ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第十章

10-35

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 勇者の名前を悪用する一族に対して怒りを見せぬラディッシュに、御歴々は「それならば」と奮い立ち、

『『『『『ワシらも同様にぃ!』』』』』

 買収された担当者の、更なる買収を目論んだ。
 廃村目前であった頃と違い、金銭的体力のある「今の村」なればこそ可能な、非合法な荒業であった。
 しかし村長は、

「止めておいた方が良いでしょう」
『『『『『ッ!』』』』』

 声を荒げるでもなく釘を刺した上で、納得いかない様子の御歴々を前に、

「勇者様はそう言う反応になるのを見越して、こうも仰っておられました」
「「「「「?!」」」」」

《僕が居た世界には因果応報と言う言葉があって、行った悪行は巡り巡って自分たちに返って来る》

「「「「「…………」」」」」

 返す言葉も無い御歴々。
 孫の様な者から正論で諭されては。

 とは言え、黙って引き下がるは腹の虫が治まらず、
「「「「「このまま捨ておけ、と……」」」」」
 拭い切れぬ悔しさを滲ませると、

『落ち込む必要は無いでしょう』
「「「「「?」」」」」

 村長の不敵なニヤリ笑いに、御歴々が首を傾げると、

「勇者様は「行った悪事は巡り巡って自分たちに返って来る」と、仰ったのですから」

 その言葉に、意味に、

『『『『『!』』』』』

 御歴々は息を吹き返し、

「確かにそうじゃな♪」
「まったくじゃな♪」
「勇者様の顔に泥を塗るような行為は、げに慎むべきじゃな♪」
「何せこの村は「西の村」と違い、勇者様方とのゆかりの深~い村じゃからな♪」
「何も焦る必要はないのじゃな♪」

 一転した清々しい笑みを見せ合いながらも、

(((((後悔するが良いぞ守銭奴ども♪)))))

 腹の中で「首謀者たちの末路」を嘲笑った。

 後日、村長や御歴々の密かな願い通り、捕縛された西の村の村長一族と、その一派。
 勇者組からの慈悲であった、

《公的な名前で出した売り上げなのだから、利益は生活困難者の救済に当てるべきでは?》

 遠回しな最後通告を欲に目が眩み見抜けず、それと気付けず屁理屈で一蹴したから。

 元より、叩けば叩いた分だけ埃が出る一族である。
 中央の目を盗んで、または金銭などを使って抱き込んで、隠匿していた悪行の数々を証拠と共に暴露され、投獄される事となった。
 悪知恵の働く一団を捕縛するに当たり、ラディッシュ達が裏で暗躍したのは言うまでもない話であるが。

 しかし村長たちにとって意外であったのが、西の村の村民たちの反応。
 自分たちの長を捕縛され、さぞや「腹を立てる」と思いきや、村民たちはもろ手を挙げて逮捕劇を大喜び、歓迎を以て迎えた。

 その陰には、他の村では考えられない意味不明な徴税や、強制労働など、西の村の村長一派の「村の運営を隠れ蓑」にしたやりたい放題、暴挙の数々があり。
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