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第8話「軌道が”ずれ”始める大学生活」
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麗奈と約束をし、さて明日は梅田に行くぞという日。の前の日。俺はとてつもなく緊張していた。
「それで運転再開はいつ頃だって?」
「それがまだ目途が立っていないみたいなの……」
「マジか……」
旧暦とはまた別の言い方、つまり昔の人が季節を見て詠んだ言い方をすると穀雨。雨がシトシトと降り、たくさんの穀物が成長するために恵みの雨を降らす。お母さん、お父さん、妹よ、俺は今日、成長するかもしれません。ダメそうなら引きます。許してください、ヘタレなんです。
「まさか雨の日にこんなことになるとはな」
「本当だよ。本当にありがとね、和彦。私の友達も通い組しかいなくて、みんな帰っちゃったし」
本日18過ぎに最寄りの沿線で電車の機械トラブルが起きて電車が止まった。5限の授業が終わって帰ろうとしていた由美佳はそれに巻き込まれてしまったのだ。雨の中、大学に戻るも、みんな考えることは同じのようで大学もかなり混んでいた。
由美佳が5限まであることを知っていた俺は、ツイッターを見ていて電車が止まったことを知り、由美佳に大丈夫か―とLINEで聞いて、休憩がてら家に来ないかと誘ったわけだ。我ながら大胆なことをしたと思う。
俺はキッチンに立って今日の晩御飯を作っている。俺もごはんを食べようとしていたところだし、由美佳も5限まで頑張って授業を受けていてお腹が空いているだろう。と思いごちそうすることにしたのだ。
後ろでは由美佳が濡れた髪をタオルで丁寧に拭いている。
今日のメニューは少し冷えたからだをポカポカと温める、大室家秘伝のシチューだ。まろやかなとろみに柔らかくなった具材。そして近所の美味しいパン屋のフランスパン。自信の一品だ。
三人前を用意していてちょうど良かったぜ。
「わぁ、いい匂い。和彦、こんなにおいしそうなのを作れるんだ」
「下宿するにあたって、春休みでかなり練習したんだ。ほらそこに腰を下ろして。もうちょっとで出来上がりだから」
最後に味見をしておいしいかを確認。うむ最高の味。これまでで一番おいしいのではないかと思えた。
フランスパンを切り、お皿にシチューを装い、テーブルに並べる。
「さて。食べるか」
「本当に美味しそう。ごちそうまでしてもらって……ありがとね」
「いいってことよ。いただきます」
「いただきます」
湯気がゆらゆらと立つシチューにフランスパンをつけて食べる。シチューのとろみがフランスパンにくっつく。シチューが滴り落ちてしまう前に口に入れる。シチューの温かみが体全体を温める。
「冷えたからだがあったまるよ」
「それなら良かったよ。まだまだあるから足りなくなってもおかわりはあるからな」
そこからは他愛のない話、大学の先生がどーだとか、アルバイトがどーだとか。やはりどれも初めてのことだから話は盛り上がる。そして友達関係の話になったとき。空気の流れがほんの少しだけ変わったのを感じた。
「そうえいばこの前、燐風館で和彦が女の子と楽しそうに話をしているところを見たのだけど」
「それで運転再開はいつ頃だって?」
「それがまだ目途が立っていないみたいなの……」
「マジか……」
旧暦とはまた別の言い方、つまり昔の人が季節を見て詠んだ言い方をすると穀雨。雨がシトシトと降り、たくさんの穀物が成長するために恵みの雨を降らす。お母さん、お父さん、妹よ、俺は今日、成長するかもしれません。ダメそうなら引きます。許してください、ヘタレなんです。
「まさか雨の日にこんなことになるとはな」
「本当だよ。本当にありがとね、和彦。私の友達も通い組しかいなくて、みんな帰っちゃったし」
本日18過ぎに最寄りの沿線で電車の機械トラブルが起きて電車が止まった。5限の授業が終わって帰ろうとしていた由美佳はそれに巻き込まれてしまったのだ。雨の中、大学に戻るも、みんな考えることは同じのようで大学もかなり混んでいた。
由美佳が5限まであることを知っていた俺は、ツイッターを見ていて電車が止まったことを知り、由美佳に大丈夫か―とLINEで聞いて、休憩がてら家に来ないかと誘ったわけだ。我ながら大胆なことをしたと思う。
俺はキッチンに立って今日の晩御飯を作っている。俺もごはんを食べようとしていたところだし、由美佳も5限まで頑張って授業を受けていてお腹が空いているだろう。と思いごちそうすることにしたのだ。
後ろでは由美佳が濡れた髪をタオルで丁寧に拭いている。
今日のメニューは少し冷えたからだをポカポカと温める、大室家秘伝のシチューだ。まろやかなとろみに柔らかくなった具材。そして近所の美味しいパン屋のフランスパン。自信の一品だ。
三人前を用意していてちょうど良かったぜ。
「わぁ、いい匂い。和彦、こんなにおいしそうなのを作れるんだ」
「下宿するにあたって、春休みでかなり練習したんだ。ほらそこに腰を下ろして。もうちょっとで出来上がりだから」
最後に味見をしておいしいかを確認。うむ最高の味。これまでで一番おいしいのではないかと思えた。
フランスパンを切り、お皿にシチューを装い、テーブルに並べる。
「さて。食べるか」
「本当に美味しそう。ごちそうまでしてもらって……ありがとね」
「いいってことよ。いただきます」
「いただきます」
湯気がゆらゆらと立つシチューにフランスパンをつけて食べる。シチューのとろみがフランスパンにくっつく。シチューが滴り落ちてしまう前に口に入れる。シチューの温かみが体全体を温める。
「冷えたからだがあったまるよ」
「それなら良かったよ。まだまだあるから足りなくなってもおかわりはあるからな」
そこからは他愛のない話、大学の先生がどーだとか、アルバイトがどーだとか。やはりどれも初めてのことだから話は盛り上がる。そして友達関係の話になったとき。空気の流れがほんの少しだけ変わったのを感じた。
「そうえいばこの前、燐風館で和彦が女の子と楽しそうに話をしているところを見たのだけど」
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