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第一章 千年後の世界へ
第16話 大聖堂 【第一章完】
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マグヌス大聖堂はキルケの海の側に堂々とそびえていた。高い天井には繊細なステンドグラスが美しくはめ込まれており、聖堂の床に鮮やかで幻想的な光を落としている。もちろん、大人気観光スポット。
「皆様~こちらがマグヌス大聖堂でございま~す!」
大聖堂前の広場で、観光ガイドの横を通りながらメルディ達は目的地へとやや緊張気味に足を進める。なんせこの間、千年前の魔術で大変な目にあったのだ。今回もきっとなにかある……と構えるのは自然だろう。
「ご存知の通り、この大聖堂は千年前の大魔法使い、レオナルド・マグヌスによって建立されたものです。来年九百歳を迎える大変歴史のある建物でございます! この規模の大聖堂がわずか百年ほどで完成したのは……」
ここでちょっぴり観光ガイドがもったいつけ、
「マグヌスの魔法があったから! とされております」
おぉ~とガイドの周りの観光客が期待通りの解説に満足そうにしていた。
「またこの大聖堂は長い歴史の中で、幾度も戦火や魔獣の襲来に見舞われましたが、一度として崩れることなく今日までこのように残っております。それ故、建物そのものにマグヌスによる魔法がかけられているというのが通説になっておりますが、詳細はまだ研究中……」
ガイドの声が遠くなった辺りで大きな扉をくぐり、メルディ達は大聖堂の中へと足を踏み入れた。
「よくぞ遠い時代から参られました」
穏やかに迎え出たのは、マグヌス大聖堂のユング大司祭。柔らかな白い法衣をまとい、優しい瞳を持った人物だ。今回は事前にヴェルナー教授を介して聖堂側に依頼をしていたのだ。
『石棺を開けさせてくれって……許可下ります!?』
千年前の常識でも難しいことがわかっていたメルディは、あまりに簡単な師匠の最終試験の内容に、初めから懐疑的だった。墓の場所はわかっている。となると、きっと難しいのはその墓を開けることなんじゃあないか、と。
『そうだよねぇ……』
もちろん教授は苦笑い。正式な調査ですら簡単に許可がおりないのだから。だから今回、とてもあっさりと返事が返って来たことに関係者全員が驚きを隠せなかった。その答えはすぐに大司祭が教えてくれた。
「代々の大司教には伝言が残されておりましてね……マグヌスの弟子を名乗る見習い魔法使いが現れたら、その者の望みのままにさせるように、と」
教授も助教授も、そんなのこれまでの調査で聞いてないっ! という表情をしていたが、
「秘密でしたので」
の一言で、そりゃそうか……とシュンと肩を落としたのだった。
メルディがマグヌスの弟子である証拠はすぐにわかるということだったので、全員で大人しく大司教の後に続いて地下へと階段を降りていく。
(師匠って本当に死んだのかな~……)
この期に及んで、メルディはその実感がなかった。あの大魔法使いレオナルド・マグヌスに死が訪れるなんて。なんなら『死』の方が逃げ出しそうなのにと思っている。つい先日もホログラムでその姿を見ていたので、ますます彼の死が想像できなかった。
空気がひんやりと冷たく変わり、足音だけが反響していた。ここは一般には公開されていない場所だ。降りた先の廊下の突き当りに、魔術紋が深く刻まれた扉が出て来た。
「こちらへ……」
大司教に言われるがままメルディは大きな白い扉の前に立った。鍵穴がいくつもある。大司祭の腰にはこれまたジャラジャラとたくさんの鍵が付いていた。
「魔術で開けていただけますか? 私共が使っている鍵以外では、マグヌスの弟子のみその扉を開けられるとされています」
「なるほど。師匠にしては単純だ」
だからメルディは少し構えて呪文を唱える。
「セラ・アペリ……」
重たいガシャンという音が三回響き、その後すぐ小さくカチャリという音と共に重そうな扉がゆっくりと開いた。大司教はとても満足そうに頷いている。間違いなく弟子本人が来たと。
「さあどうぞ」
案内人に促されるもメルディはすぐには入らず、
「はい。集まって下さ~い! プラエシディウム~!」
その場にいる全員に防御の魔術をかけた。
「信用してないねぇ」
「まあわかるけどよ……」
ユーリもエリオもメルディの行動に理解を示す。だが大司祭は微笑んだままだ。
「よし! 行こう!」
荘厳な雰囲気に合わないやる気を出したメルディはエイヤ! と、重そうな白い扉を押し中へと入ると、そこは広間になっており、中央に真っ白な石棺が据えられてあった。周辺は大きな魔法陣に囲まれており、厳重な魔術の守りがほどこされていることがわかった。
「これがマグヌスの霊廟……」
少し感慨深そうにユーリの呟く声が聞えた。だがメルディは半信半疑だ。自分の師匠がこんなにも自分の死をこんなにもうやうやしい形にするだろうかと。要するにイメージと合わない。マグヌスは『死』にあまり興味がなかった。
石棺の蓋には眠るような姿でマグヌスが象られている。
「これ、本当に師匠が入ってるんですか?」
失礼な物言いだとメルディもわかっていたが、他に言い方が思い浮かばなかった。
「実はこの石棺、これまで一度も開けられたことがないんです」
教授が神妙な面持ちで説明する。
「科学でも魔術でも、内部を調べることができていないんですよ……だからこそ、これはマグヌスの墓だろうとされてきました」
「なるほど」
口ではそう言いつつも、
(いや、それがまた嘘くさいんだよなぁ~)
疑心暗鬼になり過ぎている自覚もあるが、これに関しては確信めいた予感がメルディにはあったのだ。なんせ人生のほとんどをあの大魔法使いと過ごしたのだから。
(とはいえ、やることは決まってるんだけど!)
メルディは慎重に石棺に近付き、蓋の上に眠る師匠を少し睨みつけるようにして触れた。
「師匠、本当に大人しくお墓の中に入ってるんでしょうね~?」
好きにしていいという言質は取っている。メルディは思いっきり腕に力と魔力を込めた。
「えええええ!?」
同行者達が揃って素っ頓狂な声を上げたが、メルディはすでにそれどころではない。腕力も魔力も込めているのにびくともしないのだ。
「ぐっ……! 重っ! なんか師匠に押さえつけられてるみたい……!」
だがしばらく格闘後、ついにゴゴゴと鈍い音を立てて、石棺がわずかに動いた。もちろん霊廟の中は男性陣のどよめきが起こる。後は気合と反骨精神だ。
「うりゃあああ!!!」
掛け声と共に、ドシンと蓋が地面へと落ちた。ついに棺が開いたのだ。メルディの両腕はプルプルと震えていた。明日は間違いなく筋肉痛が待っている。
「す、すごい!」
「ついに……ついに!!」
興奮する教授達の声を背中で聞きつつ、メルディは深呼吸をして棺の中を覗き込んだ。そして、
「やっぱりね」
ホッとした声だ。
「なに!!?」
エリオも含めた全員が慌てて覗き込む。
「……空っぽ?」
中には何もなかった。レオナルド・マグヌスの遺体も。もちろん杖も。
(ほ~らね!)
安堵と呆れが混じりあった息を吐いたその瞬間、
「おおっと!?」
この地下霊廟に急に大雨が降ってきたのだ。だが、事前に防御魔法を張っていた彼らは濡れることもない。メルディは勝ち誇ったような声になっていた。
「絶対なにかしてしてくると思った!!」
雨は長くは続かず、五分ほどで降りやんだ。びちゃびちゃになっていた空間もそれと同時に乾いていく。
「すごいすごいすごいすごい!!!」
「なんて体験だ!!!」
「どの魔術紋が発動したんだろう!?」
教授に助教授、そしてユーリの三人は大興奮で霊廟内を調べはじめた。この機会に便乗しようというわけだ。壁に床の魔法陣、棺本体にその蓋……。
「うわぁぁぁぁあぁぁあ!!」
突然、教授の叫び声が広間に反響する。全員の視線の先には先ほど地面に落とした眠るマグヌスが象られた石像が、ギギギと鈍い音を立てて動き始めたのだ。
『なーんだメルディ。驚かないのかい?』
うんしょと背筋を伸ばしながらその石像は喋り出す。
「なーんだ、じゃないですよ!」
思わずメルディがツッコむ横で、教授は腰を抜かして口をパクパクさせ、学生二人はやっぱり……と変に納得している。流石の大司教もこれは予想外だったようで、驚きのあまりよろけた所を助教授が支えていた。もちろん教授と同じ顔をして。
「だいたい、そんなちょいちょい登場してたらありがたみもなくなるってもんですよ」
石像のマグヌスは肩をすくめてみせる。弟子の指摘通りだが改めるつもりはない。
「杖をくれる気あるんですか!?」
『え~弟子が冷たくて生意気~!』
そうしてニヤりと笑い、石像は満足げに腕を組み始めた。
『だから本当の墓を探しなよ~。君も本当に僕の遺体がここにあるとは思ってなかったんだろ~?』
「……そうですけど」
『でしょ? 僕の趣味じゃないし』
アッサリとしたものだった。
『さあて。僕の本当の墓はど~こだ! 一番弟子ならすぐに見つかるさ!』
メルディに指をさし、挑発するように見つめた。
「はっ! 受けて立ちますとも!」
こうなればメルディだって何が何でも杖を手に入れたい。いつまでも振り回されっぱなしじゃないぞ、とあの師匠に言いたいのだ。石像のマグヌスは一瞬、優しい微笑を浮かべたが、それに気が付いたのは大司祭だけだった。
『ということで、早く僕の石棺を元に戻さないとこの空間が潰れま~す!』
「なにが、ということで!?」
『頑張ってねぇ~~~』
唐突なマグヌスの宣言の後、本当に空間が揺れ始めたので、メルディは大慌てで言われた通り石棺を元通りにした。流石の一番弟子も、ゼーハーゼーハーと息も絶え絶えだ。
石像の上の師匠は、すでに気持ちよさそうに眠っていた。
こうして【マグヌスの本当の墓探し】という、とんでもない最終課題が幕を開けたのだった。
「皆様~こちらがマグヌス大聖堂でございま~す!」
大聖堂前の広場で、観光ガイドの横を通りながらメルディ達は目的地へとやや緊張気味に足を進める。なんせこの間、千年前の魔術で大変な目にあったのだ。今回もきっとなにかある……と構えるのは自然だろう。
「ご存知の通り、この大聖堂は千年前の大魔法使い、レオナルド・マグヌスによって建立されたものです。来年九百歳を迎える大変歴史のある建物でございます! この規模の大聖堂がわずか百年ほどで完成したのは……」
ここでちょっぴり観光ガイドがもったいつけ、
「マグヌスの魔法があったから! とされております」
おぉ~とガイドの周りの観光客が期待通りの解説に満足そうにしていた。
「またこの大聖堂は長い歴史の中で、幾度も戦火や魔獣の襲来に見舞われましたが、一度として崩れることなく今日までこのように残っております。それ故、建物そのものにマグヌスによる魔法がかけられているというのが通説になっておりますが、詳細はまだ研究中……」
ガイドの声が遠くなった辺りで大きな扉をくぐり、メルディ達は大聖堂の中へと足を踏み入れた。
「よくぞ遠い時代から参られました」
穏やかに迎え出たのは、マグヌス大聖堂のユング大司祭。柔らかな白い法衣をまとい、優しい瞳を持った人物だ。今回は事前にヴェルナー教授を介して聖堂側に依頼をしていたのだ。
『石棺を開けさせてくれって……許可下ります!?』
千年前の常識でも難しいことがわかっていたメルディは、あまりに簡単な師匠の最終試験の内容に、初めから懐疑的だった。墓の場所はわかっている。となると、きっと難しいのはその墓を開けることなんじゃあないか、と。
『そうだよねぇ……』
もちろん教授は苦笑い。正式な調査ですら簡単に許可がおりないのだから。だから今回、とてもあっさりと返事が返って来たことに関係者全員が驚きを隠せなかった。その答えはすぐに大司祭が教えてくれた。
「代々の大司教には伝言が残されておりましてね……マグヌスの弟子を名乗る見習い魔法使いが現れたら、その者の望みのままにさせるように、と」
教授も助教授も、そんなのこれまでの調査で聞いてないっ! という表情をしていたが、
「秘密でしたので」
の一言で、そりゃそうか……とシュンと肩を落としたのだった。
メルディがマグヌスの弟子である証拠はすぐにわかるということだったので、全員で大人しく大司教の後に続いて地下へと階段を降りていく。
(師匠って本当に死んだのかな~……)
この期に及んで、メルディはその実感がなかった。あの大魔法使いレオナルド・マグヌスに死が訪れるなんて。なんなら『死』の方が逃げ出しそうなのにと思っている。つい先日もホログラムでその姿を見ていたので、ますます彼の死が想像できなかった。
空気がひんやりと冷たく変わり、足音だけが反響していた。ここは一般には公開されていない場所だ。降りた先の廊下の突き当りに、魔術紋が深く刻まれた扉が出て来た。
「こちらへ……」
大司教に言われるがままメルディは大きな白い扉の前に立った。鍵穴がいくつもある。大司祭の腰にはこれまたジャラジャラとたくさんの鍵が付いていた。
「魔術で開けていただけますか? 私共が使っている鍵以外では、マグヌスの弟子のみその扉を開けられるとされています」
「なるほど。師匠にしては単純だ」
だからメルディは少し構えて呪文を唱える。
「セラ・アペリ……」
重たいガシャンという音が三回響き、その後すぐ小さくカチャリという音と共に重そうな扉がゆっくりと開いた。大司教はとても満足そうに頷いている。間違いなく弟子本人が来たと。
「さあどうぞ」
案内人に促されるもメルディはすぐには入らず、
「はい。集まって下さ~い! プラエシディウム~!」
その場にいる全員に防御の魔術をかけた。
「信用してないねぇ」
「まあわかるけどよ……」
ユーリもエリオもメルディの行動に理解を示す。だが大司祭は微笑んだままだ。
「よし! 行こう!」
荘厳な雰囲気に合わないやる気を出したメルディはエイヤ! と、重そうな白い扉を押し中へと入ると、そこは広間になっており、中央に真っ白な石棺が据えられてあった。周辺は大きな魔法陣に囲まれており、厳重な魔術の守りがほどこされていることがわかった。
「これがマグヌスの霊廟……」
少し感慨深そうにユーリの呟く声が聞えた。だがメルディは半信半疑だ。自分の師匠がこんなにも自分の死をこんなにもうやうやしい形にするだろうかと。要するにイメージと合わない。マグヌスは『死』にあまり興味がなかった。
石棺の蓋には眠るような姿でマグヌスが象られている。
「これ、本当に師匠が入ってるんですか?」
失礼な物言いだとメルディもわかっていたが、他に言い方が思い浮かばなかった。
「実はこの石棺、これまで一度も開けられたことがないんです」
教授が神妙な面持ちで説明する。
「科学でも魔術でも、内部を調べることができていないんですよ……だからこそ、これはマグヌスの墓だろうとされてきました」
「なるほど」
口ではそう言いつつも、
(いや、それがまた嘘くさいんだよなぁ~)
疑心暗鬼になり過ぎている自覚もあるが、これに関しては確信めいた予感がメルディにはあったのだ。なんせ人生のほとんどをあの大魔法使いと過ごしたのだから。
(とはいえ、やることは決まってるんだけど!)
メルディは慎重に石棺に近付き、蓋の上に眠る師匠を少し睨みつけるようにして触れた。
「師匠、本当に大人しくお墓の中に入ってるんでしょうね~?」
好きにしていいという言質は取っている。メルディは思いっきり腕に力と魔力を込めた。
「えええええ!?」
同行者達が揃って素っ頓狂な声を上げたが、メルディはすでにそれどころではない。腕力も魔力も込めているのにびくともしないのだ。
「ぐっ……! 重っ! なんか師匠に押さえつけられてるみたい……!」
だがしばらく格闘後、ついにゴゴゴと鈍い音を立てて、石棺がわずかに動いた。もちろん霊廟の中は男性陣のどよめきが起こる。後は気合と反骨精神だ。
「うりゃあああ!!!」
掛け声と共に、ドシンと蓋が地面へと落ちた。ついに棺が開いたのだ。メルディの両腕はプルプルと震えていた。明日は間違いなく筋肉痛が待っている。
「す、すごい!」
「ついに……ついに!!」
興奮する教授達の声を背中で聞きつつ、メルディは深呼吸をして棺の中を覗き込んだ。そして、
「やっぱりね」
ホッとした声だ。
「なに!!?」
エリオも含めた全員が慌てて覗き込む。
「……空っぽ?」
中には何もなかった。レオナルド・マグヌスの遺体も。もちろん杖も。
(ほ~らね!)
安堵と呆れが混じりあった息を吐いたその瞬間、
「おおっと!?」
この地下霊廟に急に大雨が降ってきたのだ。だが、事前に防御魔法を張っていた彼らは濡れることもない。メルディは勝ち誇ったような声になっていた。
「絶対なにかしてしてくると思った!!」
雨は長くは続かず、五分ほどで降りやんだ。びちゃびちゃになっていた空間もそれと同時に乾いていく。
「すごいすごいすごいすごい!!!」
「なんて体験だ!!!」
「どの魔術紋が発動したんだろう!?」
教授に助教授、そしてユーリの三人は大興奮で霊廟内を調べはじめた。この機会に便乗しようというわけだ。壁に床の魔法陣、棺本体にその蓋……。
「うわぁぁぁぁあぁぁあ!!」
突然、教授の叫び声が広間に反響する。全員の視線の先には先ほど地面に落とした眠るマグヌスが象られた石像が、ギギギと鈍い音を立てて動き始めたのだ。
『なーんだメルディ。驚かないのかい?』
うんしょと背筋を伸ばしながらその石像は喋り出す。
「なーんだ、じゃないですよ!」
思わずメルディがツッコむ横で、教授は腰を抜かして口をパクパクさせ、学生二人はやっぱり……と変に納得している。流石の大司教もこれは予想外だったようで、驚きのあまりよろけた所を助教授が支えていた。もちろん教授と同じ顔をして。
「だいたい、そんなちょいちょい登場してたらありがたみもなくなるってもんですよ」
石像のマグヌスは肩をすくめてみせる。弟子の指摘通りだが改めるつもりはない。
「杖をくれる気あるんですか!?」
『え~弟子が冷たくて生意気~!』
そうしてニヤりと笑い、石像は満足げに腕を組み始めた。
『だから本当の墓を探しなよ~。君も本当に僕の遺体がここにあるとは思ってなかったんだろ~?』
「……そうですけど」
『でしょ? 僕の趣味じゃないし』
アッサリとしたものだった。
『さあて。僕の本当の墓はど~こだ! 一番弟子ならすぐに見つかるさ!』
メルディに指をさし、挑発するように見つめた。
「はっ! 受けて立ちますとも!」
こうなればメルディだって何が何でも杖を手に入れたい。いつまでも振り回されっぱなしじゃないぞ、とあの師匠に言いたいのだ。石像のマグヌスは一瞬、優しい微笑を浮かべたが、それに気が付いたのは大司祭だけだった。
『ということで、早く僕の石棺を元に戻さないとこの空間が潰れま~す!』
「なにが、ということで!?」
『頑張ってねぇ~~~』
唐突なマグヌスの宣言の後、本当に空間が揺れ始めたので、メルディは大慌てで言われた通り石棺を元通りにした。流石の一番弟子も、ゼーハーゼーハーと息も絶え絶えだ。
石像の上の師匠は、すでに気持ちよさそうに眠っていた。
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