ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第六章

6-63

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 村をそぞろ歩く勇者一行――

 破産の可能性から解放され、途端に気が抜け、情報収集も忘れて散歩を楽しんでいたのだが、
「「…………」」
 何故か浮かない顔して歩くのは、ラディッシュとターナップ。
 そんな二人の一方で、

「キィシッシッ♪」

 愉快げに、笑いが収まらない様子で歩くイリス。
 周囲からの眼もあり、流石にドロプウォートが困惑交じり、
「ちょっとイリィ、笑い過ぎですわぁ」
 苦言を呈すと、ニプルウォートも、
「おぅさ。結局アンタの疑惑は晴れて無いのさ。笑ってる場合じゃ、」
 しかし彼女は、

「ヒッヒッヒッ♪ 分かってる分かってる、分かってるさぁねぇんな事ぁ♪」

 口では分かってると連呼しつつ、ラディッシュとターナップの困惑顔を見るなり、
「クックック……♪」
 結局、笑いは収まらなかった。

 笑いの原因を作ったのは、酒場の店主。

 勝負にならなかった料理対決の後、落ち着きを取り戻した店内で彼は清々しい「敗者の笑顔」で、
「オマエさん方が「噂の一行」なんだろ?」
((((((((!))))))))
 勇者一行と気付かれたと知るラディッシュ達。

(さっ、騒ぎになっちゃうのかな?!)
(黙っていてもらいましょうですわ!)
(でも人の口に戸は立てられないさぁ!)
(如何にぃするでぇありんすぅ?!)
(どうするったってぇ、どぅするっスよぉ?!)
(ど、どどどどぅするのでぇすぅ?!)
(どぅするぅ♪ どぅするぅ♪)

 勇者組が困惑し合う中、

(いっそ客ごと始末しつまうさねぇ)
(((((((!!!?)))))))

 真顔のイリスにギョッとし、
(物騒なこと言わないでぇよぉ、イリィ!)
 ラディッシュが真面目な即ツッコミを入れると、彼女はケラケラと笑い出し、

(冗談さぁねぇ冗談さぁねぇ♪)
(((((((アナタがいうとジョウダンにきこえない……)))))))

 すると内輪モメから何かを察した店主が「ははは」と笑い、

「大丈夫だ、大丈夫」
「「「「「「「「?」」」」」」」」
「誰にも言わねぇよ。本職の料理人が素人に負けた「無様」もあるしな」

 その笑顔に、ほっと胸を撫で下ろすラディッシュ達ではあったが、
「しっかし、噂ってのもあてにならないモンだなぁ~」
 染み染み語る彼に、

「うわさ?」
「女たらしの「流浪の料理人」が、まさか「男も好む」とはなぁ~」
「へ?! 女たらし?!! 流浪ぉ?!!! 男ぉおぉお?!!!!」

 言われている意味が理解出来ないラディッシュが仲間たちに振り向けば、偶然にもそこにターナップと眼が遭い、
「「!?」」
 瞬時に理解が及んだ二人は慌てに慌て、奇しくも声を揃え、

『『チガぁウぅ!!!』』

 しかし店主は耳を貸す素振りを見せず、達観した笑顔と共に、
「分かってる分かってるさ」
 念押しした上で、
「世間にぁ中々理解されないからな。苦労は分かるぞ」
 悟った相槌に、

『『だからぁ違うってぇ!!!』』

 男二人は必死の否定。
 イリスはその時の「二人の慌て振り」を思い返しては、笑いが込み上げ、

「クぅーーーヒッヒッ♪」

 もう一笑い。
 涙目を拭いながら、
「それにしてもあの店主も、中々にして「食えない男」だったさぁねぇ~」
 この感嘆には、ラディッシュ達も同意の頷きを見せ、

「た、確かにねぇ」
「ですわねぇ~商魂たくましいと言いましょうかぁ何と言いましょうかぁ~」
「まったくさ。判定に集まってた客たちに」
「タダ飯を食わすとまで言ってねぇってぇ言い放ちやがってぇ」
「ほんにぃ代金をせしめる辺りぃ~」
「転んでもタダでは起きないのでぇすぅ」
「オキナイのぉ♪ オキナイのぉ♪」

 店主は判定に参加していた客たちから、キッチリカッチリ飲食代を徴収していて、まかりラディッシュ達に勝っていたら、それこそ「ボロ儲け状態」だったのである。
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