ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第四章

4-57

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 疲労困憊の中、懸命に走って部屋を出て、誘爆音を背に階段を必死の形相で駆け上がり、

『未熟者が! 装置にあれほど強大なチカラをぶつければ結果はおのずと分かろうが!』

 走りながら叱責するサジタリアに、
「ゴメンなさぁあぁぁぁい! まさか、あんなに凄いのが出ると思わなくてぇえぇぇ!」
 走りながら半泣きでラディッシュが謝罪していると、並走していたグラン・ディフロイスが愛らしい笑顔で、
「私は、天世の剣の天流虚空丸を補助に使って、地世のチカラと天世のチカラを重ねて強力な術を生み出してるんだけど、天世の剣士のラディッシュくんは、地世の剣の地流閻魔丸を使って、その逆をやったんだね♪ 無意識っぽいけど♪」
天井もパラパラと崩れ始める中での「丁寧な解説」に、

『言ってる場合ですのぉおぉ!』

 思わずツッコミを入れる、ドロプウォート。
 足元のグラつきもさることながら、次第に天井の崩落も本格化の気配を見せ始め、

「このままじゃぁあっぁみんな揃って生き埋めさぁあぁぁあぁぁ!」

 全力疾走しながらニプルが嘆きを叫び、
「でぇすでぇすぅ!」
 パストリスも走りながらの半泣きで頷くさ中、

「いきうめ♪ いきうめ♪」
「喜んでる場合かぁ! もとい場合ですのぉ!」

 言葉のリズムが気に入ったチィックウィードの無邪気な連呼に、カドウィードが必死の形相で走りながらツッコムと、

「それどころじゃねぇだろぉおっぉがぁああぁぁぁ!」

 冷や汗流しながら走るターナップは苦笑い。
 その途端、城を支える重要な何かが遂に壊れたらしく、

 ゴォガァガァガァアァァァアァーーーーーーッ!
「あっ♪」

 誰かの声を最後に、一気に崩壊した。
 激しい轟音と砂塵を上げつつ、一瞬にして倒壊したアルブル国のシンボル。

 やがて来る静寂の時間。

 もうもうと立ち込める土煙も次第に落ち着きを見せ始め、視界が開けてくると、居城跡と化した広大な瓦礫の山の中央から、突如、空に向かって光の柱が立ち昇り、

 ガァカカァァァカアァ!

 一部のガレキ群を吹き飛ばすと同時、そこにはラディッシュ、ドロプウォート、チィックウィード、パストリス、ニプルウォート、カドウィード、ターナップの無事な姿が。
 みな一様に、

『『『『『『『しぬかとおもったぁ~』』』』』』』

 安堵の息。
 そしてラディッシュは、
(あの時、グランさんから「この剣」を渡されていなかったら……)
 左手に握られた「天流虚空丸」を見つめた。

 本格的な城の倒壊が始まった時、グラン・ディフロイスが、
「この剣もあげるから、二つの剣のチカラを重ねて、みんなを救って見せてよ♪」
「えぇ!?」
 託された重責に、一瞬、躊躇いを見せるとすかさず、
「早くしないと、みんなで仲良く「あの世逝き」だよ♪」
「!」
 瞬間的に腹を括ったラディッシュの一振りにより、仲間たちは事なきを得たのであった。
 しかし、

「ありがとうございます、グランさん」

 振り返るも、そこにグラン・ディフロイスの姿は既になく、
「あれ? グランさんは???」
 仲間たちに問うも、誰も気付けなかった様子で首を横に振り、サジタリアの姿も消えていて、
「そんな……」
 うつむくラディッシュ。

 その横顔から、
(御礼を言えなかった事を悔やんでおりますのねぇ……)
 ドロプウォートのみならず、誰もが「律儀なラディらしい」と思い苦笑していると、彼は青空に向かって、

『ラミィの手掛かりがぁまた消えたぁあぁぁぁあぁ!』

 悔し気に咆哮し、
((((((そっちかぁい!))))))
 揃ってツッコム仲間たちであったが、一人に対して、とある疑念を抱いていた。
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