【本編完結】 婚約破棄された令嬢は自由に生きたい!(R18)

Rila

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24.二人で散策①

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 抱き上げられているせいか、アレクシスとの距離がとても近く感じる。
 すぐ傍には整った綺麗な顔があり、視線を合わせてしまうとドキドキしてしまうので、私の目線は進行方向をずっと向いていた。
 僅かに頬は赤く染まり、鼓動が高鳴っているせいか、体も少し火照っているような気さえする。

(一体いつまでこのままなの? もう限界……)

「リリア」
「ひっ、は、はい」

 突然名前を呼ばれ、驚きから思わず声がひっくり返ってしまう。
 アレクシスはそんな私の様子をおかしそうにクスクスと笑っていた。

「わ、笑わないでください!」
「すごく緊張しているね。ただ名前を呼んだだけだよ?」

(恥ずかしいっ……!)

「だって、距離が近すぎるから」

 一瞬アレクシスの方を見てしまうも、その距離の近さを感じると慌てるように視線を前に戻した。
 すると再び「リリア」と名前を呼んでくる。

「なんですか?」
「こっちを向いてくれないの? 話をする時は目を見てするものだよ」

 そんな風に指摘されると迷ってしまうが、それでも羞恥心の方が勝っていた私は無視をした。

「……っ」
「隠しているつもりかもしれないけど、弱点の耳がしっかりと見えているよ」

 アレクシスはそう呟いた後に「こんなに真っ赤に染めて、可愛らしいね」とわざわざ耳元で囁いてきた。
 私はビクッと体を震わせ、悔しそうな顔でキッと睨み付けた。

「やっとこっちを向いてくれた」
「耳はだめだって言って、え……っ!?」

 視線が合うとアレクシスは嬉しそうに微笑んだ。
 その笑顔に胸がドクドクと揺れる。
 ゆっくりと迫ってくるアレクシスの顔に戸惑っていると、額に温かいものが触れた。
 突然のことに一瞬思考が停止してしまうが、何をされたのか理解が追い付いていくと顔の奥が一気に熱くなる。

「その反応すごく可愛いけど、少し耐性を付けていった方がいいかもしれないね。これからはもっとすごいことも沢山するのだし」

 アレクシスは私の顔を眺めながら、考えたように呟いていた。

(もっとすごいことって何!?)

 言い返したいのに頭の中が混乱していて、良い言葉がすぐには出てこない。

「照れてると言うことは、私のことを異性として意識はしてくれているのかな」
「……っ」

 過剰なまでに意識はしている、……と思う。
 そうでなければ、こんなにも激しく鼓動が揺れるはずが無い。

 抱きかかえられることも、額に口付けをされることもアレクシスにされたのが初めて。
 顔を寄せられただけで動揺し、一瞬で余裕なんてものは消えていく。
 
 アレクシスは本気と冗談を織り交ぜて来るから、その真意が分からない。
 今ここで私が頷いたら彼はどんな表情を見せるのだろう。
 なんとなく知りたくなった。

「意識してるって、言ったら?」

 私は眉根を寄せて、恐る恐る訪ねてみた。
 すると不意にアレクシスの口元が緩んだ。

(え……?)

「そうだったら凄く嬉しい」
「どうして……?」

「それって、リリアとの距離が一段階縮まったってことだからね。私はリリアの事を心より愛しているけど、リリアにも同じ気持ちでいて欲しいと思ってる。私はリリアの心も欲しいから」
「……っ」

 どうして、この人はいとも簡単にそんなに恥ずかしい事を言えてしまえるのだろう。
 言われた私の方が恥ずかしく感じてしまう。

「これからは毎日スキンシップをしていこうか。リリアに耐性をつけるために、ね」
「何をするの?」

 私が困惑した顔で問うと、アレクシスは口角を上げて意地悪そうに笑った。

「そうだな。まずは抱きしめたり、キスをしたりからかな」
「き……」

 キスと言われただけで、私は目を泳がせ動揺し始めた。
 本当に耐性がなさ過ぎて情けないと思ってしまう。
 
「想像しちゃった? 本当に可愛いね、リリアは。深い関係になっていくための準備だよ。一気にしてしまっても私としては構わないけど、それだとリリアには大変だと思うから。それにゆっくり味わっていった方が、楽しめそうだと思わない?」
「……っ」

 話の流れからアレクシスの言う深い関係というのは、体を重ねることだということはなんとなく理解していた。
 どんなことをするのかは、以前本でチラッと読んだので少しは理解している。
 アレクシスとそんなことをしている場面を不意に頭の中に思浮かべてしまう。

(なに想像しているの、私は……!)

「リリアの全てが欲しい。心も、体も、全てね。そして私と同じように、リリアからも求めて欲しいと思ってる」
「で、でも、私はもう貴族ではありませんし。アレクシス様との婚姻は難しいかと……」

 アレクシスがそうしたいと望んでくれても、周りがそれを許してはくれないはずだ。
 王族の婚姻は貴族としか認められていない。
 たしかそうだった気がする。

「そんな風に言ってくれるということは、私と婚姻を結んでも構わないと思ってくれているのかな?」
「……それは」
 
 私が言葉を詰まらせていると、急にアレクシスの足が止まった。

「正直な話、リリアを王太子妃にするつもりはないんだ」
「え?」

 今まで散々『愛している』とか言っておいて、そのつもりがないと言うのはどういうことなのだろう。
 やっぱり私は、からかわれていただけなのか。
 そう思うと、胸の奥がズキズキと痛くなるのを感じる。

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