【紅眼の使者】

レム

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本編

第6話【真実】

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李奈「ここが私の住んでるアパートです」

先程の場所から徒歩10分くらいで着いた。
アパートの住民は皆シェルターに避難して、人の気配がなく、不思議な感覚だ。

李奈「どうぞ」

凪「お邪魔します」

ナイン「お邪魔しまーす☆」

翔真「失礼する」

李奈の部屋はきちんと物が整頓されており、中々に調った部屋だった。

李奈「どうぞ、座ってください」

そう言われテーブルの周りに腰かける。

李奈「あ、お茶もってきますね」

ナイン「ごめんね、ありがとう」

翔真「悪いな」

凪「ありがとう」

部屋に3人残され、1人凪は少しばかり緊張した。

凪「………………」

翔真「あー…まぁなんだ、無事でよかったな」

凪「そ、それは翔真さん達のお陰です!また助けていただいてありがとうございます…。」

一瞬凪が何故か少し不満そうな顔をした。

ナイン「………………?」

李奈「お待たせしました」

翔真、ナイン、凪と順に湯飲みを置き、お茶を注ぐ。

ナイン「ありがとね☆」

翔真「いただこう」

そして4人はお茶をすする。

李奈「そして…話って言うのは……」

翔真は溜め息をつくと、話を始めた。

翔真「俺は……仲間と過去、大災厄と言われた10体のレグミルム、災害レベル5、東京エリアに出現したアスモデウスを撃退することができた。」

ナイン「その時に…仲間は多数戦死…翔真は私を庇って体のあちこちを持っていかれて……」

凪、李奈「…………」

翔真「瀕死の状態の俺達はレジスタンスの機密機関に運ばれ、密かにレジスタンスが研究していた人間兵器創造計画の実験体にされた。」

凪「え…………」

翔真「その計画は人間の体にレグミルムウイルスを注入し、人間の力を遥かに凌駕する能力を持たせ、強化人間を作り出すことだった。それで何をしたかったのか未だにわからないが…」

ナイン「その研究で何人もの人が亡くなったの……失敗して……レグミルム化したり、反抗して無差別に殺されたり……」

この時2人はレジスタンスのイメージがガラリと一転した。

翔真「俺はナインとそこから逃げた。東京エリアを離れ、そして今同様B市に居座っている。また東京エリアにレグミルムが侵入しないようにな…。それに、俺がいつレグミルム化するかもわからない。君達を危険に晒したくないのも理由の1つだ。」

2人は目を背けず、真正面からしっかりと聞いている。

翔真「いま話した通り、俺とナインの体はレグミルムウイルスに感染されている。レグミルムの力を使えば目が赤くなり、限られた時間のみ、超人的な力が使える。」

凪『さっきの戦いの時……翔真さんの目が赤くなったのはそれが理由だったんだ……』

ナイン「ちょっと不気味だからいつもコンタクトをつけて、見られないようにしてるけどね」

翔真「半レグミルム人間……と言っても過言じゃない。故に化け物だな。」

李奈「そんなこと……!!」

凪「翔真さん達は私達を…東京エリアを救ってくれた……紛れもない…それは英雄です!」

『英雄』その言葉を聞くと翔真は顔をしかめる。

翔真「俺は…………俺は英雄なんかじゃない……守ろうとしただけの……ただの人殺しだ……。」

ナイン「………………翔真…」

ナインが一声かけると、翔真は立ち上がった。

翔真「………すまない。外がどんな状況か見てくる。」

そう言い、1人外へ出ていった。

凪「…翔真さんに気にさわること……言っちゃったかな…」

悪いことをしたと思い、不安気な表情だ。

ナイン「ううん、そんなことないよ」

ナインは笑顔で返す。

ナイン「翔真が大災害の時に守ろうとしたもの、それは自分の家族や、東京エリアの人達、みんなを守ろうとした。けど、あまりの猛威に大半は守れなかった。翔真の家族も…………私の…家族も。」

凪、李奈「………………」

ナイン「それでもね、翔真がしたことはあの場で最善だったと思うの。その結果が今、平和なこの世界がある。亡くなった人達はいたとしても翔真のことを誰1人恨んじゃいないと思う。でも翔真は今も守れなかった自分を恨んで、憎んで……ずっと過去に囚われたまま。だから翔真は英雄だなんて呼ばれる自分を認めない……」

凪「そんな……じゃあ翔真さんは……このままずっと自分で自分を苦しめて…」

ナイン「私が少しでも翔真に何か出来ればいいんだけどね…。翔真、私の家族を守れなかったことに対して、何か私と少し距離を作ってる気がして…」

李奈「ナインさんは…その……家族を失ったって…」

ナイン「辛かったよ…もちろん辛かった……けど、翔真はそれ以上に悲しみを背負ってる…全く恨んでなんかないよ、なんて言ったら気を使ってるって思われそうで……」

話の最後になるにつれ、声が段々と小さくなっていく。
そしてナインの話の途中で静寂がながれる。

凪「……とっても優しいんですね!翔真さんも、ナインさんも!」

その静寂を切ったのは凪だった。

ナイン「………え?」

目を丸くして、凪を見る。

李奈「町の皆のことを守って、私達も守ってくれた。」

凪「あふれるほどの感謝ばかりです。そんな私達東京エリアの感謝も無視して、非ばかりに目を向けるんですか?」

ナイン「そ、そんなこと……」

李奈「こっちにも目を向けてください。ナインさん。」

凪「伝えきれないほどの感謝が、すぐそこにあるということを」

ナイン「………………」

そしてその言葉を耳にした時、ナインの目から一粒の涙がつぅっ、と流れる。

ナイン「ぁ、あれ、なんで……涙が……」

ナインは次々と流れ出る涙を拭う。

ナイン『私って………泣けるんだ………』

よし、とナインは立ち上がる。

ナイン「ありがとう、凪ちゃん、李奈ちゃん。元気でたよ☆」

いつもの晴れ晴れとした表情になったナイン。それを見て凪、李奈も微笑む。

ナイン「さて!私、翔真のとこに行ってくるね☆」

凪「え、翔真さんの場所わかるんですか?」

ナイン「あ。」
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