猫舌ということ。

結愛

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動き

第47話

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講義が正式に終わり、我先に講義室から出る人、講義室に残り談笑する人様々だった。
咄嗟に妃馬さんのほうを見る。
するとまだ席に座っており、近くに座っている友達と談笑していた。
僕はスマホの電源をつけ、LIMEのアプリを開き、妃馬さんにメッセージを送る。

「妃馬さんこの後はなにしてますか?」

その後にフクロウが「?」を浮かべているスタンプを送った。
思い切ったことを聞いてしまったと思った。「この後なにしてますか?」なんて
暗に「この後一緒にどこか行きませんか?」と言っているようなものだ。
送る前も「この文を送るのか」と悩んだが、送った後も「送ってしまった」と悩んだ。
なんとなく妃馬さんのほうを見ることができなかった。
そんな目まぐるしく様々な感覚が体内を駆け巡る僕の横で
講義室に入ってきて座ってから僕と会話をするかサティスフィーで
アリオギャラクシーをし、眉間に皺を寄せたり体ごと動いたりしていた匠が
相も変わらずサティスフィーをカチカチさせている。
「匠この後は?」
「んー。帰る」
「そっか」
「うん」
冷め切った夫婦のような会話をしているとスマホの画面が点いた。
「キタ!」という嬉しさと返信の内容への不安で鼓動が速くなり、心臓が高鳴った。
鼻から深呼吸を数回して意を決してスマホの電源を入れ
LIMEのアプリを開き、妃馬さんとのトーク画面を開いた。メッセージを見る。

「この後はマエダ電気に行ってゲーム見て、あれば買って、それで帰ります」

その後に猫が「?」を浮かべているスタンプが送られていた。
僕は今一度鼻からゆっくりと深呼吸をし、高鳴る鼓動を抑える。そして返事を打ち込む。

「妃馬さんがよければですけど、この後お茶でもどうですか?」

そう打ち込み、もう一度鼻から深呼吸をする。そして意を決して送信マークを押す。
そのメッセージの後にフクロウが小指を立て
ティーカップで紅茶を飲んでいるスタンプを送った。
スマホをテーブルに置き、そり返り天井を見る。
「ふぅ~」
という声なのか、息が漏れた音なのかわからない音を出す匠。顔を匠のほうへ向け
「クリア?」
と聞くと
「うん。まぁ比較的楽なステージだった」
そう言ってサティスフィーをバッグへしまう匠。
「怜夢は?この後どうすんの?」
ほんの少し考えて
「あぁ~ちょっと本屋に寄っておもしろい本ないか見て帰る」
と嘘をついた。
「マンガ?」
「まぁ、マンガもなんかおもしろいのがあればって感じだけど、基本的には小説だな」
「怜夢って昔から、マンガより小説だよね。なんで?」
「んん~。想像できるからかな?」
「文を頭の中で映像化するって感じ?」
「そうそう。てか匠もマンガ描いてるんだからある程度はわかるだろ」
「まぁわかるけどオレは勉強も兼ねてマンガなんよ」
「たしかにな。マンガ好きが高じてマンガ家になったら
一般人とはレベルの違うマンガ好きになれるよな」
「そういう側面もあるね。ほら、オレまだ「ヲタク」になって2年?くらい?
まだまだ新人も新人でさ。なんなら「ヲタク」って言っていいのか?ってレベルだからこそ
「ヲタク界」の諸先輩方に認めてもらうためにもマンガが大好きで
マンガ家になりました。って言えるように頑張ってる面もある」
「今家にマンガ何冊あんの?」
「ん~…数えたことないけど1万冊とか?」
「1万!?」
「わかんないけどたぶんそんくらい」
「「オタク」って名乗ったら失礼って言った?」
「うん」
「立派なオタクだろ」
そんな匠のマンガの数に驚いているとスマホの画面が光る。
また僕の胸の鼓動が高鳴り始め、それを落ち着かせるためまた鼻から深呼吸をする。
スマホを手に取りLIMEのアプリを開き、妃馬さんとのトーク画面を開く。安心した。

「はい!ぜひ!じゃあ、私どこかで待ってましょうか?」

その後に猫が「?」を浮かべてるスタンプが送られていた。
僕はそり返り天井に向かって口から息を吐く。
「どしたん?」
その匠の言葉に
「いや、今、今世紀最大の安心がオレを包んだ」
「なんそれ」
「あぁ~良かったぁ~」
心に思ったことがそのまま口から出た。
「でもやっぱ怜夢小説感あるね」
「なにそれ」
「いやさっきの「今世紀最大の安心がオレを包んだ」とかなんとなく小説っぽい気がした」
「どこがだよ」
笑いながら言う。
「んん~言い回しとか?」
「ふ~ん」
「じゃ、オレ帰るわ」
そう言ってトートバッグを持ち立ち上がる匠。
「んじゃまたLIMEするわ」
「あいよ~」
そう言って匠はトートバッグからイヤホンを取り出し
スマホに挿して、恐らく音楽を聴きながら講義室を出ていった。
僕はチラッっと妃馬さんのほうを見る。
妃馬さんはまだ複数の友達と座ったまま談笑していた。
僕は妃馬さんのメッセージに返信をする。

「あ、いえ、僕が先行って待ってます。駅の改札前で待ってますね」

その後にフクロウが「よろしく」とピースサインの人差し指と中指をくっくけて
こめかみから少し前に出す感じのポーズのスタンプを送った。
僕はバッグからイヤホンを取り出し、スマホに挿して耳に入れる。
スマホで音楽アプリを起動し「お気に入り」のプレイリストをシャッフル再生する。
耳に聞こえてきたのは「Crystal Peanuts」さんの曲だった。
この緻密に考えられた韻、ストーリー、歌詞のラップが好きで最近よく聞いている。
歌ってみたいが歌えない曲のオンパレードだ。
僕は妃馬さんに思い切ってお茶に誘ってOKが出て気分が良く
さらにそこに「Crystal Peanuts」さんの曲が耳から脳に響きさらに気分が良くなり
すごく気分の良い状態で立ち上がり講義室を後にした。
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