263 / 895
第四章
4-37
しおりを挟む
仲間たちの驚く姿を目の当たりに、ハクサンは段上の玉座の前で満足げな高笑い、
「ハァーハッハッハッ! 気付かなかったろぉ! 地世のチカラを、天世のチカラでコーティングして隠していたからねぇえ!」
狂気に取り憑かれた笑みを見せた。
悲鳴を上げた重鎮たちの全身が、次々地世の靄に取り込まれて行くさ中、
『ひぃいぃぃいぃ!』
玉座まで続く赤絨毯の中央に転がり出る一人の中年男性。
謁見の間に同席していた事から、何かしらの要職に就いている人物の筈であるが、彼だけは「合成獣化の術」が発現せず、玉座のハクサンは見知らぬ者を見つけた眼で半笑い、
「おやおや「招かれざる客」が混じって居たようだねぇ~」
見下ろす不敵な笑いに、
「ひぃ!」
怯えた男性が尻餅をついたまま後退ると、ラディッシュ達がハクサンの視界から彼を守る様に、壁となって瞬時に立ち並び、
『今のうちに早く逃げて下さぁい!』
「はひぃ!」
男は礼も言わずに慌てふためき、翻筋斗(もんどり)を打つように謁見の間から駆け出して行った。
その背を、段の上から見下ろすハクサン。
「やれやれ相変わらずぅお優しい事だねぇ~」
皮肉交じりに呆れ笑うと、慈悲なく合成獣化していく幼王アルブルの姿を目の当たりにしたターナップが怒りを抑えきれず、
『テメェこそ、人の命を何だと思ってやがァる! 王様とは言え、そんな小さな子供にまでぇ!!!』
こめかみの血管がキレそうな勢いで怒りを露わにしたが、
「ん?」
彼は「それが何か」と言わんばかりに、ヘラっと一笑いしてから、
「幼児好きのキミとしては我慢ならないかぁい?」
『んなぁ!? 誰が「幼児好き」かァ!』
「でも安心して良いよぉ。だってぇ、ぼくぁ術を施すより前に壊れちゃってたからねぇ♪」
「そう言う事を言ってんじゃねぇ!」
即座に否定したが、共に身構える仲間たちは、
((((((…………))))))
即答で「ターナップに同意」する事が出来なかった。
内心での正直な話、改めて指摘されて思い返してみると、ちょっと気になる節が、チョイチョイあったから。
仲間たちから発せられる、何とも言えない微妙な空気に、
『ちっ、違うっスよぉ!』
ターナップは少々慌てた様子で、
「確かに「子供は好き」っスけど! そう言う意味じゃねぇっスぅ!!!」
少々狼狽した否定ではあったが、ラディッシュ達はハクサンが向けるニヤケ顔から、
((((((!))))))
ハッと我に返り、「うっかり?」彼の口車に乗せられ大切な仲間(ターナップ)に疑いを持ってしまったのを自省する様に、
「うっ、うん! モチロンだよぉ!」
「わっ、分かっていますですわぁ!」
「でっ、でぇすぅでぇすぅ!」
「うっ、ウチ等は分かってるさぁ!」
「しっ、信用してるって、ますわよ!」
「だぁ、ダイジョウブなぉ! わかってるぅなぉ!」
その焦り交じりの誤魔化し笑いに、
(本当っスかぁ……)
仲間たちの目に自分がどう映っているのか、少々不安になるターナップであった。
そんな緊張感を欠いた「コントの様な押し問答」の間にも、手の施しようのない合成獣化は進み、
『『『『『『『『『『キィッシャャアアァァッァァァ!』』』』』』』』』』
(((((((!)))))))
獣の奇声に緊迫の現状を思い出したラディッシュ達の眼に飛び込んだのは、見上げる程の体躯の、顔と上半身に「獅子の姿」を、下半身に「山羊の姿」を、そして大蛇の尾を持った、合成獣と呼ぶに最もふさわしい、
≪キマイラ≫
ギラつく巨大な犬歯の間から炎を吐き、彼ら、彼女たちを見下ろす。
圧倒的存在感を放つキマイラの群れの迫力に取り囲まれ、ラディッシュ達が思わず息を呑む中、ハクサンは段の上から闇に歪んだ満面の笑顔で、
「ハァーハッハッハッ! ぼくぅの研究の成果だよォ!! 今までの合成獣と同じと思わない事だねぇええぇ!!!」
高笑い、
「因みに、今ので城下の「一部の兵たち」も合成獣化したからねぇ♪ さぁどぅ世界を護る、勇者諸君! ハァーハッハッハッ!」
からかいを交えた狂気染みた笑いと共に、謁見の間から駆け出して行ってしまった。
結果を見届ける事も無く。
思い改めさせようと、
『まっ、待ってハクさぁあぁん!』
懸命に名を呼ぶラディッシュ。
しかし「その想い」は、グルリと周囲を取り囲むキマイラの群れの中で埋もれて届かず、チィックウィードを背に守るターナップが苦虫を噛み潰したよう顔して、
「あぁんのヤロォ! テメェ一人でとっとと逃げやがったァ!」
唾棄する様に吐き捨てたが、ドロプウォートは違和感を持った。
(天世に対して蜂起しておいて、彼に逃げ場など「この世界に」ありますの? いえ、それ以前に、彼の歪んだ性格を鑑みれば……)
そして浮かんだのは、
『地下ですわァ!』
((((((ッ!))))))
瞬時に意味を悟り、驚愕するラディッシュ達。
ハクサンの企みが「蜂起」などと生易しい物ではなく、開発中と言っていた兵器を使った「天世の壊滅」であるのに気付き。
するとニプル、パストリス、カドウィード、ターナップ、チィックウィードがアイコンタクトを交わし合い、同意の表情で頷き合うと、
『ラディ! ドロプッ!』
「「?!」」
「ここはウチらに任せて二人はアイツを追うのさァ!」
「「え!?」」
ニプル達からの申し出にギョッとする二人。
ハクサンの自信作であるキマイラの一体一体から感じるチカラは、これまで遭遇した合成獣たちの比ではなかったから。
「「…………」」
惑う二人。
「ハァーハッハッハッ! 気付かなかったろぉ! 地世のチカラを、天世のチカラでコーティングして隠していたからねぇえ!」
狂気に取り憑かれた笑みを見せた。
悲鳴を上げた重鎮たちの全身が、次々地世の靄に取り込まれて行くさ中、
『ひぃいぃぃいぃ!』
玉座まで続く赤絨毯の中央に転がり出る一人の中年男性。
謁見の間に同席していた事から、何かしらの要職に就いている人物の筈であるが、彼だけは「合成獣化の術」が発現せず、玉座のハクサンは見知らぬ者を見つけた眼で半笑い、
「おやおや「招かれざる客」が混じって居たようだねぇ~」
見下ろす不敵な笑いに、
「ひぃ!」
怯えた男性が尻餅をついたまま後退ると、ラディッシュ達がハクサンの視界から彼を守る様に、壁となって瞬時に立ち並び、
『今のうちに早く逃げて下さぁい!』
「はひぃ!」
男は礼も言わずに慌てふためき、翻筋斗(もんどり)を打つように謁見の間から駆け出して行った。
その背を、段の上から見下ろすハクサン。
「やれやれ相変わらずぅお優しい事だねぇ~」
皮肉交じりに呆れ笑うと、慈悲なく合成獣化していく幼王アルブルの姿を目の当たりにしたターナップが怒りを抑えきれず、
『テメェこそ、人の命を何だと思ってやがァる! 王様とは言え、そんな小さな子供にまでぇ!!!』
こめかみの血管がキレそうな勢いで怒りを露わにしたが、
「ん?」
彼は「それが何か」と言わんばかりに、ヘラっと一笑いしてから、
「幼児好きのキミとしては我慢ならないかぁい?」
『んなぁ!? 誰が「幼児好き」かァ!』
「でも安心して良いよぉ。だってぇ、ぼくぁ術を施すより前に壊れちゃってたからねぇ♪」
「そう言う事を言ってんじゃねぇ!」
即座に否定したが、共に身構える仲間たちは、
((((((…………))))))
即答で「ターナップに同意」する事が出来なかった。
内心での正直な話、改めて指摘されて思い返してみると、ちょっと気になる節が、チョイチョイあったから。
仲間たちから発せられる、何とも言えない微妙な空気に、
『ちっ、違うっスよぉ!』
ターナップは少々慌てた様子で、
「確かに「子供は好き」っスけど! そう言う意味じゃねぇっスぅ!!!」
少々狼狽した否定ではあったが、ラディッシュ達はハクサンが向けるニヤケ顔から、
((((((!))))))
ハッと我に返り、「うっかり?」彼の口車に乗せられ大切な仲間(ターナップ)に疑いを持ってしまったのを自省する様に、
「うっ、うん! モチロンだよぉ!」
「わっ、分かっていますですわぁ!」
「でっ、でぇすぅでぇすぅ!」
「うっ、ウチ等は分かってるさぁ!」
「しっ、信用してるって、ますわよ!」
「だぁ、ダイジョウブなぉ! わかってるぅなぉ!」
その焦り交じりの誤魔化し笑いに、
(本当っスかぁ……)
仲間たちの目に自分がどう映っているのか、少々不安になるターナップであった。
そんな緊張感を欠いた「コントの様な押し問答」の間にも、手の施しようのない合成獣化は進み、
『『『『『『『『『『キィッシャャアアァァッァァァ!』』』』』』』』』』
(((((((!)))))))
獣の奇声に緊迫の現状を思い出したラディッシュ達の眼に飛び込んだのは、見上げる程の体躯の、顔と上半身に「獅子の姿」を、下半身に「山羊の姿」を、そして大蛇の尾を持った、合成獣と呼ぶに最もふさわしい、
≪キマイラ≫
ギラつく巨大な犬歯の間から炎を吐き、彼ら、彼女たちを見下ろす。
圧倒的存在感を放つキマイラの群れの迫力に取り囲まれ、ラディッシュ達が思わず息を呑む中、ハクサンは段の上から闇に歪んだ満面の笑顔で、
「ハァーハッハッハッ! ぼくぅの研究の成果だよォ!! 今までの合成獣と同じと思わない事だねぇええぇ!!!」
高笑い、
「因みに、今ので城下の「一部の兵たち」も合成獣化したからねぇ♪ さぁどぅ世界を護る、勇者諸君! ハァーハッハッハッ!」
からかいを交えた狂気染みた笑いと共に、謁見の間から駆け出して行ってしまった。
結果を見届ける事も無く。
思い改めさせようと、
『まっ、待ってハクさぁあぁん!』
懸命に名を呼ぶラディッシュ。
しかし「その想い」は、グルリと周囲を取り囲むキマイラの群れの中で埋もれて届かず、チィックウィードを背に守るターナップが苦虫を噛み潰したよう顔して、
「あぁんのヤロォ! テメェ一人でとっとと逃げやがったァ!」
唾棄する様に吐き捨てたが、ドロプウォートは違和感を持った。
(天世に対して蜂起しておいて、彼に逃げ場など「この世界に」ありますの? いえ、それ以前に、彼の歪んだ性格を鑑みれば……)
そして浮かんだのは、
『地下ですわァ!』
((((((ッ!))))))
瞬時に意味を悟り、驚愕するラディッシュ達。
ハクサンの企みが「蜂起」などと生易しい物ではなく、開発中と言っていた兵器を使った「天世の壊滅」であるのに気付き。
するとニプル、パストリス、カドウィード、ターナップ、チィックウィードがアイコンタクトを交わし合い、同意の表情で頷き合うと、
『ラディ! ドロプッ!』
「「?!」」
「ここはウチらに任せて二人はアイツを追うのさァ!」
「「え!?」」
ニプル達からの申し出にギョッとする二人。
ハクサンの自信作であるキマイラの一体一体から感じるチカラは、これまで遭遇した合成獣たちの比ではなかったから。
「「…………」」
惑う二人。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します
みおな
ファンタジー
王国の公爵令嬢として、王太子殿下の婚約者として、私なりに頑張っていたつもりでした。
それなのに、聖女とやらに公爵令嬢の座も婚約者の座も奪われて、冤罪で処刑されました。
死んだはずの私が目覚めたのは・・・
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる