ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第二章

2-28

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 数日後――

 当初の予定より、延ばした先の村に近づくラディッシュ達。
 森の中から村を視認出来る所まで来たものの、

「「「「「「…………」」」」」」

 とある懸念から、一歩が踏み出せずにいた。
 その懸念の理由は、ただ一つ。
 
 ドロプウォートは村を遠くに見つめたまま、その「懸念の元を作った原因」に、
「貴方は、よもやあの村でも「悪さ」をしてませんわよねぇ」
 すると、未だターナップの背におぶさる「その原因(サクサン)」は、
「「悪さ」なんてぇ失礼だなぁ。そもそもぼくぁ男女の出会いを、」

『ゴタクはイイのですわぁ』

 鬼の顔して二の句を断ち切ったが、当の本人は先日見せた反省は何処へやら。
 イケメン風の笑みキラリと浮かべ、

「覚えてなぁい♪ 何故なら、自信を取り戻す為に、アチコチの村や町を、手当たり次第に見境なく回ったからね♪」

 まるで大業を成し遂げたかの様に、達成感に満ちた表情で親指を立てて見せ、

『『『『『…………』』』』』

 呆れ果て言葉が出て来ない五人。

 そんな中、原因を背負うターナップが、
「もぅ面倒くせぇから、コイツを差し出して村に入れてもらおうぜぇ」
 半分本気の口調で提言すると、
「冗談でもヤメテぇ」
 半分本気で懇願するハクサンは、ここぞとばかりに、
「ぼくぁ「百人の天世人の序列一位ハクサン」だよぉ? ぼくぁ居れば、フルールなんて審査無しの、顔パスで通れるよ? 女王の下へ直行サぁ!」
 胡散臭い話で「顔パス」の意味も分からなかったが、彼が「百人の天世人の序列一」である事は疑いようのない事実であり、
「「「「…………」」」」
 ドロプウォート、パストリス、ターナップ、ニプルの四人が困惑顔を見合わせる中、ラディッシュだけが素直な驚きを以て、
「ハクさんって、フルール国の女王様とお知り合いなのぉ!?」
「ふふぅん♪ まぁねぇ♪」
 ターナップに背負われた格好のまま、自慢げな顔をするハクサン。

 一国の女王と知り合いなどと、普通に考えれば「眉唾物の話」ではあるが、彼の肩書は一応本物であり、ドロプウォートは迷った末、
「ニプル、今の話は本当ですの?」
 しかし近衛のニプルは、
「こ、公式として発表されていない話をウチに聞くな」
 女王に近い立場上ゆえに、暗に、女王の私的な事を口外にする訳にはいかず「イエスともノーとも言えない」と言ったつもりであったが、

「「「「「…………」」」」」

 バツが悪そうな顔して視線を逸らすドロプウォート達。
 彼女が城下で「よそ者扱い」を受けている話を思い出し。

 ニプルは、その反応から意味を即座にキャッチ。

『ご、誤解だぁ!「可哀そうな人」みたいな顔すんなぁ!』

 憤慨し、
「立場上、言えないダケだぁ! 陛下の名誉に関わるしなぁ!」

「それってヒドくなぁい?!」

 ハクサンがすかさず不満の声を上げ、
「ぼくぅと関わった女性がみんな不幸に、」
 口にしかけた弁明を、
「…………」
 物言いたげなジト目で黙らるニプル。
 
 チリチリと、怒りを感じる眼差しで、
「思い当たるフシが無いとでも?」
「…………」
 スッと、視線を逸らすハクサン。
 
 そんな彼の姿に、
 
((((女王様を相手に、何をやらかしたんだこの人は……))))

 フルール入国に際し、一抹の不安を抱く、ラディッシュ、ドロプウォート、パストリス、ターナップの四人であった。
 
 結局、目視できる距離まで近づいた村ではあったが、余計な迷惑を掛ける可能性(被害女性が加害者に変わる)を考慮し、狩りや採取を続ける事で「食料などのめど」がついたのもあり、入村を諦め、森をそのまま進んでフルール国に向かう事にした。
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