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第一章 これは魔法ですか? いいえ、高度に発達した科学です。
no.008 龍の巣には天空の城はなく、普通に龍がいた 後編
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「それで、任務はオートノイドたちの痕跡を探して、原因究明と解決、ついでにおつかいでミスリル採取でしたよね。アミスさん的に目安は着いてますか?」
『うーん、はじめは高濃度魔素による通信障害か大規模バグの発生かとも思ったんですが、それだと今までの道のりで一体くらい見かけてもいいはずですよね』
このミスリル鉱山では、24時間昼夜を問わず、警備用のオートロイドと監視用ドローンが鉱山の周囲5キロを見回っている。警備網に穴はなく、侵入者は瞬きの間に見つかる。しかしそれは平常時のこと。今回はその限りではない。
「けど、見かけなかった。採掘用はおろか警備用すらもいない。ドローンも飛んでない。一斉にバグとは考えづらいから、なにか外部的な要因で持ち去られたか隠されている可能性が高い……って、メニカが言ってましたね」
『言ってましたねぇ。推理もできるなんて流石メニカちゃん! 略してさすメニ! ほら、コウタさんもご一緒に!』
「言いませんよ」
『ぶー、けちー』
「膨れても可愛くない……うん?」
そこまで言って、コウタはピタリと足を止めた。なにかにぐっと引っ張られるような、後ろから押されるような、そんな感覚がしたからだ。しかし後ろや前を見ても何もない。誰もいない。だというのにその謎の感覚はしっかりとある。
『どうしたんですか? 急に物憂げな雰囲気を出して。あ、そういうノリですか?』
「違いますよ。なんか、引っ張られてるような、押されてるような気が」
『コウタさんの身体にはなんの異常も出てませんが……』
計器の数値を見ても、コウタの身体機能は概ね正常であるし、虫のひとつも着いていない。はてなと首を傾げるアミスだが、原因は直ぐにわかった。
「いや、僕じゃない。バッグだ」
謎の力の正体は、サバイバルバッグの中身が引っ張られていることによるものだった。 背中から降ろしてみると、リュックは正面に強く引っ張られ、手を離してしまえば飛んで行きそうなほどだ。
『そのリュックの周りの磁界が歪んでますね。中の鉄製のなにかが引っ張られてます』
引っ張られていたのはバッグ内のサバイバルナイフだ。鉄が含まれるこのナイフは、当然のように磁力に反応してしまっていた。なおコウタのボディは磁力対策で一欠片すら磁性金属は含まれておらず、磁力には反応しない。
「オートロイドにも少なからず鉄は含まれてますよね」
『まぁエンジンまわりとかはそうですね。あ、磁力に反応するってことなら、ドローンとかのバッテリーにはニッケルが含まれてたりしますよ』
「……アミスさん。僕、今回の事件わかったかもしれません」
『お、名探偵コウタさんですね! 真実はいくつあるんですか!』
「ふふん。ひとつですよ」
まるでどこかの誰か達のように自慢げに鼻を鳴らし、コウタが己が推理を披露しようとしたその時。脳内に着信音が聞こえた。
『あー、テステス。二人とも聞こえる? さっき上のバカ共から、事件発生予想時刻に謎の磁力が発生していたって報告が今更来たよ。その近辺の機械類には磁力に反応する金属が含まれてるから、磁力で引き寄せられたって見解があるよ』
通信はメニカからであった。情報が増えた旨を伝えてくれ、同時にコウタの膝を折った。導き出した真実がなんの感慨もなく暴かれてしまったからだ。
「全部言われた……!」
『あー……今回のは流石にメニカちゃんが悪いです』
『えぇっ!? 私何かした!?』
任務の追加情報をきちんと伝えただけである。この程度のことで膝を折るコウタが悪い。見かねたアミスが事の経緯を説明すると、メニカはくすりと笑いそっと囁いた。
『ごめんよコータくん。今度おっぱい触らせてあげるからさ』
それは悪魔の囁きだった。
「……………………女の子がそんなこと言うんじゃありません!」
突然投げつけられた爆弾に戸惑い、苦悩し、葛藤しながらようやくその言葉を絞り出した。コウタは会話の時、大抵そちらに目を奪われている。幸い身長差で気付かれていない(と本人は思っている)が、流石に彼にも矜持というものがあった。
『今ものすごい葛藤が……。メニカちゃん、あまりコウタさんをからかっちゃダメですよ』
『えー。コータくんになら別になにされてもいいんだけどなぁ』
「そういうとこやぞ!!!」
思わず謎の方言が出てしまうくらいには精神状態は不安定になっていた。しかしメニカからすれば、自分はいつもコウタのことをジロジロ舐めまわすように見ているし、実際舐めたりベタベタ触れているのは自分なのだから同じことをされても構わないと思っていた。
『ふふ。帰ったら楽しみにし――』
悪戯っぽく笑うメニカの言葉は大きなノイズに遮られ、そこで通話は途切れた。
「……メニカ?」
『通信が途絶えましたね。さっきより磁力が強いのでそのせいかと』
通信障害は強力な磁力により起こされていた。その証拠にバッグは浮いており、そして真っ直ぐ飛んでいく。その中にはナイフの他に調査道具一式、簡易テント、そしてメニカ手製の弁当が入っている。
「怪奇現象……いや、磁力だから普通に科学なのか?」
『何呑気してるんですか! お弁当まだ食べてませんよ! 捕まえてください!』
「気にするとこそこですか? 何かしらの手がかりがあるからではなく?」
呑気なアミスにそう言いながらコウタは駆ける。この磁力に従って弁当を追いかければ、今回の事件の真相にぐっと近づくのだ。昼食がまだなのはともあれ、追いかける他ない。
「速い!」
『100キロは出てますよ! 加速しないと!』
鉱山のふもとを駆け抜け、空飛ぶカバンを追いかける。不安定な足場、ガタガタの道のりではあるが、コウタは難なく走り抜ける。ハークとの訓練のおかげで抜群にバランス感覚が良くなっている。
『磁力が強くなってきました! お弁当も加速してます!』
「逃がすか!」
いくら加速したとはいえ、所詮は浮くだけのカバン。流石にコウタの速度には適わず、バッグは岩壁に激突する数メートル前で抑え込まれてしまった。
「とった!」
飛んでていかぬようしっかりと両腕で抱える。一件落着、といったところでコウタは一息つくが、アミスは眼前の光景に絶句していた。
『コウタさん、これ……!』
視界に表示された情報に、同じくコウタも絶句する。そびえ立つのは岩壁でも鉱山でもなかった。
「……オートロイドの山だ」
その山は大部分を大量のスクラップ、それも人の形をした物が大半を占めている。鉱山の一角だと思っていた巨大な山は、無数のオートロイドの残骸で形成された、スクラップ・マウンテンだったのだ。
『数およそ500体以上、報告にあった数値とおおむね一致します。あと、この山を中心に強い磁場が発生してます。この中心に元凶がいるかと』
「剥がそうにも剥がれませんね。ひとつの岩になってるみたいだ」
棚ぼた的に目的のオートロイドを見つけたはいいが、事態はそれだけに留まらなかった。コウタらは早くも、この事件の犯人と遭遇することになる。
『――この奥から生体反応を感知! この波長は超大型の冷血動物です!』
「つまり!?」
『竜種――つまりドラゴンです!』
竜種とは竜目竜科、あるいは亜竜目亜竜科に属する生物の総称。端的に言うとドラゴンである。アミスはこのスクラップ山の奥に、それに属する何かがいると主張しているのだ。
「ドラゴン!? 逃げましょう!」
『亜竜の場合はワイバーンですけど、この生命力は十中八九純粋種のドラゴンか、龍化したワイバーンですね』
「どっちにしろヤバそうですね! 逃げましょう!」
バッグを背負い、コウタは磁力をぶっちぎるべく全速力でその場から離れる。竜種が何かは詳しくは知らないが、本当にまずい事態なのだろうと、本能が告げていた。しかし、事態は簡単には逃がしてくれなかった。
「ぐっ!? 重い……!」
ぐんとバッグが背後に引っ張られ、思い切りつんのめる。コウタの体重や脚力をものともせず、徐々にではあるが、確実に磁力の中心へ引きずってゆく。
『近辺磁力、急激に上昇! コウタさん、危ないのでお弁当は諦めましょう!』
「仕方ないか……! いや別に弁当が惜しいわけじゃないけど!」
誰に言うでもなく訳の分からぬ言い訳をし、バッグから手を離す。先程の倍以上の速力で飛んでいくそれは、ロイドの壁に激突する寸前で、突如現れた全く別の壁に阻まれた。その新たな壁はまるで蛇のようにしなやかに動き、鱗は陽の光に煌めいて宝石のようであった。
『壁、いや、大きな蛇のような……』
「尻尾だ。あれだけで5メートルはある」
『あの鱗、まさか!』
「……嫌な予感」
『ドラゴンと言っても精々が岩石食のロックドラゴン、最悪でも鉄鉱食のメタルドラゴンかと思ってましたが……! あれはそれどころじゃないです!』
「まさかとかあれとかそれとか言って余計にビビらせないでくださいよ! つまりヤバいんですね!?」
『はい、すっごく!』
それは結合していたはずのオートロイドたちを容易く引き裂き、ばくりと齧り取って現れた。間違いなく今回の事件の元凶で、犯人――犯龍だと、コウタは確信した。
『ロックドラゴンの上位種であるメタルドラゴンの、そのまた上位種でついでに希少種の――』
全長20メートルは優に超す体躯。その身体に隙間なく纏わせた、白銀色に煌めく鱗。金属を容易く引き裂き咀嚼する爪と牙。絹のようにキメ細かく、かつ軽い白銀の糸で編まれた翼。その中でもコウタを睨めつける赤い瞳だけが一際異質を放っていた。
『ミスリルドラゴンですよー!!』
深紅の双眼が獲物を見据え、鋭い牙の隙間からヨダレを垂らす。その双眼には、小ぶりながら今まで見た事も嗅いだことも味わったこともないような、とんでもなく希少なご馳走が映っていた。
地の底が震えるような咆哮が、天に轟いた。
『うーん、はじめは高濃度魔素による通信障害か大規模バグの発生かとも思ったんですが、それだと今までの道のりで一体くらい見かけてもいいはずですよね』
このミスリル鉱山では、24時間昼夜を問わず、警備用のオートロイドと監視用ドローンが鉱山の周囲5キロを見回っている。警備網に穴はなく、侵入者は瞬きの間に見つかる。しかしそれは平常時のこと。今回はその限りではない。
「けど、見かけなかった。採掘用はおろか警備用すらもいない。ドローンも飛んでない。一斉にバグとは考えづらいから、なにか外部的な要因で持ち去られたか隠されている可能性が高い……って、メニカが言ってましたね」
『言ってましたねぇ。推理もできるなんて流石メニカちゃん! 略してさすメニ! ほら、コウタさんもご一緒に!』
「言いませんよ」
『ぶー、けちー』
「膨れても可愛くない……うん?」
そこまで言って、コウタはピタリと足を止めた。なにかにぐっと引っ張られるような、後ろから押されるような、そんな感覚がしたからだ。しかし後ろや前を見ても何もない。誰もいない。だというのにその謎の感覚はしっかりとある。
『どうしたんですか? 急に物憂げな雰囲気を出して。あ、そういうノリですか?』
「違いますよ。なんか、引っ張られてるような、押されてるような気が」
『コウタさんの身体にはなんの異常も出てませんが……』
計器の数値を見ても、コウタの身体機能は概ね正常であるし、虫のひとつも着いていない。はてなと首を傾げるアミスだが、原因は直ぐにわかった。
「いや、僕じゃない。バッグだ」
謎の力の正体は、サバイバルバッグの中身が引っ張られていることによるものだった。 背中から降ろしてみると、リュックは正面に強く引っ張られ、手を離してしまえば飛んで行きそうなほどだ。
『そのリュックの周りの磁界が歪んでますね。中の鉄製のなにかが引っ張られてます』
引っ張られていたのはバッグ内のサバイバルナイフだ。鉄が含まれるこのナイフは、当然のように磁力に反応してしまっていた。なおコウタのボディは磁力対策で一欠片すら磁性金属は含まれておらず、磁力には反応しない。
「オートロイドにも少なからず鉄は含まれてますよね」
『まぁエンジンまわりとかはそうですね。あ、磁力に反応するってことなら、ドローンとかのバッテリーにはニッケルが含まれてたりしますよ』
「……アミスさん。僕、今回の事件わかったかもしれません」
『お、名探偵コウタさんですね! 真実はいくつあるんですか!』
「ふふん。ひとつですよ」
まるでどこかの誰か達のように自慢げに鼻を鳴らし、コウタが己が推理を披露しようとしたその時。脳内に着信音が聞こえた。
『あー、テステス。二人とも聞こえる? さっき上のバカ共から、事件発生予想時刻に謎の磁力が発生していたって報告が今更来たよ。その近辺の機械類には磁力に反応する金属が含まれてるから、磁力で引き寄せられたって見解があるよ』
通信はメニカからであった。情報が増えた旨を伝えてくれ、同時にコウタの膝を折った。導き出した真実がなんの感慨もなく暴かれてしまったからだ。
「全部言われた……!」
『あー……今回のは流石にメニカちゃんが悪いです』
『えぇっ!? 私何かした!?』
任務の追加情報をきちんと伝えただけである。この程度のことで膝を折るコウタが悪い。見かねたアミスが事の経緯を説明すると、メニカはくすりと笑いそっと囁いた。
『ごめんよコータくん。今度おっぱい触らせてあげるからさ』
それは悪魔の囁きだった。
「……………………女の子がそんなこと言うんじゃありません!」
突然投げつけられた爆弾に戸惑い、苦悩し、葛藤しながらようやくその言葉を絞り出した。コウタは会話の時、大抵そちらに目を奪われている。幸い身長差で気付かれていない(と本人は思っている)が、流石に彼にも矜持というものがあった。
『今ものすごい葛藤が……。メニカちゃん、あまりコウタさんをからかっちゃダメですよ』
『えー。コータくんになら別になにされてもいいんだけどなぁ』
「そういうとこやぞ!!!」
思わず謎の方言が出てしまうくらいには精神状態は不安定になっていた。しかしメニカからすれば、自分はいつもコウタのことをジロジロ舐めまわすように見ているし、実際舐めたりベタベタ触れているのは自分なのだから同じことをされても構わないと思っていた。
『ふふ。帰ったら楽しみにし――』
悪戯っぽく笑うメニカの言葉は大きなノイズに遮られ、そこで通話は途切れた。
「……メニカ?」
『通信が途絶えましたね。さっきより磁力が強いのでそのせいかと』
通信障害は強力な磁力により起こされていた。その証拠にバッグは浮いており、そして真っ直ぐ飛んでいく。その中にはナイフの他に調査道具一式、簡易テント、そしてメニカ手製の弁当が入っている。
「怪奇現象……いや、磁力だから普通に科学なのか?」
『何呑気してるんですか! お弁当まだ食べてませんよ! 捕まえてください!』
「気にするとこそこですか? 何かしらの手がかりがあるからではなく?」
呑気なアミスにそう言いながらコウタは駆ける。この磁力に従って弁当を追いかければ、今回の事件の真相にぐっと近づくのだ。昼食がまだなのはともあれ、追いかける他ない。
「速い!」
『100キロは出てますよ! 加速しないと!』
鉱山のふもとを駆け抜け、空飛ぶカバンを追いかける。不安定な足場、ガタガタの道のりではあるが、コウタは難なく走り抜ける。ハークとの訓練のおかげで抜群にバランス感覚が良くなっている。
『磁力が強くなってきました! お弁当も加速してます!』
「逃がすか!」
いくら加速したとはいえ、所詮は浮くだけのカバン。流石にコウタの速度には適わず、バッグは岩壁に激突する数メートル前で抑え込まれてしまった。
「とった!」
飛んでていかぬようしっかりと両腕で抱える。一件落着、といったところでコウタは一息つくが、アミスは眼前の光景に絶句していた。
『コウタさん、これ……!』
視界に表示された情報に、同じくコウタも絶句する。そびえ立つのは岩壁でも鉱山でもなかった。
「……オートロイドの山だ」
その山は大部分を大量のスクラップ、それも人の形をした物が大半を占めている。鉱山の一角だと思っていた巨大な山は、無数のオートロイドの残骸で形成された、スクラップ・マウンテンだったのだ。
『数およそ500体以上、報告にあった数値とおおむね一致します。あと、この山を中心に強い磁場が発生してます。この中心に元凶がいるかと』
「剥がそうにも剥がれませんね。ひとつの岩になってるみたいだ」
棚ぼた的に目的のオートロイドを見つけたはいいが、事態はそれだけに留まらなかった。コウタらは早くも、この事件の犯人と遭遇することになる。
『――この奥から生体反応を感知! この波長は超大型の冷血動物です!』
「つまり!?」
『竜種――つまりドラゴンです!』
竜種とは竜目竜科、あるいは亜竜目亜竜科に属する生物の総称。端的に言うとドラゴンである。アミスはこのスクラップ山の奥に、それに属する何かがいると主張しているのだ。
「ドラゴン!? 逃げましょう!」
『亜竜の場合はワイバーンですけど、この生命力は十中八九純粋種のドラゴンか、龍化したワイバーンですね』
「どっちにしろヤバそうですね! 逃げましょう!」
バッグを背負い、コウタは磁力をぶっちぎるべく全速力でその場から離れる。竜種が何かは詳しくは知らないが、本当にまずい事態なのだろうと、本能が告げていた。しかし、事態は簡単には逃がしてくれなかった。
「ぐっ!? 重い……!」
ぐんとバッグが背後に引っ張られ、思い切りつんのめる。コウタの体重や脚力をものともせず、徐々にではあるが、確実に磁力の中心へ引きずってゆく。
『近辺磁力、急激に上昇! コウタさん、危ないのでお弁当は諦めましょう!』
「仕方ないか……! いや別に弁当が惜しいわけじゃないけど!」
誰に言うでもなく訳の分からぬ言い訳をし、バッグから手を離す。先程の倍以上の速力で飛んでいくそれは、ロイドの壁に激突する寸前で、突如現れた全く別の壁に阻まれた。その新たな壁はまるで蛇のようにしなやかに動き、鱗は陽の光に煌めいて宝石のようであった。
『壁、いや、大きな蛇のような……』
「尻尾だ。あれだけで5メートルはある」
『あの鱗、まさか!』
「……嫌な予感」
『ドラゴンと言っても精々が岩石食のロックドラゴン、最悪でも鉄鉱食のメタルドラゴンかと思ってましたが……! あれはそれどころじゃないです!』
「まさかとかあれとかそれとか言って余計にビビらせないでくださいよ! つまりヤバいんですね!?」
『はい、すっごく!』
それは結合していたはずのオートロイドたちを容易く引き裂き、ばくりと齧り取って現れた。間違いなく今回の事件の元凶で、犯人――犯龍だと、コウタは確信した。
『ロックドラゴンの上位種であるメタルドラゴンの、そのまた上位種でついでに希少種の――』
全長20メートルは優に超す体躯。その身体に隙間なく纏わせた、白銀色に煌めく鱗。金属を容易く引き裂き咀嚼する爪と牙。絹のようにキメ細かく、かつ軽い白銀の糸で編まれた翼。その中でもコウタを睨めつける赤い瞳だけが一際異質を放っていた。
『ミスリルドラゴンですよー!!』
深紅の双眼が獲物を見据え、鋭い牙の隙間からヨダレを垂らす。その双眼には、小ぶりながら今まで見た事も嗅いだことも味わったこともないような、とんでもなく希少なご馳走が映っていた。
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