【紅眼の使者】

レム

文字の大きさ
5 / 13
本編

第5話【救世主】

しおりを挟む
辺りが静まり返る。

「……ヤッタカ」

銃を下ろしたその瞬間。煙の中から黒い塊がエイドに向かって飛び移り《バチィィ!!!》と、機械の電撃音が鳴り響く。

凪「……!!!」

その音のする方向に顔を向けると、エイドにレグミルムが覆い被さり、頭を噛み砕いていた。そしてエイドは爆発し、戦闘不能になった。

「ウテ!!コロセ!!!」

他のエイドがガトリングで打つも、動きが素早いコウモリ型のレグミルムには当たらず、次々と頭を噛み砕かれていく。

凪『つ……強い……!レベル3……?いや…レベル4……!』

そして遂には最後の一機のエイドも粉々にした。




…………

………

……




「総司令官!!!レグミルムの落下地点に配置してあったエイド、全て破壊されました。只今付近にいるエイドが応援に駆けつけています。レグミルムの危険性レベルは4に届きうるかと」

翠「やってくれるな……」

東京エリアの周りにはガイヴルリームが配置されており、レグミルムを寄せ付けない為に置かれているものだが。それが今回は仇となった。逆に檻となり、エリア内に居座ってしまう。

翠「よし、もし奴が他のエイドで対処できなければ、GLミサイルの使用を許可する。」

「はっ!!」

翠「素晴らしい…これがレグミルム……」

翠は目を輝かせてモニターを見ていた。



…………

………

……





「グルルルル……」

凪「…………」

凪は李奈を抱えて塀の内側に隠れていた。

凪『気づきませんように…気づきませんように……』

ドン…ドン……と足音が響く。
遠退いていく足音。間一髪助かったか……。

李奈「ん……ぃっ…た…」

李奈の目が覚める。
そして強打した頭を抱えて起き上がる。

凪「李奈!よかった……」

李奈「ここは……?」

凪「いまこの塀の外側にレグミルムがいるの、なんとか気づかれてないけど……」

李奈「え、エイドは…やられたの?」

凪「うん…」

「グルル…………」

凪「李奈、こんな時にお腹鳴らさないでよ」

李奈「私じゃないって、凪でしょ」

凪「私じゃないよ、じゃあ誰が」

ぽたり、と横に透明な液体が滴り落ちる。

凪、李奈「…………」

2人は顔を合わせ、恐る恐る上を見上げる。
すると、先ほどのレグミルムが口を開けて凪達のことをその不気味な目で睨んでいた。

「ガァァァァ!!!!!」

凪、李奈「きゃぁぁぁ!!!!!!」

そしてレグミルムが腕を上げ、凪達に振りかざす。

咄嗟に凪は李奈の上に被さり、守ろうとした。

李奈「凪!!!!」

凪『ーーーー死ん』





その瞬間。誰かが走ってくる音が微かに聞こえた。






ナイン「天掌式戦闘術…壱の型一番……回輪脚カイリンキャク!!!」

突如現れたナインがレグミルムの顔面を蹴り上げ、その大きな体が吹き飛ぶ。

「ガァァァァ!!!!!」

そして美しく着地し、振り替える。

ナイン「大丈夫?凪ちゃん、李奈ちゃん☆」

凪、李奈「ナ…ナインさん!!」

そして後から降り立つ翔真。

翔真「間一髪だったな」

凪「翔真さんも!!」

李奈「どうしてここに!!」

ナイン「ま、まぁ…お買い物しに来たんだけど…まさかこんなことになってるとはね☆」

「グルルルル……」

レグミルムは起き上がり、こちらに近づいてくる。

ナイン「あれー、倒す気で蹴ったんだけどな……」

翔真「ナイン、お前はこいつらを守っていてくれ。俺はあれを片付けてくる」

そう言い翔真は1人レグミルムのいる方向へ歩いていった。

李奈「翔真さん!!ナインさん、いくら何でも危ないですよ!!」

凪「あのレグミルムはエイドを何体も……」

ナイン「大丈夫大丈夫♪」

翔真は見上げるほど大きいレグミルムの前に立つ。

翔真「おい、俺とじゃれあってみるか……クズ野郎……」

翔真は両目に付けているコンタクトを外す。
すると翔真の目の色が赤色に変わる。
そして目の前に立つレグミルムを睨む。

「ッガ!……ア…アア…ァ…!」

レグミルムが一歩、また一歩とうしろに後退りした。

李奈「レグミルムが…翔真さんを恐れてる……」

凪「すごい…」

ナイン「翔真は……」

ナインが呟くと同時に翔真は構える。

翔真「天掌式戦闘術壱の型奥義……」

威圧のようなものが翔真を中心に放たれる。

「ッガァァァァ!!!!!!」

レグミルムが恐れをなして勢いよく翔真に突っ込み、巨大な腕を翔真に向かって殴り付ける。

ナイン「……翔真は、東京エリアの大災害を救った3人の英雄の1人。」

凪、李奈「!!!!!」

翔真はレグミルムの攻撃を紙一重で避け、そのまま瞬時にレグミルムの懐へ。



翔真「焔禍扇ホムラカセン!!!!!」

レグミルムの胴体に翔真の鋭い突きが直撃、するとレグミルムの動きが止まる。

「ガ……カ……」

そしてその巨大な体は、徐々に膨らみ、最後には粉々に砕けた。その光景を間近でみた凪達は驚きのあまり言葉を無くした。

ナイン「あんなレグミルム、翔真にとっては話にならないよ☆」

翔真「………あっけないな…」 

そう言い、ナイン達のいる場所に戻る翔真。
凪は驚きで凍った口を開き始める。

凪「翔真さんが…あの…3人の英雄……」

李奈「やっぱりそうだったんだ…噂は本当だったんだよ」

凪「ってことはナインさんも…」

ナインは凪と李奈にウインクする。

凪、李奈「……!!」

翔真「はぁ……シェルターに避難しているスーパーの従業員が戻るにも時間かかるよな……どうしたものか…」

戻ってきたときには赤かった目が元の目の色に戻っていた。

凪「しょ…翔真さん……」

恐る恐る翔真に話しかけてみる。

翔真「…なんだ、俺が化け物染みて怖いか?」

凪「い、いえ、そんなこと!!」

翔真「む……じゃあなんだ?」

凪「ナインさんから聞きました……翔真さんは大災害を救った3人の英雄の1人だって……」

翔真はナインをチラ、と見ると知らんぷりしたように別の方向を向いて口笛を吹いていた。

翔真「……俺達のことを…知りたいか?」

李奈と凪は迷い無く首を縦に振った。

ナイン「ちょうどいいんじゃない?買い物まで時間できちゃったし☆」

翔真「…仕方がない……それじ」

李奈「あの!私のアパート…ここから近いので、ここじゃあれなので、よかったら来ませんか?」

凪「そ、そうだね、翔真さん、ナインさんどうでしょうか」

ナイン「迷惑じゃなければ……行こうか、翔真☆」

翔真「……そうだな」

李奈「やった!!それじゃ行きましょう!」

そう言い翔真達は李奈のアパートに向かった。





…………

………

……





「総司令官、レグミルムの生体反応が途絶えました。消滅した模様かと。」

翠はレグミルムが翔真に倒されるところをモニターでしっかりと目にしていた。

翠「そのようだな…至急東京エリアの破損物の撤去にかかれ。」

「はっ!!」

翠『………………あの男と女……まさか……』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...