ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-49

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 良くも悪くも、国民に寄り添う姿勢を見せる女王フルールと、最側近リブロン。
 そんな姿を見せられては協力したくなるのが「人情」と言うモノであり、当然の如くパストリスも、

『分かりましたなのでぇす♪』

 笑顔で頷き、ラディッシュ達の方へ向き直り、
「ボク達のチカラで、御二人の「国民からの信頼」を守りましょうなのでぇす♪」
「「「「「「「おぉーーー!」」」」」」」
 詳細が未だ見えていないイリス、カドウィード、チィックウィードを含めた仲間たちも、釣られるように笑顔の気勢を返し、

「「ありがとう(ございます・でゴザル)ぅ」」

 二人が涙ながらに謝意を口にする中、
「因みになのでぇす、リブロンさん」
「はい?」
「リブロンさんは、どぉんなジャンルを書いたでぇすぅ?」
「えっ?! そ、それは……」
 惑いを見せる彼女は少し気恥ずかしそうに、

「ら……」
「ら?」
「ラブコメぉ……少々……」
「へぇ~ラブコメなのでぇす♪」
「あ、は、はい……」

 照れ臭いが故に、あまり深く突っ込んで欲しくなかったが、興味の尽きないパストリスは悪気無く、
「ペンネームはあるのでぇす?」

『ぺぇ?!』

 素っ頓狂な驚き声を、思わず短く上げてしまうリブロン。
 それもその筈、人気作家の仲間入りをするなど露ほど考えず、その場しのぎで考えた名前であり、それ以上に「ペンネームを教える」と言う事は、つたない過去作まで読まれてしまうのを意味したから。
 しかし、

(作業を手伝ってもらえば、知られるのは時間の問題。まして全てを隠匿したまま現状必要な作業だけしてもらうなど余りに不躾(ぶしつけ)で、礼を失する行為……それなら!)

 生真面目な彼女は腹を括ると、
「ゆっ、ユリユリでぇす……」
 羞恥の赤面顔で呟いた途端、

『『『『『ユリユリ先生ぇえぇ?!』』』』』

 チィックウィードを除いた女子五人が驚愕し、その異様な驚きように、
「は、ハイ?」
 気圧され気味の疑問形で返事を返すと、パストリスが興奮気味に身を乗り出し両眼をランランと輝かせ、

『先生の作品は最高なのでぇす!』
「え?! あ、そ、」
『先生の作品の漫画化ぁ! ぜひお手伝いさせて欲しいでゴジャルぅ!』

 語尾に「ゴジャル」が付いて早速「アシスタントモード」を発動させると、真っ直ぐな褒め言葉にリブロンは、
「あ、ありがとうございます」
 戸惑いつつも、
「な、何ともぉこそばゆいものですねぇ、直接賛辞を贈られると言うのはぁ」
 嬉しさを隠し切れずに居た中、すっかり置き去りにされた感が否めないカドウィード、チィックウィード、イリス。
 いつもは引っ込み思案なパストリスが見せた変貌ぶりに、

(((ご、ごじゃる???)))

 困惑の度合いを深め、
(事情が分からないと、そんな反応になるよねぇ~)
 苦笑のラディッシュ達は惑う三人に、女帝フルールの「もう一つの顔」を教えた。
 否、正しくは「もう三つ」と言うべきか。

 フルール国女王としての顔の他に、人気恋愛作家「マツムシソウ」に加え、人気GL系同人誌作家「オミナエシ」と、人気BL系同人誌作家「オトコエシ」としての顔を持つ彼女の事を。

 出会いから現在に至るまでの顛末を聞かせる中で、新たな事実も。

 それはカドウィードがお気に入りの「制服系」の話であり、そのジャンルの中でも彼女が最もお気に入りの作品が、実は作品幅を広げる為に女王フルールが「新たなペンネーム」で書き下ろした挑戦的新作であったこと。
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