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眼に見えないその一線を踏み越えた時、そこで彼らを待っているのは不可避の死。
剣技と天法の合わせ技を持つドロプウォートにとっての一振りは、剣の切っ先が届く距離か否かは関係がなく、初手で、近づく村人たちのほとんどの首を刎ねる事が可能であった。
無知とは恐ろしい物。半笑いの村長たちは再三の苦言を無視し、
(あと十数歩……ですわ……)
自ら死地に足を踏み入れ、ドロプウォートは悔し気に奥歯を噛み鳴らし、
(もはや、これまでですわぁ!)
次の一歩で横一閃、村長たちの首を斬り払おうとした刹那、
「ッ!?」
何かに驚き、動きを止めた。
彼らが「命の最終ライン」のギリギリ手前で、歩みをピタリと止めたのである。
余裕の笑みから一転、慄く表情を見せる村人たちに、
「ど、どう言う事ですの……」
「どぅしてぇ?」
不思議に思いながらも警戒を緩めなかった二人は、
「「!」」
とある事に気が付いた。
怯える彼らの目が、自分たちに向いていない事に。
((後ろ?!))
振り返ると、
「「!!!」」
仄暗い部屋の中、獲物を前にした猛禽類の様な鋭い眼が、青白く怪しい光りを放ち、村長たちを睨み付けていた。
「ラミィ!?」
「ラミウム様ぁ!?」
起き上がる事さえままならない筈のラミウムが、ラディッシュに支えられながらではあるが仁王立ちしていたのである。
ラミウムは気迫に気圧され慄く村長たちに一瞥くれると、猛り立った顔したドロプウォートとパストリスに、いつもと変わらぬ人を小馬鹿にした笑みを浮かべて、
「何て顔をしてんだぁい、二人してぇ」
小さく笑い、
「まぁ落ち着きぃ~なぁ」
「で、ですがラミィ! 彼らの所業は決して許されるモノではありませんわ!」
「だってぇボクのお父さんがぁ!」
二人が悲痛な表情で迫ると、穏やかな表情のラミウムはラディッシュから離れ、
「分かってる、分かってるさぁね……」
もたれ掛かる様に二人を優しく抱き締め、
「「!?」」
「だがねぇ、殺意や復讐心で心を満たすのはお止めぇ。そんなこっちぁアイツ等と同じになっちまうよ」
優しい言葉だけではない。触れ合った体を通して伝わる「人の温もり」に、
(ラミィ……)
(ラミウム様……)
二人は次第に、心の落ち着きを少し取り戻し、
((温かい……))
しかし、
『弱っているのは本当の様じゃなぁ!』
「「「!」」」
村長たちは下卑た笑みを浮かべ、
「国にバレさえしなければ、全ては良いのじゃ! 皆の者ぉ! チカラを奪われた恨みを今こそ晴らすのぉ、オゴホッゴホォ!」
何とも締まらない雄叫びを上げたにもかかわらず、狂気に取り憑かれた村人たちは、
「「「「「「「「「「ううぉーーーーーーッ!」」」」」」」」」」
血走った目で得物を振りかざして気勢を上げ、四人の下へ駆け出した。
欲望にまみれたその顔は醜く歪み、老いも若きも、男も女も、まさに「餓鬼」の如し。
そんな村人たちを、ドロプウォートは悲し気に見つめ、
(やはり、斬るしかありませんのっ)
再び剣の柄に手を掛けたその時、
「「「「!?」」」」
「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」
ドロプウォートたち四人は、慄く村人たちの姿に目を疑った。
剣技と天法の合わせ技を持つドロプウォートにとっての一振りは、剣の切っ先が届く距離か否かは関係がなく、初手で、近づく村人たちのほとんどの首を刎ねる事が可能であった。
無知とは恐ろしい物。半笑いの村長たちは再三の苦言を無視し、
(あと十数歩……ですわ……)
自ら死地に足を踏み入れ、ドロプウォートは悔し気に奥歯を噛み鳴らし、
(もはや、これまでですわぁ!)
次の一歩で横一閃、村長たちの首を斬り払おうとした刹那、
「ッ!?」
何かに驚き、動きを止めた。
彼らが「命の最終ライン」のギリギリ手前で、歩みをピタリと止めたのである。
余裕の笑みから一転、慄く表情を見せる村人たちに、
「ど、どう言う事ですの……」
「どぅしてぇ?」
不思議に思いながらも警戒を緩めなかった二人は、
「「!」」
とある事に気が付いた。
怯える彼らの目が、自分たちに向いていない事に。
((後ろ?!))
振り返ると、
「「!!!」」
仄暗い部屋の中、獲物を前にした猛禽類の様な鋭い眼が、青白く怪しい光りを放ち、村長たちを睨み付けていた。
「ラミィ!?」
「ラミウム様ぁ!?」
起き上がる事さえままならない筈のラミウムが、ラディッシュに支えられながらではあるが仁王立ちしていたのである。
ラミウムは気迫に気圧され慄く村長たちに一瞥くれると、猛り立った顔したドロプウォートとパストリスに、いつもと変わらぬ人を小馬鹿にした笑みを浮かべて、
「何て顔をしてんだぁい、二人してぇ」
小さく笑い、
「まぁ落ち着きぃ~なぁ」
「で、ですがラミィ! 彼らの所業は決して許されるモノではありませんわ!」
「だってぇボクのお父さんがぁ!」
二人が悲痛な表情で迫ると、穏やかな表情のラミウムはラディッシュから離れ、
「分かってる、分かってるさぁね……」
もたれ掛かる様に二人を優しく抱き締め、
「「!?」」
「だがねぇ、殺意や復讐心で心を満たすのはお止めぇ。そんなこっちぁアイツ等と同じになっちまうよ」
優しい言葉だけではない。触れ合った体を通して伝わる「人の温もり」に、
(ラミィ……)
(ラミウム様……)
二人は次第に、心の落ち着きを少し取り戻し、
((温かい……))
しかし、
『弱っているのは本当の様じゃなぁ!』
「「「!」」」
村長たちは下卑た笑みを浮かべ、
「国にバレさえしなければ、全ては良いのじゃ! 皆の者ぉ! チカラを奪われた恨みを今こそ晴らすのぉ、オゴホッゴホォ!」
何とも締まらない雄叫びを上げたにもかかわらず、狂気に取り憑かれた村人たちは、
「「「「「「「「「「ううぉーーーーーーッ!」」」」」」」」」」
血走った目で得物を振りかざして気勢を上げ、四人の下へ駆け出した。
欲望にまみれたその顔は醜く歪み、老いも若きも、男も女も、まさに「餓鬼」の如し。
そんな村人たちを、ドロプウォートは悲し気に見つめ、
(やはり、斬るしかありませんのっ)
再び剣の柄に手を掛けたその時、
「「「「!?」」」」
「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」
ドロプウォートたち四人は、慄く村人たちの姿に目を疑った。
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