夢に向かって翔け

結城時朗

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第四章

勝負

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再び青野が呼びに来る
「失礼します。  続いて面談をお願いします」
2人で控え室をあとにする。

ーー面談会場ーー
会場には
制作会社の社長山内
ドラマ制作局 第3部 部長依藤よりふじ
俳優の建部がいる

依藤が話し始める。
「はじめまして。依藤と申します。 談笑ぐらいな感じで進められたら思います」
建部が話す。
「建部です。 今回お会い出来たことは何かの縁と思います。 どうぞよろしくお願いいたします」
最後に山内が口を開く。
「宮澤さん、先程はお疲れ様でした。 非常に魅力的なプレゼンでした。  この面談はあなたと竹中さんの人柄を知れたらと思います」
「よろしくお願いいたします」
「よろしくお願いいたします」
依藤が質問する
「普段、テレビは観られますか?」
「よく観ています」
「主にどういったジャンルを?」
「私は、主にバラエティー番組や情報番組を」
「自分は、ドラマや映画、ニュースをよく観ています」
「では、よく見るテレビ局はどちらですか?  正直にお答え頂いて大丈夫です」
「私は、番町テレビと、JBCをよく観ています」
「自分は、普段からドラマをOTSさん、映画は六本木放送、ニュースは全ての局を一通り観ています」
「ありがとうございます!  いや、最近テレビ離れが加速してまして、お二人共お若いのでテレビは観られるのかと思いまして」
建部の質問は
「お二人は、仕事してみたい俳優はいますか?」
「私はもちろんこのシリーズに関わられている全ての方とお仕事したいです。 後、若手俳優の藤堂流司さんです」
「宮澤さんは?」
「自分は、レジェンド5と呼ばれている、建部さんや、久元さんなどと仕事したいです!  後、少し気になっているのはアイドルグループの汐見坂の黒川栞さんです」
一瞬英二の顔を見る美波。
「わかりました。  竹中さん、なぜ藤堂さんなんですか?」
「私は、仕事でアパレルの仕事をしていて、ある雑誌の撮影で、自社ブランドの服ををモデルとして藤堂さんに着て頂いた時にお会いして、それが本当にカッコよくて、また、撮影終わりにスタッフ全員に挨拶して帰って行くのを見た時に、こんな人いるんだ!って思ってそこから結構気になってるんです!」
チラッと横目で美波を見る英二
「そうですか、実は藤堂くんは僕の事務所の後輩でね、彼もまたこのシリーズが好きなんですよ!」
「本当ですか?」
「ええ。  一緒に仕事出来たら良いですね!」
「はい!」
満面の笑みになる美波をまた、チラッと横目で見る英二。
「宮澤さんは、私たちレジェンド5と、汐見坂でしたっけ?  その黒川さんなんですか?」
「これは、ちょっと長くなるんですが、 たまたま観るものないなってテレビザッピングしてたら、ちょうど汐見坂の子達の番組をしていて、芸人のゲラ岡林さんが出ていて、岡林さん自身面白いから観てみようって観てたんですよ」
「また、変わった芸風の方がお好きなんですね」
「そうですね!  なんかすぐゲラになる岡林さん見てるとなんか面白くなってくるんですよね!」
「そうですか。  それで?」
「それで、たまたま観ていた回が、アドリブ演技に挑戦しようって言う回で、その子が日本のヤクザの姐さんって設定だったんですよ!」
「アイドルがヤクザ役?」
「はい。  自分もどうせ無理だろうなって思ってたら、舌巻いて、おどれ!舐め腐っとったらいてこますぞ!って迫力満点に演じて、こんな子いるんだって思ったらその子が気になって、ついこの間、OTSさんの深夜の連続ドラマで、女子高生殺人鬼の役を観て、さらに気になって、仕事したいなって思って」
細い目で英二を睨んでいる美波。
「ほう!  そんな子がいるんですか?  今度注目しときます!」
「ぜひ!」
ニヤニヤしている山内が質問する。
「お二人は、彼氏彼女なんですか?」
固まる2人。
「いや、なんというかパートナーと言うよりは、仲間です」
英二の答えに首を縦に振る美波。
「いやね、この質問したのは、さっき建部さんに質問された時に、竹中さんは俳優の藤堂さんを、宮澤さんがアイドルの黒川さんを言って、お互いのエピソードを話してる時に、ちょっと睨みあってたからお互い嫉妬したのかって思って。  ちょっと面白くて笑っちゃったんですよ」
顔を紅くする2人。

それから15分ぐらいの面談が続いた。

「では、面談は以上になります」
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
深々と頭を下げ、面談会場を出ていく。
外には青野がいた。
「お昼になりましたので、こちらでお弁当をご用意しています。  お好きなお弁当をお取りください」

そこにはいわゆるロケ弁と呼ばれるものが並んでいた。

「どれにしようかな?  カレーに、銀ダラ、中華に、トンカツかー」
「早く決めなよ!  私は決めたよ」
「ゆっくり選びたいじゃん! だってロケ弁だよ」
「私はカレー!  中華とかも好きだけどここのカレーは美味しいって聞くから」
「迷うけど、トンカツにするか!」
「験担ぎ?」
「そうかも!  この勝負に勝つ!って感じ?」
「最後まで頑張ろう!」
「うん!」

控え室まで戻る2人。

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