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第一章 これは魔法ですか? いいえ、高度に発達した科学です。
no.005 サイボーグ部隊GIII 破
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「ようこそふたりとも! 見ておくれ、これが我が城だ!」
「でっか!」
思わず声量が上がってしまうコウタ。
映画などでしか見たことのない大きさの屋敷と、それを取り囲む余裕でサッカーが出来そうな広さの敷地に立ち並ぶ、得体の知れない倉庫のような建造物群。これらはすべて何らかのラボであり、敷地はすべてメニカの私有地だ。
「ご苦労様。あ、コータくんのことは報告しないでね」
「承知致しました」
「あ、ありがとうございます……」
ここまで送ってくれたパイロットに軽く会釈をし、メニカに続いてヘリを降りる。庭園とも呼べる大きさの庭に、入口には警備室が備えられている。有り体に言えば、金持ちの家であった。
『本当に大きいですねぇ。これ全部ラボですか?』
「生活スペースを除けばね。ここは実家兼研究所兼実験場なのさ」
「あれ、さっきのところも実験場じゃなかった?」
「街中で兵器を使うと怒られるんだよコータくん。たとえ私有地でもね」
「怒られたことがあるのか……」
コウタは半ば呆れながらそう返す。考える前にわかりそうなものだが、それを口には出さない。危険な実験をしていたり、社会的地位が高そうだったりと、メニカの普通でなさを感じていると、やがて広い庭を抜け玄関口に辿り着いた。
「お邪魔します」
「どーぞー」
案内された応接間は以外にも普通で、少しメカメカしいところを除けば常識の範疇だった。壊れないかと心配しながら、コウタは恐る恐る高そうな椅子に座る。装飾や家具から、やはり裕福さが窺えた。挙動不審にきょろきょろしていると、家に入ってから何故かずっと黙っていたアミスがようやく口を開いた。
『すぅー、はぁー。コウタさん、メニカちゃんの匂いの分析および再現に成功しましたよ!』
「きっしょ」
『ひどい!』
ずっと黙っていたと思ったらろくなことをしていなかったド変態を前に、コウタは歯に衣着せぬ罵倒を繰り出した。
「ささ、お茶でも飲んでゆっくり話でもしようじゃないか。コータくんも普通に食事を取れるんだったね」
『はい、全く同じもので大丈夫ですよ。私も楽しめますし』
「なんでもありですね僕のカラダ。出来ないことはあるんですか?」
『人間的な部分に限って言いますと、機能的に必要ないので生殖と排泄は備え付けてないですね』
それはコウタも薄々勘づいていた。なにせ、無いのだ。それ自体にも違和感すらない。認めたくなかったのと、アミスが女性ということもあり、質問するのを躊躇っていたのだ。十数年連れ添った相棒が亡きものになり、コウタは少しだけ泣きたい気分になった。
「じゃあつまり、コータくんは食べたものを完璧に吸収できるってわけだね。全部エネルギーに変換するの?」
『ボディに欠損等がなければそうなりますね』
「ふぅむ。その消化器官は食物以外も――」
自身の考察を披露しようとしたタイミングで、インターホンが鳴り響いた。
メニカは少し疎ましそうにしつつも、モニタで外の様子を確認する。
「はーい、どちら様ですか……って、隊長か。開けるから上がってよ。紹介したい人がいるんだ」
『了解した』
その野太い声から、来訪者は男性で、かなりガタイの良い人物だとコウタは推察する。隊長というのも渾名などではなく、本当になんらかの部隊を率いているのだろう。メニカが兵器を作っていることもおそらくは関係しているはずだと、おおよその予想をつけた。ずしんずしんとやけに重い足音が段々と近付き、やがて扉が開かれる。
「……む。相変わらず狭いな」
予想は概ね合っていた。扉の向こうに、筋骨隆々の肩幅おばけ筋肉ゴリラが仁王立ちしていたからだ。
首から下の体しか見えないのは入口よりも遥かに上背があるせいだ。
だが、見える範囲だけでも凄まじい情報量だ。まず、黒い服の上からでもわかる、なにかクスリでもやってそうなはち切れんばかりの筋肉と、もはや才能の域に達していると断言出来る骨格、二メートルは優に越す上背。さらに極め付きは、鈍い銀色に輝く左腕の義手。
これにはコウタも黙ってはいられず、つい我慢していた口が開いてしまった。
「メカゴリラ……!」
『コウタさん!?』
よもやのアミスが驚くほど、初対面の対応としては零点、大幅減点である。しかしそう言わせるだけの圧と筋肉なのだ。服装すら黒めで体毛に見えなくもない。それを受け、メニカとその人物は怒るどころか、大きな声で笑いはじめた。
「あはははは! 隊長、メカゴリラだってさ! はははは!」
「ゴリラを馬鹿にするな。彼らは賢く心優しい。そして強い。あと全員B型だ」
「あ、顔は人間だ……」
『コウタさんも大概失礼ですよね』
ぬっと出て来たその顔は微塵もゴリラではなく、どちらかと言えば端正よりだった。しかし暴力的なまでの筋肉に引っ張られているのか、顔相はそこそこ凶悪で、幼子が見れば泣く者もいるだろうという顔だ。強面メカゴリラ隊長という渾名をコウタはこっそり付けた。
「でっか!」
思わず声量が上がってしまうコウタ。
映画などでしか見たことのない大きさの屋敷と、それを取り囲む余裕でサッカーが出来そうな広さの敷地に立ち並ぶ、得体の知れない倉庫のような建造物群。これらはすべて何らかのラボであり、敷地はすべてメニカの私有地だ。
「ご苦労様。あ、コータくんのことは報告しないでね」
「承知致しました」
「あ、ありがとうございます……」
ここまで送ってくれたパイロットに軽く会釈をし、メニカに続いてヘリを降りる。庭園とも呼べる大きさの庭に、入口には警備室が備えられている。有り体に言えば、金持ちの家であった。
『本当に大きいですねぇ。これ全部ラボですか?』
「生活スペースを除けばね。ここは実家兼研究所兼実験場なのさ」
「あれ、さっきのところも実験場じゃなかった?」
「街中で兵器を使うと怒られるんだよコータくん。たとえ私有地でもね」
「怒られたことがあるのか……」
コウタは半ば呆れながらそう返す。考える前にわかりそうなものだが、それを口には出さない。危険な実験をしていたり、社会的地位が高そうだったりと、メニカの普通でなさを感じていると、やがて広い庭を抜け玄関口に辿り着いた。
「お邪魔します」
「どーぞー」
案内された応接間は以外にも普通で、少しメカメカしいところを除けば常識の範疇だった。壊れないかと心配しながら、コウタは恐る恐る高そうな椅子に座る。装飾や家具から、やはり裕福さが窺えた。挙動不審にきょろきょろしていると、家に入ってから何故かずっと黙っていたアミスがようやく口を開いた。
『すぅー、はぁー。コウタさん、メニカちゃんの匂いの分析および再現に成功しましたよ!』
「きっしょ」
『ひどい!』
ずっと黙っていたと思ったらろくなことをしていなかったド変態を前に、コウタは歯に衣着せぬ罵倒を繰り出した。
「ささ、お茶でも飲んでゆっくり話でもしようじゃないか。コータくんも普通に食事を取れるんだったね」
『はい、全く同じもので大丈夫ですよ。私も楽しめますし』
「なんでもありですね僕のカラダ。出来ないことはあるんですか?」
『人間的な部分に限って言いますと、機能的に必要ないので生殖と排泄は備え付けてないですね』
それはコウタも薄々勘づいていた。なにせ、無いのだ。それ自体にも違和感すらない。認めたくなかったのと、アミスが女性ということもあり、質問するのを躊躇っていたのだ。十数年連れ添った相棒が亡きものになり、コウタは少しだけ泣きたい気分になった。
「じゃあつまり、コータくんは食べたものを完璧に吸収できるってわけだね。全部エネルギーに変換するの?」
『ボディに欠損等がなければそうなりますね』
「ふぅむ。その消化器官は食物以外も――」
自身の考察を披露しようとしたタイミングで、インターホンが鳴り響いた。
メニカは少し疎ましそうにしつつも、モニタで外の様子を確認する。
「はーい、どちら様ですか……って、隊長か。開けるから上がってよ。紹介したい人がいるんだ」
『了解した』
その野太い声から、来訪者は男性で、かなりガタイの良い人物だとコウタは推察する。隊長というのも渾名などではなく、本当になんらかの部隊を率いているのだろう。メニカが兵器を作っていることもおそらくは関係しているはずだと、おおよその予想をつけた。ずしんずしんとやけに重い足音が段々と近付き、やがて扉が開かれる。
「……む。相変わらず狭いな」
予想は概ね合っていた。扉の向こうに、筋骨隆々の肩幅おばけ筋肉ゴリラが仁王立ちしていたからだ。
首から下の体しか見えないのは入口よりも遥かに上背があるせいだ。
だが、見える範囲だけでも凄まじい情報量だ。まず、黒い服の上からでもわかる、なにかクスリでもやってそうなはち切れんばかりの筋肉と、もはや才能の域に達していると断言出来る骨格、二メートルは優に越す上背。さらに極め付きは、鈍い銀色に輝く左腕の義手。
これにはコウタも黙ってはいられず、つい我慢していた口が開いてしまった。
「メカゴリラ……!」
『コウタさん!?』
よもやのアミスが驚くほど、初対面の対応としては零点、大幅減点である。しかしそう言わせるだけの圧と筋肉なのだ。服装すら黒めで体毛に見えなくもない。それを受け、メニカとその人物は怒るどころか、大きな声で笑いはじめた。
「あはははは! 隊長、メカゴリラだってさ! はははは!」
「ゴリラを馬鹿にするな。彼らは賢く心優しい。そして強い。あと全員B型だ」
「あ、顔は人間だ……」
『コウタさんも大概失礼ですよね』
ぬっと出て来たその顔は微塵もゴリラではなく、どちらかと言えば端正よりだった。しかし暴力的なまでの筋肉に引っ張られているのか、顔相はそこそこ凶悪で、幼子が見れば泣く者もいるだろうという顔だ。強面メカゴリラ隊長という渾名をコウタはこっそり付けた。
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