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羽馬千香子
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噂がぶり返してしまった。あの作品を見にいった人数はそんなにいなかっただろうし、あの絵の人物が”羽馬千香子”と一致させることのできる人間も、そこからさらに数が減る。
だけど、噂の力は凄まじい。あっという間だった。
「円堂先輩から、告白された?」
「付き合ってるの? これから?」
「むしろ、絵がラブレターだったってことじゃない? 見ればよかったー!」
みんなにワイワイ囲まれて、どう返せばいいのかもわからない。
あれは私ではないと、ハッキリ言えたらいいのに、あれは私だとしか、思えなかったのだ。
美乃里ちゃんは益々過保護になっている。四六時中一緒にいようとしてくれる。部活の時ですら「美術室に送っていく!」と、上級生を警戒してくれている。だけど、その必要はなく、部活にいくことをやめた。円堂先輩に、どんな顔して会えばいいのかわからなかったから。
とにかく毎日をどうにか平穏にやり過ごすことしか考えなくなった。時間さえ経てば、噂に飽きてくれると、それだけを願った。それと同時に、目に焼きついた絵が、薄れていくことを願った。
誠司くんのことだって、まだ尾を引いている最中で。こんな時に限って、前にも増して目が合う。何か言いかけようとしているみたいで怖かった。交換日記を返されたら、すべての繋がりがなくなりそうで、とにかく逃げた。
だけど、噂の力は凄まじい。あっという間だった。
「円堂先輩から、告白された?」
「付き合ってるの? これから?」
「むしろ、絵がラブレターだったってことじゃない? 見ればよかったー!」
みんなにワイワイ囲まれて、どう返せばいいのかもわからない。
あれは私ではないと、ハッキリ言えたらいいのに、あれは私だとしか、思えなかったのだ。
美乃里ちゃんは益々過保護になっている。四六時中一緒にいようとしてくれる。部活の時ですら「美術室に送っていく!」と、上級生を警戒してくれている。だけど、その必要はなく、部活にいくことをやめた。円堂先輩に、どんな顔して会えばいいのかわからなかったから。
とにかく毎日をどうにか平穏にやり過ごすことしか考えなくなった。時間さえ経てば、噂に飽きてくれると、それだけを願った。それと同時に、目に焼きついた絵が、薄れていくことを願った。
誠司くんのことだって、まだ尾を引いている最中で。こんな時に限って、前にも増して目が合う。何か言いかけようとしているみたいで怖かった。交換日記を返されたら、すべての繋がりがなくなりそうで、とにかく逃げた。
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