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24 実家
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マリロイド国王ギルバートはまた迷っていた。隣国ベルーガ帝国へ支援を求めるかどうか。あちらからは許可をもらえばすでにいつでも支援に向かえるという書簡が届けられていた。
国民のことを考えれば今すぐにでも決断すべきことだ。なのに書簡が届けられて2日経っても悩んでいた。
「陛下! どうかご決断を!」
「しかし……魔物の森の交渉が……」
「致し方ありません。穀物への水どころか、のどの渇きで死ぬものが相次ぎ始めているのですから……」
「そうだな……」
そうしてやっと重い腰を上げたのだった。
「アルベルトからの提案も考えねばなるまい」
「大賢者ジークボルト様を我が国へお招きになる話ですか?」
「そうだ。例のパーティではなんとか挨拶はできたが、レミリア嬢への対応をチクリと言われて終わっただけだった……」
そしてその後のレミリアとの会談で自分の印象は決していいものではないとわかっていた。しかも彼女との約束をまともに履行しなかったことも、今ではもうわかっているだろう。
(まさかこんなことになるとは……)
こんなに早く、再び彼女の力を借りなければならないとは考えていなかったのだ。
「大賢者様は水不足に備えて大型の魔道具も作られてるという話です。今後のことを考えても、我が国に必要なものでしょう」
王の側近達はすでにかなり下調べをしていた。だからこそ、前回のレミリアとの約束であった謝罪文を誠実に書いていなかったこと……誠実に書くよう強く提言しなかったことを悔やんでいた。
「……パーティで大賢者様は随分レミリア様を可愛がってらっしゃったと伺いました」
「ああ、だから彼女の願いを聞いて治療薬の製造方法を無償で教えてくれたのだろう」
その場にいた全員がそうだろうと頷いた。
実際はレミリアが彼の弟子だろうがそうでなかろうが、ジークボルトは無償で薬の製造方法を提供していた。彼にはすでに莫大な財産があるし、正直その薬が結果的にいいことに使われるのであれば、そのこと以外何も気にならなかった。
だが、本物のジークボルトの性格を知っているのはごくわずかな人間だけだ。隣国の人間にそれを知る術などなかった。ベルーガ帝国はジークボルトの性格がわかっているからこそ、彼に接触できるものを制限していたし、必ず把握できるようにしていた。
だから、こっそりとレミリアに送った手紙は全てベルーガ帝国は把握していたのだった。
「ご実家の公爵家から手紙を出していただくのはどうでしょうか? あちらの領地も被害を受けているはずです」
「……そうだな。話してみよう」
ベルーガ帝国のジークボルトの屋敷では今日もフロイドがレミリアに大量の手紙を届けていた。
「熱いラブレターが7通、レミリア様に弟子入りしたいというお手紙が3通、そしてご実家から1通届いております」
「はあ!? 実家!? 誰の!? 私の!!?」
(今更なに!?)
少し前にアルベルトの従者グレンからも手紙が届いていた。読まずに返したが今度は実家からとは……。
「身内が倒れた~とかそんなんじゃねえの?」
「……フロイドは中身みてるんでしょ?」
アレンもレミリアも封筒の中に何が書かれてあるか想像していた。フロイドは肩をすくめていたので、アレンの予想は外れのようだった。
フロイドは頻繁にジークボルトの屋敷に出入りするようになって、今ではレミリアとフロイドは友達のような関係になっている。
「まあ、私からはなんとも言えない内容なので……」
「えええ……」
レミリアは嫌そうに手紙を指でつまんだ。
「……この字、ロニーだわ」
「弟か」
レミリアは3秒ほど考えて答えた。
「読みませーーーん!!! 悪いけど返しておいて!」
「承知しました」
フロイドは苦笑いしていた。
「どうせ、干ばつで領地が大変だから助けて~~~大賢者ジークボルトに話通して~~~って内容でしょ」
不貞腐れるように言い捨てたレミリアをみて、皆が笑った。
レミリアは最近、自分の心に従って生きるようにしていた。明らかに読むだけでストレスが溜まりそうなこの手紙に触れるのも嫌だった。だから読まないという選択をした。
「おお! だいぶ好きに生きるようになってきたね!」
ジークボルトは嬉しそうだ。
「師匠、俺も好きに生きたい。師匠の影武者やりたくない」
「それはだめでーす! それだけは師匠権限で禁止しまーーーす!」
「はあ~~!? ずるっ!」
「アレンが誰かの師匠になったら同じようにすればいいよ!」
大賢者はいつも通り大笑いをしていた。
「師匠って好きに生きるのと自分勝手に生きるのを混在してるよなぁ~」
「言うね~! まあその通り! そのために得た権力だからね!!!」
レミリアは領地のことが気にならないわけではなかった。だけどもう自分をすり減らして誰かを助けるのはやめた。馬鹿にされるのも軽く扱われるのもまっぴらごめんだった。
「私と話したきゃ、まずは菓子折り持って謝りにこい! って伝えてくれる?」
「ふふ……わかりました」
さあ、弟はプライドを捨てて動けるだろうか。
(まあ言い訳ばっかのアイツじゃそれは無理ね)
レミリアが思った通り、それ以上実家から連絡が来ることはなかった。
国民のことを考えれば今すぐにでも決断すべきことだ。なのに書簡が届けられて2日経っても悩んでいた。
「陛下! どうかご決断を!」
「しかし……魔物の森の交渉が……」
「致し方ありません。穀物への水どころか、のどの渇きで死ぬものが相次ぎ始めているのですから……」
「そうだな……」
そうしてやっと重い腰を上げたのだった。
「アルベルトからの提案も考えねばなるまい」
「大賢者ジークボルト様を我が国へお招きになる話ですか?」
「そうだ。例のパーティではなんとか挨拶はできたが、レミリア嬢への対応をチクリと言われて終わっただけだった……」
そしてその後のレミリアとの会談で自分の印象は決していいものではないとわかっていた。しかも彼女との約束をまともに履行しなかったことも、今ではもうわかっているだろう。
(まさかこんなことになるとは……)
こんなに早く、再び彼女の力を借りなければならないとは考えていなかったのだ。
「大賢者様は水不足に備えて大型の魔道具も作られてるという話です。今後のことを考えても、我が国に必要なものでしょう」
王の側近達はすでにかなり下調べをしていた。だからこそ、前回のレミリアとの約束であった謝罪文を誠実に書いていなかったこと……誠実に書くよう強く提言しなかったことを悔やんでいた。
「……パーティで大賢者様は随分レミリア様を可愛がってらっしゃったと伺いました」
「ああ、だから彼女の願いを聞いて治療薬の製造方法を無償で教えてくれたのだろう」
その場にいた全員がそうだろうと頷いた。
実際はレミリアが彼の弟子だろうがそうでなかろうが、ジークボルトは無償で薬の製造方法を提供していた。彼にはすでに莫大な財産があるし、正直その薬が結果的にいいことに使われるのであれば、そのこと以外何も気にならなかった。
だが、本物のジークボルトの性格を知っているのはごくわずかな人間だけだ。隣国の人間にそれを知る術などなかった。ベルーガ帝国はジークボルトの性格がわかっているからこそ、彼に接触できるものを制限していたし、必ず把握できるようにしていた。
だから、こっそりとレミリアに送った手紙は全てベルーガ帝国は把握していたのだった。
「ご実家の公爵家から手紙を出していただくのはどうでしょうか? あちらの領地も被害を受けているはずです」
「……そうだな。話してみよう」
ベルーガ帝国のジークボルトの屋敷では今日もフロイドがレミリアに大量の手紙を届けていた。
「熱いラブレターが7通、レミリア様に弟子入りしたいというお手紙が3通、そしてご実家から1通届いております」
「はあ!? 実家!? 誰の!? 私の!!?」
(今更なに!?)
少し前にアルベルトの従者グレンからも手紙が届いていた。読まずに返したが今度は実家からとは……。
「身内が倒れた~とかそんなんじゃねえの?」
「……フロイドは中身みてるんでしょ?」
アレンもレミリアも封筒の中に何が書かれてあるか想像していた。フロイドは肩をすくめていたので、アレンの予想は外れのようだった。
フロイドは頻繁にジークボルトの屋敷に出入りするようになって、今ではレミリアとフロイドは友達のような関係になっている。
「まあ、私からはなんとも言えない内容なので……」
「えええ……」
レミリアは嫌そうに手紙を指でつまんだ。
「……この字、ロニーだわ」
「弟か」
レミリアは3秒ほど考えて答えた。
「読みませーーーん!!! 悪いけど返しておいて!」
「承知しました」
フロイドは苦笑いしていた。
「どうせ、干ばつで領地が大変だから助けて~~~大賢者ジークボルトに話通して~~~って内容でしょ」
不貞腐れるように言い捨てたレミリアをみて、皆が笑った。
レミリアは最近、自分の心に従って生きるようにしていた。明らかに読むだけでストレスが溜まりそうなこの手紙に触れるのも嫌だった。だから読まないという選択をした。
「おお! だいぶ好きに生きるようになってきたね!」
ジークボルトは嬉しそうだ。
「師匠、俺も好きに生きたい。師匠の影武者やりたくない」
「それはだめでーす! それだけは師匠権限で禁止しまーーーす!」
「はあ~~!? ずるっ!」
「アレンが誰かの師匠になったら同じようにすればいいよ!」
大賢者はいつも通り大笑いをしていた。
「師匠って好きに生きるのと自分勝手に生きるのを混在してるよなぁ~」
「言うね~! まあその通り! そのために得た権力だからね!!!」
レミリアは領地のことが気にならないわけではなかった。だけどもう自分をすり減らして誰かを助けるのはやめた。馬鹿にされるのも軽く扱われるのもまっぴらごめんだった。
「私と話したきゃ、まずは菓子折り持って謝りにこい! って伝えてくれる?」
「ふふ……わかりました」
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レミリアが思った通り、それ以上実家から連絡が来ることはなかった。
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