猫舌ということ。

結愛

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動き

第46話

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匠もこちらに気づき近づいてくる。
「え、匠じゃん。珍し」
「怜夢や~ん。気分で来た」
「講義聞きに来たの?」
「ん~まぁ怜夢いなかったら聞いてたな」
「え、オレのせい?じゃあ帰ります」
と言って荷物をまとめようとする。
「まぁそう言うなって」
「髪染めたん?」
「あぁこれね。染め…う~ん。まぁ染めたね」
「ん?なんか歯切れ悪いな」
「いやね?染めるというより限界までブリーチして
その後、薄い紫のカラー剤を入れるって感じだから染めるってより色抜くほうが印象深い」
「細かっ」
そう言った後、何気なくスマホの電源を入れる。妃馬さんからのLIMEの通知。
また心の中でニヤける。そして心の中の住人は「気持ち悪っ」と言う。無視する。
「なに?彼女?」
と匠が言ってくる。思わぬ言葉に
「え?」
と変な声が出る。元の声に戻し続けて
「なんで?」
と聞くと
「いや、ニヤニヤしてたから」
どうやら隠し切れていなかったらしい。
 「いや、彼女はいない」
「まぁいたらオレ知ってるか」
「だろ?」
そう言いながら妃馬さんとのトーク画面を開く。

「鉱物好きなんですか?」

そのメッセージの後に「?」を浮かべる猫のスタンプが送られていた。
そのメッセージに返信する。
「今度やるゲームってなに?」
と匠が聞いてきた。
「あぁ、ファンタジア フィナーレやろうかねって話してたんよ」
「誰と?」
「昨日仲良くなった人たち」
「昨日?昨日なんかあったん?」
「あぁ昨日サークルの新入生歓迎会でね」
「新歓コンパ?」
「いや、うん。いやコンパではない」
すると徐に匠はバッグからサティスフィーを取り出す。電源をつけゲームをし始める。
「なにやってんの?」
そう匠に聞くと
「今ね、ハイパーアリオギャラクシーにハマってんのよ」
「え、アリオギャラクシーって昔の?」
「そうそう。サティスフィーで出たんよ。
懐かしくてつい買っちゃって、やり始めたら、まぁおもしろくてね」
「たしかにあれはおもしろかった記憶ある」
「ただね、わりかし長いし難しいんよね」
「あぁー。オレたしか途中でどうしてもクリアできないとこがあって
途中で投げ出した記憶があるようなないような…」
すると手元のスマホの画面が点く。妃馬さんからのLIMEの通知だ。
通知画面で内容を確認する。

「私はー…そうですね。好きでも嫌いでもないです」
「お友達ですか?」

というメッセージの後に「?」を浮かべる猫のスタンプが送られていた。
僕は妃馬さんからの通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面へ飛び、そのメッセージに

「妃馬さん意外に講義中スマホ触る人なんですねw」
「隣の白髪ですか?」

の後にフクロウが「?」を浮かべているスタンプを送る。
「またニヤけてる」
サティスフィーでアリオギャラクシーしながら言う。
「匠って視野広いよな」
「なんで?」
「アリオやりながらオレのこと見てるじゃん」
「あぁ~たしかに」
「おもしろそうだな」
「おもしろいって」
「匠がやってるとおもしろくないやつでもおもしろそうに感じるだろうな」
「おもしろくないゲームはやらないから」
「まぁね」
「で?狙ってる子なの?」
話をうまく逸らしたと思ったのに唐突に話を戻されて一瞬思考が停止する。
「はい?」
「いやLIMEしてる子。好きなんじゃないの?」
ストレートな質問に戸惑った。
戸惑う自分がいるとことは妃馬さんに好意があると自分で気づいているからだろうけど
なぜか意地を張っている自分もいて
「いや…わかんない」
と答えた。
「ほぉ~ん」
サティスフィーのボタンやスティックをカチカチしながら
納得してるのかしていないのかわからない返事をする匠。
僕はスマホに入れていたキャンディーのパズルゲームを開き、パズルをする。
意味がわかると怖い話を読んで考えようとも思ったが
話とクイズに集中すると匠と会話できなくなるし、LIMEも返せなくなりそうなのでやめた。
ステージ52がロックされていたので、その前のステージ51をタップし始める。
少し考えていると通知が来る。すぐ返信しようとしたが
クリアしたくてステージ51をクリアしてからLIMEのアプリを開いた。

「私どんなイメージなんですかw」
「はい。綺麗な髪の」

そのメッセージの後に「いいね」と親指を立てている猫のスタンプが送られていた。
「その顔その子の前でしたら好きだってバレるよ」
ステージをクリアしたのか、後ろのテーブルに頭がつきそうなくらい体を反らしながら言う匠。
「なに?ステージクリアしたん?」
本当に聞きたいのと、話を逸らすために質問する。
「まぁそんな難しいステージじゃなかったけど
行けるとこ隅々まで探してたら結構時間かかるのよ」
「あぁなんか3段ジャンプしないと上れないとことかあった気がするわ」
「そうそう。小技使わないと行けないとことかね」
「ちょ、今あれでしょ?ステージセレクトの自由に歩けるとこでしょ?」
「うん」
「ちょっとやらせて」
「いーよ」
というやり取りを匠としながら妃馬さんに返事をする。

「なんかこう、真面目お嬢様~ってイメージ?」
「中学からの幼馴染?です」

その後に僕も「いいね」と親指を立てているフクロウのスタンプを送った。
僕の右側に座る匠が僕の前にサティスフィーをスライドさせる。
僕は自分のバッグをテーブルのど真ん中
本来なら教科書、ノート、文房具を置くところに置き
講師の方の死角になるようにしてサティスフィーをいじった。
「うわぁ~懐かしっ」
「な」
「オレも買おっかな」
敵もいないステージセレクトの画面で飛び回り探索しているとスマホの画面が点く。
「ん、一回返す」
そう言いサティスフィーを匠に手渡す。
「ん」
と言いながら受け取る匠。
「あ、ねぇ。なんで髪白くしたん?」
と聞きながら妃馬さんからの通知をタップし、妃馬さんとのトーク画面へ飛ぶ。

「全っ然お嬢様でも真面目でもないですw」
「へぇ~長いお付き合いなんですね」

というメッセージの後に「なるほど」と納得しているの猫のスタンプが送られていた。
「白の髪ってカッコよくない?」
匠が白髪にした理由は至極単純なものだった。
「いやカッコいいよ」
端正な顔だからこそ似合うのだろう。率直な感想を述べた。
その後も匠のサティスフィーでアリオギャラクシーをしたり
キャンディーのパズルをしたりしながら、合間合間で妃馬さんとLIMEしていた。
結局講義が終わるまで妃馬さんとのLIMEは続いた。
「はい。というところで今回は資料25ページまでで、次回はこの続きをします」
講師の方がそう言った当たりで辺りがざわめき出す。
早々に帰る準備をし出す人がごそごそとしている。
そんな周囲を気にもせず、右隣では相変わらず匠がアリオギャラクシーをプレイしている。
髪が視界に入り邪魔だったのか、不意に匠が長く白い髪を左耳にかける。
すると金属の光沢が目に入る。
「え、ピアス増えた?」
疑問が思わず声に出た。
「あぁ、増えた増えた。そっか言ってなかったね」
「うん。聞いてない。今何個開いてるの?」
「今はね」
そう言って左耳を見せてくれる。
「左が耳たぶに2個。トラガスに1個。軟骨に4個」
「多っ」
「んで」
今度は右耳を見せてくれる。
「右が耳たぶ2個、インダストリアル…これは穴でいったら2個?軟骨3個」
「14個!?」
すると首を横に振る匠。徐にパーカーとパーカーの下に着ているTシャツを一緒に捲り上げる。
露わになったお腹にも金属の光沢があった。
「あ、そっかへそもか」
ピアス自体は高校1年で開けており、そのときは耳たぶに1つずつ、右軟骨に1つ左にトラガス。
そしてへそピアスの合計5つだった。いつの間にか3倍に増えていたのだ。
「すげぇな。痛くないの?」
「え、いや、ふつーに痛かったよ。開けた後数日は」
「増やしたねぇ~」
「まぁカッコいいし可愛いから」
「そんな多かったら可愛さ消えん?」
「いや可愛いよ」
「かわ…うん。可愛いわ。うん。自分で言うなよ?」
そう言うと
「たしかに」
と言って匠が笑った。鹿島といい匠といい、その笑顔を向けられたら
大抵のことは許してしまうだろうという笑顔をする。イケメンの笑顔はズルい。
「えぇでは次回ーも今日と同じこの教室でやります。
次回もしかしたら、大事なプリントを配布するかもしれないので
体調不良なら無理して来なくてもいいですが極力出席してください。
本日の授業はここで終わります。ありがとうございました」
そう言って講師の方が出口に向かう。
この講師の方は自分が遅れたからといって講義を長引かせることはせず
なんなら本来終わる時間の3分ほど前に講義を締めた。
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