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8 再会
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帝都、パーティ、楽しみ……ジークボルトの単語から、レミリアは嫌な予感がしてならなかった。
「ねぇアレン、帝都のパーティって知ってる?」
「あーあれだりぃよな。つーかお前も行くのか? ……いいのか?」
「……やっぱりマリロイド王国も来るってことね……」
思ったよりアルベルト達と早い再会になるのではと、レミリアは少し焦っていた。
「いや、でも私はパーティには出なくていいのかな……?」
「そりゃねーだろ。お前の元婚約者も来るなら尚更師匠は出ろって言うだろうな。面白がって」
「だよねぇ~」
一緒に暮らし始めて数週間だが、ジークボルトの性格がなんとなくわかってきたレミリアもアレンど同意見だった。彼にとって、『面白そう』は何より大事な要素なのだ。
「それじゃあ行ってきまーす!」
「ああ。よろしく頼むね」
「師匠! ちゃんと連絡取れる様にしといてくれよ!」
「わかってるわかってる!」
「ほんとかよ……」
3人で暮らし始めて1ヶ月以上経った頃、ついにレミリアはベルーガ帝国の帝都へ行くことになった。賢者ジークボルトと一緒かと思ったが、彼は留守番するそうだ。
「君らだけで十分だから」
「パーティが嫌いなだけだろ」
「だって絶対に楽しくないんだもーーん!」
「俺が身代わりになってること忘れんなよな!」
「いつも感謝してます!」
大賢者ジークボルトが参加するパーティは各国の要人を集めるのにいい餌になるらしく、皇帝に泣きつかれて、ここ数年は年に1度ほど出ているらしい。だが出席しているのはアレンで、なんと彼が大賢者ジークボルトと名乗っているそうだ。ジークボルトは年齢不詳で通っているから問題ないということだが……。このことを知るのは皇帝や高官のみらしい。
「大役ね」
「たまんねぇよ」
そう言って2人で飛竜に跨った。
ベルーガ帝国の帝都は、マリロイド王国のそれよりも更に大きく栄えていた。周囲を魔物の森と結界で囲まれているマリロイド王国とは違って、この国は国際色豊かで、市場も大変活気があり、街全体がエネルギーに満ちていた。
レミリアとアレンは、飛竜の背に乗ったまま帝都の城門の上に降り立つ。地上から歓声が上がっているのが聞こえた。どうやらアレンの飛竜は有名らしく、危険な魔獣だという認識はされていないようだ。
「大賢者様、お待ちしておりました」
兵士達がうやうやしくお辞儀をする。
「今年は2体だ。よろしく頼む」
アレンは自分の竜を優しくなでながら、帝都滞在中の世話を頼んでいた。
「よろしくお願いいたします」
「白竜ですか。主人に似て美しい!」
どうやら竜好きの兵士がいるようだ。そんなこと、マリロイド王国では考えられなかった。竜に触るなど正気の沙汰ではないとされることだ。レミリアの飛竜リュークが主人以外に触られているというのに嫌がらない。安心して預けることができ、レミリアはホッとした。
「この国は何というか……すごいわね」
「マリロイドと比べたら開けてる国だからな。色んなやつがいるよ」
城までは豪華な馬車が用意されていた。それに乗って街中を走っていると人々がしきりに手を振っているのがみえる。どうやら大賢者とはこの国ではアイドル扱いのようだった。
「うわっ!!!」
「ど、どうした!?」
「いた! いた!!! いるー!!!!!」
帝都の高級街に入ったところで見かけたのは、マリロイド王国の紋章の入った馬車だった。そしてその側にはムカつく男代表のアルベルトと、クソ女代表の聖女ユリアが。どうやら高級店であれこれと買い物をしているようだった。
「へ~あれが例の……」
「例のアレよ!!!」
顔を見るだけでイライラが甦ってきたことにレミリアは驚いた。同時に、自分の怒りがしっかり残っていたのだと安心した。最近は毎日幸せで、復讐心というのが薄れてしまったように感じられていたのだ。
(ぜってぇ泣かせてやる!!!)
「どうする? 俺らも行くか?」
「え?」
「格の差を見せつけてやろうぜ!」
アレンの笑った顔が師匠であるジークボルトと同じだとレミリアは気が付いた。彼もこの出会いが面白そうだと思ったのだろう。
ゆっくりと馬車が止まった。
「ねぇアレン、帝都のパーティって知ってる?」
「あーあれだりぃよな。つーかお前も行くのか? ……いいのか?」
「……やっぱりマリロイド王国も来るってことね……」
思ったよりアルベルト達と早い再会になるのではと、レミリアは少し焦っていた。
「いや、でも私はパーティには出なくていいのかな……?」
「そりゃねーだろ。お前の元婚約者も来るなら尚更師匠は出ろって言うだろうな。面白がって」
「だよねぇ~」
一緒に暮らし始めて数週間だが、ジークボルトの性格がなんとなくわかってきたレミリアもアレンど同意見だった。彼にとって、『面白そう』は何より大事な要素なのだ。
「それじゃあ行ってきまーす!」
「ああ。よろしく頼むね」
「師匠! ちゃんと連絡取れる様にしといてくれよ!」
「わかってるわかってる!」
「ほんとかよ……」
3人で暮らし始めて1ヶ月以上経った頃、ついにレミリアはベルーガ帝国の帝都へ行くことになった。賢者ジークボルトと一緒かと思ったが、彼は留守番するそうだ。
「君らだけで十分だから」
「パーティが嫌いなだけだろ」
「だって絶対に楽しくないんだもーーん!」
「俺が身代わりになってること忘れんなよな!」
「いつも感謝してます!」
大賢者ジークボルトが参加するパーティは各国の要人を集めるのにいい餌になるらしく、皇帝に泣きつかれて、ここ数年は年に1度ほど出ているらしい。だが出席しているのはアレンで、なんと彼が大賢者ジークボルトと名乗っているそうだ。ジークボルトは年齢不詳で通っているから問題ないということだが……。このことを知るのは皇帝や高官のみらしい。
「大役ね」
「たまんねぇよ」
そう言って2人で飛竜に跨った。
ベルーガ帝国の帝都は、マリロイド王国のそれよりも更に大きく栄えていた。周囲を魔物の森と結界で囲まれているマリロイド王国とは違って、この国は国際色豊かで、市場も大変活気があり、街全体がエネルギーに満ちていた。
レミリアとアレンは、飛竜の背に乗ったまま帝都の城門の上に降り立つ。地上から歓声が上がっているのが聞こえた。どうやらアレンの飛竜は有名らしく、危険な魔獣だという認識はされていないようだ。
「大賢者様、お待ちしておりました」
兵士達がうやうやしくお辞儀をする。
「今年は2体だ。よろしく頼む」
アレンは自分の竜を優しくなでながら、帝都滞在中の世話を頼んでいた。
「よろしくお願いいたします」
「白竜ですか。主人に似て美しい!」
どうやら竜好きの兵士がいるようだ。そんなこと、マリロイド王国では考えられなかった。竜に触るなど正気の沙汰ではないとされることだ。レミリアの飛竜リュークが主人以外に触られているというのに嫌がらない。安心して預けることができ、レミリアはホッとした。
「この国は何というか……すごいわね」
「マリロイドと比べたら開けてる国だからな。色んなやつがいるよ」
城までは豪華な馬車が用意されていた。それに乗って街中を走っていると人々がしきりに手を振っているのがみえる。どうやら大賢者とはこの国ではアイドル扱いのようだった。
「うわっ!!!」
「ど、どうした!?」
「いた! いた!!! いるー!!!!!」
帝都の高級街に入ったところで見かけたのは、マリロイド王国の紋章の入った馬車だった。そしてその側にはムカつく男代表のアルベルトと、クソ女代表の聖女ユリアが。どうやら高級店であれこれと買い物をしているようだった。
「へ~あれが例の……」
「例のアレよ!!!」
顔を見るだけでイライラが甦ってきたことにレミリアは驚いた。同時に、自分の怒りがしっかり残っていたのだと安心した。最近は毎日幸せで、復讐心というのが薄れてしまったように感じられていたのだ。
(ぜってぇ泣かせてやる!!!)
「どうする? 俺らも行くか?」
「え?」
「格の差を見せつけてやろうぜ!」
アレンの笑った顔が師匠であるジークボルトと同じだとレミリアは気が付いた。彼もこの出会いが面白そうだと思ったのだろう。
ゆっくりと馬車が止まった。
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