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第二章 簒奪篇 Fräulein Warlord shall not forgive a virgin road.
第32話 リア充系エロゲ主人公ってパリピに似てる。
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バッコス王国 王都アリアドネ 郊外 カンナギ邸
「みんなー!あたしをおそれたてまつれ!」
カンナギ邸の庭に設けられた特設ステージの上からディアスティマはマイクを使ってそう叫んだ。
「「「「あがめたてまつれーーーーーーーーー!!!!いえーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!」」」」
ステージの前に学園の友人たちや近所の知り合いの人たちが群がって盛り上がっている。
「では一曲いきます!『ホーリー☆ウォーロード』!~♪」
王妃による粛正騒ぎの恐ろしさによって静まる王都において、このカンナギ邸だけが騒がしかった。ルイカは今日突然ホームパーティーを開催したのだ。彼の知り合いの多くが老若男女関係なく集まってバーベキューを楽しんでいる。みんな最近の争乱に不安を感じていたのだ。騒いでその不安を忘れられるようなイベントを望んでいた。だからパーティーは盛り上がっており、余興としてカラオケ大会まで開かれる始末である。ディアスティマの美しい歌声を背景にカンナギは庭にわざわざ出してきたソファーに寝そべって瓶ジュースをちびちび飲んでいた。
「カンナギ様は珍しく落ち込んでますね。ヴァンデルレイ様がいなくて寂しいですか?」
最近ヴァンデルレイはあちらこちらを精力的に飛び回っていた。ルイカが聞くところによると大口の取材らしい。
「それもあるねーだけど…」
ヴィルヘルミナがルイカに膝枕しながら髪を撫でていた。彼女はどこか楽し気に微笑んでいる。
「どっちかって言うとショックの方かな。まさかこんな事態になるなんてね。僕が用意していた策は全部おじゃんになっちゃった。君のお母さん凄すぎ。完敗だよ」
ルイカは婚約破棄以降の情勢の変化を極めて正しく予想していた。だがそれは王妃が突然の粛正を行い始めるまでだった。それを知ったのは潜入していたカドメイア州軍においてであった。ヴァンデルレイがニュルソスまでやってきて伝えてくれたのだ。フェンサリルが水攻めすることを前提にエヴェルトン救出を予定していたルイカはその時点ですべての作戦がおじゃんになったのを悟ったのだった。そしてエヴェルトンが王都へ向かうと同時にルイカもまた王都に帰ってきて、それ以降はいつもの日常生活に戻った。
「あの人は…。その…。ああいう人なんです。いつも政敵とかを罠に嵌めて粛正してきた怖い人なんですよ。あの傲慢で調子乗ってるフェンサリルさえ、母上には正面から喧嘩を売ることはないくらいですから」
「その気持ちはわかるかな。こんな何仕出かすかわかんない人相手ならびくびくしちゃうと思う。しかし本当にわけがわからない。どうして連合王国なんて発想が出てくるんだ。どう考えても彼女が得られる経済利益と事の大きさとがかみ合ってないよ。だいたいこの粛正騒ぎもそうだ。確かに今後の近代化には国内の保守派貴族の解体は必須だけど、ここまで出鱈目な大事にしちゃう理由がわからない。放っておいても資本主義が広がれば貴族の利権なんて吹き飛ぶんだ。近代化はゆっくりやればいい。まるで本当に婚約破棄そのものを潰すためだけにやってるみたいな感じだ。王妃の思考がまるで理解できない」
「母上はあの女、ジョゼーファにひどく執着していますわ。…実の娘の私たち以上にです。よく覚えてますよ。参勤交代で王家が帝都に駐在していた時です。家族で帝都観光に行ったんです。父と母とフェンサリルと私の四人の水入らず。なのにそこにシレッとジョゼーファがいました」
「家族の団欒にシレッといるのはちょっと変だね」
「そうなんですよ!あの日ジョゼーファは母上の手を引かれてた。まるで実の娘みたいに。母上もとても楽しそうでしたわ。だから私すごく怒って母に言ったんですの!誰なのその子って!でも母は私の話を端から無視しました。私はカッとなってジョゼーファのことを叩いたんです。そうしたら母上は私のことを突き飛ばして、私をすごく怖い顔で叱りつけたんです。私本当に怖かった。…怖かったんです」
「たしかにそれはおかしいね」
ルイカはヴィルヘルミナの震える手を優しく握った。彼女はその手に指を絡めていく。
「それで私は護衛に預けられて家に帰されそうになったんです。普通実の娘を家に帰そうとはしないはずなのに、いらない子扱いされました。実の娘よりもジョゼーファの方があの人には可愛いんです。それだけならまだいいんです。ジョゼーファがそれでほくそ笑む女ならよかった。なのにジョゼーファは母上に頼んだんですよ。『いじめてはだめです。ヴィルヘルミナはあなたのことが好きなだけなんですから』ってそうしたら母上は護衛に引き渡すのをぱたりとやめました。本当に最悪の団欒でした」
「優しいと言えば優しいのかな?…原因だって思えばちょっと複雑な感じだけど」
「昔からそうなんです。だからジョゼーファとフェンサリルの婚約が決まってもおかしいとは思いませんでした。皆エヴェルトン・アイガイオンが娘を政略の駒にしたって思ってますけど、絶対逆です。母上が望んだんですよ」
「彼女自体に一国以上の価値があるって事か…。うーん。それはいったいなんなんだ?例の皇后生母説が正しいってことなのかな…?」
ルイカは腕を組んで唸り始める。だが思考はすぐに行き詰る。データが足りないからインスピレーションが降ってこない。そんな時だ。知り合いの女がルイカの傍へとやってきた。黒曜石のような艶やかな黒髪に、狼のような鋭い琥珀色の瞳の美しい顔をしている。女性にしては背の高い方でホットパンツから伸びた足が男の目には眩しく見えていた。彼女の手にはBBQの肉やピザや色々なオードブルが山盛りになった皿がある。それをソファーの傍のテーブルの上に置いて、ピザを一つ手に取りルイカの口元まで運ぶ。ルイカはそれにかぶりつく。
「このピザ美味しいですね。ありがとうございますハルナ先輩」
「ふふ。それはよかった。君たち面白い話してるね。ジョゼーファ・ネモレンシスの噂は私たち皇族の間でも有名な話だよ」
美味しそうにピザを食べるルイカのことを女はどこかうっとりしたような顔で見つめている。
「あら会長殿下。じゃあジョゼーファはやはり皇族なのですの?」
ハルナはルイカたちの学園の現生徒会長を務めている、先輩の学園生だ。ルイカと同じく帝国直轄地出身であり、帝国でも名だたる名家の生まれであり、さらに今上皇帝の姪っ子にもあたる。家名こそラウタヴァーラではないが、帝国法上彼女はれっきとした皇族の定義に当てはまり、実際に帝国政府からもそう扱われている。
「殿下はやめてくれ。メドラウトの血を引く者は身分制度の敵たるべきだと教わってるんだ」
「でも会長殿下ってなんかゴロよくありませんこと?うふふふ」
「からかわないでくれよ…まったく。さてジョゼーファ・ネモレンシスについてなんだけど、ラウタヴァーラ家やその分家筋じゃ有名なんだよ。昔皇帝と皇后は一時期不仲だったと噂されている時期があったんだ。その時皇后は皇帝のいる帝都を離れて聖都に住んでいた。別居していたわけだ。でその聖都の皇后の邸宅によくエヴェルトン・アイガイオンが出入りしていたらしいんだ。丁度そのころジョゼーファが生まれてる。時期的には真っ黒だよね。さすがに皇帝と皇后が離婚するとかっていうのは外面が悪いから、子供だけ捨ててなかったことにしてっていう話らしいんだよね。皇帝はこの話が出ると露骨に不機嫌になるし、皇后はめそめそ泣くし」
「あらまあ!背徳の愛。その証明がジョゼーファということなのですね。それはそれは…」
ヴィルヘルミナは楽し気にその話を聞いている。その顔には抑えられない好奇が宿っている。
「ある意味ありふれた宮廷ロマンスって感じだけど、偶に皇帝はアイガイオン家の勢力拡大を掣肘するような政策をバッコス王国の勅使に命じているんだ。状況証拠はどんどんと積みあがっているわけだ。実際現在のこの国の勅使を務めるわたしの母もアイガイオン家の動向は常に気にしている。不義の子とは言え、メドラウトの血を引くのであればそれは同胞だ。奴隷上がりで家族のいなかったメドラウトは一人息子や孫たちをとても可愛がった。血族を大切にするのがメドラウトの遺訓の一つなんだ。だからジョゼーファの存在は無視はできない。バッコス王国の王妃アルレネ・ケルムトもたびたび皇族説を匂わせてる。というかあの始まりの族長家の一つである超名門ウルザブルン家の女が義理の娘となるかもしれない娘の血筋を気にしないわけないんだよ。メドラウトの子孫であれば息子の妻にはふさわしいだろう」
ルイカはハルナにずっとテーブルのオードブルをあーんされながら話を聞いていた。そして浮かんだ疑問はヴィルヘルミナに尋ねる。
「ふーんなるほどなぁ。確かに筋は通るね。無茶な粛正までして婚姻を守ろうとするのは皇族への配慮になるわけだ。そういえば王太子はウルザブルンって苗字で、ミナはケルムトじゃない。なんで苗字違うの?」
「ウルザブルンは母上の旧姓です。嫁入りしたから自分の苗字は変えたんですけど、フェンサリルには継がせたんです。フェンサリルはバッコスの王太子ですが、同時に母上の実家の法定相続人第一位なのです。ウルザブルンの宗家は母の代で男系が断絶してしまって、母上を飛び越えて相続がフェンサリルになってるんです。父のケルムト家はウルザブルンの男系を現代まで継承し続けてるので、それが理由でしょうね」
「ふーん。貴族ってめんどくさいんだね。はてと言うことはこのまま二人が結婚して子供が生まれると、帝国でもトップクラスの超サラブレットが生まれるってことかな?」
「そう言うことになるね。わたしたち皇族もだからこそ無視できない。ウルザブルン家と皇族は政治的には盟友だが、いままで互いを警戒し合って婚姻関係を結んだことがないんだ。手は組むが慣れ合う気はないというのが互いが持つ感情だね。メドラウトもウルザブルン家には死ぬまで警戒し続けていた。現代においてもその緊張は解けていないんだ。そういう意味ではこの結婚に皇族たちは注目している。希望か果たして争乱の種なのか。状況を見守ってる段階だね」
「ねぇハルナ先輩。帝国はこの連合王国構想をどうとらえるのかな?」
「皇帝陛下は不快感を持つと思う。だけど政治的に言えばメドラウトの血族が辺境の大国の君主に就くんだ。現実的には有利だよね。帝国政府としてはメドラウト皇族のブランドを背負っている君主の存在には頼もしさを感じるはずだよ。だけど今は正直に言ってそれどころじゃないんだよね」
「どういうことですか?他に大きな政治的問題があるってことですか?」
「今日の夕方あたりに公式発表される予定だけど、まあ2人にならいいか。少し前に起きた話なんだけど、ここからちょうど聖樹の反対側にある辺境のグルヴェイク王国で、帝国の派遣していた勅使が現地の不法武装勢力に暗殺された。恐らくこのまま行くと帝国軍が介入するような大きな騒ぎになるはずだ」
ルイカとヴィルヘルミナは息を飲んだ。皇帝の名代たる勅使の暗殺は帝国への反逆行為にも等しい蛮行だ。帝国軍がすぐにでも殴り込んできてもおかしくないレベルの所業である。
「戦争になるのですか?」
「それはなんとも。だけどあの国の荒れっぷりは有名なんだよね。ここと同じく樹液産出国のくせにいつまでたっても貧乏なままでね。もし戦争になるなら帝国は辺境締め上げの見せしめとして徹底的にやるはずだ。集団安全保障に基づきバッコスにも出兵要請がくるかもしれない。だから平和が維持されるのであれば、連合王国だろうが王朝交代だろうが帝国政府は関心を持たないよ。皇帝陛下も個人的感情は置いていて仕事をやるお方だ。連合王国はすんなりと帝国に承認されるよ。多分ね。そういうわけですまないんだけどルイカ君に貸した火薬なんだけど、結局使ってないし返してもらえないかな?戦争特需で値段が高騰するかもしれない。ヒメゾノ・グループはこの特需に手を抜くつもりはないからね」
ヒメゾノ家は帝国有数の工業メーカー企業の一つであるヒメゾノ・グループのオーナー家である。ハルナの父はバッコスにおいてある支社の社長を務めていた。その伝を使ってルイカは火薬を仕入れてニュルソスで使用するつもりだったのだ。
「あー。確かにそうですね。返さなきゃ。用意しておきます」
「あのールイカ様…火薬なんて何に使うつもりだったんですの?」
「ん?ああ、あれね。君のお兄さんがエヴェルトン・アイガイオンを水攻めにしたら、嫌がらせで鉄道橋の一部を爆破してやるつもりだったんだ。あれはかなりの建設費を投じて作ったものだからね。王国軍の士気をくじくには丁度いい。水攻めがうまく行ってもエヴェルトン・アイガイオンが生き残っていて橋が壊れていたら反戦論が盛り上がって王太子は失脚していたと思うよ。そうすれば全面戦争は避けられる」
「それはルイカ様らしい派手さですわね。…橋が吹き飛ぶなかったのが残念。兄上の吠え面みたかったですわ。ほんとうにほんとうに残念」
ヴィルヘルミナは心底がっかりしたように溜息をつく。ルイカとハルナはそれを生暖かな目で見守って丁重にスルーした。そこへ。
「やっほー。ねぇねぇ皆!あたしの歌どうだった!めっちゃ奉ってたでしょ!?どう?どう?」
ステージでのパフォーマンスを終えたばかりで若干テンションの高いディアスティマが能天気な笑顔を浮かべてルイカたちの傍へやってきた。
「奉っていた…?奉るってなに?新手のアイドル用語?」
ルイカたちはみな首を傾げる。ディアスティマのことを見ていなかったので何をやっていたのか知らなかったのだ。
「えええ?!ルイったら見てなかったの?!ひどいよ!めっちゃ奉ってたのにぃ!」
「だから奉るって何?めっちゃ謎なんだけど…?」
「いつも話を聞いてないよねルイって!お仕置だぁ!」
ディアスティマはソファーに寝そべるルイカの上に飛び乗って、シャツをめくって脇腹を擽り始める。
「あはは!ひーひー!やめて!擽った過ぎる!?ちょっときつい!やめて!」
「絶対に許さない!奉っちゃえ!」
「だから奉るって何?!ぎゃははは!ちゃっとまじでやめて!しぬぅ!笑い死ぬ!?先輩にタッチ!」
そう言ってハルナにタッチしたルイカはディアスティマを優しく押しのけてソファーから離れる。するとディアスティマはニヤリと笑ってハルナの方へじりじりとよっていく。
「ま、待つんだディアスティマ君!落ち着いて話そう。なあ?」
「ふふふ…。たてまつっちゃえぇ!ひゃはー!」
「ひぃ!ヴィルヘルミナ君!あとは任せたタッチ!」
ディアスティマはハルナを追いまわし始める。必死に逃げたハルナはヴィルヘルミナにタッチする。ディアスティマのターゲットはそのままヴィルヘルミナへと移る。
「きゃあ!?誰か助けてくださいまし!ひぃ!?」
「たてまつれー!たてまつれー!たたてんまつれ…?ミナを祟れまつれー!」
「祟りになった?!」
じゃれ合う女性陣をやれやれといった風に見届けた後、尿意を感じたルイカは屋敷の中へ入りトイレに向かった。
用を足し、洗面台で手を洗っていた時、突然後ろから声をかけられた。
「いやーさっきの光景!素晴らしいですね!古き良き時代のラブコメ臭を感じますよ!おばあちゃんなつかしさに涙が出そうです!」
さっきまで鏡には誰も写っていなかった。なのに目の前の鏡には白い髪に青い瞳の美女が写っている。慌てて腰の鞘から刀を抜いて、後ろの女に振るった。だが刃は女の体を抵抗なく透けて行った。
「なに?幻なのか?え?マジでこの家幽霊いたの?」
「いえいえいえ。私は幽霊ではありませんよ!ほら見てください!ちゃんと両足ついてますからね!見てください!めちゃ美脚でしょ!」
白い髪の女の足は濃い目の黒のパンストの包まれていた。その光沢と形の良さは男心を滾らせる何かがあった。
「いやいやいや。剣が体透けるとか幽霊すぎるでしょ…君はいったいなんだ?」
白い髪の女に刀を向けつつ距離を取るルイカ。
「まあまあまあ。そんなもの仕舞ってくださいよ。私は見ての通りどこにでもいるただのマスコット系美少女に過ぎませんからね」
「色々突っ込みどころがあり過ぎるんだけど…マスコットの割にはちょっとウザすぎる気が…」
「いやー!酷いですねぇ!まあいいです。私の名はジェーン・ドゥ。今世では"はじめまして"ですかねぇニチャアアァァ」
実に顔だけでうざい気持ちになれるようなドヤ顔系の笑みを浮かべるジェーンにルイカは内心イラつき始めていた。
「自分でニチャアアっていうのすごくうざいんですけど…。しかも名無しの権兵衛?舐めてるの?」
「残念ですがこれが本名です!まあおふざけはこれくらいにします。単刀直入にいいます。エヴェルトンに囚われてしまったジョゼーファの救出をあなたに頼みたいのです。もちろんヒーローのあなたならイエスって言いますよね?ニチャアアアア!!」
思ってもみなかった人物の名前が出てきたことに、ルイカは少し長い前髪の奥で目を丸くしてしまったのだった。
「みんなー!あたしをおそれたてまつれ!」
カンナギ邸の庭に設けられた特設ステージの上からディアスティマはマイクを使ってそう叫んだ。
「「「「あがめたてまつれーーーーーーーーー!!!!いえーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!」」」」
ステージの前に学園の友人たちや近所の知り合いの人たちが群がって盛り上がっている。
「では一曲いきます!『ホーリー☆ウォーロード』!~♪」
王妃による粛正騒ぎの恐ろしさによって静まる王都において、このカンナギ邸だけが騒がしかった。ルイカは今日突然ホームパーティーを開催したのだ。彼の知り合いの多くが老若男女関係なく集まってバーベキューを楽しんでいる。みんな最近の争乱に不安を感じていたのだ。騒いでその不安を忘れられるようなイベントを望んでいた。だからパーティーは盛り上がっており、余興としてカラオケ大会まで開かれる始末である。ディアスティマの美しい歌声を背景にカンナギは庭にわざわざ出してきたソファーに寝そべって瓶ジュースをちびちび飲んでいた。
「カンナギ様は珍しく落ち込んでますね。ヴァンデルレイ様がいなくて寂しいですか?」
最近ヴァンデルレイはあちらこちらを精力的に飛び回っていた。ルイカが聞くところによると大口の取材らしい。
「それもあるねーだけど…」
ヴィルヘルミナがルイカに膝枕しながら髪を撫でていた。彼女はどこか楽し気に微笑んでいる。
「どっちかって言うとショックの方かな。まさかこんな事態になるなんてね。僕が用意していた策は全部おじゃんになっちゃった。君のお母さん凄すぎ。完敗だよ」
ルイカは婚約破棄以降の情勢の変化を極めて正しく予想していた。だがそれは王妃が突然の粛正を行い始めるまでだった。それを知ったのは潜入していたカドメイア州軍においてであった。ヴァンデルレイがニュルソスまでやってきて伝えてくれたのだ。フェンサリルが水攻めすることを前提にエヴェルトン救出を予定していたルイカはその時点ですべての作戦がおじゃんになったのを悟ったのだった。そしてエヴェルトンが王都へ向かうと同時にルイカもまた王都に帰ってきて、それ以降はいつもの日常生活に戻った。
「あの人は…。その…。ああいう人なんです。いつも政敵とかを罠に嵌めて粛正してきた怖い人なんですよ。あの傲慢で調子乗ってるフェンサリルさえ、母上には正面から喧嘩を売ることはないくらいですから」
「その気持ちはわかるかな。こんな何仕出かすかわかんない人相手ならびくびくしちゃうと思う。しかし本当にわけがわからない。どうして連合王国なんて発想が出てくるんだ。どう考えても彼女が得られる経済利益と事の大きさとがかみ合ってないよ。だいたいこの粛正騒ぎもそうだ。確かに今後の近代化には国内の保守派貴族の解体は必須だけど、ここまで出鱈目な大事にしちゃう理由がわからない。放っておいても資本主義が広がれば貴族の利権なんて吹き飛ぶんだ。近代化はゆっくりやればいい。まるで本当に婚約破棄そのものを潰すためだけにやってるみたいな感じだ。王妃の思考がまるで理解できない」
「母上はあの女、ジョゼーファにひどく執着していますわ。…実の娘の私たち以上にです。よく覚えてますよ。参勤交代で王家が帝都に駐在していた時です。家族で帝都観光に行ったんです。父と母とフェンサリルと私の四人の水入らず。なのにそこにシレッとジョゼーファがいました」
「家族の団欒にシレッといるのはちょっと変だね」
「そうなんですよ!あの日ジョゼーファは母上の手を引かれてた。まるで実の娘みたいに。母上もとても楽しそうでしたわ。だから私すごく怒って母に言ったんですの!誰なのその子って!でも母は私の話を端から無視しました。私はカッとなってジョゼーファのことを叩いたんです。そうしたら母上は私のことを突き飛ばして、私をすごく怖い顔で叱りつけたんです。私本当に怖かった。…怖かったんです」
「たしかにそれはおかしいね」
ルイカはヴィルヘルミナの震える手を優しく握った。彼女はその手に指を絡めていく。
「それで私は護衛に預けられて家に帰されそうになったんです。普通実の娘を家に帰そうとはしないはずなのに、いらない子扱いされました。実の娘よりもジョゼーファの方があの人には可愛いんです。それだけならまだいいんです。ジョゼーファがそれでほくそ笑む女ならよかった。なのにジョゼーファは母上に頼んだんですよ。『いじめてはだめです。ヴィルヘルミナはあなたのことが好きなだけなんですから』ってそうしたら母上は護衛に引き渡すのをぱたりとやめました。本当に最悪の団欒でした」
「優しいと言えば優しいのかな?…原因だって思えばちょっと複雑な感じだけど」
「昔からそうなんです。だからジョゼーファとフェンサリルの婚約が決まってもおかしいとは思いませんでした。皆エヴェルトン・アイガイオンが娘を政略の駒にしたって思ってますけど、絶対逆です。母上が望んだんですよ」
「彼女自体に一国以上の価値があるって事か…。うーん。それはいったいなんなんだ?例の皇后生母説が正しいってことなのかな…?」
ルイカは腕を組んで唸り始める。だが思考はすぐに行き詰る。データが足りないからインスピレーションが降ってこない。そんな時だ。知り合いの女がルイカの傍へとやってきた。黒曜石のような艶やかな黒髪に、狼のような鋭い琥珀色の瞳の美しい顔をしている。女性にしては背の高い方でホットパンツから伸びた足が男の目には眩しく見えていた。彼女の手にはBBQの肉やピザや色々なオードブルが山盛りになった皿がある。それをソファーの傍のテーブルの上に置いて、ピザを一つ手に取りルイカの口元まで運ぶ。ルイカはそれにかぶりつく。
「このピザ美味しいですね。ありがとうございますハルナ先輩」
「ふふ。それはよかった。君たち面白い話してるね。ジョゼーファ・ネモレンシスの噂は私たち皇族の間でも有名な話だよ」
美味しそうにピザを食べるルイカのことを女はどこかうっとりしたような顔で見つめている。
「あら会長殿下。じゃあジョゼーファはやはり皇族なのですの?」
ハルナはルイカたちの学園の現生徒会長を務めている、先輩の学園生だ。ルイカと同じく帝国直轄地出身であり、帝国でも名だたる名家の生まれであり、さらに今上皇帝の姪っ子にもあたる。家名こそラウタヴァーラではないが、帝国法上彼女はれっきとした皇族の定義に当てはまり、実際に帝国政府からもそう扱われている。
「殿下はやめてくれ。メドラウトの血を引く者は身分制度の敵たるべきだと教わってるんだ」
「でも会長殿下ってなんかゴロよくありませんこと?うふふふ」
「からかわないでくれよ…まったく。さてジョゼーファ・ネモレンシスについてなんだけど、ラウタヴァーラ家やその分家筋じゃ有名なんだよ。昔皇帝と皇后は一時期不仲だったと噂されている時期があったんだ。その時皇后は皇帝のいる帝都を離れて聖都に住んでいた。別居していたわけだ。でその聖都の皇后の邸宅によくエヴェルトン・アイガイオンが出入りしていたらしいんだ。丁度そのころジョゼーファが生まれてる。時期的には真っ黒だよね。さすがに皇帝と皇后が離婚するとかっていうのは外面が悪いから、子供だけ捨ててなかったことにしてっていう話らしいんだよね。皇帝はこの話が出ると露骨に不機嫌になるし、皇后はめそめそ泣くし」
「あらまあ!背徳の愛。その証明がジョゼーファということなのですね。それはそれは…」
ヴィルヘルミナは楽し気にその話を聞いている。その顔には抑えられない好奇が宿っている。
「ある意味ありふれた宮廷ロマンスって感じだけど、偶に皇帝はアイガイオン家の勢力拡大を掣肘するような政策をバッコス王国の勅使に命じているんだ。状況証拠はどんどんと積みあがっているわけだ。実際現在のこの国の勅使を務めるわたしの母もアイガイオン家の動向は常に気にしている。不義の子とは言え、メドラウトの血を引くのであればそれは同胞だ。奴隷上がりで家族のいなかったメドラウトは一人息子や孫たちをとても可愛がった。血族を大切にするのがメドラウトの遺訓の一つなんだ。だからジョゼーファの存在は無視はできない。バッコス王国の王妃アルレネ・ケルムトもたびたび皇族説を匂わせてる。というかあの始まりの族長家の一つである超名門ウルザブルン家の女が義理の娘となるかもしれない娘の血筋を気にしないわけないんだよ。メドラウトの子孫であれば息子の妻にはふさわしいだろう」
ルイカはハルナにずっとテーブルのオードブルをあーんされながら話を聞いていた。そして浮かんだ疑問はヴィルヘルミナに尋ねる。
「ふーんなるほどなぁ。確かに筋は通るね。無茶な粛正までして婚姻を守ろうとするのは皇族への配慮になるわけだ。そういえば王太子はウルザブルンって苗字で、ミナはケルムトじゃない。なんで苗字違うの?」
「ウルザブルンは母上の旧姓です。嫁入りしたから自分の苗字は変えたんですけど、フェンサリルには継がせたんです。フェンサリルはバッコスの王太子ですが、同時に母上の実家の法定相続人第一位なのです。ウルザブルンの宗家は母の代で男系が断絶してしまって、母上を飛び越えて相続がフェンサリルになってるんです。父のケルムト家はウルザブルンの男系を現代まで継承し続けてるので、それが理由でしょうね」
「ふーん。貴族ってめんどくさいんだね。はてと言うことはこのまま二人が結婚して子供が生まれると、帝国でもトップクラスの超サラブレットが生まれるってことかな?」
「そう言うことになるね。わたしたち皇族もだからこそ無視できない。ウルザブルン家と皇族は政治的には盟友だが、いままで互いを警戒し合って婚姻関係を結んだことがないんだ。手は組むが慣れ合う気はないというのが互いが持つ感情だね。メドラウトもウルザブルン家には死ぬまで警戒し続けていた。現代においてもその緊張は解けていないんだ。そういう意味ではこの結婚に皇族たちは注目している。希望か果たして争乱の種なのか。状況を見守ってる段階だね」
「ねぇハルナ先輩。帝国はこの連合王国構想をどうとらえるのかな?」
「皇帝陛下は不快感を持つと思う。だけど政治的に言えばメドラウトの血族が辺境の大国の君主に就くんだ。現実的には有利だよね。帝国政府としてはメドラウト皇族のブランドを背負っている君主の存在には頼もしさを感じるはずだよ。だけど今は正直に言ってそれどころじゃないんだよね」
「どういうことですか?他に大きな政治的問題があるってことですか?」
「今日の夕方あたりに公式発表される予定だけど、まあ2人にならいいか。少し前に起きた話なんだけど、ここからちょうど聖樹の反対側にある辺境のグルヴェイク王国で、帝国の派遣していた勅使が現地の不法武装勢力に暗殺された。恐らくこのまま行くと帝国軍が介入するような大きな騒ぎになるはずだ」
ルイカとヴィルヘルミナは息を飲んだ。皇帝の名代たる勅使の暗殺は帝国への反逆行為にも等しい蛮行だ。帝国軍がすぐにでも殴り込んできてもおかしくないレベルの所業である。
「戦争になるのですか?」
「それはなんとも。だけどあの国の荒れっぷりは有名なんだよね。ここと同じく樹液産出国のくせにいつまでたっても貧乏なままでね。もし戦争になるなら帝国は辺境締め上げの見せしめとして徹底的にやるはずだ。集団安全保障に基づきバッコスにも出兵要請がくるかもしれない。だから平和が維持されるのであれば、連合王国だろうが王朝交代だろうが帝国政府は関心を持たないよ。皇帝陛下も個人的感情は置いていて仕事をやるお方だ。連合王国はすんなりと帝国に承認されるよ。多分ね。そういうわけですまないんだけどルイカ君に貸した火薬なんだけど、結局使ってないし返してもらえないかな?戦争特需で値段が高騰するかもしれない。ヒメゾノ・グループはこの特需に手を抜くつもりはないからね」
ヒメゾノ家は帝国有数の工業メーカー企業の一つであるヒメゾノ・グループのオーナー家である。ハルナの父はバッコスにおいてある支社の社長を務めていた。その伝を使ってルイカは火薬を仕入れてニュルソスで使用するつもりだったのだ。
「あー。確かにそうですね。返さなきゃ。用意しておきます」
「あのールイカ様…火薬なんて何に使うつもりだったんですの?」
「ん?ああ、あれね。君のお兄さんがエヴェルトン・アイガイオンを水攻めにしたら、嫌がらせで鉄道橋の一部を爆破してやるつもりだったんだ。あれはかなりの建設費を投じて作ったものだからね。王国軍の士気をくじくには丁度いい。水攻めがうまく行ってもエヴェルトン・アイガイオンが生き残っていて橋が壊れていたら反戦論が盛り上がって王太子は失脚していたと思うよ。そうすれば全面戦争は避けられる」
「それはルイカ様らしい派手さですわね。…橋が吹き飛ぶなかったのが残念。兄上の吠え面みたかったですわ。ほんとうにほんとうに残念」
ヴィルヘルミナは心底がっかりしたように溜息をつく。ルイカとハルナはそれを生暖かな目で見守って丁重にスルーした。そこへ。
「やっほー。ねぇねぇ皆!あたしの歌どうだった!めっちゃ奉ってたでしょ!?どう?どう?」
ステージでのパフォーマンスを終えたばかりで若干テンションの高いディアスティマが能天気な笑顔を浮かべてルイカたちの傍へやってきた。
「奉っていた…?奉るってなに?新手のアイドル用語?」
ルイカたちはみな首を傾げる。ディアスティマのことを見ていなかったので何をやっていたのか知らなかったのだ。
「えええ?!ルイったら見てなかったの?!ひどいよ!めっちゃ奉ってたのにぃ!」
「だから奉るって何?めっちゃ謎なんだけど…?」
「いつも話を聞いてないよねルイって!お仕置だぁ!」
ディアスティマはソファーに寝そべるルイカの上に飛び乗って、シャツをめくって脇腹を擽り始める。
「あはは!ひーひー!やめて!擽った過ぎる!?ちょっときつい!やめて!」
「絶対に許さない!奉っちゃえ!」
「だから奉るって何?!ぎゃははは!ちゃっとまじでやめて!しぬぅ!笑い死ぬ!?先輩にタッチ!」
そう言ってハルナにタッチしたルイカはディアスティマを優しく押しのけてソファーから離れる。するとディアスティマはニヤリと笑ってハルナの方へじりじりとよっていく。
「ま、待つんだディアスティマ君!落ち着いて話そう。なあ?」
「ふふふ…。たてまつっちゃえぇ!ひゃはー!」
「ひぃ!ヴィルヘルミナ君!あとは任せたタッチ!」
ディアスティマはハルナを追いまわし始める。必死に逃げたハルナはヴィルヘルミナにタッチする。ディアスティマのターゲットはそのままヴィルヘルミナへと移る。
「きゃあ!?誰か助けてくださいまし!ひぃ!?」
「たてまつれー!たてまつれー!たたてんまつれ…?ミナを祟れまつれー!」
「祟りになった?!」
じゃれ合う女性陣をやれやれといった風に見届けた後、尿意を感じたルイカは屋敷の中へ入りトイレに向かった。
用を足し、洗面台で手を洗っていた時、突然後ろから声をかけられた。
「いやーさっきの光景!素晴らしいですね!古き良き時代のラブコメ臭を感じますよ!おばあちゃんなつかしさに涙が出そうです!」
さっきまで鏡には誰も写っていなかった。なのに目の前の鏡には白い髪に青い瞳の美女が写っている。慌てて腰の鞘から刀を抜いて、後ろの女に振るった。だが刃は女の体を抵抗なく透けて行った。
「なに?幻なのか?え?マジでこの家幽霊いたの?」
「いえいえいえ。私は幽霊ではありませんよ!ほら見てください!ちゃんと両足ついてますからね!見てください!めちゃ美脚でしょ!」
白い髪の女の足は濃い目の黒のパンストの包まれていた。その光沢と形の良さは男心を滾らせる何かがあった。
「いやいやいや。剣が体透けるとか幽霊すぎるでしょ…君はいったいなんだ?」
白い髪の女に刀を向けつつ距離を取るルイカ。
「まあまあまあ。そんなもの仕舞ってくださいよ。私は見ての通りどこにでもいるただのマスコット系美少女に過ぎませんからね」
「色々突っ込みどころがあり過ぎるんだけど…マスコットの割にはちょっとウザすぎる気が…」
「いやー!酷いですねぇ!まあいいです。私の名はジェーン・ドゥ。今世では"はじめまして"ですかねぇニチャアアァァ」
実に顔だけでうざい気持ちになれるようなドヤ顔系の笑みを浮かべるジェーンにルイカは内心イラつき始めていた。
「自分でニチャアアっていうのすごくうざいんですけど…。しかも名無しの権兵衛?舐めてるの?」
「残念ですがこれが本名です!まあおふざけはこれくらいにします。単刀直入にいいます。エヴェルトンに囚われてしまったジョゼーファの救出をあなたに頼みたいのです。もちろんヒーローのあなたならイエスって言いますよね?ニチャアアアア!!」
思ってもみなかった人物の名前が出てきたことに、ルイカは少し長い前髪の奥で目を丸くしてしまったのだった。
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