【完結】予定通り婚約破棄され追放です!~せっかく最強賢者に弟子入りしたのに復讐する前に自滅しないで!?~

桃月とと

文字の大きさ
7 / 63

7 来客

しおりを挟む
 ここでの生活はレミリアにとって大変楽しく充実したものだった。

(し、幸せ過ぎて怖い!)

 修行もお仕事も順調だった。

「そうそう! そのコントロールが大事だよ~」
「おお! やるじゃん!」

 ジークボルトもアレンも褒め上手だった。魔術は多種多様にあり、簡単そうに見えても上手くできなかったり、難しそうに見えても相性がいいのかあっという間に習得できるものもあった。2人ともレミリアの才能だけでなく、努力も含めて認めてくれた。それが彼女にとって一番嬉しいことだった。

 ジークボルトの屋敷で初めてレミリアを見たベルーガ帝国の高官達は、面白いくらい動揺を見せた。

「レ、レミリア様!? なぜここに!? え? ジークボルト殿!? まさか攫って!? さ、流石にそれはマズいんですが!?」
「ひどーい! 流石に僕も隣国の未来の王妃様を勝手に攫ったりしないよ~」
「既に婚約は破棄されておりますのでご安心ください」

 どうやらあれから数週間経つにも関わらず、ここまでそのニュースは届いていないようだった。
 後で分かった事だが、レミリアが国外追放となった件は王命により箝口令がひかれていた。王太子が勝手に『婚約者』の『公爵令嬢』を『着の身着のまま』魔物の森へ放り出したなど外聞が悪すぎたのだ。だが人の口に戸は立てられない。結局じわじわとこの醜聞は国内外へと広まっていくことになる。
 
 レミリアが詳細を説明すると、高官達は目を見開いて驚いていた。

(いちいちオーバーリアクションね~まあ気持ちよく話せるけど) 

 これが彼らの情報を聞き出すやり方なのかもしれないとも考えたが、レミリアにとって自分を捨てた国なんてどうでもよかったので、ペラペラと内情を話していった。

「レミリア様ほど完璧なご令嬢と婚約破棄など正気の沙汰ではありませんな!……おっと失礼!」
「過分なお言葉、ありがとうございます」
「スパイとか、そんなことは気にしなくて大丈夫だから~彼女の人格や人柄も含めて僕が保証します」
「いえ! 我々はそんな……いえその、わかりました」

 大賢者を前に取り繕っても無意味だと彼らは知っているようだった。

「それでは我が国の第二皇子などいかがでしょう!?」
「ダメ~!」

 ジークボルトが指でバツを作りながら即答した。

「イザイル殿下にはすでに婚約者がいらしたはずでは?」

 レミリアは苦笑していたが、内心ジークボルトの反応がとても嬉しかった。

「それが、婚約者であらせられたルヴィア様がお亡くなりになりまして……今回はその件で参ったのです」

 実は昨年からこの国では妙な病気が流行っていた。回復魔法が効かないという奇妙な病気だった。その病気に罹った者は熱にうなされ、夢遊病のように徘徊し、体力のない者は死んでしまった。ジークボルトがいち早くその病気に効果のある薬を開発したため、すでにその病気は収束に向かっていたが、元々体の弱かったルヴィアは残念ながら亡くなってしまったのだ。

「イザイル殿下が、ルヴィア様にお会いしたいと……」

(ええ!? 死んだんだよね!?)

 レミリアは今この場で聞きたいことがたくさんあったが、ベルーガ帝国の高官達にジークボルトのことを何もしらないと舐められたくなかったので、さも当たり前です。といった風に頷いてみせた。

「わかりました。例のパーティもそろそろですよね? アレンを行かせますよ。あとレミリアも」

 おまけのような扱いだったが、何やら帝都へ出張することがわかった。賢者の業務に携われると少しレミリアはドキドキする。
 高官達を見送った後、ため息をついたのはジークボルトだった。

「僕勝手に断っちゃったけどよかったよね!?」
「第二皇子の件ですか? もちろんです。また婚約破棄何てされたらたまりませんからね」
「アハハ! そりゃそうだ。君ならすぐに実力で権力を手に入れられるよ」

 この国の第二皇子と婚約して、憎きアルベルトと対峙するという方法がないわけではないが、流石に婚約者を失って憔悴しているであろうイザイルを利用することはレミリアには躊躇われた。

(あの2人仲良かったから、辛いだろうな)

 彼らとレミリアはマリロイド王国主催のパーティで話したことがあったのだ。レミリア達と同じく政略結婚だったが、お互いを気遣いあってとても素敵なカップルだったので印象に残っている。

 そう考えた時、自分がアルベルトと別れて少しも辛くないことを思い出した。

「あいつ、本当にクソだったもんな~」
「お! 元婚約者の悪口かい?」
「そうです」
「いや~そしたら帝都に行くのが楽しみだねぇ」

 そうしてジークボルトは愉快そうに笑いながら自室へ帰っていった。
 
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。 謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇! ※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」  わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。  響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。  わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。  冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。  どうして。  誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

処理中です...