21 / 63
21 取り巻き達
しおりを挟む
「姉上が勉強ばかりするから、僕までやらされるんじゃないか! これだから皆に可愛気がないって言われるんだ!」
レミリアは腹違いの同年齢の異母弟ロニーとは馬が合わなかった。半分同じ血が流れているはずなのに、こうも違うのかと揉めるたびに思うのだった。
ゲーム内では妾の子として正妻の娘であるレミリアに虐められながらも、明るくユーモアさを失わずに育った彼だったが、この世界ではレミリアが虐めなかったからなのか、随分尊大な性格になってしまった。
勉強も魔術も義姉には絶対に敵わなかった。だが本人はそれが単純な努力の差だとは認めず環境のせいにしていた。
「母上が下級貴族出身のせいだ!」
レミリアはそんな弟を全く相手にしなかった。広い屋敷内では滅多に会うこともなく、ほとんど他人として成長した。
ロニーの言うことに反論することはただ1つ、
「いや、私は可愛いでしょ」
それだけだった。
レミリアは自分の見た目を気に入っていた。仮にもゲームのメインキャラの1人だ。キャラクターデザインにも力が入っている。悪役令嬢らしく、少々見た目はキツイが、綺麗で真っ直ぐな黒髪に大きなグレーの瞳。肌も透き通るように美しく、真っ赤な唇がなんとも魅惑的だった。
母は既に亡くなっていたが、ロニーの母よりはずっと身分の高い女性だった為、肩書重視の貴族社会では生きやすかった。
「貴女の様な方が主人の婚約者など認めたくありません!」
「あら、貴女から許可なんて貰う必要はないのよ? 勘違いなさらないで」
アルベルトの従者グレンは、出会った時からレミリアのことが好きではなかった。それまで誰よりも優秀だった彼が彼女の前では霞んでしまうからだ。
彼は下級貴族の出身だったが、勉強でも、魔術でもいつも1番だった。地頭の良さに加えてそうなるよう彼自身努力していた。だから下級貴族と言えども周囲から一目置かれており、その自覚があった彼はいつも周りを見下していた。
なのにやっと王太子の従者の立場を得たと思ったら、その婚約者は彼の上を行く存在だった。勉強も魔術も、そして身分も彼女の方が上だった。さらに言うと、婚約相手は未来の王だ。
グレンは日に日に嫉妬の炎に包まれていった。
「レミリア様は人間性に問題があります!」
「ああ、俺もそう思うよ」
だが彼には、根拠のない曖昧な人格否定くらいしか出来ることはなかった。
自分の代わりに婚約者を非難するグレンにアルベルトは満足していた。憎まれ役を買ってくれるし、何より言い返されるのが自分でないのは助かる。
アルベルトはグレンを親友の様に扱った。そのことがグレンの感情的な態度を助長したのだった。
騎士団長の息子カイルは惚れた女の言葉を全て鵜呑みにしていた。彼は、自分は人を見る目があると言うのが口癖だった。
「オレに言わせてもらうと、リディアナ嬢ほど非道な令嬢はいない! 未来の王妃には到底ふさわしくない女性だ。オレは色んな人間を見てきた。人を見る目には自信がある」
彼の発言を間接的に聞いたレミリアは呆れる様にため息をついた。
「そんなこと自称されましてもねぇ」
その呟きに、周囲の学生はうんうんと頷いたのだった。
カイルは確かに剣術に関しては学園内に右に出る者はおらず、腕っぷしも強かった。それ故に厄介者扱いされていた。
ゲーム内でヒロインであるユリアに厳しい苦言を呈すはずのレミリアがその役目を放棄していた為、あまりにこの学園に相応しくない、品性に欠ける行いをした場合、他の令嬢や令息が注意をしていた。
「カイル……私また下品って言われちゃった……やっぱり平民だからかな……?」
目に涙を溜めて上目遣いで見つめられた彼は正義に燃え始めた。
「あの優しい彼女に暴言を吐くなど、お前らの口の方がよっぽど下品じゃないか! 卑怯者め!!!」
「紳士の風上にも置けんやつだ!」
令嬢達には大声で威嚇し、令息達に至っては時に拳まで出てくる始末だった。
「レミリア様が言わせているみたいなの……やっぱり私なんかが皆と仲がいいのが気に入らないみたい」
「なんだって!?」
レミリアは王太子の婚約者だ。彼と言えどもそう簡単に意見できる相手ではない……なんて考えは全く頭の中に存在しないのがカイルだ。
「なんて卑劣な!!! それが未来の国母がすることですか!!?」
「はあ? 自分の頭で考えられないような人と会話したくないのですが」
その言葉以降、レミリアから相手にされることはなかった。
カイルは拳を震わせていたが、
「私なんかの為にありがとう!」
そう言って無邪気に腕にしがみつくユリアをみて、彼はますます自分の行動に間違いはないと自信を持ったのだった。
「いつでもオレを頼ってくれ!」
結局、ロニーもグレンもカイルも恋に破れた。だが、彼らは未来の国を担うと言われている者達だ。順風満帆な人生が待っている。
それに、これからもユリアの側で彼女を支えようと心に誓った。卒業してしばらくは心の奥底で、実はユリアは自分のことを愛しているのではと期待していた。
だがそんな彼らもついに違和感を感じ始める。
「あれ? おかしいな? あれ? あれ?」
と気が付くのはもう間もなくの話。
レミリアは腹違いの同年齢の異母弟ロニーとは馬が合わなかった。半分同じ血が流れているはずなのに、こうも違うのかと揉めるたびに思うのだった。
ゲーム内では妾の子として正妻の娘であるレミリアに虐められながらも、明るくユーモアさを失わずに育った彼だったが、この世界ではレミリアが虐めなかったからなのか、随分尊大な性格になってしまった。
勉強も魔術も義姉には絶対に敵わなかった。だが本人はそれが単純な努力の差だとは認めず環境のせいにしていた。
「母上が下級貴族出身のせいだ!」
レミリアはそんな弟を全く相手にしなかった。広い屋敷内では滅多に会うこともなく、ほとんど他人として成長した。
ロニーの言うことに反論することはただ1つ、
「いや、私は可愛いでしょ」
それだけだった。
レミリアは自分の見た目を気に入っていた。仮にもゲームのメインキャラの1人だ。キャラクターデザインにも力が入っている。悪役令嬢らしく、少々見た目はキツイが、綺麗で真っ直ぐな黒髪に大きなグレーの瞳。肌も透き通るように美しく、真っ赤な唇がなんとも魅惑的だった。
母は既に亡くなっていたが、ロニーの母よりはずっと身分の高い女性だった為、肩書重視の貴族社会では生きやすかった。
「貴女の様な方が主人の婚約者など認めたくありません!」
「あら、貴女から許可なんて貰う必要はないのよ? 勘違いなさらないで」
アルベルトの従者グレンは、出会った時からレミリアのことが好きではなかった。それまで誰よりも優秀だった彼が彼女の前では霞んでしまうからだ。
彼は下級貴族の出身だったが、勉強でも、魔術でもいつも1番だった。地頭の良さに加えてそうなるよう彼自身努力していた。だから下級貴族と言えども周囲から一目置かれており、その自覚があった彼はいつも周りを見下していた。
なのにやっと王太子の従者の立場を得たと思ったら、その婚約者は彼の上を行く存在だった。勉強も魔術も、そして身分も彼女の方が上だった。さらに言うと、婚約相手は未来の王だ。
グレンは日に日に嫉妬の炎に包まれていった。
「レミリア様は人間性に問題があります!」
「ああ、俺もそう思うよ」
だが彼には、根拠のない曖昧な人格否定くらいしか出来ることはなかった。
自分の代わりに婚約者を非難するグレンにアルベルトは満足していた。憎まれ役を買ってくれるし、何より言い返されるのが自分でないのは助かる。
アルベルトはグレンを親友の様に扱った。そのことがグレンの感情的な態度を助長したのだった。
騎士団長の息子カイルは惚れた女の言葉を全て鵜呑みにしていた。彼は、自分は人を見る目があると言うのが口癖だった。
「オレに言わせてもらうと、リディアナ嬢ほど非道な令嬢はいない! 未来の王妃には到底ふさわしくない女性だ。オレは色んな人間を見てきた。人を見る目には自信がある」
彼の発言を間接的に聞いたレミリアは呆れる様にため息をついた。
「そんなこと自称されましてもねぇ」
その呟きに、周囲の学生はうんうんと頷いたのだった。
カイルは確かに剣術に関しては学園内に右に出る者はおらず、腕っぷしも強かった。それ故に厄介者扱いされていた。
ゲーム内でヒロインであるユリアに厳しい苦言を呈すはずのレミリアがその役目を放棄していた為、あまりにこの学園に相応しくない、品性に欠ける行いをした場合、他の令嬢や令息が注意をしていた。
「カイル……私また下品って言われちゃった……やっぱり平民だからかな……?」
目に涙を溜めて上目遣いで見つめられた彼は正義に燃え始めた。
「あの優しい彼女に暴言を吐くなど、お前らの口の方がよっぽど下品じゃないか! 卑怯者め!!!」
「紳士の風上にも置けんやつだ!」
令嬢達には大声で威嚇し、令息達に至っては時に拳まで出てくる始末だった。
「レミリア様が言わせているみたいなの……やっぱり私なんかが皆と仲がいいのが気に入らないみたい」
「なんだって!?」
レミリアは王太子の婚約者だ。彼と言えどもそう簡単に意見できる相手ではない……なんて考えは全く頭の中に存在しないのがカイルだ。
「なんて卑劣な!!! それが未来の国母がすることですか!!?」
「はあ? 自分の頭で考えられないような人と会話したくないのですが」
その言葉以降、レミリアから相手にされることはなかった。
カイルは拳を震わせていたが、
「私なんかの為にありがとう!」
そう言って無邪気に腕にしがみつくユリアをみて、彼はますます自分の行動に間違いはないと自信を持ったのだった。
「いつでもオレを頼ってくれ!」
結局、ロニーもグレンもカイルも恋に破れた。だが、彼らは未来の国を担うと言われている者達だ。順風満帆な人生が待っている。
それに、これからもユリアの側で彼女を支えようと心に誓った。卒業してしばらくは心の奥底で、実はユリアは自分のことを愛しているのではと期待していた。
だがそんな彼らもついに違和感を感じ始める。
「あれ? おかしいな? あれ? あれ?」
と気が付くのはもう間もなくの話。
37
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
婚約破棄されたので、慰謝料で「国」を買うことにしました。~知識ゼロの私ですが、謎の魔導書(AI)に従ったら、いつの間にか王家のオーナーに~
ジョウジ
ファンタジー
「セレスティア、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーで王子に断罪された公爵令嬢セレスティア。
慰謝料も貰えず、腹いせに立ち寄った古道具屋のワゴンセール。 そこでたった銅貨数枚(100円)で買った「黒い手鏡(スマホ)」を起動した瞬間、運命が変わる。
『警告。3年後の国家破綻およびマスターの処刑確率は99.9%です』 「はあ!? 死ぬのは嫌! それに、戦争が起きたら推し(アルド様)が死んじゃうじゃない!」
知識ゼロ、あるのは魔力と行動力、そして推しへの愛だけ。 パニックになった彼女は、スマホに宿るAI(ジェミニ)の極悪な経済作戦を、自分に都合よく「超訳」して実行に移す。
「敵対的買収……? 要するに、お店の借金を肩代わりして『オーナー』になれば、商品は全部タダ(私のもの)ってことね!?」
これは、内心ガクブルの悪役令嬢が、AIの指示を「素敵なお買い物」と勘違いしたまま国を経済支配し、 結果的に「慈悲深い聖女」「経営の天才」と崇められていく、痛快・勘違い無双コメディ!
※全10話の短期集中連載です。お正月のお供にどうぞ!
※テンポを重視してダイジェスト10話版となります。反響があれば長編の執筆を開始します!
※本作は、物語の構想・執筆補助にAI技術を活用し制作されました。
※小説家になろう・カクヨムにも投稿
王国最強の天才魔導士は、追放された悪役令嬢の息子でした
由香
ファンタジー
追放された悪役令嬢が選んだのは復讐ではなく、母として息子を守ること。
無自覚天才に育った息子は、魔法を遊び感覚で扱い、王国を震撼させてしまう。
再び招かれたのは、かつて母を追放した国。
礼儀正しく圧倒する息子と、静かに完全勝利する母。
これは、親子が選ぶ“最も美しいざまぁ”。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
婚約破棄されたので隣国で働きます ~追放侯爵令嬢、才覚だけで王妃候補に成り上がる~
鷹 綾
恋愛
内容紹介
王宮改革は、英雄の一声では成し遂げられない。
王太子に招かれ、王宮顧問として改革に携わることになった
ルビー・エルヴェール。
彼女が選んだ道は、力で押し切る改革でも、敵を断罪する粛清でもなかった。
評価制度の刷新、情報公開、説明責任、緊急時の判断、責任の分配――
一つひとつの制度は正しくても、人の恐れや保身が、改革を歪めていく。
噂に揺れ、信頼が試され、
「正しさ」と「速さ」、
「個人の覚悟」と「組織の持続性」が、幾度も衝突する。
それでもルビーは、問い続ける。
――制度は、誰のためにあるのか。
――信頼とは、守るものか、耐えるものか。
――改革者は、いつ去るべきなのか。
やがて彼女は、自らが築いた制度が
自分なしでも動き始めたことを確かめ、静かに王宮を去る。
残されたのは、名前の残らない改革。
英雄のいない成功。
だが確かに「生き続ける仕組み」。
これは、
誰かが称えられるための物語ではない。
考えることを許し、責任を分かち合う――
その文化を残すための、40話の改革譚。
静かで、重く、そして誠実な
“大人のための王宮改革ファンタジー”。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる