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第一章 立志篇 Fräulein Warlord shall not walk on a virgin road.
第7話 殿下はお調子者!
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とは言えども、今は好みが変わったので、王子にはあまり魅力は感じない。
他の女子には相変わらず受けがいいみたいだけど。
外見だけはいいよ。外見だけは。
「理論上はそうなっていますね。帝国憲章には帝国を構成するいずれかの国家の貴族以上の身分を持っていれば立候補は可能と書かれています。ですがこの選挙は実際には儀式でしかないのです。皇族以外の者も一応立候補しますが、それは公平な選挙をしているという建前の為の儀式でしかないのです。最終的には常に皇族の者たちが当選し帝位を世襲し続けてきました。だからこそ歴史用語は現在の政治体制を建国者であるメドラウト帝の名前から、メドラウト朝と呼ぶことにしているのです」
「ですが諸侯を束ねるような才と器を持つ者が現れたらどうですか?」
おやおやおやおや?王太子殿下がなかなか大それたことを言っている。
理論上はバッコス王国の王太子である彼はいずれ国王の地位を継いで、帝国の皇帝の選挙権と被選挙権を手に入れることが出来る。
確かに理論上は諸侯の信任さえ得られるのならば皇帝に即位することは可能だ。
痛いなぁ…ものすごく大それたこと考えてる。
若者らしく俺がこの世界のすべてを支配する王になってやろう。
みたいなこと考えてる?もう少し大人だと思ってたんだけどなぁ…片腹痛いわ。
現実を見ないビックになってやる発言ほど痛いものはない。
冷める。すげー冷める。でも若いおなごは違う。
そういうビックマウスな男にすぐにコロッと騙される。
夢のある人素敵!みたいな。
「さすが殿下だわ…」「野心のある人ほんと素敵…」「皇帝を目指すなんてかっこよすぎ…」
クラスの女子たちが王太子に熱い眼差しを送っていた。
「???おうじさま、今なにかすごいこといったのかな??…。すごーい。さすが殿下。かっこいいー」
だが意外にもギムレーは王子の発言の裏が読み取れてなかったようでアホっぽく一人首を傾げて、その後なんか棒読みっぽく王子を誉めはじめた。
この女、相手の発言の裏とかを読まないタイプのようだ。
こういう性格は女子の中では珍しい気がする。
女子ウケ悪いのは男子にモテまくるからじゃなくて、こういうところ故な気がしてきたぞ。
もしかしたら王子をひっかけていることの政治的リスクとかわかっていないのかも…。
天然?
「さっきも言ったが理論上は可能。それ以上は歴史の授業ではなく法学の先生にでも聞いてください」
歴史の先生は王子の野望に対して冷ややかな態度を崩さなかった。
その時だった。
キーンコーンカーンコーンと現代日本チックな予鈴が鳴り響く。
…このBGM絶対現代ラブコメエロゲーのタイトルから使いまわしてるんだろう?
もう少しファンタジー感を大事にして欲しいよね。
「続きは次回。予習はちゃんとしておいてください。特に次の授業の内容は地理を把握しておかないと理解しづらいものとなります。万物はすべて繋がっていることを忘れないように」
そう言ってすたすたと先生は去っていった。
休み時間になった。教室がざわつき始める。
漏れ聞こえてくる話題はあまり耳障りのいいものではない。
「悪女が戻ってきた」「ないわー。ディアちゃんを殴って戻ってこれるとか…」「ディアちゃんかわいそう」
男子たちは概ね私に対して悪印象を持っているようだ。
まあ仕方ないだろう。
逆に女子は私の事を申し訳なさげに見ている。
ギムレーは女子ウケ最悪だから私に対してはけっこう同情的なようだ。
もっとも王子のお気に入りの女に面と向かって逆らったりは出来まい。
平和な時代の貴族政治なんて、言った言わないの世界で足を引っ張り合うだけのドロドロしかないわけで…。
「ディア、大丈夫か?」
そんな教室の微妙な空気を理解しているのかいないのか、王太子がギムレーを気遣う様子を見せた。
やめろよそういうの。
鬱陶しいから。
私のいないところでやれや。
王子以外の男子生徒たちはその様子を歯噛みしてみている。
良く見るとギムレーと親し気に話している王子を睨む男子もいた。
何だこのやべぇ空間。
女を前にしてアピールポイントを奪い合う男子を見るのは哀れなものだ。
そしてそれ以上に女一人で男共がいがみ合っているのはもっと不愉快だ。
「ワタクシは平気です。でも怒られるのは仕方ありません。ワタクシなんて所詮王都からも遠い地方出身の田舎ものですから。でしゃばりだと思われたのでしょう…。誤解なのに…」
カドメイア州とギムレーの実家の領地エレイン州は隣り合ってる。
そして地理的にはエレイン州の方が王国の首都たる王都に近い。
この理屈だと私の方が田舎者になる。
この高度なマウンティング!
痺れるぜ!
自分を謙遜しながら相手をディスっていくこのスタイル。
でもあいつもしかしたらそういうこと考えずにしゃべってるだけかもしんない…。
私からみるギムレーは王子を惑わす悪い女だが、原作知識、プレイヤー視点で見ると、良くあるテンプレツンデレ幼馴染キャラだった。
あとアホの子。男受けしそうなアホの子。
原作は殺伐とした描写が続くので、アホの子の場面は清涼剤的側面があった。
あとエロの子。ジョゼーファに次いでエロCGが多い。
流石メインヒロインさまだ。てかメインヒロインよりエロCGが多いジョゼーファってなんやねん。
スタッフに愛されてるの?いやだよそんな邪神共に愛されたくないわ。
「そんなこと気にするな。おれがちゃんと言って聞かせておくさ。まったくジョゼーファも何様のつもりであんなことをしたのか…。貴族でありながら王太子であるおれの方針に逆らうとは…全くどうかしている」
お前の婚約者様のつもりでしたが何か?
つーかこいつ封建制度の貴族と王の関係がわかってないっぽい。
他の女子には相変わらず受けがいいみたいだけど。
外見だけはいいよ。外見だけは。
「理論上はそうなっていますね。帝国憲章には帝国を構成するいずれかの国家の貴族以上の身分を持っていれば立候補は可能と書かれています。ですがこの選挙は実際には儀式でしかないのです。皇族以外の者も一応立候補しますが、それは公平な選挙をしているという建前の為の儀式でしかないのです。最終的には常に皇族の者たちが当選し帝位を世襲し続けてきました。だからこそ歴史用語は現在の政治体制を建国者であるメドラウト帝の名前から、メドラウト朝と呼ぶことにしているのです」
「ですが諸侯を束ねるような才と器を持つ者が現れたらどうですか?」
おやおやおやおや?王太子殿下がなかなか大それたことを言っている。
理論上はバッコス王国の王太子である彼はいずれ国王の地位を継いで、帝国の皇帝の選挙権と被選挙権を手に入れることが出来る。
確かに理論上は諸侯の信任さえ得られるのならば皇帝に即位することは可能だ。
痛いなぁ…ものすごく大それたこと考えてる。
若者らしく俺がこの世界のすべてを支配する王になってやろう。
みたいなこと考えてる?もう少し大人だと思ってたんだけどなぁ…片腹痛いわ。
現実を見ないビックになってやる発言ほど痛いものはない。
冷める。すげー冷める。でも若いおなごは違う。
そういうビックマウスな男にすぐにコロッと騙される。
夢のある人素敵!みたいな。
「さすが殿下だわ…」「野心のある人ほんと素敵…」「皇帝を目指すなんてかっこよすぎ…」
クラスの女子たちが王太子に熱い眼差しを送っていた。
「???おうじさま、今なにかすごいこといったのかな??…。すごーい。さすが殿下。かっこいいー」
だが意外にもギムレーは王子の発言の裏が読み取れてなかったようでアホっぽく一人首を傾げて、その後なんか棒読みっぽく王子を誉めはじめた。
この女、相手の発言の裏とかを読まないタイプのようだ。
こういう性格は女子の中では珍しい気がする。
女子ウケ悪いのは男子にモテまくるからじゃなくて、こういうところ故な気がしてきたぞ。
もしかしたら王子をひっかけていることの政治的リスクとかわかっていないのかも…。
天然?
「さっきも言ったが理論上は可能。それ以上は歴史の授業ではなく法学の先生にでも聞いてください」
歴史の先生は王子の野望に対して冷ややかな態度を崩さなかった。
その時だった。
キーンコーンカーンコーンと現代日本チックな予鈴が鳴り響く。
…このBGM絶対現代ラブコメエロゲーのタイトルから使いまわしてるんだろう?
もう少しファンタジー感を大事にして欲しいよね。
「続きは次回。予習はちゃんとしておいてください。特に次の授業の内容は地理を把握しておかないと理解しづらいものとなります。万物はすべて繋がっていることを忘れないように」
そう言ってすたすたと先生は去っていった。
休み時間になった。教室がざわつき始める。
漏れ聞こえてくる話題はあまり耳障りのいいものではない。
「悪女が戻ってきた」「ないわー。ディアちゃんを殴って戻ってこれるとか…」「ディアちゃんかわいそう」
男子たちは概ね私に対して悪印象を持っているようだ。
まあ仕方ないだろう。
逆に女子は私の事を申し訳なさげに見ている。
ギムレーは女子ウケ最悪だから私に対してはけっこう同情的なようだ。
もっとも王子のお気に入りの女に面と向かって逆らったりは出来まい。
平和な時代の貴族政治なんて、言った言わないの世界で足を引っ張り合うだけのドロドロしかないわけで…。
「ディア、大丈夫か?」
そんな教室の微妙な空気を理解しているのかいないのか、王太子がギムレーを気遣う様子を見せた。
やめろよそういうの。
鬱陶しいから。
私のいないところでやれや。
王子以外の男子生徒たちはその様子を歯噛みしてみている。
良く見るとギムレーと親し気に話している王子を睨む男子もいた。
何だこのやべぇ空間。
女を前にしてアピールポイントを奪い合う男子を見るのは哀れなものだ。
そしてそれ以上に女一人で男共がいがみ合っているのはもっと不愉快だ。
「ワタクシは平気です。でも怒られるのは仕方ありません。ワタクシなんて所詮王都からも遠い地方出身の田舎ものですから。でしゃばりだと思われたのでしょう…。誤解なのに…」
カドメイア州とギムレーの実家の領地エレイン州は隣り合ってる。
そして地理的にはエレイン州の方が王国の首都たる王都に近い。
この理屈だと私の方が田舎者になる。
この高度なマウンティング!
痺れるぜ!
自分を謙遜しながら相手をディスっていくこのスタイル。
でもあいつもしかしたらそういうこと考えずにしゃべってるだけかもしんない…。
私からみるギムレーは王子を惑わす悪い女だが、原作知識、プレイヤー視点で見ると、良くあるテンプレツンデレ幼馴染キャラだった。
あとアホの子。男受けしそうなアホの子。
原作は殺伐とした描写が続くので、アホの子の場面は清涼剤的側面があった。
あとエロの子。ジョゼーファに次いでエロCGが多い。
流石メインヒロインさまだ。てかメインヒロインよりエロCGが多いジョゼーファってなんやねん。
スタッフに愛されてるの?いやだよそんな邪神共に愛されたくないわ。
「そんなこと気にするな。おれがちゃんと言って聞かせておくさ。まったくジョゼーファも何様のつもりであんなことをしたのか…。貴族でありながら王太子であるおれの方針に逆らうとは…全くどうかしている」
お前の婚約者様のつもりでしたが何か?
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