【紅眼の使者】

レム

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本編

第5話【救世主】

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辺りが静まり返る。

「……ヤッタカ」

銃を下ろしたその瞬間。煙の中から黒い塊がエイドに向かって飛び移り《バチィィ!!!》と、機械の電撃音が鳴り響く。

凪「……!!!」

その音のする方向に顔を向けると、エイドにレグミルムが覆い被さり、頭を噛み砕いていた。そしてエイドは爆発し、戦闘不能になった。

「ウテ!!コロセ!!!」

他のエイドがガトリングで打つも、動きが素早いコウモリ型のレグミルムには当たらず、次々と頭を噛み砕かれていく。

凪『つ……強い……!レベル3……?いや…レベル4……!』

そして遂には最後の一機のエイドも粉々にした。




…………

………

……




「総司令官!!!レグミルムの落下地点に配置してあったエイド、全て破壊されました。只今付近にいるエイドが応援に駆けつけています。レグミルムの危険性レベルは4に届きうるかと」

翠「やってくれるな……」

東京エリアの周りにはガイヴルリームが配置されており、レグミルムを寄せ付けない為に置かれているものだが。それが今回は仇となった。逆に檻となり、エリア内に居座ってしまう。

翠「よし、もし奴が他のエイドで対処できなければ、GLミサイルの使用を許可する。」

「はっ!!」

翠「素晴らしい…これがレグミルム……」

翠は目を輝かせてモニターを見ていた。



…………

………

……





「グルルルル……」

凪「…………」

凪は李奈を抱えて塀の内側に隠れていた。

凪『気づきませんように…気づきませんように……』

ドン…ドン……と足音が響く。
遠退いていく足音。間一髪助かったか……。

李奈「ん……ぃっ…た…」

李奈の目が覚める。
そして強打した頭を抱えて起き上がる。

凪「李奈!よかった……」

李奈「ここは……?」

凪「いまこの塀の外側にレグミルムがいるの、なんとか気づかれてないけど……」

李奈「え、エイドは…やられたの?」

凪「うん…」

「グルル…………」

凪「李奈、こんな時にお腹鳴らさないでよ」

李奈「私じゃないって、凪でしょ」

凪「私じゃないよ、じゃあ誰が」

ぽたり、と横に透明な液体が滴り落ちる。

凪、李奈「…………」

2人は顔を合わせ、恐る恐る上を見上げる。
すると、先ほどのレグミルムが口を開けて凪達のことをその不気味な目で睨んでいた。

「ガァァァァ!!!!!」

凪、李奈「きゃぁぁぁ!!!!!!」

そしてレグミルムが腕を上げ、凪達に振りかざす。

咄嗟に凪は李奈の上に被さり、守ろうとした。

李奈「凪!!!!」

凪『ーーーー死ん』





その瞬間。誰かが走ってくる音が微かに聞こえた。






ナイン「天掌式戦闘術…壱の型一番……回輪脚カイリンキャク!!!」

突如現れたナインがレグミルムの顔面を蹴り上げ、その大きな体が吹き飛ぶ。

「ガァァァァ!!!!!」

そして美しく着地し、振り替える。

ナイン「大丈夫?凪ちゃん、李奈ちゃん☆」

凪、李奈「ナ…ナインさん!!」

そして後から降り立つ翔真。

翔真「間一髪だったな」

凪「翔真さんも!!」

李奈「どうしてここに!!」

ナイン「ま、まぁ…お買い物しに来たんだけど…まさかこんなことになってるとはね☆」

「グルルルル……」

レグミルムは起き上がり、こちらに近づいてくる。

ナイン「あれー、倒す気で蹴ったんだけどな……」

翔真「ナイン、お前はこいつらを守っていてくれ。俺はあれを片付けてくる」

そう言い翔真は1人レグミルムのいる方向へ歩いていった。

李奈「翔真さん!!ナインさん、いくら何でも危ないですよ!!」

凪「あのレグミルムはエイドを何体も……」

ナイン「大丈夫大丈夫♪」

翔真は見上げるほど大きいレグミルムの前に立つ。

翔真「おい、俺とじゃれあってみるか……クズ野郎……」

翔真は両目に付けているコンタクトを外す。
すると翔真の目の色が赤色に変わる。
そして目の前に立つレグミルムを睨む。

「ッガ!……ア…アア…ァ…!」

レグミルムが一歩、また一歩とうしろに後退りした。

李奈「レグミルムが…翔真さんを恐れてる……」

凪「すごい…」

ナイン「翔真は……」

ナインが呟くと同時に翔真は構える。

翔真「天掌式戦闘術壱の型奥義……」

威圧のようなものが翔真を中心に放たれる。

「ッガァァァァ!!!!!!」

レグミルムが恐れをなして勢いよく翔真に突っ込み、巨大な腕を翔真に向かって殴り付ける。

ナイン「……翔真は、東京エリアの大災害を救った3人の英雄の1人。」

凪、李奈「!!!!!」

翔真はレグミルムの攻撃を紙一重で避け、そのまま瞬時にレグミルムの懐へ。



翔真「焔禍扇ホムラカセン!!!!!」

レグミルムの胴体に翔真の鋭い突きが直撃、するとレグミルムの動きが止まる。

「ガ……カ……」

そしてその巨大な体は、徐々に膨らみ、最後には粉々に砕けた。その光景を間近でみた凪達は驚きのあまり言葉を無くした。

ナイン「あんなレグミルム、翔真にとっては話にならないよ☆」

翔真「………あっけないな…」 

そう言い、ナイン達のいる場所に戻る翔真。
凪は驚きで凍った口を開き始める。

凪「翔真さんが…あの…3人の英雄……」

李奈「やっぱりそうだったんだ…噂は本当だったんだよ」

凪「ってことはナインさんも…」

ナインは凪と李奈にウインクする。

凪、李奈「……!!」

翔真「はぁ……シェルターに避難しているスーパーの従業員が戻るにも時間かかるよな……どうしたものか…」

戻ってきたときには赤かった目が元の目の色に戻っていた。

凪「しょ…翔真さん……」

恐る恐る翔真に話しかけてみる。

翔真「…なんだ、俺が化け物染みて怖いか?」

凪「い、いえ、そんなこと!!」

翔真「む……じゃあなんだ?」

凪「ナインさんから聞きました……翔真さんは大災害を救った3人の英雄の1人だって……」

翔真はナインをチラ、と見ると知らんぷりしたように別の方向を向いて口笛を吹いていた。

翔真「……俺達のことを…知りたいか?」

李奈と凪は迷い無く首を縦に振った。

ナイン「ちょうどいいんじゃない?買い物まで時間できちゃったし☆」

翔真「…仕方がない……それじ」

李奈「あの!私のアパート…ここから近いので、ここじゃあれなので、よかったら来ませんか?」

凪「そ、そうだね、翔真さん、ナインさんどうでしょうか」

ナイン「迷惑じゃなければ……行こうか、翔真☆」

翔真「……そうだな」

李奈「やった!!それじゃ行きましょう!」

そう言い翔真達は李奈のアパートに向かった。





…………

………

……





「総司令官、レグミルムの生体反応が途絶えました。消滅した模様かと。」

翠はレグミルムが翔真に倒されるところをモニターでしっかりと目にしていた。

翠「そのようだな…至急東京エリアの破損物の撤去にかかれ。」

「はっ!!」

翠『………………あの男と女……まさか……』
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