライバル止まりか~……)
もうちょっと頑張らないとな。しかしどうアピールしたらいいんだろう。もう少し女として意識してもらいたいんだが。
そうこう考えていたら、音楽がスローテンポのものに変わった。周りのカップルが少しはにかんで相手の肩や腰に手を回したりしている。ジルも躊躇いなく私の腰に手を回した。
(心臓の音バレそう)
おそらく顔が真っ赤になっているので、顔を上げてジルを見ることが出来ない。ジルは黙ったままだ。
「……ジル?」
「あ、いや……小さくなったか?」
「ジルが成長したんでしょーが」
私はアリスと違って身長がある。とは言えこの世界では平均より少し高いくらいだ。だからジルの感想の原因はジル側の要因の方が明らかに大きい。
「……こんな身体で剣振ったり魔術で戦ったりしてんのか」
(今更!?)
そこに気がつくの流石にちょっと遅くない!? どれだけ女として意識されてなかったんだろう。
「ちょっと! そんなこと言って、負けた時に手加減したなんて言い訳しないでよね!」
塩梅が難しい。女と意識して欲しいけどそうするとジルと私の時間が減ってしまう。
「し、しねーよ!」
そう言って、私の身体を自分に引き寄せた。
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